再犯防止のための取り組み・指導を解説

日本では再犯者率が上昇しており、再犯防止に向けた取り組みの重要性が指摘されています。本コラムでは、以下の点を解説します。

  • 再犯防止がなぜ重要なのか。日本の再犯傾向
  • 再犯防止で必要なこと
  • 刑事施設で行われている再犯防止の取り組み
  • 再犯防止に向けた弁護士の活動

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なぜ再犯防止が重要なのか

再犯防止の取り組みが重要なことは、再犯者率や再入者率の高さからうかがえます。

再犯者率49.1%

引用元:再犯を防止して安全・安心な社会へ

刑法犯の検挙人員に占める再犯者の割合を再犯者率といいます。令和3年版犯罪白書によると、令和2年の再犯者率は49.1%で、過去最悪でした。検挙人員のおよそ2人に1人は再犯者です。

再犯者率が上昇している理由は、初犯者の検挙人員の減少ペースと比べて、再犯者の減少ペースが緩やかだからです。

初犯者の検挙人員は平成16年にピーク(25万30人)に達し、令和2年は9万2915人と62.8%減少しました。

これに対し、再犯者の検挙人員は平成18年にピーク(14万9164人)に達し、令和2年は8万9667人と39.9%減にとどまっています。

再入者率58.0%

引用元:犯罪白書

刑事施設への再入所に着目すると、再入者率は再犯者率を上回っています。

令和2年に刑事施設に入所した受刑者のうち、再入者が占める割合(再入者率)は58.0%でした。再入者率は平成16年から28年まで毎年上昇し、その後は横ばいで高い水準を維持しています。

令和2年の入所受刑者は1万6620人で、初入者は6980人、再入者は9640人でした。

再犯防止で必要なこと

再犯を防ぐためには、仕事と住居があることが重要と考えられています。公表されているデータを使って、そのことを確認します。

仕事

引用元:再犯を防止して安全・安心な社会へ

法務省保護局によると、罪を犯した後に保護観察となった人で、保護観察終了時に職があった人となかった人では、その後の再犯率に顕著な違いがありました。

平成25~29年の5年間のデータで、職があった人の再犯率が7.8%だったのに対し、職がなかった人の再犯率は3倍超の24.8%でした。

再犯を防ぐ上で、職を持っていることの重要性がみてとれます。

住居

引用元:犯罪白書

令和3年版犯罪白書によると、刑事施設への初入者と再入者では、再入者の方が男女ともに住居不定の割合が高いことがわかっています。

令和2年の刑事施設入所受刑者で、男性の初入者のうち、住居不定だったのは15.7%でした。これに対し、男性再入者の住居不定割合は22.1%でした。

女性についても、初入者の住居不定割合が6.9%、再入者の住居不定割合が8.3%と、再入者の方が高いです。

また、法務省の調査によると、刑事施設出所時に帰住先がある人と帰住先なし・不明の人では、再犯に至るまでの期間に違いがありました。

帰住先があった人の1年未満の再犯割合が33.3%だったのに対し、帰住先なし・不明の人は1年未満の再犯割合が48.5%でした。

刑事施設で行われている再犯防止への取り組み

刑務所などの刑事施設では、どのような再犯防止の取り組みが行われているのでしょうか。

刑務所

刑務所では、以下の取り組みが実施されています。

刑務作業

1つ目は刑務作業です。刑務作業は、懲役刑が言い渡された受刑者らに科されるもので、木工、印刷、洋裁といった職種があります。受刑者はそれぞれの適性に応じ、職種を指定されます。

刑務作業の目的は、規則正しい生活を送り、職業的な知識・技能を身に付けて、社会復帰を促進するためです。

改善指導

刑務所では、改善指導も行われます。改善指導は、犯罪の悪質性を自覚し、社会生活への適応に必要な知識や生活態度を習得させるために実施されます。

すべての受刑者が対象の一般改善指導と、特定の事情を抱える受刑者を対象にした特別改善指導があります。特別改善指導には、薬物依存離脱指導、暴力団離脱指導などがあります。

教科指導

刑務所では、教科指導も行われています。教科指導は、基礎学力を欠くことにより社会復帰に支障があると認められる受刑者を対象に実施されます。

国語・算数といった小学校・中学校の教科の内容に沿った補習教科指導と、高校レベルの特別教科指導があります。

少年院

少年院では、在院者が再非行をしないよう、以下の矯正教育を行っています。

生活指導

生活指導とは、反社会的なものの見方や考え方を見直し、健全な社会生活を営むのに必要な知識や生活態度を習得させることを目的とした矯正教育です。

特定の事情を抱える在院者には、薬物非行防止指導、交友関係指導などが実施されます。

職業指導

職業指導では、出院後の就職を目的に、勤労意欲の向上と職業に関する知識・技能の習得を図ります。職業指導の種目としては、溶接、木工、土木・建築などがあります。

教科指導

教科指導には、義務教育レベルのものと、高校レベルのものがあります。希望者は高校卒業程度認定試験を受験できます。

体育指導

少年院では、基礎体力の向上を目的に、各種スポーツなど体育指導も行われています。

特別活動指導

特別活動指導では、社会貢献活動や野外活動、音楽活動などを実施しています。

出所・出院後の再犯防止のための指導・支援

刑事施設を出た後の再犯防止の取り組みとしては、以下のものがあります。

保護観察

保護観察に付されると、保護観察官と保護司から更生を図る目的で指導・支援を受けます。保護観察の対象になるのは以下のケースです。

  • 非行により、家庭裁判所から保護観察処分を受けた少年
  • 少年院から仮退院した少年
  • 成人受刑者で、仮釈放を許された者
  • 刑の執行猶予とあわせて保護観察を言い渡された者

保護観察中は、対象者に守らなければならない遵守事項が課されます。遵守事項には、保護観察官・保護司との面接や健全な生活態度の保持などがあります。

遵守事項を守らない場合は違反措置が検討され、保護観察官が身柄を拘束して刑務所や少年院に収容する手続きをとるケースがあります。

更生保護

更生保護の一環として、更生保護施設が運営されています。

更生保護施設とは、一定期間、食事や宿泊先を提供して自立を支援する施設です。刑務所や少年院を出た後、身寄りがなくすぐに自立更生できない人が対象です。

更生保護施設では、生活指導や就労指導も行い、社会復帰をサポートしています。

就労支援

就労支援も、再犯防止の取り組みとして重要です。

就労支援については、刑事施設、保護観察所、ハローワークなどが連携し、施設入所者や保護観察対象者に対して、ハローワーク職員が職業相談や職業紹介を実施しています。

依存症対策

薬物乱用者などに対しては依存症対策も必要です。

専門医療機関での治療のほか、依存症当事者の自助グループに加わり、独自のプログラムを受けて依存からの回復を図る方法もあります。

再犯防止に向けた弁護士の活動

刑事事件の被疑者・被告人にとって有利な結果を得るために、弁護士が再犯防止のためのサポートをすることがあります。

再犯防止に向けて、弁護士はどのような活動をしているのでしょうか。

入口支援

刑事施設に入る前段階の被疑者・被告人に対して、社会復帰に向けた支援を行うことを入口支援といいます。

入口支援は検察、保護観察所、弁護士、関係福祉機関などが連携して実施し、釈放後の帰住先の確保や福祉サービスの受給につなげています。

弁護士が生活保護の窓口や福祉機関に同行し、手続きをサポートしているケースもあります。

出口支援

出口支援は、刑事施設を出る人に対して、社会復帰をサポートする取り組みです。

弁護士が就労先の調整や、医療施設への入所・入院を調整するなど、支援活動を行っているケースがあります。

まとめ

再犯を防ぐには、仕事と住居を確保し、経済的に困窮したり社会的に孤立したりしないよう対策を講じることが重要です。

弁護士は、刑事事件の被疑者や被告人に再犯防止のためのサポートをすることがあります。常習性のあるような事件の場合は再犯防止の重要性が高くなります。刑事事件を起こしてしまい、再犯防止策を講じる必要がある方は弁護士にご相談ください。

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