不同意性交に強い弁護士の見分け方と弁護士に依頼すべき5つの理由
日本において、「強姦」「レイプ」と呼ばれる行為は、従来、強制性交等罪および準強制性交等罪によって主に処罰されてきました。これらの犯罪の成立には、暴行や脅迫によるものであったことや、抵抗できない状態につけ込んだことなどが必要でした。
そのため、被害者が「相手に要求され、内心では嫌だったが、人間関係が悪化するのをおそれて断り切れなかった」というような場合には、性犯罪として処罰の対象とならないケースも多く存在しました。
2023年6月、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律の公布により、同意のない性交へと処罰範囲を拡大する改正がなされました。
同意のない性行為は犯罪になり得ることが明確化された今、以下のような認識でいると、思わぬトラブルに発展するおそれがあります。
- 「付き合っていれば、性行為をするのは当たり前だ」
- 「同じ相手に、毎回、性行為の同意を取る必要はない」
- 「二人きりでデートに行くことは、性行為を前提としている」
- 「家に泊まるのは性行為をしてもいいというサインだろう」
- 「キスがOKなら、性行為をしてもいいだろう」
- 「酔った勢いで性行為に及んだが、抵抗・拒絶されていないので相手も同意していると思った」
- 「最初はその気じゃなかったかもしれないが、結局は受け入れていた」
上記のような状況下で性行為に及び、その後、相手から「同意していない」と言われた場合や、捜査機関から不同意性交等罪の容疑をかけられた場合には、どうすればよいのでしょうか?
この記事では、不同意性交等罪の容疑をかけられた場合に、弁護士のサポートを受けるメリットについて解説します。
不同意性交等罪で逮捕された方やその家族が理解しておくべき5つのこと
性行為の相手から「同意していなかった」と責任を問われた方、不同意性交等罪の容疑をかけられた方やそのご家族は、まず、以下の点について理解を深めましょう。
- 不同意性交等罪とはどういう犯罪なのか
- 逮捕された後はどうなるのか
- 最終的な処分はどうなるのか
- 家族は容疑をかけられた人と面会できるのか
- 家族としてどのようなサポートが必要なのか
以下で詳しく説明します。
不同意性交等罪とはどういう犯罪なのか
不同意性交等罪とは、次の8つの状況等により「嫌」「No」というのが困難な人に対し、性交等をした場合に成立する犯罪です。
- 暴行・脅迫
- 心身の障害
- アルコール・薬物の摂取
- 意識不明瞭
- 拒絶するいとまを与えない
- 恐怖・驚愕
- 虐待
- 経済的・社会的地位の利用
上記に該当しなくても、性的行為への無知に乗じたり、人違いをさせたりして性交等をした場合も処罰の対象となります。
つまり、嫌がる相手に無理やり性行為をした場合だけでなく、自分は意図しないけれど相手から見れば意に反する性行為であった、という場合には不同意性交罪が成立する可能性があると言えます。
不同意性交罪の構成要件等は、「不同意性交等罪とは|構成要件や改正点のポイントをわかりやすく解説」をご参照ください。
逮捕された後はどうなるのか
逮捕によって自由が制限されるのは最大72時間です。
その後、検察官から勾留の請求があれば、裁判官は、勾留質問を行ってその当否を判断します。
裁判官は、罪を犯した疑いがあり、住居不定、罪証隠滅のおそれ又は逃亡のおそれのいずれかに当たり、捜査を進める上で身体の拘束が必要なときに、被疑者の勾留を認めます。
勾留期間は原則10日間ですが、やむを得ない事情がある場合には、更に10日以内の延長が認められることもあります。
起訴された場合には、釈放されるか保釈が認められない限り、身体の拘束が続くことになります。
逮捕後の流れの詳細は、「逮捕される前後の流れを詳しく解説」をご参照ください。
最終的な処分はどうなるのか
不同意性交等罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑なので、逮捕された場合の最終的な処分としては次の4つが考えられます(2023年12月20日現在)。
- 不起訴処分
- 無罪判決
- 執行猶予付きの懲役刑
- 執行猶予なしの懲役刑(実刑)
なお、拘禁刑は、従来の懲役と禁錮を一本化したものとして創設された刑で、2025年6月16日までに施行される予定です。施行日以後は、懲役刑と禁錮刑は廃止されます。
家族は逮捕された人と面会できるのか
逮捕後、警察署の留置施設で身柄を拘束されている間(最長72時間)は、ご家族でも面会できません。
家族が面会できるのは、通常は勾留が決定された後です。
一般面会は1日1回だけで、1回あたりの面会時間は15~20分程度です。
ご家族やご友人との面会には、必ず警察官が立ち会い、会話内容の趣旨を接見表に記録され、不適切と思われる会話があったときには、面会を中止・中断されることもあります。
以下のような理由で捜査に支障をきたすと判断された場合には、勾留後も面会が禁止されることもあります。
- 逃亡・証拠隠滅のおそれがある場合
- 逮捕された方が容疑を否認している場合
- 組織犯罪を疑われている場合
面会を禁止する旨決定された場合は、申立てにより接見禁止の解除が認められた場合を除き、勾留期間中(最長20日間)も、弁護士以外の一般の方は面会ができなくなります。
家族としてどのようなサポートが必要なのか
以下のような経済的・人的サポートが必要になるでしょう。
- 弁護士に弁護活動を依頼する場合の費用負担
- 被害者がいる事件の場合は、被害者の方への被害弁償や示談金の準備
- 起訴された場合は、保釈請求のための保釈金の準備
- 保釈の際の身元引受人になる
- 情状証人として裁判に出廷する
逮捕された方にとってご家族との交流は、精神的安定のためにも、身柄拘束中の生活等の相談にとっても重要です。
ご家族が逮捕された場合の対応については、「家族が逮捕されたら|家族には何ができる?」をご参照ください。
不同意性交等罪で逮捕されたら弁護士に頼るべき5つの理由
不同意性交等罪で逮捕されたとき、弁護士のサポートが不可欠と言われる理由には、主に次の5つがあります。
- 逮捕された方の唯一の味方は弁護士だけ
- 弁護士なら逮捕後すぐに面会が可能
- 被害者との示談交渉は弁護士がいなければ難しい
- 社会生活へのダメージを最小限に留めるには早期の身柄解放が重要
- 前科を避けるためには不起訴獲得のための効果的な弁護活動が必要
以下で詳しく解説します。
逮捕された方の唯一の味方は弁護士だけ
弁護士は、犯罪の容疑をかけられている方に味方として、法的なサポートを尽くせる唯一の存在です。
逮捕前に警察から任意同行を求められている場合、早期に弁護士に相談をして弁護活動を依頼すれば、捜査機関に対し、逮捕をしなくても任意出頭を確保できることを説明してもらえたり、任意同行下の取り調べへの立ち会いを求めたりしてもらえます。
逮捕された場合も、早期に弁護士に依頼すれば、検察官に勾留の理由・必要性がないことを説得し、確実な身元引受を条件に任意出頭による事情聴取に代えるよう要請したりするなどの勾留回避に向けたサポートが受けられます。
弁護士によるサポート内容については、「逮捕から刑事処分までの流れと私選弁護人が逮捕期間中からしてくれること」をご参照ください。
弁護士なら逮捕後すぐに面会が可能
逮捕期間中に被疑者との面会が認められているのは、弁護士だけです。
逮捕は、事前の予告なく、突然行われます。その後勾留されて身柄拘束が継続すると、ご家族は、長期間、逮捕された方に会えない可能性もあります。逮捕された方は、外部との接触を遮断され、精神的にも不安定な状態になることがほとんどです。
そのようなときに、弁護士は、ご本人のもとにすぐに駆け付け、以下のようなサポートができます。
- 手続きの流れや今後の見通しを説明する
- 取り調べへの対応方法を説明する
- 不利な供述調書の作成を防止するために必要な法的知識や権利を説明する
- 違法不当な取調べが行われないよう監視する
- 違法不当な取調べがあれば適切な対抗措置をとる
- 今後の見通しを説明する
逮捕された方が直接弁護士に連絡ができない状況でも、ご家族から弁護士に弁護活動をご依頼いただければ、ご家族から逮捕されたご本人への伝言、ご本人からご家族への伝言なども承れます。
被害者との示談交渉は弁護士がいなければ難しい
被害者が存在する性犯罪事件では、被害者との間で示談がまとまるかどうかがその後の処分を左右すること多いです。
しかし、性犯罪事件では、以下のとおり、加害者自身またはそのご家族での示談交渉が困難な理由が存在します。
加害者本人では被害者の連絡先を入手できない
被害者は、連絡先を含む自己の個人情報が加害者に漏れることを恐れているため、加害者に連絡先を開示することはまずありません。被害者の連絡先が分からなければ示談交渉のスタートラインにも立てません。
示談交渉自体を拒否される場合もある
性犯罪の場合、被害者は捜査されることで事件が公になることを望んでいないことが多い一方で、示談金を受け取ることに後ろめたさを感じる方も多くいらっしゃいます。被害弁償を受けても加害者を許すつもりはないと考えている方も少なくありません。
このような被害者の心情を十分に理解せず無理に示談交渉を進めると、被害者の感情を逆撫でし、更に強い処罰感情を生む可能性があります。
このように、被害者との示談交渉にあたっては、そもそも謝罪のためでもあってくれないという場合があるため、弁護士の介入が不可欠とも言えます。
弁護士が、警察官や検察官にも協力を求めながら謝罪と被害弁償を根気強く申し入れることで、被害者が応じてくれることも多くあります。
刑事事件における示談交渉の詳細は、「【刑事事件】示談交渉とは?示談をするために必要な知識」をご参照ください。
社会生活へのダメージを最小限に留めるには早期の身柄解放が重要
加害者ご自身やご家族の家庭生活・社会生活のダメージを最小限に留めるためには、早期の身柄解放を目指した活動が必要です。
長期間の身柄拘束により、周囲に事件を知られたり、欠勤による減収でご家族が生活に窮したり、職場復帰が困難になることもあるからです。
しかし、身柄を拘束されたご本人は外部から隔離された捜査機関の手中にあり、自ら活動を行うことは困難です。逮捕から送致までの最長72時間は、ご家族でもご本人と面会できないため、事件の詳細を把握するのも困難でしょう。
弁護士が、検察官や裁判官に以下のような働きかけをすることで、早期に身柄の解放が実現される場合があります。
- ご家族から身元引受書や誓約書を取得し逃亡のおそれがないことを示す
- ご本人から被害者と接触しない旨の誓約書を取り付けて証拠隠滅の可能性がないことを示す
- 勾留によって生じうる家庭生活・社会生活へ弊害を上申書として提出する
勾留決定がなされた場合には、勾留決定が取り消されるよう、準抗告の申立てや勾留取消請求などを行います。
前科を避けるためには不起訴獲得のための効果的な弁護活動が必要
前科をつけないためには、不起訴処分を目指す必要があります。
身柄事件において不起訴処分を得るためには、逮捕後23日以内の限られた時間内で、以下のような効果的な弁護活動を行わなければなりません。
- 被害者との示談交渉
- 捜査機関への示談書・嘆願書等の提出
- 監督体制の整備・身元引受人の確保
- 捜査機関との交渉・面談・意見書の提出
しかし、身柄拘束下では、加害者ご自身が自らこのような活動を行えません。
不起訴処分を獲得するには、弁護士による迅速なサポートが不可欠です。 ご本人の身柄が拘束されている場合は、ご家族・ご親族様においてなるべく早い段階で弁護士にご相談ください。
前科を避けるための弁護活動の詳細は、「前科をつけたくない!前科を避けるためにできることを解説」をご参照ください。
不同意性交等事件に強い弁護士・法律事務所の見分け方
不同意性交等事件に強い弁護士に依頼したいとお考えの方は、以下の点に着目して弁護士や法律事務所を選びましょう。
- 性犯罪事件の弁護に長けている
- 示談交渉のノウハウ・経験が豊富
- 24時間365日相談予約が可能
- チームで連携できる万全の体制を整えている
- 熱意と行動力が備わっている
以下で詳しく解説します。
性犯罪事件の弁護に長けている
性犯罪事件の加害者弁護に積極的に取り組んでいる、実績が豊富な弁護士を選びましょう。
弁護士はそれぞれが得意分野を持ち、その分野において専門性を磨き実績を積み重ねていくのが一般的です。
性犯罪事件の解決実績が多ければ、豊富な知見を持って的確に弁護活動を行ってもらえる期待が高まるでしょう。
インターネットで検索する場合には、事務所のホームページ等で、類似案件について、以下のような実績があるかどうか確認するのもおすすめです。
- 勾留の阻止または早期釈放の実現
- 被害者との交渉による示談成立
- 不起訴処分の獲得
- 執行猶予判決の獲得
ホームページ等で把握できない場合は、初回相談時に直接聞いてみると良いでしょう。
示談交渉のノウハウ・経験が豊富
被害者との示談交渉のノウハウ・経験が豊富な弁護士を選びましょう。
性犯罪事件で被害者と示談交渉をするためには、事実上、弁護士のサポートが必須といえるからです。
検察官の起訴・不起訴の判断や裁判官の量刑の判断では、以下の要素が考慮されるため、被害者との間で示談が成立していれば、不起訴処分や刑の減軽の可能性が高まります。
- 被害者の処罰感情
- 加害者の反省状況
- 被害者が受けた被害の回復状況
示談交渉を進める上では、被害者の感情に配慮しつつ、合理的な示談条件を調整しなければなりません。性犯罪事件における交渉経験が乏しい弁護士に依頼すると、被害者の感情を害して示談がまとまらなくなったり、高額な示談金の支払いを余儀なくされたりする可能性がないとは言い切れません。
性犯罪事件における被害者との交渉ノウハウ・経験が豊富な弁護士に依頼すれば、被害者の処罰感情を和らげ、早期に示談を成立できる可能性が高まります。
24時間365日相談予約が可能
24時間365日相談予約を取れる法律事務所に相談することをおすすめします。
性犯罪事件を担当する弁護士は、早期釈放や不起訴処分獲得のための迅速な対応が求められるからです。
実際に、性犯罪事件を積極的に取り扱う法律事務所では、相談者のニーズに合った環境が整えられています。24時間365日受付対応可能な法律事務所に相談しましょう。
チームで連携できる万全の体制を整えている
刑事事件の専門知識を有する弁護士を複数抱え、チームで連携できる万全の体制を整えている法律事務所を選びましょう。
人的リソースが豊富な法律事務所であれば、それを活かしたスピーディーな対応を期待できます。
熱意と行動力が備わっている
相談に対する弁護士の姿勢や熱意・行動力を見極めるのも重要なポイントです。
弁護人は、唯一の被疑者・被告人の味方として活躍するに重要な役割を担います。
相談時には、以下の点をチェックして、その弁護士と信頼関係を築けるかどうかを見極めましょう。
- 十分な時間をとって丁寧にヒアリングする姿勢があるか
- 刑事事件の流れや今後の見通しなどを丁寧に説明してくれるか
- 専門用語を多用せず分かりやすい言葉で説明してもらえるか
- あなたの細かな事情を汲み取って柔軟な対応を取ってくれるか
- あなたのために尽力するという熱意を感じられるか
逮捕される可能性があるとき、あるいはご家族が逮捕されたときには、不安定な精神状態に陥ることが多く、弁護士に疑問点や不明点を質問したい機会も増えるでしょう。
なるべく早い返信を心掛け、時間を要するときには一報をくれるなど、依頼者の心境に配慮できる弁護士を選びましょう。
電話をしてもいつも弁護士が不在で折り返しの連絡がない、メールの返信が遅いなど、相談した弁護士の対応があまりにも遅いようであれば、依頼を控えた方が良いかもしれません。
まとめ
2023年6月の法改正により、従来は処罰の対象にならなかったケースも、今後は処罰を受けるおそれがあります。
明確な同意を得ずに性行為をした相手から後日「本当は嫌だった。」「同意はしていなかった。」と主張されてトラブルになっている方、捜査機関から不同意性交等罪の容疑をかけられた方やそのご家族の方は、ネクスパート法律事務所にご相談ください。
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