路上痴漢で逮捕されるのか?逮捕前後の対応をそれぞれ解説

路上で痴漢をすると迷惑防止条例に問われ6月以下の懲役または50万円以下の罰金(東京都)に処されるおそれがあります。わいせつ行為の強度が高い場合は強制わいせつ罪に問われ、6月以上10年以下の懲役に処されることがあります。

刑事事件になった場合は、不起訴処分に向けての活動や罪の軽減のための対応が必要です。

この記事では、路上での痴漢について以下5点をご説明します。

  1. 路上痴漢で問われる罪
  2. 路上痴漢逮捕後の刑罰
  3. 後日逮捕されるのか?
  4. 自首するべきか?
  5. 路上痴漢逮捕後の対応

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路上痴漢で問われうる罪

路上で痴漢すると、どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。

都道府県迷惑防止条例違反

各都道府県が制定している迷惑防止条例に抵触する可能性があります。

例えば、東京都の場合、迷惑防止条例第5条で、公共の場所または公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から、または直接に人の身体に触れることを粗暴行為として禁止しています。

迷惑防止条例違反の罰則

東京都迷惑防止条例は、痴漢行為の罰則を6月以下の懲役または50万円以下の罰金と規定しています。

路上痴漢の常習とみなされた場合は刑が加重され、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科される可能性があります。

どのような行為が迷惑防止条例違反に該当するか

どのような路上痴漢行為が迷惑防止条例違反に該当するのでしょうか。以下に示す例は実際に起きた事件で、被疑者は逮捕されました。

  • 自転車で追い抜きざまに女性の尻を触る
  • 路上で女性の身体を服の上から触る
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強制わいせつ罪

路上痴漢は刑法の強制わいせつ罪にあたる可能性もあります。

刑法第176条は、13歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処すると定めています。

同じ路上痴漢行為で、迷惑防止条例違反にあたる場合と強制わいせつ罪にあたる場合とでは、何が違うのでしょうか。

迷惑防止条例違反との違い

路上痴漢行為で、実際に強制わいせつ容疑で逮捕された事例を基に、迷惑防止条例違反との違いを確認します。強制わいせつ容疑で逮捕された事例としては、以下のものがあります。

  • 路上で女性の口を塞いだ上、右胸を触る
  • 通りがかりの女性に声をかけ、胸を触ったりキスをしたりする
  • 女性の背後から近づき声をかけ、肩をつかんで建物敷地内に連れ込み、抱きつく

1つ目の事例では女性の口を塞いだ行為が、3つ目の事例では肩をつかんで建物敷地内に連れ込んだ行為が、被害者の抵抗を困難にする暴行と評価された可能性があります。

強制わいせつ罪は、暴行・脅迫行為→わいせつ行為の順序でなければ成立しないわけではなく、わいせつ行為自体が暴行と評価され、成立することがあります。2つ目のケースは、それに該当している可能性があります。

強制わいせつ致傷罪

刑法第181条は、強制わいせつによって人を死傷させた者は、無期または3年以上の懲役に処すると規定しています。

路上痴漢行為で相手を転倒させるなどしてケガを負わせた場合は、強制わいせつ致傷罪に問われる可能性があります。

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路上痴漢で逮捕されるとどんな刑罰を受ける?

路上痴漢で逮捕された場合、どのような刑罰を受けるのでしょうか。路上痴漢に対する処罰は初犯か再犯か、また問われている罪が迷惑防止条例違反か強制わいせつ罪かで異なります。

初犯の場合

路上痴漢の初犯で迷惑防止条例違反に問われた場合は、不起訴や罰金刑のみで済む可能性があります。

検察官は被疑者の起訴・不起訴に際し、以下の点を考慮します。

  • 犯行態様の悪質性
  • 被害の程度
  • 前科前歴の有無
  • 反省の有無
  • 示談成立の有無

路上痴漢の態様がそれほど悪質ではなく、被害の程度も比較的軽微であれば、不起訴になりやすいです。また、初犯で反省の態度を示し、被害者との間で示談が成立していれば、不起訴に有利な情状となるでしょう。

略式手続きとは

迷惑防止条例違反の法定刑には罰金刑があり、不起訴を得られなくても罰金刑のみで済む可能性があります。罰金刑のみであれば、略式手続きで事件処理されるケースが多く、通常の刑事裁判と比べて負担は少ないです。

略式手続きとは、簡易裁判所で事件を審査する手続きで、検察官が提出した書面のみで審理が行われます。法廷を開かず被告人の出廷も必要ないため、短期間での審理が可能です。

略式手続きを利用できるのは、100万円以下の罰金または科料(1000円以上1万円未満)に相当する事件のみで、略式命令を受けた被告人は内容に不服の場合、正式裁判を開くよう申し立てができます。

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強制わいせつ罪では略式手続きできない

もっとも、強制わいせつ罪の法定刑に罰金刑はありません。被疑事実が強制わいせつ罪に該当するケースで不起訴を得られなければ、正式な刑事裁判に発展します。

ただし、強制わいせつ罪といえども、犯行態様や示談の成否によって不起訴になる可能性はあります。有利な情状を積み重ねる必要があるでしょう。

再犯の場合

一方、路上痴漢の再犯の場合は、迷惑防止条例違反であれ強制わいせつ罪であれ、起訴され懲役刑が科される可能性が高くなります。

仮に、迷惑防止条例違反の再犯で、罰金刑のみで済む場合でも、常習とみなされれば刑は加重されます。

強制わいせつ罪の再犯では、実刑が科されるおそれもあります。刑事裁判の量刑では、検察官が起訴・不起訴に際して勘案する点と同様の要素が考慮されるため、被害者との示談など被告人に有利な情状を立証していく必要があるでしょう。

言い渡される懲役刑が3年以下で、刑務所に収容せずとも社会内での更生が期待できれば、執行猶予が付される可能性があります。

路上痴漢で後日逮捕されるのか?

一般に痴漢は現行犯逮捕されることが多い犯罪ですが、後日逮捕される可能性もあります。

後日逮捕のきっかけになるもの

以下のようなことがきっかけで、後日逮捕につながる可能性があります。

被害届の提出

1点目は被害者による被害届の提出です。被害届は被害者が捜査機関に対し、犯罪の被害に遭ったことを申告するための書類で、警察が捜査を開始する端緒になることがあります。

被害届が提出されたからといって、警察が必ず捜査を開始するわけではありませんが、捜査開始のきっかけになる可能性はあります。

防犯カメラの映像

防犯カメラ映像も後日逮捕のきっかけになり得ます。防犯カメラに犯行の様子が映っていたり、警察が把握している被疑者の特徴と似た人物が映っていたりすれば、警察は防犯カメラ映像を解析するなどして、被疑者を特定する可能性があります。

警察の張り込み

警察による張り込みが後日逮捕につながる可能性もあります。被疑者の姿が警察の集めた防犯カメラ映像に映っていなくても、警察が犯行現場周辺を張り込みし、被害者の供述と似た人物を見つけて被疑者を特定することがあります。

後日逮捕までの期間

犯行から後日逮捕されるまでの期間は一概にいえません。

警察が被疑者を後日逮捕するには逮捕状が必要です。逮捕状は、捜査機関が裁判所に請求し、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認められて初めて、発付されます。

被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認められるには、警察は被疑者が映った防犯カメラ映像などを用意して、逮捕状の請求に根拠があることを示す必要があります。

警察がそうした資料を用意するのにかかる時間はケースバイケースで、犯行から数日で逮捕されることもあれば、数年かかることもあります。

路上痴漢で問われる可能性がある迷惑防止条例違反と強制わいせつ罪には公訴時効があり、迷惑防止条例違反であれば3年、強制わいせつ罪であれば7年が経過すると、起訴ないし処罰されなくなります。

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路上痴漢で後日逮捕が不安…自首するべきか?

路上痴漢をして後日逮捕されることが不安な場合、警察に自首すべきなのでしょうか。

後日逮捕が不安な方が自首をするべき理由

自首することには以下のメリットがあります。後日逮捕が不安な人は自首を検討した方がよいでしょう。

処分が軽くなる可能性がある

自首することで、路上痴漢行為に対する刑事処分を軽くできる可能性があります。刑法42条は罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができると規定しています。

路上痴漢が刑事裁判に発展した場合に、自首は被告人にとって有利な情状となるでしょう。

逮捕されない可能性がある

捜査機関に自首すれば、逮捕されずに済む可能性があります。

警察が被疑者を逮捕するのは、被疑者が逃亡したり証拠を隠滅したりすることを防ぐためです。

被疑者が自首した上で任意の取調べに応じる誓約書を提出し、逃亡・証拠隠滅しないよう監督する身元引受人を用意すれば、警察が逃亡・証拠隠滅のおそれは低いとみて、被疑者を逮捕しない可能性があります。

不安から解放される

警察に自首すれば、いつか逮捕されるかもしれないという不安から解放されるでしょう。

自首をする際の注意点

警察に自首をする際は、以下の点に留意しましょう。

警察に犯行が知られることになる

自首は捜査機関が犯罪の被疑者を特定する前に、自らの犯罪事実を申告することです。自首すれば警察に自らの犯行を知られることになり、逮捕を免れても所要の捜査は受けるでしょう。

不起訴になるとは限らない

自首には被疑者にとって上述のメリットがありますが、不起訴を約束するものではありません。自首は不起訴を獲得する上で有利な情状になりますが、起訴・不起訴は被害の程度や犯行態様など、さまざまな要素を総合的に勘案して判断されます。

自首する際は、起訴される可能性がある点に留意しておきましょう。

事情聴取への返答を考えておくべき

自首すれば、警察から事情聴取されます。供述した内容は記録され、供述調書にまとめられるでしょう。供述調書にサインすれば、刑事裁判に発展した場合に、証拠として採用されます。自首する際は、事情聴取にどう受け答えするか、事前に考えておいた方がよいでしょう。

後日逮捕される前に弁護士に相談するべき理由

路上痴漢をし、後日逮捕される不安を抱えている人は、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

自首同行を依頼できる

後日逮捕される前であれば、弁護士に自首に同行することを依頼できます。

自首の同行を依頼された弁護士は、犯罪事実や反省の意思を記した上申書を作成し、自首にあわせて警察に提出します。

弁護士のこうした活動によって、逮捕される可能性を下げられます。

事情聴取への受け答えの仕方を相談できる

後日逮捕前に弁護士に刑事弁護を依頼すれば、事情聴取で警察から聴かれる質問にどう受け答えすべきか相談できます。弁護士と相談した上で何を供述するか事前に準備しておけば、不用意な発言で不利になるリスクを回避できます。

被害者と示談交渉をすすめられる

路上痴漢をした被害者がわかっている場合は、被害者と示談交渉を進めることも重要です。

示談によって被害者と和解できれば、後日逮捕される可能性は下がります。刑事弁護を依頼した弁護士に示談交渉を任せるとよいでしょう。

路上痴漢で逮捕された場合の対応

路上痴漢で逮捕された場合は、以下の対応をとることが重要です。

弁護士に刑事弁護を依頼する

まずはすぐに弁護士に刑事弁護を依頼しましょう。弁護士をつければ、以下のことが期待できます。

早期釈放

1つ目は、早期の釈放です。弁護士はまず、被疑者の早期釈放を目指します。

身体拘束が解かれるためには、被疑者に逃亡・証拠隠滅のおそれがないと認められる必要があります。そのためには、釈放後の被疑者が逃亡したり証拠隠滅したりしないよう監督する身元引受人を立てるのが効果的です。

弁護士は釈放を求める意見書や身元引受書を作成するなどし、早期釈放の実現を図ります。

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不起訴の獲得を目指す

不起訴の獲得も、刑事弁護の重要な目標です。

依頼を受けた弁護士は被疑者に接見し、取調べにどう臨むべきかアドバイスします。不合理な供述を繰り返していると、供述の信用性が疑われ、被疑者が不利になります。

後述する被害者との示談交渉や再犯防止策を講じることも不起訴の獲得には肝要です。

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刑の減軽・執行猶予の獲得

起訴され、刑事裁判になった場合は、弁護士は刑の減軽・執行猶予の獲得を目指します。

刑の減軽・執行猶予の獲得についても、被害者との示談や再犯防止策が重要である点は変わりません。

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被害者との示談交渉を進める

被害者との示談交渉によって、被害者と和解し、加害者を許す意思を示してもらえる可能性があります。

被害者が加害者にどのような処罰感情を抱いているかは、検察官が起訴・不起訴を判断する際に、また刑事裁判の量刑でも考慮されます。

被害者が加害者を許す意思を示していれば、被害者の処罰感情は和らいでいるとみなされ、不起訴や刑の減軽・執行猶予の獲得に有利に働きます。

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再犯防止策を講じる

再犯防止策を講じることも刑罰を軽くするためには欠かせません。

痴漢は再犯率の高い犯罪と考えられており、被疑者・被告人に再犯のおそれがあるとみなされれば、不起訴や執行猶予の獲得に不利に作用します。

性依存症専門の医療機関に通院するなど、再犯防止の対策を示す必要があるでしょう。

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まとめ

路上痴漢は犯行態様などによっては強制わいせつ罪にあたり、後日逮捕される可能性があります。逮捕前であれば自首することで逮捕の可能性を下げられ、逮捕された場合は被害者との示談交渉や再犯防止策の検討を進める必要があります。路上痴漢でお悩みを抱えている方は、ネクスパート法律事務所にご相談ください。

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