覚醒剤取締法違反で逮捕|初犯の場合、処分はどうなる?【弁護士が回答】
覚醒剤に関する犯罪は暴力団などが関係していることが多く、テレビで芸能人の薬物に関する逮捕のニュースを観たりすると、テレビの中の世界で自分とは関係ないと思われる方もいるでしょう。ですが、逮捕されている人の中には、一般の方も多くいます。
この記事では、覚醒剤取締法違反の初犯で逮捕された場合どうなるのか、気になる点について弁護士が回答します。

目次
覚醒剤取締法違反の罰則
覚醒剤取締法は覚醒剤に関するさまざまな行為を禁止しており、それぞれに違反した場合の罰則が定められています。
覚醒剤取締法違反の主な罰則は、以下のとおりです。
覚醒剤取締法違反の検挙実績
覚醒剤取締法違反の検挙人数は、昭和59年にピークを迎えましたが、徐々に減少傾向にあり、ここ2年では総数が1万人を下回りました。
年齢別でみると、若者より40代以上の検挙人数が多くなっています。
覚醒剤取締法違反の初犯でも身柄拘束される?
ポイント
刑事事件は、在宅事件と身柄拘束事件の2種類があり、事件の内容によってどちらになるかが決まります。 |


覚醒剤取締法違反で検挙された場合、証拠隠滅や逃亡などのおそれがあると判断されると、初犯でも身柄拘束されます。
ただし、起訴後の勾留中は、裁判所が定めた保釈保証金を預けることで、一時的に保釈が認められる場合があります。
覚醒剤取締法違反の初犯でも起訴される?
ポイント
起訴されると刑事裁判を受けます。日本では起訴されると99%有罪になるといわれているため、不起訴を得ることが重要です。 |


薬物の中でも覚醒剤に関する犯罪は重大な犯罪です。あきらかな証拠が存在している場合、起訴される確率が高いでしょう。
例えば、数年前まで使用していて現在は使用していないが包み紙が残っていただけとか、同居人が使用していて一緒に逮捕されたが、管理等もすべて同居人がしており自身は何も知らなかったようなケースでは、尿検査が陰性であれば、不起訴になる可能性があります。
弁護士に相談すれば、犯罪の内容によっては、罪を犯したことを反省しているなどの情状を伝えることで、不起訴を獲得するための弁護活動をしてもらえます。
覚醒剤取締法違反の初犯は略式起訴になる?
ポイント
略式起訴の場合、通常裁判よりも早く身柄が解放されるメリットがあります。しかし、有罪になれば前科がつくので、できる限り不起訴を目指すことが大切です。 |


覚醒剤取締法違反の罰則は、ほとんどが懲役刑です。ごく一部に罰金刑がありますが、金額も高額なので、略式起訴にはならず、起訴され刑事裁判になります。
覚醒剤取締法違反の初犯でも実刑になりますか?
ポイント
覚醒剤は依存性の強い薬物で、薬物の中でも厳しく規制されているため、起訴され有罪判決が言い渡されるケースが多いです。十分反省していることを伝えて実刑を回避することが大切です。 |


犯罪の内容にもよりますが、初犯の場合は執行猶予付きの有罪判決になるケースが多いです。ただし、悪質なケースでは初犯でも実刑判決が言い渡される場合があります。
所持や譲受、譲渡の罰則は同じ10年以下の懲役です。使用をしていなくても懲役刑が確定すれば刑務所に入ります。


量刑決定にあたり考慮される事情は主に以下のとおりです。
- 初犯かどうか
- 所持量、使用量、使用期間、依存度
- 営利目的かどうか
- 反省しているか
- 再犯防止の対策の内容


譲受(譲渡)の例で考えてみます。
- 友人から覚醒剤を譲ってあげると言われ、興味本位で譲って欲しいと返事をした
- 友人と会い、覚醒剤を見せてもらった
- どのようなものか確認したくて手にとった
- 覚醒剤を受け取り、代金を支払った
どの段階で、譲り受けた(譲り渡した)とされ、どこまでが未遂なのでしょうか。
譲って欲しいと返事をした時点で、使用する意思があったとして未遂とは判断されない可能性があります。覚醒剤に関する犯罪で未遂かどうかの判断は難しく、最終的には裁判官の判断になります。
覚醒剤取締法違反の初犯で執行猶予を得るポイントは?
ポイント
執行猶予がつけば、猶予期間中に罪を犯さない限り懲役刑が執行されません。社会復帰を早めるためには執行猶予の獲得が重要です。 |


通常、被害者のいる犯罪の場合は、示談交渉をし、示談が成立すれば執行猶予を獲得できる可能性が高まります。
しかし、覚醒剤の所持や使用は被害者がいないので、示談交渉はできません。一方で、弁護士に相談し、以下のような対策をとることで、執行猶予を獲得できる可能性が高まります。
- 犯罪にいたったやむを得ない事情がある
- 初犯で十分反省している
- 再犯防止に向けた対策を取る
- 贖罪寄付を行う
覚醒剤取締法違反の初犯でも懲役刑になる?
ポイント
懲役刑になると一定期間刑務所に入れられてしまいます。罰金刑や執行猶予など、少しでも負担の少ない処分を目指したい。 |


覚醒剤はとても危険で、他の薬物とくらべても重い罰則が定められています。そのため罰則は懲役刑が基本となっていて、懲役刑と罰金刑が併科されるケースもあります。
覚醒剤取締法違反の初犯で逮捕|処分を軽くするためにできることは?
覚醒剤の所持や使用で逮捕された場合は、多くのケースでは起訴され刑事裁判になります。あきらかな証拠がある場合が多いので有罪判決になる可能性が高いでしょう。
犯罪に至った事情はさまざまです。なるべく処分を軽くするためには何ができるでしょうか。
弁護士に相談する
逮捕後は、弁護士以外は接見できない期間があります。その間も取り調べは続くので、弁護士に相談すれば、どのような心構えで取り調べを受けたら良いかなどのアドバイスを受けられます。
弁護士がついてくれているという安心感があれば、精神的にも落ち着けるでしょう。アドバイスによって、取り調べを受けるなかで、意図せず話した内容が不利な証拠になってしまうリスクも回避できます。
詳しい事情を聴いたうえで、不起訴処分を目指したり、起訴の可能性が高ければ、なるべく早く公判に向けた準備をすることで、量刑が軽くなるような弁護活動をしたりできる可能性があります。
逮捕されたら、できるだけ早く弁護士への相談をお勧めします。
再犯防止の対策をとる
覚醒剤に関する犯罪は、再犯率も高くなっています。令和3年版の犯罪白書によれば、覚醒剤取締法違反により検挙された成人の同一罪名再犯者は、7割です。
この7割という率は、他の犯罪の再犯率に比べても高い数値です。
その理由として考えられるのは以下の2点です。
- 依存性が高い
- 販売に関わった人との関係が断ち切れない
覚醒剤は、一度でも使用すると依存する性質があります。使用した量や使用頻度にもよりますが、完全に断ち切るには相当な覚悟が必要です。依存性が高いがために、本人が止めたいと思っていても度重なる関係者からの誘惑に耐え切れず、再犯となってしまう場合が多いです。
政府も再犯防止に向けた取組みを行っています。弁護士に相談しながら、再犯防止対策を検討しましょう。
[参照]
まとめ
覚醒剤取締法違反は重大な犯罪です。反省し、再犯防止の取組みについて早めに対策をとることで、初犯ならば執行猶予を獲得できる可能性があります。
ご家族やご友人だけでは対応できないことがあります。なるべく早く今後についてどのように進めていったら良いかを弁護士に相談することをお勧めします。
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