露出で逮捕されるケース|後日逮捕や露出で逮捕されるリスクと逮捕例
路上などで下半身を露出すると、逮捕される可能性があります。
また、防犯カメラに記録が残っていれば、後日逮捕されることも考えられます。
露出は比較的軽微な犯罪ですが、軽い気持ちで行うと、逮捕だけでなく、実名報道のリスクや、仕事や私生活へ大きく影響するなど、重い結果を招くことになります。
この記事では、露出行為をした場合の逮捕について下記の点を解説します。
- 露出で逮捕される確率や後日逮捕の事例
- 露出行為で問われる罪
- 露出は病気?
目次
露出で逮捕される可能性はある?
露出は法律に触れる行為であるため、当然ながら逮捕される可能性があります。
犯罪白書によると、2022年に公然わいせつ罪やわいせつ物頒布罪で逮捕された人の割合は、25.3%でした。
割合としては多くありませんが、ひとたび逮捕されてしまうと、実名報道などの大きなリスクがあります。
逮捕でよく知られているのは、現行犯逮捕でしょう。
現行犯逮捕以外でも、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されると、後日自宅に訪ねてきて逮捕される可能性があります(刑事訴訟法第199条、刑事訴訟規則第143条の3)。
下半身露出で現行犯逮捕や後日逮捕されるケース
露出行為では、現行犯逮捕の他、後日逮捕されるケースがあります。
ここでは、下半身の露出行為で現行犯逮捕や後日逮捕されるケースを紹介します。
目撃者が110番通報をして現行犯逮捕
露出行為で多いのは、目撃者が110番通報をして、駆け付けた警察に現行犯逮捕されるケースです。
また、何度も同じ行為をすることで、同じような通報が増えて、巡回中の警察官に現行犯逮捕されるケースもあります。
参考:「癖になっていた」赤いチェックのミニスカート姿で露出 73歳男を公然わいせつで逮捕 京都 – 産経新聞
防犯カメラの映像から後日逮捕
仮に、露出行為を行い現行犯逮捕されなくても、被害届が出されて捜査が行われることもあります。
防犯カメラの映像などから特定されると、後日逮捕されるケースもあります。
近年では、防犯カメラだけではなく、スマホの写真から捜査が行われて、逮捕されることもあります。
参考:近鉄京都線の「乳首おじさん」は公務員 電車内で下半身露出してついに逮捕 栗東市長が陳謝 京都・城陽
下半身露出で逮捕された場合のリスク
当然ながら、露出行為で逮捕された場合は、さまざまなリスクがあります。
実名報道で社会的な信用を失う
最大のリスクは、実名報道をされることで、社会的な信用を失うことでしょう。
メディアが実名報道をする基準は明確に定められていませんが、下記のようなケースでは実名報道される可能性があります。
- 重大な事件
- 社会的に関心の高い事件
- 逮捕された人の社会的な地位が高い事件(有名人や医師や弁護士、教師などの公務員、大企業の社員など)
特に露出行為で逮捕された場合は、その犯罪の内容から、反響が大きくなるケースもあり、ネットで拡散され、情報が残り続けることも考えられます。
公然わいせつで逮捕されれば、重大な汚点ともなり、仕事だけでなく日常生活にも大きな影響が生じます。

解雇など日常生活に影響が生じる
逮捕されて身柄拘束を受けた場合、一定期間出社できなくなり、隠し通すのも難しくなるでしょう。
一度実名報道をされてしまえば、仕事にも影響し、解雇や降格などの処分を受けることもあり得ます。
家族にも知られることになれば、当然非難されることが考えられます。
また、家族も後ろ指をさされるなど辛い状況になり、離婚を突き付けられることもあるかもしれません。
前科がつく
捜査の末に、起訴されたり、略式手続という方法で罰金刑となれば、前科がつくことになります。
前科となると、履歴書の賞罰欄に前科の事実を明記する必要があるほか、執行猶予中であれば、パスポートの発給ができないことも考えられるでしょう。
下半身露出で逮捕された場合の流れ
露出行為で逮捕された場合、刑事手続きはどのように進むのか、解説します。
10~20日間勾留される可能性がある
露出行為で逮捕された場合、そのまま10~20日間、留置場に勾留される可能性があります。
2022年の犯罪白書によると、公然わいせつとわいせつ物頒布罪で逮捕された人が勾留された割合は、87.6%でした。
逮捕された後は、検察が起訴か不起訴か判断するために、身柄が検察に引き継がれます。
裁判所の許可のもと行われた勾留期間の間に、検察は起訴か不起訴が判断します。
勾留も逮捕と同様に、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されると拘束される可能性があります。
勾留期間は10~20日間に及ぶため、仕事や私生活への影響を避けることは難しいでしょう。
起訴されると刑事裁判になる
起訴されると刑事裁判になるケースがあります。刑事裁判になるかどうかは起訴される方法によります。
公判請求 | 公開の裁判にかけられて処分が決定する
懲役と罰金どちらも科される可能性がある |
略式命令請求 | 罰金刑を科す際に行われる簡易的な手続き
公開の裁判を行わず、被疑者の同意のもと罰金刑に科される |
犯罪白書によると、2022年に公然わいせつで起訴された割合は56.3%です。
正式な裁判となった割合は21.9%、略式手続になった割合は78%でした。
約8割ほどは略式手続で罰金が科されますが、約2割は公開の裁判にかけられることになります。
参考:令和5年 犯罪白書 第4節 被疑事件の処理 – 法務省
刑事処分が科される
刑事裁判になった場合は、有罪か無罪か審理が行われ、有罪であれば刑罰が科されることになります。
露出行為の場合は、公然わいせつ罪が成立すると考えられ、刑罰には懲役が定められています。
繰り返し露出を行っていたり、執行猶予中や再犯をしたりした場合は、実刑が科されることもあり得ます。
露出をした場合に問われる罪
ここでは、露出行為をした場合に問われる罪を解説します。
公然わいせつ罪
露出行為で成立するのは公然わいせつ罪です。
(公然わいせつ)
第百七十四条 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
引用:刑法第174条 – e-Gov
公然わいせつ罪の法定刑は、6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。
拘留 | 1日以上30日未満、拘置所で身柄を拘束される |
科料 | 1,000円以上1万円未満の罰金 |
公然わいせつの場合、誰も見ていないのであれば、問題ないのではないかという人もいます。
公然わいせつが成立する条件は下記のとおりです。
①公然な場所、公然となる場所で | 公然とは、不特定または多数が認識できる状態
知らない人に目撃される、もしくは多数の人に目撃される可能性があるのであれば、公然の定義に該当する |
②わいせつな行為をする | いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、一般人の正常な性的羞恥心を害して、善良な性的道徳観念に反するもの |
法律だと難しい言葉になりますが、不特定の人や多数の人が目撃できる場所で、一般的な感覚から考えてわいせつな行為を行えば、成立します。
具体的には、不特定多数が目撃可能な路上や公園で、陰部を露出する行為が挙げられます。
また、停車した車の中で陰部を露出していても、他人に見られる可能性があれば、成立します。
軽犯罪法違反
軽犯罪法とは、社会の秩序を乱すおそれのある軽微な行為を取り締まり、勾留や科料を科す法律です。
露出行為をすると、場合によっては軽犯罪法違反に問われる可能性があります。
二十 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者
引用:軽犯罪法第1条第20号 – e-Gov
臀部やもも、その他乳房などを露出すると軽犯罪法違反に該当する可能性があります。
軽犯罪法に違反すると、拘留や科料が科されます。
ももやヘソなどの露出については、ファッションとして認知されているものや、海水浴場などの場所によっては、あまりにも過激なものでない限り、問題とならないケースもあります。
迷惑防止条例違反
迷惑防止条例は、各都道府県で定められている条例で、痴漢行為や客引きなどを禁止しています。
東京都の場合は、公共の場での卑わいな言動を取り締まっています。
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
三 前二号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。
引用:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
公共の場において、卑わいな言動を行えば、迷惑防止条例違反に該当する可能性があります。
東京都の場合は、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
下半身露出で逮捕された場合
露出行為で逮捕されると、数多くのリスクを負うことになります。
ここでは、露出で逮捕された場合の対処法を解説します。
弁護士に相談して釈放してもらう
露出で逮捕されてしまった場合、長期間身柄を拘束されれば、仕事や私生活への影響は大きなものとなってしまいます。
まずは弁護士に相談して釈放してもらうことが大切です。
逮捕されてしまった場合は、逮捕された人が呼べる当番弁護士や、自分が相談をしている弁護士に連絡を取りましょう。
当番弁護士とは、逮捕後に一度だけ無料で呼べる弁護士のことで、取り調べや今後についてアドバイスをしてもらうことができます。
また、現行犯逮捕されてしまった場合、警察から家族に連絡が行くケースが多いです。
身柄拘束を受けると、逮捕された人は帰宅できなくなるため、警察の配慮で家族に連絡することが考えられます。
逮捕されたと知った家族も、すぐに弁護士に相談して、逮捕された人と面会してもらい、状況を把握しましょう。
被害者と示談をする
公然わいせつは比較的軽微な犯罪であるため、目撃した被害者と示談をすれば、釈放や不起訴になる可能性があります。
示談とは、被害者に謝罪をして、慰謝料などを支払うことで、問題を解決することです。
公然わいせつの示談金は、おおよそ10~50万円になります。
ただし、被害者との交渉や、被害者の感情、露出の仕方や、目撃者の数などによって異なります。
被害者は加害者に対して嫌悪感があり、直接交渉が難しいケースもあるため、被害者との交渉は弁護士に依頼するのが一般的です。
再犯防止として治療を受ける
他にも、再犯防止として、性依存の治療を受けることも考えられます。
露出行為がやめられない場合は、露出症という病気の可能性があります。
ストレスなどが重なると、発散方法の一環として、露出行為を繰り返すケースもあるため、しっかりと再犯防止策を示して、検察や裁判官に理解してもらうことが大切です。
逮捕前に自首する方法もある
先述したとおり、露出は現行犯逮捕以外にも、防犯カメラなどの映像から特定されて、後日逮捕されることがあり得ます。
そのため、逮捕前に自首をする方法もあります。自首には下記のようなメリットがあります。
- 逮捕や報道を避けられる
- 家族や会社に知られるリスクを減らせる
- 不起訴処分を得やすくなる
- 精神的な負担を軽減できる
自首することで、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、逮捕されない可能性があります。
逮捕されなければ、実名報道をされるおそれもありません。
現行犯や、後日自宅に警察がやって来て逮捕されるといった状況は回避できるため、偶発的に家族や会社に知られるリスクも軽減できます。
また、自首することで刑事処分にも有利に働くため、不起訴処分を得られる可能性があります。
何より、逮捕や捜査への不安から解放され、露出をやめるきっかけになるでしょう。
自首をする場合も、弁護士に相談することで、警察署への同行や取り調べへのアドバイス、不当な取り調べの防止や被害者との示談を任せることができます。
下半身露出は病気?
露出行為をやめられない場合は、露出症という病気の可能性があります。
露出症については、下記のような診断基準があります。
- 少なくとも6か月にわたり、警戒していない人に自分の陰部を露出して得られる反復性の強烈な性的興奮が、空想、衝動、行動に現れる
- 同意のない相手にこうした行動を実行したことがある
- その衝動や空想のために、臨床的な苦痛や社会的、職業的、他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている
露出症の治療には、薬物療法が有効とされています。
また、露出行為では、ストレス発散で行っているケースもあるため、病院で相談することで、薬物療法の他、ストレス対策などを講じることができるかもしれません。
行為が止められない場合は、大ごとになってしまう前に、病院で相談するようにしてください。
露出行為でよくある質問
ここでは、露出行為でよくある質問に回答します。
目撃者はいないがカメラに映ったら逮捕される?
何かしらの理由で、カメラの映像を確認することがあれば、犯行が発覚して逮捕されることもあり得ます。
露出行為をした場所に目撃者がいなければ、確かに警察は行為を知ることはありません。
しかし、付近で同様の被害が出ていれば、捜査を開始して、特定に至ることも考えられるでしょう。
どこで露出をしたら逮捕?ネットに流しても逮捕される?
先述したとおり、不特定の人、もしくは多数が目撃可能な公共の場所で露出行為をすると逮捕される可能性があります。
例えば、路上や公園、バスや電車内など、他者が目撃可能であれば犯罪が成立します。
また、停車した車内で露出をして逮捕された事例もあるため、他者が確認できる場所は犯罪になるでしょう。
例え自宅で露出をしたとしても、その映像をネットに流せば、不特定多数が目撃可能な状況となります。
2015年には、性行為を配信をした本人だけでなく、配信に関与したサイト運営会社の代表者などが逮捕されています。
また、配信でなくわいせつな画像などの記録をアップロードすれば、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪が成立します(刑法第175条)。
法定刑は2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金、もしくは科料、または懲役と罰金が併科されます。
軽い気持ちで露出行為をするのはやめましょう。
女性が露出をしても逮捕されない?
女性が露出をしても逮捕されないと誤解している人もいますが、性別に関係なく、露出行為をした場合は逮捕される可能性があります。
実際、2018年には、歩道で下半身を露出した女性が逮捕されています。
また、歩行者天国で臀部を露出したアイドルが逮捕された事件もありました。
参考:女が下半身露出 下着はかずスカートたくし上げ – 神戸新聞
まとめ
露出行為は軽い犯罪だと思われがちですが、実名報道により社会的な信用を失うリスクや、仕事や私生活に大きな影響を及ぼすおそれがあります。
また、現行犯だけでなく、後日逮捕される事例もありますので、心当たりがある人はやめましょう。
もし露出行為をやめられない場合は、病気の可能性もあります。
すべてを失ってしまう前に、医療機関に相談して治療を受けましょう。
もし露出行為について自首がしたい、家族が逮捕された、警察から呼び出しがあったという人は弁護士に相談してください。