窃盗罪で逮捕|初犯の場合、処分はどうなる?【弁護士が回答】
窃盗とは、他人の財物を窃取(せっしゅ:盗み取る)する犯罪です。未遂の場合でも窃盗未遂罪が成立します。
この記事では、窃盗罪初犯で逮捕された場合の気になる点について、弁護士が回答します。
目次
窃盗罪初犯で逮捕!身柄拘束される?
ポイント
刑事事件は、在宅事件と身柄拘束事件の2種類があり、事件の内容によってどちらになるかが決まります。 |

在宅事件になればこれまでと同じように自宅で生活ができ、学校や会社にも行けます。

在宅事件になる主な条件は以下のとおりです。
- 初犯である
- 比較的軽微な罪である
- 身柄拘束の必要がない
比較的軽微な罪とは、被害額が少ない万引きや自転車泥棒などが挙げられます。同じ窃盗でも被害額が高額、侵入窃盗など手口が悪質などの場合は身柄拘束される可能性があります。すでに被害額が弁償され示談が成立している場合は在宅事件になるケースが多いでしょう。
身柄拘束が必要ないと判断されるには、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことが挙げられます。
窃盗罪初犯でも起訴される?
ポイント
起訴されると刑事裁判を受けます。日本では起訴されると99%有罪になるといわれているため、不起訴を得ることが重要です。 |


令和2年の窃盗で検挙された総数の半数以上が初犯者ですが、そのうち約40%が初犯でも起訴されています。
罪名 | 総数 | 初犯者
(括弧内は起訴猶予処分) |
初犯者率 |
窃盗 | 61,515人 | 36,282(21,220)人 | 58.9% |
出典:【検察統計統計表】
窃盗の被害額が少なければ不起訴か罰金刑、1万円以下であれば微罪処分となる可能性がありますが、初犯でも被害額が多くなると起訴される可能性が高くなります。
※微罪処分:警察における捜査のみで事件を処理し終結させる処分
不起訴処分は、捜査の結果犯罪として認められる証拠が不足しているなどで検察官が起訴しないと判断した場合の処分です。起訴猶予処分とは、不起訴処分の1つで、犯罪として認められる証拠はあるものの、その他の事情を考慮して起訴しないという処分です。
窃盗罪初犯は略式起訴になる?
ポイント
略式起訴の場合、通常裁判よりも早く身柄が解放されるメリットがあります。しかし、有罪になれば前科がつくので、できる限り不起訴を目指すことが大切です。 |


略式起訴は書面で行われる刑事裁判手続きで、100万円以下の罰金または科料の事件に適用され、被疑者が同意することが前提です。
窃盗は法定刑に50万円以下の罰金が含まれているので、初犯で被疑者が同意をすれば略式起訴の手続になる可能性は高いでしょう。
起訴されると、被告人は裁判に出席しなければならず、裁判では検察官と被告人側双方で証拠を提出し、裁判官はそれを元に判断します。
略式起訴の場合は、被告人側は証拠を提出せず、検察官が提出した証拠のみで裁判官は最終的な処分を判断します。
被告人として自分の主張をする場がないため、自分が罪を犯したことを認め、罰金を支払って事件を終結させるという被疑者の同意がないとできません。罰金刑が確定するので、前科がつきます。
窃盗罪初犯でも実刑になる?
ポイント
窃盗罪の刑罰は、初犯かどうかだけではなく、被害金額や悪質性の程度が重要な判断材料になります。 |

初犯で起訴された場合、示談が成立している、悪質でないなどのケースであれば、執行猶予付きの判決になる可能性があります。

窃盗罪の初犯で実刑になるかどうかは、窃盗の被害額や犯罪の性質が悪質かどうかで決まります。



ただし、犯罪の状況によっては未遂でも処罰される可能性はあります。

コンビニで数百円のお菓子を盗もうとして見つかった場合は、反省し謝罪も済んでいれば不起訴の可能性があります。侵入窃盗で数千万円の価値があるような品物を盗もうとしたとか、複数の共犯者と一緒に計画的に窃盗行為をしようとした場合は、悪質とみなされて未遂でも処罰される可能性が高くなります。
窃盗罪初犯で執行猶予を得るポイントは?
ポイント
執行猶予がつけば、猶予期間中に罪を犯さない限り懲役刑が執行されません。社会復帰を早めるためには執行猶予の獲得が重要です。 |


窃盗の種類にもよりますが、起訴された場合でも初犯で示談が成立していれば、執行猶予の獲得が期待できます。弁護士にご依頼いただければ、示談交渉もスムーズに進められます。
窃盗罪初犯で逮捕|処分を軽くするためにできることは?
初犯であれば、弁護士に依頼し早期に対応することで、不起訴や執行猶予を獲得できる可能性が高くなります。
下図は、令和2年に検挙された窃盗の手口別構成比です。
これをみると万引きが最も多く、悪質とされる手口は少ないので、窃盗の初犯であれば前科がつかない不起訴処分を獲得できる可能性があります。
弁護士に相談する
窃盗の初犯で軽微な事件であれば、微罪処分や不起訴処分などの比較的軽い処分で終わるケースがあります。しかし、刑事事件は最終的な処分が決定するまでは油断できません。なるべく軽い処分を希望するのであれば、早い段階で弁護士に相談しましょう。
被害者との示談
示談は、被害者に心から謝罪し、被害金額を支払うことにより当事者間で解決できる方法です。弁護士ならば被害者と連絡を取り、被害者の心情に配慮したうえで話を進められます。初犯で、かつ示談が成立すれば不起訴処分になる可能性が高くなります。
再犯防止の対策
弁護士にご相談いただくことで、示談成立にむけての弁護活動の他に、以下のような事件後の対応についてもアドバイスが可能です。
- 経済的に困っている場合は、生活保護などに関する情報の提供
- 窃盗の原因が病気(窃盗症:クレプトマニア)の場合は、専門医療機関に関する情報の提供
早い段階でこうした再犯防止に関する対応をとれば、万が一起訴されても量刑を軽くできる可能性があります。
まとめ
刑事事件は解決に向けて動き出すタイミングとスピードが大切です。窃盗で初犯の場合であれば不起訴になり前科がつかない可能性も高く、略式起訴や執行猶予を獲得できる可能性もあります。
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