未成年と性行為は慰謝料を請求される|罪になる年齢と慰謝料の相場

未成年との性行為は、条例などに違反して刑事処分の対象となります。

また未成年と性行為をすると民法の不法行為に該当し、保護者などから慰謝料を請求される可能性もあります。

未成年との性行為が違法であることは周知の事実ですが、未成年だと知らなかった場合や、真剣交際である場合、慰謝料が高額で払えない場合はどうなるのか、疑問が尽きないでしょう。

この記事では、未成年との性行為に関して、次の点を解説します。

  • 未成年と性行為をした場合の慰謝料の相場や高額になるケース
  • 未成年との性行為が罪になるケース
  • 慰謝料を請求された場合の対処法
  • 未成年との性行為が発覚した場合のリスク

自分の恋人が未成年かもしれない、あるいは、未成年と交際をして保護者から慰謝料を請求されたなど不安な方は、参考にしてみてください。

また、警察から連絡があった場合はすぐに弁護士に相談しましょう。

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未成年と性行為をした場合の慰謝料とは?

ここでは、未成年との性行為でなぜ慰謝料が発生するのか、慰謝料の相場や示談金について解説します。

不法行為は賠償義務が発生する

民法では、故意や過失によって他人の権利や法律上保護される権利を侵害すると、不法行為に該当し、不法行為をした人は、被害者の損害を賠償する責任を負います(民法709条)。

未成年との性行為は、未成年が健全に成長する権利を侵害する不法行為に当たります。

賠償義務が発生することで、保護者から慰謝料を請求される可能性があるということです。

また、民事上の責任とは別に、青少年保護育成条例などにも違反し、処罰の対象となります。

法律では、未成年者が未熟さにつけこまれて性行為に及び、健全な育成を阻害されたり、心身ともに傷ついたりすることがないよう、社会で守っているのです。

淫行の慰謝料の相場は10~30万円

淫行の慰謝料の相場は、一般的に10~30万円ほどと言われています。

慰謝料は精神的苦痛に対するものなので、はっきりした金額は決まっておらず、被害者の感情や、結果の重大さ、同意の有無などによっても左右されます。

特に同意なく強引に行為に及んだような場合は、慰謝料も100~200万円と高額になる可能性があります。

慰謝料は示談金に含まれる

慰謝料は、精神的苦痛に対して支払われるお金です。

示談金とは、当事者が合意の上で、問題解決のために支払われるお金のことで、精神的苦痛への賠償である慰謝料や、ケガの治療費など金銭的な損害も含まれます。

慰謝料など示談金の支払いがあれば、民事的な責任は果たしたと判断されるので、示談内容を反故にして追加で支払うなどの必要はありません。

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未成年との性行為は何歳なら罪にならない?

未成年との性行為は基本的に罪に問われる可能性が高いです。

しかし、お互いの関係や年齢、状況などにより例外的に真剣な交際だと判断されるケースもゼロではありません。

ここでは、性犯罪の法律の改正なども踏まえて、未成年との性行為が罪に問われる年齢や状況を解説します。

未成年は18歳未満を指す

未成年は、18際未満を指します。

以前は20歳から成人でしたが、法律改正により2022年4月1日からは成人年齢が18歳に引き下げられました。

17歳以下は未成年に該当するため、17歳以下との性行為は犯罪になります。

参考:政府広報オンライン

未成年との交際で性行為や類似行為は罪になる

未成年との性行為を取り締まる青少年保護育成条例では、性交や性交類似行為は罪に問われます。

例えば、東京都の青少年の健全な育成に関する条例では、次の通り規定されています。

(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)

第十八条の六 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。

引用:東京都の青少年の健全な育成に関する条例

みだらな性交とは、判例で次のように定義されています。

  • 未成年者を誘惑や脅迫、欺いたり、困惑させたりして心身の未成熟に乗じる不当な手段で性交や性交類似行為をすること
  • 未成年者を単に自己の政敵欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交や性交類似行為をすること
裁判年月日 昭和60年10月23日 裁判所名 最高裁大法廷 裁判区分 判決
事件番号 昭57(あ)621号
事件名 福岡県青少年保護育成条例違反被告事件
裁判結果 上告棄却 文献番号 1985WLJPCA10231050

参考:最高裁判例

処罰の対象になるのは、未成年の未熟さに乗じた悪質な性行為です。

性交だけでなく、性交類似行為(陰部などに触れる、口淫、手淫など)も含まれます。

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自由恋愛は年齢や状況次第で罪に問われないこともある

未成年者との性行為は基本的に処罰の対象となりますが、状況によっては、真剣交際だと判断されて、罪に問われないケースもあります。

真剣交際かどうかは次のような事情を考慮して判断されます。

  • 当事者の年齢差
  • 親の了承を得ているか、結婚前提の付き合いであったか
  • 未成年者の性行為の経験
  • 知り合った時の当事者の立場の違いや関係性
  • 交際するまでの経緯や期間、交際の内容
  • 交際から性行為に至るまでの期間
  • 性行為後の交際の内容
  • 年長者の婚姻について嘘をつくなど欺いていたかどうか
  • 相手に金銭などの対価を渡して行為をしていないか など

また、当事者の年齢によっても異なります。

年齢 罪に問われるかどうか
13歳未満 同意の有無に関わらず罪に問われる
13~15歳 相手が5歳差までであれば、上記事情を考慮して罪に問われない可能性がある
16~17歳 上記事情を考慮して罪に問われない可能性がある

参考:刑法第177条

性行為の同意を自分で判断できる性交同意年齢は、2023年7月13日より13歳から16歳へ引き上げられました。

もっとも、未成年者と性行為をしても、年齢が5歳差や未成年同士で、同意があれば真剣交際だと判断される可能性があります。

例えば、片方が17歳、もう片方は19歳で年齢が近いようなケースです。

一方年齢差がなくても、同意のない性行為は不同意性交等罪、不同意わいせつ罪に該当します。

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参考:性犯罪関係の法改正等 Q&A – 法務省

未成年との性行為で慰謝料を請求された場合

未成年との性行為が保護者に知られた場合、慰謝料を請求される可能性があります。

中には、彼氏と名乗る男性から多額の請求や脅迫を受ける美人局のような被害を受けるケースもあります。

ここでは、慰謝料を請求された場合について解説します。

相手が未成年だと知らなくても罪に問われる可能性がある

もし交際した相手が、未成年だと知らなくても、罪に問われる可能性があります。

未成年との性行為が罪に該当するかどうかは、「故意」があったかどうかで判断されます。

故意があったと判断される例 相手が未成年だと知った上で行為に及んだ
故意がなかったと判断される例 相手が偽造した免許証などを提示して、成人だと誤解させていた

相手が虚偽の情報で成人と誤解をさせていたようなケースは、未成年者だと知らなかったという主張も通る可能性があります。

実務上は相手から18歳以上だと申告を受けただけでは、故意がなかったと判断してもらうのは難しいことが多いです。

また、未成年者かもしれないと思っていた場合、状況によっては未必の故意として、罪に問われる可能性があります。

未必の故意とは、相手が未成年者である可能性を知りつつも、構わないと判断したような場合です。

次のようなケースは、「未必の故意」があったのではと判断されるおそれがあります。

  • LINEやSNSで相手と年齢を話をして知り得る状況だった
  • SNSに書かれたプロフィールの情報を知っていた
  • 相手は成人していると主張するがどう見ても未成年だった など

例えば、相手が高校生だと話していれば、16~18歳のいずれかに該当すると考えられるため、18歳だと思って行為に及んでも、知らなかったという主張が通らない可能性があります。

警察や弁護士に介入してもらいトラブルを防止する

もし未成年者との性行為で、保護者や第三者に多額の慰謝料を強要されたり、脅迫されたりした場合は、美人局の可能性もあります。

相手に脅迫されている場合は、警察か弁護士に相談してください。

本当に未成年者だと知らなかった場合や、偽造した免許証などを提示されて成人だと誤解して行為に及んだような場合であれば、罪に問われない可能性はあります。

未成年だとわかった上で行為に及んでいると、罪に問われる可能性はありますが、警察や弁護士を介入させることで、これ以上トラブルに巻き込まれずに済むでしょう。

また、弁護士が間に入ることで、慰謝料の金額の交渉や、恐喝などの犯罪行為に適切な対処ができ、トラブルが防止できます

警察に相談できないという人は、恐喝に応じてしまう前に弁護士に相談してください

逮捕を回避するため自首する

青少年保護育成条例違反などに該当すると、逮捕や起訴(刑事裁判になること)されるおそれがあります。

警視庁の統計によると、2022年に青少年保護育成条例違反で検挙された人の99%は逮捕されています。

これは淫行だけの数字ではありませんが、高い割合で逮捕されるおそれがあります。

また、こうした弱みに付け込まれて、多額の慰謝料を請求されるケースもあります。

未成年と性行為をしてしまって不安な場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士の助言に従い、自首をすることで、逃亡のおそれがないと判断され、逮捕されずに済む可能性があります

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参考:警視庁の統計(令和4年) – 警視庁

未成年者なら保護者と示談をする

未成年者と性行為をして罪に問われた場合は、被害者と示談することが重要です。

示談が成立することで、被害を回復させ被害者から許しを得たと判断されるため、刑事処分においても有利に働く可能性があるからです。

未成年者の場合、法律行為はできないため、保護者と示談を行うことになります(民法第5条)。

しかし、当然ながら、自分の子どもが被害を受けたことで憤っている保護者は多く、示談交渉が難航することが考えられます。

第三者である弁護士を通して、被害者感情に配慮しながら、示談交渉を進めてもらうようにしてください。

他にも弁護士介入により、法的に有効な示談書を作成してもらえることで、追加で請求を受けるなどのトラブル防止にも繋がります。

示談書には次の内容を盛り込んでもらうことが可能です。

  • 宥恕(ゆうじょ)条項:示談成立により処罰を望まない
  • 清算条項:示談成立によりこれ以上の支払いはない
  • 接触禁止条項:被害者と接触しない
  • 守秘義務条項:事件の内容について双方一切口外しない など

もし未成年者の知り合いなどが多額の慰謝料を請求してくる場合は、弁護士に相談して保護者と示談交渉をしてもらいましょう。

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高額な慰謝料請求には応じない

第三者や保護者から、数百万に及ぶ高額な慰謝料を請求された場合、不当な請求の可能性があるため、応じる必要はありません

未成年者と性行為をしてしまった場合の示談金の相場は10~30万円程度とされていますが、合意がなく強引に行為に至った場合は、50~100万円ほどになる場合もあります。

中には裁判を起こして公にすると脅迫されるケースもあるようですが、裁判を起こされたとしてもこれまでの判例に則り金額が決定されるため、請求よりも低くなることが考えられます。

もしこのような不当な請求を受けている場合は、必ず弁護士に相談して、適切な示談交渉を行ってもらってください

未成年との性行為が発覚するとどうなる?

未成年との性行為が発覚するとその影響は計り知れません。

ここでは、未成年との性行為が発覚した場合の、影響やリスクなどを解説します。

逮捕や勾留で生活に影響する

未成年との性行為が発覚した場合、逮捕や一定期間留置場に入れられる可能性があります(勾留)。

勾留を受けた場合、最長10~20日間身柄拘束を受けるため、会社や私生活にも大きな影響が及ぶことになります。

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実名報道されるリスクがある

未成年との性行為が発覚すると、実名報道をされるリスクがあります

基準ははっきりと決まっていませんが、次のような事件だと実名報道をされる可能性があります。

  • 不同意性交等罪など重大な犯罪の場合
  • 容疑者(被疑者)に社会的な地位(有名人、有名企業の会社員、公務員など)である場合
  • その他社会的な関心の高い事件など

マスメディアで報道されれば、氏名などが大きく公表されることになりますし、ネットニュースで報道されると、情報が残り続けることになってしまいます。

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保護者から慰謝料を請求される

先述した通り、未成年と性行為をした場合、保護者から慰謝料を請求され、民事的な責任も追及される可能性があります。

示談が成立すれば、民事上の責任を果たしたと判断されますが、示談の場で保護者が納得しないと、示談金が高額になることも考えられます。

未成年との性行為で慰謝料が高額になるケース

未成年との性行為の慰謝料の相場は10~30万円ほどです。

ここでは、慰謝料が高額になるケースを紹介します。

被害者が13歳未満など年齢が低い場合

慰謝料が高額になるケースの1つが、被害者が13歳未満など年齢が低い場合です。

被害者が低年齢であれば、それだけ保護者の処罰感情も強く、慰謝料も高額になることが考えられます。

被害者が13歳未満の場合は、同意の有無に関係なく、不同意性交等罪などに問われる恐れがあります。

不同意性交等罪の法定刑は、5年以上の有期拘禁刑(懲役刑のようなもの)です。

不同意性交等罪の示談金の相場は、100~200万円と言われており、これよりも高額になることが考えられます。

同意なく強引に性行為をした場合

同様に、13歳以上であっても、同意なく強引に性行為をした場合も、不同意性交等罪などに問われる可能性があります。

不同意性交等罪は、2023年7月に強制性交等罪と準強制性交等罪が統合され、名称が変更されました。

まだ浸透しきっていませんが、同意のない性行為は強姦に当たるため、被害者の処罰感情も強い傾向にあります。

慰謝料の相場は、100~200万円と言われていますが、被害者の処罰感情によって慰謝料が高額になる可能性があります。

被害者が妊娠した場合

性行為により未成年が妊娠して、さらにそれを中絶させた場合は、肉体的精神的苦痛を与えたことになり、不法行為にもとづく賠償義務を負うことになります。

未成年者が妊娠や中絶で負った精神的な苦痛に関して、いくらくらいに評価されるのかは、裁判所の判断などによるため、はっきり決まっていません。

しかし、過去には150万円の慰謝料が認められたケースもあります

裁判年月日 平成25年12月19日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平25(ワ)4805号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 一部認容 文献番号 2013WLJPCA12198014

他にも、精神的な苦痛に対する慰謝料だけでなく、中絶の費用や治療費、交通費なども含まれることになります。

まとめ

未成年との性行為は、条例などに違反し、刑事処分の対象となります。

もし相手が未成年かもしれないと思ったり、保護者から慰謝料を請求されたりしている場合は、今後どうするべきなのか、弁護士に相談すしてください。

事前に相談しておくことで、逮捕されず生活への影響も回避できる可能性があります。

また、弁護士を通じて保護者と示談を行い、被害者の被害回復に努めることも重要です。

ネクスパート法律事務所では、こうした条例違反や被害者との示談交渉にも豊富な実績があります。不安な方はお気軽にご相談ください。

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