プラトニック不倫とは?プラトニックでも慰謝料請求が認められる可能性も

  • 最終更新日: 2024.06.5

近年、プラトニック不倫という言葉を耳にする機会が増えているように思います。
プラトニック不倫は、通常の不倫とは異なり、肉体関係を伴わない男女の関係としてよく使われる言葉です。

プラトニック不倫の場合には、離婚請求や慰謝料請求は認められないのでしょうか?

この記事では、プラトニック不倫の離婚請求や慰謝料請求の可否、プラトニック不倫のリスクについて解説しています。
ぜひ参考にしてください。

プラトニック不倫とは?

プラトニックとは、純粋に精神的であるさまをいいます。

つまり、プラトニック不倫とは、既婚者が配偶者以外の人と肉体関係を伴わない恋愛関係にあることをいいます。

肉体関係を伴わない点で、通常の不倫とは大きく異なります。

プラトニック不倫で慰謝料請求できる?

プラトニック不倫では、原則、慰謝料請求が認められません
しかし、プラトニック不倫でも、その交際の態様によっては慰謝料請求が認められることがあります。
以下、その理由やプラトニック不倫でも慰謝料請求が認められた裁判例について詳しく解説しています。

プラトニック不倫では、原則、慰謝料請求が認められない

プラトニック不倫では、原則、慰謝料請求が認められません

なぜなら、プラトニック不倫は、通常、肉体関係を伴わないからです。

そもそも不倫を理由に慰謝料請求ができるのは、民法上の不法行為が成立するからです(民法709条)。

不法行為が成立するには、不貞行為に該当する行為が必要なところ、最高裁昭和48年11月15日判決は、不貞行為について次のとおり示しています。

配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わない。

参照;裁判例結果詳細 | 裁判所 – Courts in Japan

したがって、慰謝料請求が認められるには性的関係(肉体関係)が必要になります。

しかし、プラトニック不倫は、通常、性的関係(肉体関係)を伴わない関係であることから、原則、慰謝料請求が認められません。

プラトニック不倫でも慰謝料請求が認められることがある

プラトニック不倫でも慰謝料請求が認められることがあります

不倫の慰謝料請求が認められるのは、夫婦の平穏な婚姻生活を侵害したことにあります。
したがって、プラトニック不倫であっても、夫婦の平穏な婚姻生活を侵害したと判断されれば、慰謝料請求が認められる場合があります。

以下、プラトニック不倫でも慰謝料請求が認められた裁判例を紹介しています。

不倫相手が、配偶者とともに結婚させてほしいと懇願し続けた事例

この事例では、肉体関係を結んだとまでは認められないものの、不倫相手が配偶者とともに結婚させてほしい旨懇願し続け、その結果、夫婦は離婚するに至ったものと認められるから、このような行為は、夫婦の婚姻生活を破壊したものとして違法の評価を免れず不法行為を構成するとして、慰謝料70万円の支払いを命じています。

当裁判所は、肉体関係を結んだことが違法性を認めるための絶対的要件とはいえないとしています(東京地裁平成17年11月15日判決)。

「チュ」「会いたい」「大好きだよ」といったメールのやり取りをしていた事例

この事例では、性交渉を持ったと認めることは困難であり、不貞関係の存在を認めることはできないものの、不倫相手が配偶者に好意を抱いており、二人が会っていることを示唆するばかりか、身体的な接触を持っているような印象を与えるものであり、不倫相手がこれらのメールを送付したことは、夫婦の婚姻生活の平穏を害するものとして社会的相当性を欠いた違法な行為であり、不法行為責任を負うものというべきであるとして、慰謝料30万円の支払いを命じています(東京地裁平成24年11月28日判決)。

高額なプレゼントを交換したり、二人だけで旅行をしたりしていた事例

この事例では、肉体関係があったことを認めるに足りる証拠はないとしつつ、交際の程度は、数万円もするプレゼントを交換するとか2人だけで大阪まで旅行するなど、思慮分別の十分であるべき年齢及び社会的地位にある男女の交際としては、明らかに社会的妥当性の範囲を逸脱するものであると言わざるを得ず、夫婦生活の平穏を害し、精神的苦痛を与えたことは明白であるから、不法行為責任を免れるものではないとして、慰謝料10万円の支払い義務を命じています(東京簡裁平成15年 3月25日判決)。

このほか、プラトニック不倫でも慰謝料請求が認められた判例については、「不貞行為なしで慰謝料請求された!あなたの危険度チェックと8つの裁判例」もご参照ください。

プラトニック不倫を理由に離婚できる?

プラトニック不倫であっても、夫婦の合意があれば離婚できます(協議離婚)。

しかし、一方の配偶者が離婚を拒否している場合には、最終的に裁判で離婚が成立するか否かを判断することになります。

プラトニック不倫の場合、裁判で離婚請求を認めてもらうのは難しいでしょう。

民法では、裁判で離婚を請求できる法定離婚事由が定められています(民法770条)。

(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
参照:民法 | e-Gov法令検索

裁判で離婚が成立するか否かは、裁判所の判断に委ねられますが、離婚が認められるには法定離婚事由が必要になります。

通常の不倫の場合は、配偶者に不貞な行為があったとき(民法770条1項1号)に該当することから、原則、離婚請求が認められます。

しかし、プラトニック不倫では、該当する法定離婚事由がないと判断されることから、裁判での離婚は難しいでしょう。

もっとも、プラトニック不倫が原因で、同居・協力・扶助義務を履行しない場合や、夫婦関係が修復不能なほどに破綻している場合には、悪意の遺棄(民法770条1項2号)や婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)に該当する可能性はあります。

この場合には、プラトニック不倫を理由とした離婚が認められる可能性があります。

プラトニック不倫を続ける5つのリスク

プラトニック不倫を続けるリスクは、次の5つです。

  • 不倫関係が長引く可能性
  • 肉体関係に発展する可能性
  • 家庭が崩壊する可能性
  • 社会的信用が低下する可能性
  • 慰謝料請求される可能性

以下、詳しく見ていきましょう。

不倫関係が長引く可能性

不倫関係が長引く可能性があるでしょう。

通常の不倫と異なり、プラトニック不倫は肉体関係を伴わないことから、当事者の罪悪感が薄くなる傾向にあるでしょう。

そのため、バレなければ大丈夫だろうといった考えのまま、ズルズルと関係が長引く可能性があります。

肉体関係に発展する可能性

肉体関係に発展する可能があるでしょう。

最初はお互いにプラトニックな関係で交際をしていても、時間が経つほど、親密な関係になるほど、だんだんと男女の関係に発展することはよくあることです。

プラトニック不倫だからと割り切っていても、肉体関係に発展する可能性があります。

家庭が崩壊する可能性

家庭が崩壊する可能性があるでしょう。

プラトニック不倫であっても、されている側の配偶者としては、許せない!と考える人が多いでしょう。

プラトニック不倫が原因で、離婚を切り出される可能性も考えられます。

社会的信用が低下する可能性

社会的信用が低下する可能性があるでしょう。

プラトニック不倫といっても、配偶者のいる人が配偶者以外の人と親密な関係にあることは、世間一般的にはよくないことと判断されるでしょう。

したがって、職場や友人といった周囲の人からの評価は下がることが考えられます。

慰謝料請求される可能性

慰謝料請求される可能性があるでしょう。

プラトニック不倫は、通常、肉体関係を伴わないことから、慰謝料請求は認められません。

しかし、肉体関係を伴わない交際であっても、その交際の態様によって夫婦の平穏な婚姻生活を侵害したと判断されれば、慰謝料請求が認められるでしょう。

したがって、プラトニック不倫であっても慰謝料請求されることが考えられます。

プラトニック不倫の慰謝料問題は弁護士に相談することをおすすめ

プラトニック不倫だから、慰謝料請求に発展することはないだろうと考えている人が多いかと思います。

しかし、プラトニック不倫であっても慰謝料請求が認められている裁判例もあります。

プラトニック不倫で慰謝料請求された場合には、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

プラトニック不倫は、通常の不倫とは異なる問題やリスクがあります。
プラトニック不倫だからと安易に考えていると、慰謝料請求や離婚請求といった大きなトラブルに発展する可能性もあるでしょう。

プラトニック不倫の慰謝料問題は弁護士へ相談するのをおすすめします。弁護士としてお手伝いできることがあるかもしれません。

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