前科がつくと就職できない?|前科が就職・転職に与える影響

罪を犯してしまったけれど、まだ逮捕、勾留、起訴されていない、あるいは起訴後まだ判決が出ていないなどの状況にある場合、就職・転職のことを考えると前科をつけたくないと考える方も多いのではないでしょうか?

この記事では、主に以下について解説します。

  • 前科は就職先・転職先にバレてしまうのか
  • 前科がついた場合の就職・転職の対処法
  • 前科をつけずに就職・転職する方法 など

前科は就職先・転職先にバレるか?

起訴されて有罪判決が確定すると前科がつきます。

ここでは、前科は就職先・転職先にバレるのか?バレるきっかけは何か?等について解説します。

前科はバレることもある

前科の情報は検察庁で管理されています。検察庁は特定の機関からの照会にのみ回答し、一般の方には前科の情報を開示しません。

前科の情報は市町村役場の犯罪人名簿にも登録されますが、一般の方はそれを閲覧できませんし、一般の方からの問い合わせに対して市町村役場の職員は回答しません。

しかし、検察庁等に問い合わせをしなくても前科の情報を得られる場合があり、前科が就職先や転職先にバレることもあります。

前科が就職先・転職先にバレるきっかけ

前科がバレるきっかけとしては主に以下の場合が考えられます。

実名報道

世間を騒がす重大事件の場合、成人であれば逮捕・起訴された時などに実名報道されるため、すぐに前科が判明します。

ネット記事・ニュース・書き込み

それほど大事件でなくても、ネット記事やニュースなどで実名があがっていた場合にも、バレる可能性があります。

友人・知人

逮捕時に自宅に警察が来ていた場合、それが近所の方、友人や知人に知られる可能性があります。

就職先の人事がインターネットで検索

就職先・転職先の仕事内容によっては事前に人事の方がインターネットで検索をかけることもあります。

就職先・転職先が、興信所や探偵事務所を使って調査

就職先・転職先の人事の方が、興信所や探偵を雇って前科の調査をすることもあります。

前科がバレると解雇される?

前科を隠して就職した場合、前科がバレると解雇されてしまうのでしょうか?

解雇されることもある

前科を隠して就職あるいは転職しても、その前科が明らかになっていれば企業側が当該労働者を採用しなかったといえる場合には、解雇されることもあります。

解雇されるかどうかは、前科の内容と当該労働者の具体的な仕事内容との関係で判断されます。

ネットで拡散される危険

前科を自主的に申告する義務はありませんが、ネットで前科が拡散される危険はあります。一旦前科がネットに拡散されると、半永久的に情報が残り、削除は困難です。

就職先や転職先の会社の業務内容に関係するような前科であった場合には解雇されることもあります。

前科がつくと就職・転職できない?

一旦前科がついてしまうと就職や転職はできないのでしょうか?

ここでは、前科がついた場合の就職・転職の可否について解説します。

前科がついた人の就職率は?

刑務所出所後すぐに就職先を見つけられず、収入が無いために再犯に及んでしまう方が多いと言われています。

刑務所出所者等を円滑に社会復帰させるため、刑務所出所後すぐに就労できるように就職先を探すための就労支援対策が平成18年に実施されました。

少し古い資料ですが、平成29年度版犯罪白書によると、施設内の就労支援対象者の内、就職件数は、支援が始まった平成18年から徐々に増加し、平成28年度で約15%です。

就労支援事業の対象となるのは、求人者に対する前歴などの開示に同意しているなどの要件を満たす人です。前歴などの開示に同意しない場合は、準支援対象者として限定的な支援の対象となります。

前科・前歴などを開示しても、就職できる人が徐々に増えていると言えます。

前科は履歴書に記載すべき?|前科を隠して就職できる?

就職をするときには履歴書を提出することが多いと思われます。履歴書には前科を記載しなければならないのでしょうか?

前科は履歴書の賞罰欄に記載する必要がある

履歴書には、賞罰欄を記載するものと記載しないものの2種類があります。

賞罰の「罰」は前科を指します。賞罰欄を記載する形式の履歴書に、前科があるのに「無し」と記載すると、虚偽の申告になります。

履歴書に嘘を書くと、経歴詐称とされ、解雇の原因になり得ます。虚偽の記載は解雇の危険性が高いです。

面接で聞かれることがある

面接時に犯罪歴を聞かれた場合に虚偽の申告をすると、後に判明した場合解雇される危険が高いです。

採用の面接時に犯罪歴を聞かれた場合には、正直に申告する義務があります。

履歴書に賞罰欄がない、面接で尋ねられない

履歴書に賞罰欄が無い場合や、面接時に犯罪歴を聞かれていない場合に、自ら進んで申告する義務はありません。

賞罰欄のある履歴書を指定されず、犯罪歴について聞かれていなかった場合には、前科の申告をしなくても虚偽の申告にはなりません。

企業は前科を調査するのか?

企業は、雇用しようと思っている人の身元調査をして、前科・前歴がないか確認するのでしょうか?

絶対に無いとは言えないのが現状です。逮捕報道などの情報を確認したり、探偵等に依頼したりすることもあるかもしれません。

前職に前科・前歴の有無の問い合わせをされないか、不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、前職に問い合わせをしたとしても、前職が個人情報を勝手に漏らす可能性は低いと考えられます。

親族の就職に悪い影響を与える可能性がある

前科者が親族に居る場合、就職に影響を及ぼす可能性があります。警察官や自衛官であれば、就職は難しいです。また、歴史のある大企業や金融機関なども、採用の際に身元調査をする可能性が高いため、不利に働く可能性があります。

もっとも、前科等は個人情報として厳しく管理されているので、通常はそもそも知られません。

「親族に逮捕歴がある人はいますか?」と質問されることも通常ありませんし、自ら進んで申告をする必要もありません。

前科があると就職・転職できない職業

一定の前科があると就けない職業や、前科がついたことによりその資格を喪失する職業や業種があります(欠格事由)。

欠格事由には、絶対的に免許・資格を付与されない絶対的欠格事由と、付与するかどうかを付与権者の裁量に委ねられる任意的欠格事由があります。

免許・資格を必要とする職種については、それぞれ個別の法律で欠格事由が規定されています。

絶対的欠格事由にあたる職種

前科がつくと絶対に免許・資格を取得できない絶対的欠格事由にあたる職種の例は主に以下のとおりです。

  • 弁護士、裁判官、検察官
  • 教員
  • 国家公務員、地方公務員
  • 自衛隊員
  • 保育士 など

国の信用問題にかかわる国家資格は、前科者に対して厳重になります。

任意的欠格事由にあたる職種

一定の前科があると就けない職種は以下のとおりです。

  • 医師
  • 看護師、准看護師
  • 薬剤師 など

一定期間資格を制限される職業や、前科があると資格を奪われる可能性のある職業もあります。

取引先との関係で信頼が重要な警備員も前科に関しては厳しく、禁錮刑以上の場合には、刑の終了(出所)から5年以上経過しないと、就職できません。

免許・資格を必要としない職について

免許や資格を必要としない職であっても、例えば金融業界のように信用が重要な職の場合、前科の有無は就職に大きな影響を与えます。

民間の企業の場合には、前科の有無を重視しない企業もあります。前科の有無を問われない民間資格も多く存在します。

前科の有無を問わない民間資格を取得し、知識や技能を高める努力をすることで前科の有無を重視されなくなる場合もあります。

前科による就職・転職への悪影響を避けるには

上述したとおり、前科があるとそもそも就職できない職種や、制限を受ける職種があります。

ここでは、前科による就職・転職への悪影響を避けるためにできることは何かについて、解説します。

前科回避を目指す

前科による悪影響をさけるためには、何よりも罪を犯さないことが重要です。万が一罪を犯してしまった場合には、逮捕されないこと、起訴されないことが重要です。

不起訴処分を獲得する

日本の刑事裁判の場合、起訴されると約99%が有罪となります。有罪判決を受けると前科が付きます。

不起訴の割合は約60%です。逮捕・勾留されても起訴される前に事件が終了すれば、前科は付きません。

前科を付けないために、まずは不起訴処分を目指すことが重要です。

被害者と示談交渉をする

被害者の居る犯罪で不起訴処分を獲得するためには、被害の弁償および被害者との示談成立が重要です。

被害者と示談交渉をするためには、なるべく早い段階で弁護士に相談しましょう。被害弁償し示談を成立させ、被害届を取り下げてもらうなどの弁護士活動をしてもらうことをお勧めします。

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逮捕歴がわかるネット上のニュースや記事を削除する

逮捕された場合にネットで前科・前歴が拡散されると、誹謗中傷されネット上で炎上することも考えられます。

逮捕報道されてしまった場合には、できるだけ早く削除などの対応をしてもらいましょう。

検索エンジンを運営する会社に削除依頼を申請する方法が考えられますが、自分でやってみても上手くいかない場合には、弁護士に相談することをお勧めします。

まとめ

前科が付くか付かないかは就職にとって重要な問題となる場合があります。何らかの事件を起こしてしまった時には、前科が付くのを防ぐために、なるべく早めに弁護士に相談することをお勧めします。

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