パパ活は犯罪?逮捕されるケースや該当する罪|実際の逮捕事例を紹介
昨今よく聞くパパ活とは、女性が男性とデートをする対価として金銭を受け取ることです。
金銭の受け渡しの上で、デートをすること自体は違法ではありませんが、相手が未成年で性行為をした場合は、逮捕される可能性があります。
また、パパ活で罪に問われるのは男性だけではありません。
この記事では、パパ活について次の点を解説します。
- パパ活が犯罪に該当するケース
- 男女別でパパ活で逮捕されるケースや具体例
- パパ活でトラブルに遭った場合の対処法
パパ活をしてるけど、逮捕されるか不安という人は、参考にしてみてください。
もし、トラブルに発展してしまった場合は、弁護士に相談しましょう。
目次
パパ活とは
パパ活とは、女性が男性から金銭を受け取ってデートをすることと定義されています。
パパ活は、性行為をともなわないものを意味して使われていましたが、明確な定義はなく、近年は性行為を含めてパパ活と称されることが多くなりました。
以前は、男性が対価を支払い女性と性交をする売春が援助交際と呼ばれていました。
パパ活は犯罪なのか
ここでは、パパ活は犯罪なのかどうかについて解説します。
原則、違法行為ではない
パパ活は、金銭の受け渡しがあっても、単にデートをしているだけなら違法ではありません。
こうしたパパ活を取り締まる法律はないため、違法行為には該当しません。
相手が未成年の場合は犯罪になり得る
パパ活で、デートや性行為をする相手が未成年の場合は、次のような複数の犯罪に該当するおそれがあります。
罪名 | 内容 |
①面会要求等の罪(刑法第182条) | 16歳未満に対して金銭を与える条件で会うことを強要した |
②未成年者略取及び誘拐罪(刑法第224条) | 金銭を対価に未成年者を連れまわした |
③児童買春・児童ポルノ禁止法違反 | 対価を支払って未成年と性交や性交類似行為をした |
④青少年保護育成条例違反 | 金銭の支払いはないが、未成年と性行為をした |
⑤不同意性交等罪・不同意わいせつ罪(刑法第176条、第177条) | 同意の有無にかかわらず16歳未満と性行為やわいせつな行為をした |
①②の法律は、未成年の未熟さに乗じて、金銭などをちらつかせて会ったり、連れまわしたりした場合に問われる可能性があります。
当然ながら、未成年と性行為をすれば金銭の受け渡しや、同意の有無に関わらず犯罪に該当することになります。
成人でも売春防止法違反に該当する可能性がある
相手が成人であっても、金銭の受け渡しの上に性交をすれば、売春防止法違反に該当します。
ただし、金銭の受け渡しをして性交をした人に対する処分は規定されていません。
売春防止法は、社会の善良な風俗を維持し、立場の弱い女性が売春を強要されることを防止するための法律だからです。
もっとも次の行為に該当すると、売春防止法に違反し処罰の対象となります。
- 売春の勧誘
- 売春の仲介
- 売春をさせる行為 など
例えば、ネットなど公衆の目の届く場所で性交を含めたパパ活を勧誘すれば、男女問わず持ちかけた側に売春の勧誘罪が成立します。
他にもパパ活と称して、知人や友人などに売春を仲介したり、売春をさせたりすれば、売春防止法の処罰対象となります。
パパ活で犯罪に該当する行為
他にもパパ活に関するトラブルで犯罪に該当するケースがあります。
- 相手のお金を持ち逃げした
- 性行為後に金銭を払わずに逃げた
①と②に関しては、男女間でよくあるトラブルです。
共に性行為をする、金銭を支払う約束の上で、相手を騙して金銭を得たり、対価を支払わなかったりすると、詐欺に問われる可能性はあります。
パパ活で男性側が逮捕され得るケース
ここでは、パパ活で男性が逮捕されるケースを紹介します。
相手の女性が18歳未満だった
相手の女性が18歳未満だった場合は、次のような罪で逮捕される可能性があります。
内容 | 罰則 |
16歳未満に対して金銭を与える条件で会うことを強要した | 面会要求等の罪
1年以下の拘禁刑(懲役のようなもの)または50万円以下の罰金 |
対価を渡して未成年を連れまわした | 未成年者略取及び誘拐罪
3か月以上7年以下の懲役 |
対価を支払って未成年と性交や性交類似行為をした | 児童買春・児童ポルノ禁止法違反
5年以下の懲役または300万円以下の罰金 |
金銭の支払いはないが、未成年と性行為をした | 青少年保護育成条例違反
2年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
同意の有無にかかわらず16歳未満と性行為をした | 不同意性交等罪
5年以上の有期拘禁刑 |
よくあるのが、未成年が登録できない出会い系で知り合って、相手が未成年だと知らずに性行為をしたケースです。
相手が偽造した免許証などを提示して、成人だと思い込んでしまったようなケースなら、未成年だと知らなかったという主張も通る可能性があります。
しかし、相手の申告だけで信じ込んで行為に及んだ場合は、知らなかったという主張を認めてもらうのは難しいでしょう。
出会い系のアプリは、簡単な年齢確認程度で登録できてしまうため、大人が責任を持って年齢確認に尽くすべきだと考えられているからです。
合意がなく性行為をした(不同意性交等罪)
パパ活で相手に会えると、当然のように性行為ができるものだと思い込んでも、相手が同意してなければ、不同意性交等罪に問われる可能性があります。
不同意性交等とは、相手の同意がなく、性交や肛門、口腔での性交や、陰茎以外を挿入する行為のことです。
不同意性交等罪に該当するケース |
|
16歳以上 | 暴行や脅迫を用いて行った場合
精神的身体的な障害を生じさせた場合 アルコールや薬物の力を借りる、眠っているなど意識がはっきりしていない状態の場合 拒絶する隙を与えずに行った場合 恐怖や驚愕させて行為に及んだ場合 虐待により拒否できない状態にさせて行った場合 経済的、社会的な影響力のもとで拒否できない状態で行った場合 |
16歳未満 | 同意の有無にかかわらず性交等をした場合 |
相手が16歳未満の場合は、同意があっても罪に問われます。
16歳以上で相手が成人をしていても、相手が同意せず、拒否できない状態にして性交等を行うと不同意性交等罪が成立します。
不同意性交等罪に問われた場合、5~20年の有期拘禁刑と重い処分が科されることになります。
合意がなくわいせつ行為をした(不同意わいせつ罪)
同様に、合意がなく相手にわいせつな行為をすると、不同意わいせつ罪に問われる可能性があります。
わいせつとは、次のような行為が該当します。
- 強引にキスをする
- 胸やお尻を触る
- 抱きつく など
不同意性交等罪と同様に、16歳未満の場合は、同意の有無は問われません。
16歳以上で相手が成人であっても、拒否できない状態にしてわいせつな行為をすると、罪に問われることが考えられます。
不同意わいせつの法定刑は6か月~10年の拘禁刑です。
相手との行為を盗撮した(撮影罪)
また、パパ活の相手との行為を盗撮した場合は、撮影罪に問われる可能性があります。
撮影罪は2023年7月に新たに施行されました。
例えば、身体の性的な部分や下着、性行為などを同意なく盗撮すると撮影罪に問われ、3年以下の拘禁刑が科される可能性があります。
盗撮行為をすると迷惑防止条例違反に問われるケースもありますが、迷惑防止条例違反の場合は公共の場での盗撮が対象となります。
パパ活で女性側が逮捕され得るケース
パパ活と聞くと女性が被害に遭うようなイメージがあるかもしれませんが、女性が加害者になるケースもあります。
ここでは、パパ活で女性が逮捕されるケースを紹介します。
嘘をついてお金を騙し取った(詐欺罪)
パパ活でよくあるのが、「奨学金の返済が苦しい」など嘘をついて相手の好意に付け込んでお金を引き出させるケースです。
相手に嘘を信じ込ませたり、誤解を与えたりして、金銭を引き出す行為は詐欺罪が成立します(刑法第246条)。
あるいは、性行為の対価に金銭をもらう約束で会っていても、金銭だけを受け取りそのまま約束を守らないようなケースも該当する可能性があります。
詐欺罪に問われた場合、10年以下の懲役と重い処分が下される可能性があります。

お金や金品を盗み取った(窃盗罪)
パパ活の相手からお金や金品を盗み取った場合は、窃盗罪になります(刑法第235条)。
窃盗罪に問われた場合も、10年以下の懲役または、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
脅迫してお金を取った(脅迫罪・恐喝罪)
パパ活の相手を脅迫してお金を巻き上げると、脅迫や恐喝の罪に問われることになります。
パパ活の脅迫や恐喝でよくあるケースは次のとおりです。
- 成人だと騙して交際後に、未成年だと伝えて、警察に訴えると脅す
- 過去に交際していたことを家族などにばらすと脅す など
罪 | 内容と罰則 |
脅迫罪(刑法第222条) | 相手の命や体、自由や名誉、財産に対して危害を加えると告知する
2年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
恐喝罪(刑法第249条) | 相手を恐怖させる害悪の告知をして金品を支払わせた
10年以下の懲役 |
パパ活で逮捕された事例・ニュース
ここではパパ活で実際に逮捕された事例を紹介します。
恋愛感情を利用して現金を騙し取り逮捕されたケース
2023年4月に、男性から約3,000万円を騙し取ったとして、住所不定無職の女性が逮捕されました。
女性は2023年5月にも、男性から現金をいただくマニュアルを大学生に販売して、詐欺のほう助の疑いで逮捕されていました。
この女性はSNSなどで男性の好意に付け込んで現金をいただく「頂き女子」などと称して活動しており、逮捕当時も話題になりました。
2024年3月には裁判で検察から懲役13年、罰金1,200万円を求刑されました。
参考:「頂き女子りりちゃん」、懲役13年・罰金1200万円を求刑…計1・5億円詐取 – 読売新聞オンライン
性行為の動画をネット販売し逮捕されたケース
パパ活をしていた当時17歳の女性に、AVの出演契約などをせずにみだらな行為を撮影したとして、児童買春・児童ポルノ禁止法などの疑いで、無職の男性が逮捕されました。
女性と男性はパパ活を通じて知り合い、男性は、出演料として1万5,000~4万5,000円を支払い、動画を1本500~数千円で販売していました。
参考:「パパ活」女性にAV出演契約書不交付 容疑で男逮捕 – 産経新聞
高級時計を盗み逮捕されたケース
パパ活で知り合った男性の高級腕時計を盗んだとして女子大生が窃盗の疑いで逮捕されました。
女子大生は男性がシャワーを浴びている最中に、高級腕時計(約1,300円相当)を盗み逃走。
女子大生は、ひいきのホストをNo.1にしたくて、何件か窃盗を行ったとのことです。
都内では、会社役員が知り合った女に高級腕時計を盗まれる被害が約10件起きており、総額も3,500万円以上確認されていました。
近年、パパ活の背景には、ホストに貢ぎたい女性がこうした犯罪を行うケースも多いです。
参考:パパ活の男性から1300万円の腕時計を盗んだ疑い 大学生を逮捕 – 朝日新聞デジタル
パパ活でトラブルに遭ってしまった時の対処法
知らない人と会って、金銭の受け渡しのもとデートや性行為をすると、トラブルに巻き込まれるおそれもあります。
ここでは、パパ活でトラブルに遭ってしまった場合の対処法を紹介します。
犯罪被害を受けた場合は警察に相談する
もしパパ活で犯罪の被害を受けた場合は、警察に相談してください。
トラブルになった場合、次のようなケースに発展するおそれもあります。
事例 |
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男性側 | 女性から金品を巻き上げられる
性行為後に、襲われた、実は未成年だったなどと言われて脅迫される 女性の恋人が表れて恐喝を受ける など |
女性側 | 男性から襲われて性的な被害を受ける
性行為をしたのに支払いがされず逃げられる 盗撮被害に遭い、脅迫を受ける 盗撮画像をネットに公開されるなどリベンジポルノの被害に遭う など |
女性は、未成年でパパ活をしていた場合、補導されたり、家族に知られたりする可能性があります。
ただし、男性から性被害や盗撮で脅迫されるおそれもあるため、必ず警察などに相談するようにしましょう。
男性の場合、相手が未成年者だとパパ活をした側も罪に問われる可能性があります。
しかし、恋人と名乗る存在などから、高額な慰謝料を請求される美人局のケースもあるため、金品を支払う前に警察に相談してください。
また、同意なく性行為をされたなど、冤罪の被害に遭うおそれもあるため、事前に弁護士に相談しておくことで、逮捕回避のサポートをしてもらえる可能性があります。
示談で済ませたい場合は弁護士に相談する
パパ活で被害に遭った場合、自分も罪に問われたり、取り調べを受けたりする可能性があるため、警察に頼れないという方もいるでしょう。
そうした場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
加害者の場合は、弁護士経由で示談をすることで、逮捕や刑事処分を受けずに済む可能性があります。
何か被害を受けている場合は、民法の不法行為にもとづき、相手に慰謝料を請求できる可能性があります。
示談で終われば、ご家族などに知られずに解決できるメリットもあります。
他にも、弁護士に相談することで次のようなメリットがあります。
- 弁護士と一緒に警察に相談することで逮捕されない可能性がある
- 弁護士が間に介入することで、相手からの恐喝に対して毅然と対応できる
- 刑事処分を与えられなくても、民事裁判で慰謝料などを請求できる
- 裁判にせず交渉で家族に知られずに解決できる可能性がある
もしパパ活で警察に逮捕されそう、あるいはトラブルに遭ったが警察に頼れないような場合は、弁護士に相談してみてください。
パパ活でよくある質問
ここでは、パパ活でよくある質問に回答します。
相手が未成年だと知らなければ罪にならない?
パパ活でよくあるのが、性行為をしてしまった後に相手が未成年だと知ったケースです。
相手からも成人だと言われて信じ込んでしまった人もいるかもしれません。
しかし、相手が未成年だと知らなくても、未成年である可能性を知りつつも構わないと判断し、確認を怠ったケースでも罪に問われる可能性があります。
例えば、やり取りで相手の年齢の話をして知り得る状況でだったり、相手は成人だと主張しても未成年に見えたりするようなケースです。
警察に逮捕されるおそれもあるため、不安な人は弁護士に相談しましょう。
お金をもらってデートをしたが逮捕されるか?
パパ活では、金銭の受け渡しがあっても、ショッピングや映画鑑賞、カラオケ、食事などのデートをしただけでは、罪に問われません。
ただし、未成年の場合は、性行為をしなくても、対価を渡すなどして連れまわすと、未成年略取及び誘拐罪に問われるおそれがあります。
まとめ
パパ活で金銭の受け渡しがあっても、ただちに罪に問われるわけではありません。
しかし、相手の年齢や行為によっては犯罪になるおそれもあるため、注意が必要です。
また、面識のない男女が金銭の受け渡しを行えば、トラブルに発展することも充分考えられるでしょう。
もしトラブルになってしまい、警察に頼れない場合は、トラブルが深刻になる前に弁護士に相談してください。
ネクスパート法律事務所では、刑事事件に豊富な実績がありますので、お気軽にご相談ください。