事実婚のパートナーの浮気が発覚したものの、
「事実婚だから、法的に守ってもらえないのではないか。」と不安を抱えている方もいるかもしれません。
しかし、そのように感じる必要はありません。
事実婚(内縁関係)においても、一定の条件を満たせば、法律婚に準じた権利として浮気相手に対する慰謝料請求が認められる場合があります。
裁判所も、事実婚を法律婚に準ずる関係として保護しており、浮気相手に対する慰謝料請求が認められた裁判例も多数存在します。
もっとも、
- そもそも事実婚と認められる証拠がない
- 浮気相手が「独身だと思っていた。」と主張している
などのケースでは、慰謝料請求が認められない可能性もあります。
この記事では、
- 事実婚でも浮気相手に慰謝料請求できる条件
- 請求できる慰謝料の相場
- 請求が認められた裁判例・認められなかった裁判例
- 慰謝料請求を成功させるために必要な証拠と注意点
についてわかりやすく解説します。
「自分のケースでも浮気相手に慰謝料請求できるのか?」を判断するための材料として、ぜひ最後までご覧ください。
目次
事実婚でも浮気相手に慰謝料請求できる理由と条件【内縁・不貞行為】
事実婚(内縁)の関係にある場合でも、パートナーが浮気相手と肉体関係を持ったときは、浮気相手に対して慰謝料請求できる可能性があります。 法律上、婚姻届を提出していなくても、実質的に夫婦と同様の共同生活を営んでいる関係(事実婚・内縁)は、法律婚に準ずるものとして保護されます。
実際に、最高裁も【内縁関係は法律上の婚姻に準ずる関係である】と判示しており(最高裁昭和33年4月11日判決)、下級審においても、事実婚関係を侵害する不貞行為に対して慰謝料請求を認めた裁判例があります。
もっとも、事実婚であれば必ず慰謝料請求が認められるというわけではありません。 慰謝料請求が認められるためには、
- 本当に事実婚といえる関係にあったのか
- 浮気相手との間に肉体関係(不貞行為)があったのか
- 浮気相手が事実婚関係を知っていた、または知り得たのか
といった一定の条件を満たす必要があります。 次章では、事実婚で浮気相手に慰謝料請求が認められるための具体的な条件について、詳しく解説します。
事実婚で浮気相手に慰謝料請求が認められる3つの条件【内縁・不貞】
事実婚のパートナーに浮気された場合でも、無条件に浮気相手へ慰謝料請求が認められるわけではありません。
事実婚で浮気相手に慰謝料請求が認められるための条件は、次の3つです。
- 事実婚(内縁)が成立しているといえる関係かどうか
- 浮気相手との間に不貞行為(肉体関係)があること
- 浮気相手に事実婚関係についての故意または過失があること
以下、詳しく解説します。
①事実婚(内縁)が成立しているといえる関係かどうか
最も重要なのが、パートナーとの関係が事実婚(内縁)と認められることです。
事実婚とは、婚姻届を提出していないものの、当事者双方に婚姻の意思があり、実質的に夫婦と同様の共同生活を営んでいる関係です。
裁判では、次のような事情を総合的に考慮して、事実婚かどうかが判断されます。
- 長期間の同居や安定した共同生活があるか
- 生活費を分担し、生計を同一にしているか
- 周囲から夫婦として認識されているか
- 将来の結婚を前提とした生活実態があるか など
単なる恋人関係や、期限付きの同棲にすぎない場合は、事実婚とは認められず、慰謝料請求が否定される可能性があります。
②浮気相手との間に不貞行為(肉体関係)があること
浮気相手への慰謝料請求が認められるためには、原則として、パートナーと浮気相手との間に肉体関係(不貞行為)があることが必要です。
食事や連絡を取り合っていただけといった精神的な浮気だけでは、原則として慰謝料請求は認められません。 不貞行為の証拠としては、次のようなものが挙げられます。
- 性的関係をうかがわせるメッセージのやり取り
- ラブホテルへの出入りが確認できる写真・動画
- 肉体関係が推認できる状況が分かる映像・音声 など
直接的な証拠がなくても、複数の間接証拠を組み合わせることで不貞行為が認められるケースもあります。 ③浮気相手に事実婚関係についての故意または過失があること
浮気相手への慰謝料請求が認められるためには、浮気相手が、パートナーが事実婚関係にあることを知っていた、または知らなかったことについて過失があることが必要です。
つまり、
- パートナーが事実婚であると知りながら関係を持った
- 少し注意すれば事実婚関係に気づけた
といえる場合には、浮気相手に故意または過失が認められる可能性が高いと考えられます。
一方で、
- 独身だと聞かされていた
- 周囲から見ても事実婚関係が分からなかった
といった場合には、浮気相手に故意・過失がないとして、慰謝料請求が否定されることもあります。
| 【3つの条件のうちどれか1つでも欠けると慰謝料請求は難しい】 以上の3つの条件のうちいずれか1つでも欠けると、浮気相手への慰謝料請求は認められない可能性が高くなります。 そのため、事実婚の浮気問題では、
を、事前に整理・収集することが重要です。 |
次章では、そもそも事実婚と認められる条件とは何かについて、法律婚との違いも踏まえて詳しく解説します。
事実婚とは?|法律婚との違いと認められる条件
浮気相手に慰謝料請求が認められるかどうかは、パートナーとの関係が事実婚(内縁)と評価されるかが重要です。
法律婚と異なり、事実婚は、戸籍や婚姻届によって一目で確認できないため、裁判では生活実態をもとに個別具体的に判断されます。
ここでは、裁判実務で重視される事実婚と認められる条件と、法律婚との違いを整理します。
事実婚(内縁)とは?|法律上どのように扱われる関係か
事実婚(内縁)とは、婚姻届を提出していないものの、当事者双方に婚姻の意思があり、実質的に夫婦と同様の共同生活を営んでいる関係です。
法律婚との最大の違いは、
- 法律婚:婚姻届を提出し、戸籍上も夫婦とされる
- 事実婚:婚姻届は未提出だが、実質的には夫婦関係
という点にあります。
もっとも、裁判所は、事実婚についても法律婚に準じた法的保護を与えるべき関係と位置づけており、不貞行為によって事実婚関係が侵害された場合には、浮気相手に対する慰謝料請求を認めています。 事実婚と認められるために判断される2つの要件
事実婚が成立しているかどうかについて、主に次の2点が重視されます。
- 当事者双方に婚姻の意思があること
- 婚姻の意思に基づく共同生活があること
以下、詳しく解説します。
①当事者双方に婚姻の意思があること
事実婚が認められるためには、双方が将来的な婚姻を前提として生活していることが必要です。
単に、
- 付き合っている
- 便宜的に同棲している
というだけでは足りず、夫婦として共同生活を営む意思の合致が求められます。
裁判では、以下のような事情が婚姻の意思を基礎づける要素として考慮される傾向があります。
- 将来的な結婚を前提とした話し合いがあったか
- 周囲に配偶者として紹介していたか
- 子どもを持つことを前提とした生活設計があったか など
②婚姻の意思に基づく共同生活があること
もう一つの要件は、婚姻の意思に基づく安定した共同生活の実態です。
具体的には、次のような事情が総合的に判断されます。
- 同居している期間の長さ
- 生計を同一にしているか(生活費・家賃の分担など)
- 住民票や社会保険上の記載 など
同居期間も考慮要素の一つですが、期間だけで決まるものではなく、婚姻意思と共同生活の実態が総合的に判断されます。
同居していなくても事実婚と認められるケース
事実婚と認められるために、必ずしも常時同居している必要はありません。 たとえば、単身赴任や病気療養など正当な理由による別居であり、かつ、婚姻の意思を前提とした協力・扶助関係が継続している場合には、事実婚と認められる可能性があります。
一方で、
- もともと同居していない
- 将来の婚姻について具体的な話がない
といった場合には、事実婚が否定されやすくなります。
法律婚との違い|事実婚は証明が重要
法律婚の場合は、戸籍謄本を提出すれば婚姻関係を証明できます。
しかし、事実婚では、関係性そのものを証拠によって立証する必要があります。
そのため、事実婚で浮気相手に慰謝料請求をする場合には、事実婚関係を裏付ける証拠の有無が結果を左右します。 ### 事実婚の慰謝料相場|浮気相手に請求できる金額はどれくらい?
事実婚(内縁)のパートナーに浮気された場合、浮気相手に請求できる慰謝料の金額は、一般的に50万円~300万円程度が相場とされています。
もっとも、慰謝料の金額は一律ではなく、事実婚の実態や浮気の態様、精神的苦痛の程度など、さまざまな事情を考慮して決められます。
法律婚と比べて金額は下がる?
事実婚の慰謝料額は、法律婚よりもやや低い傾向にあります。
もっとも、事実婚の期間が長い場合や、生活実態が法律婚とほぼ変わらない場合には、法律婚と同程度、あるいはそれに近い慰謝料額が認められることもあります。
慰謝料額を左右する主な要素
裁判や示談交渉では、主に次のような事情が考慮され、慰謝料額が決まります。
- 事実婚(内縁)関係の期間
- 同居の有無や生活の安定性
- 浮気の期間・回数・態様
- 浮気によって事実婚関係が破綻したかどうか
- 浮気相手の認識(事実婚だと知っていたか)
- あなたが受けた精神的苦痛の程度
これらの事情が重いほど、慰謝料額は高額になりやすい傾向にあります。
高額な慰謝料が認められやすいケース 次のような場合には、事実婚であっても、比較的高額な慰謝料(200万円以上)が認められる可能性があります。
- 数年以上にわたり安定した事実婚関係が続いていた
- 事実婚関係が浮気によって完全に破綻した
- 浮気が長期間・反復継続していた
- 浮気相手が事実婚関係を明確に認識していた
相場どおりに請求できるとは限らない
注意すべきなのは、相場はあくまで目安であり、必ずその金額が認められるわけではないという点です。
特に、
- 事実婚と認められる証拠が弱い
- 浮気相手の故意・過失を立証できない
といった場合には、慰謝料が大幅に減額されたり、請求自体が認められなかったりすることもあります。
次章では、事実婚で浮気相手に慰謝料請求するために必要な証拠について、どのような証拠が有効か、具体例を挙げて詳しく解説します。
事実婚で浮気相手に慰謝料請求するために必要な証拠
事実婚(内縁)で浮気相手に慰謝料請求をする場合、結果を左右するのが証拠の有無です。
事実婚では、①事実婚関係そのものと、②不貞行為の存在を証拠によって立証する必要があります。
事実婚(内縁)を証明する証拠
まず必要となるのが、パートナーとの関係が事実婚であることを示す証拠です。
裁判で有力とされる証拠には、次のようなものがあります。
- 未届の妻(夫)と記載された住民票
- 内縁の配偶者として登録されている健康保険証・被扶養者資格
- 連名での賃貸借契約書や住宅ローン契約
- 共同名義で購入した不動産や高額な家財
- 結婚式・披露宴・婚約パーティーの写真や招待状
- 親族・友人に夫婦として紹介していたことが分かる資料 など
単体では弱い証拠であっても、複数を組み合わせることで、事実婚関係が認められる可能性が高まります。
浮気・不貞行為を証明する証拠
パートナーと浮気相手との間に肉体関係(不貞行為)があったことを示す証拠です。
以下のような証拠が不貞行為の立証に用いられます。
- 性的関係をうかがわせる LINE や SNS のメッセージ
- 行為中、または直後と分かる写真・動画
- ラブホテルに出入りする様子を撮影した写真・動画
- ラブホテルの領収書や利用履歴
- 車内での行為が記録されたドライブレコーダーの映像・音声 など
不貞行為は密室で行われることが多いため、直接的な証拠がなくても、複数の間接証拠を積み重ねることで慰謝料請求が認められるケースもあります。
浮気の証拠について詳しくは「浮気の証拠になるもの(一覧)」の記事をご参照ください。
浮気相手の認識(故意または過失)を示す証拠
浮気相手に慰謝料請求するためには、浮気相手がパートナーの事実婚関係を知っていた、または知り得たことも立証する必要があります。
次のような事情は、浮気相手の故意・過失を裏付ける要素になり得ます。
- パートナーが指輪を着用していた
- 自宅にあなたとの生活痕跡があった
- SNSに事実婚をうかがわせる投稿があった
- 職場や友人関係で事実婚関係が公知だった など
事実婚で浮気相手に慰謝料請求できないケースとは?
事実婚(内縁)のパートナーが浮気した場合でも、必ずしも浮気相手に慰謝料請求が認められるわけではありません。
次のようなケースでは慰謝料請求が認められないことがあります。
- 浮気相手が事実婚関係を認識していなかった場合
- 事実婚が証明できない場合
- 肉体関係(不貞行為)の証拠が不十分な場合
- 事実婚(内縁)関係が既に破綻していた場合
- パートナーから既に十分な慰謝料を受け取った場合
- 時効が成立している場合
以下、詳しく解説します。
浮気相手が事実婚関係を認識していなかった場合
浮気相手が事実婚関係を認識していなかった場合です。
浮気相手に対する慰謝料請求が認められるためには、浮気相手の故意または過失が必要です。
事実婚関係を知らなかったことに過失もない場合、不法行為は成立せず、慰謝料請求は認められません。
事実婚が証明できない場合
事実婚が証明できない場合です。
浮気相手への慰謝料請求には、まず事実婚であることの立証が不可欠です。
しかし、以下のような場合は事実婚の証明が難しく、請求が認められないことがあります。
- 同居期間が短く、婚姻の意思が不明確
- 生活費や家事の分担状況を示す証拠がない
- 友人・親族への夫婦としての紹介がない
肉体関係(不貞行為)の証拠が不十分な場合
肉体関係(不貞行為)の証拠が不十分な場合です。
肉体関係(不貞行為)を証明する証拠がなければ、原則として慰謝料請求は認められません。
具体的には次のようなケースです。
- LINEやメールだけで肉体関係が立証できない
- ラブホテルやホテル利用の写真・領収書がない
事実婚(内縁)関係が既に破綻していた場合
事実婚(内縁)関係が既に破綻していた場合です。
浮気(不貞行為)が行われた時点で、すでにあなたとパートナーとの関係が冷え切っており、事実婚(内縁)関係が破綻していたとみなされる場合、慰謝料請求は認められにくい傾向があります。
法律上、慰謝料は平穏な夫婦生活を侵害されたことに対する損害賠償です。そのため、元々事実婚関係(夫婦関係)が破綻していたのであれば、守るべき利益が存在しないと判断されるからです。
具体的には、以下のような状況が挙げられます。
- 浮気の前から長期間別居しており、交流が途絶えていた
- 離婚(内縁解消)に向けた具体的な話し合いがまとまっていた
- 家庭内別居状態で、生計も完全に別だった
ただし、単に仲が悪かった・喧嘩が多かったという程度では破綻とは認められず、慰謝料請求できる可能性は残ります。
パートナーから既に十分な慰謝料を受け取った場合
パートナーから既に十分な慰謝料を受け取った場合です。
すでに事実婚のパートナーから、今回の浮気に対する十分な慰謝料を受け取っている場合、浮気相手への慰謝料請求は認められません。
法律上、慰謝料は、パートナーと浮気相手が共同で責任を負う不真正連帯債務(ふしんせいれんたいさいむ)とされています。これは、パートナーと浮気相手がそれぞれ全額について責任を負う関係を指します。
これは、不貞行為の責任は2人が共同で支払う義務があるという意味です。 例えば、慰謝料総額が200万円相当と判断されるケースで考えてみます。
- ケースA:パートナーから既に200万円全額を受け取っている → 損害は補填されたとみなされ、浮気相手には請求できません。
- ケースB:パートナーから100万円だけ受け取っている → 残りの100万円についてのみ浮気相手に請求できます。
このように、慰謝料の二重取りはできない仕組みになっています。
慰謝料の二重取りについて、詳しくは「不倫慰謝料は二人に請求できる?二重取りと言われない請求方法は?」の記事をご参照ください。
| 【注意】後からパートナーに請求がいく求償権のリスクも 逆に、浮気相手だけに慰謝料の全額を請求して支払わせた場合、後日、浮気相手からパートナーに対して「私が全額払ったのだから、あなたの負担分を私に返してほしい。」と請求されることがあります。これを求償権(きゅうしょうけん)といいます。 パートナーとの関係修復を望む場合は、この求償権が行使されることで、家計全体で見るとプラスマイナスゼロになってしまう可能性があるため、誰にいくら請求するかは戦略的な判断が必要です。 求償権について、詳しくは「図でわかる!不貞慰謝料の求償権とは?知っておくべきポイントを解説」の記事をご参照ください。 |
時効が成立している場合
時効が成立している場合です。
慰謝料を請求できる権利には期限(時効)があり、この期限を過ぎると、原則として請求が認められなくなります。
浮気・不倫の慰謝料請求の時効は、次のいずれか早い方です。
- 不貞行為および浮気相手を知った時から3年
- 不貞行為の時から20年
特に注意が必要なのは、事実婚を解消してから3年ではなく、浮気の事実と相手を知ってから3年である点です。
「昔の浮気が許せないので、別れる今になって請求したい。」と思っても、浮気発覚から3年以上が経過していると、時効によって請求できない可能性があります。
裁判例で見る|事実婚の慰謝料請求
事実婚の慰謝料請求において、裁判所がどのような判断を下したのか、実際の事例を3つ紹介します。まずは結論を整理しました。
| 判決 | 慰謝料額 | 同居期間 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 認められた | 250万円 | 約8年 | 長期の同居、将来的な婚姻・出産を前提としていた |
| 認められた | 150万円 | 数年 | 転勤への帯同やマンションの共同購入があった |
| 否定された | 0円 | 約6年 | 被告(浮気相手)は事実婚関係について認識しておらず過失も認められなかった |
それぞれの事例について、詳しく解説します。
①【事例1】8年の同居と妊娠の事実を重視|慰謝料250万円

ルームシェアから始まった同居生活でしたが、実態として事実婚と認められ、慰謝料の支払いが命じられたケースです(東京地裁平成23年1月25日判決)。
状況
当初はルームシェアとして同居を開始し、家賃などは折半していましたが、同居初日から寝室を共にして性交渉をするようになり、家事は主にXが行っていました。
Xが妊娠(経済的理由で中絶)した経緯もありましたが、その後、Y1がY2(浮気相手)と交際し、妊娠・出産に至りました。
判決のポイント
裁判所は以下の理由から事実婚と認定しました。
- 約8年という長期にわたる同居期間があった
- 将来の結婚や出産を前提とした行動をとっていた
結果、Y1とY2に慰謝料250万円の支払いを命じました。
②【事例2】マンション共同購入を重視|慰謝料150万円

入籍はしていなかったものの、経済的な結びつきの強さから事実婚と認められたケースです(東京地裁平成22年2月25日判決)。
状況
年齢差や職場での立場を考慮して入籍はしていませんでしたが、XはAの転勤に合わせて引っ越し、同棲を続けていました。
判決のポイント
裁判所は以下の点から、強い婚姻意思と共同生活の実態を認めました。
- Aの転勤に合わせて、Xが住居を変えてまでついていった
- 共同名義でマンションを購入するなど、夫婦としての資産形成があった
結果、Y(浮気相手)に対し慰謝料150万円の支払いを命じました。
③【事例3】ただの同居人と紹介され請求が認められなかったケース

一方で、同居期間があっても事実婚とは認められず、慰謝料請求が認められなかったケースもあります(東京地裁平成29年8月2日判決)。
状況
大学卒業後から約6年間同居し、AはXの社会保険の扶養にも入っていましたが、Y(浮気相手)への請求は棄却されました。
判決のポイント
- AがYに「Xは同居人のようなもの」と説明しており、Yが事実婚を認識するのは困難だった
- 過去に婚姻届を用意したが提出せず放置しており、将来の結婚に向けた具体的な動きがなかった
- 浮気の時点ですでに2人の関係は冷え切っていた(形骸化していた)
結果、Yに対する慰謝料請求は認められませんでした。
事実婚の慰謝料請求で弁護士に相談するべき理由とメリット
事実婚の慰謝料請求で弁護士に相談するべき理由とメリットについて解説します。
個人での慰謝料請求が難しい理由
個人での慰謝料請求が難しい理由は次のとおりです。
①事実婚関係の立証が難しい
事実婚関係の立証ができなければ、原則として慰謝料請求は認められません。
住民票や保険証、共同生活の状況などを揃える必要があります。
②肉体関係(不貞行為)の証拠集めの難しさ
写真やメッセージ、ラブホテルの領収書など、複数の証拠を組み合わせて立証する必要があります。証拠不足だと請求が棄却される可能性もあります。
③交渉で感情的になりやすい
直接浮気相手に請求すると、相手とのトラブルや言い争いに発展するリスクがあります。
弁護士が介入する3つのメリット
弁護士が介入することで、次の3つのメリットがあります。
①証拠収集のサポート
弁護士は証拠の集め方を熟知しています。弁護士のサポートを受けることで、有利な証拠を集められる可能性が高まります。
②交渉力の強化
弁護士を通すことで、浮気相手も真剣に対応せざるを得ません。さらに、直接対面せずに済むため、心理的負担も軽減されます。
③請求額の適正化
過去の裁判例や慰謝料の相場に基づき、無理のない金額設定と回収可能性の高い請求を行えます。
事実婚で浮気相手に慰謝料請求する際のよくある質問(FAQ)
事実婚(内縁)の浮気問題は状況が複雑で、よくある疑問が多くあります。
ここでは、代表的な質問に分かりやすく回答します。
事実婚で浮気したパートナーにも慰謝料請求できますか?
はい、可能です。 事実婚(内縁)でも法律婚と同様に、パートナーが他の人と肉体関係を持った場合は不貞行為に該当し、浮気相手だけでなくパートナーに対しても慰謝料を請求できます。
ただし、証拠収集が不十分だと請求が認められない可能性があるため、慎重な準備が必要です。
同棲期間が短くても慰謝料請求は可能ですか?
同棲期間が短くても、婚姻の意思と共同生活が認められれば請求が認められる可能性はあります。 ポイントは以下のとおりです。
- 形式よりも、婚姻意思の有無や共同生活の実態が重視される
- 生活費や家事分担、同居の状況などを示す証拠が重要
ただし、短期間の場合は事実婚関係と認められるかどうかが争点になりやすく、証拠の充実がカギです。
まとめ
事実婚(内縁)でも、一定の条件を満たせば、浮気相手に対する慰謝料請求は原則として可能です。
ただし、以下のポイントを押さえることが非常に重要です。
- 事実婚関係の成立・不貞行為の有無・浮気相手の認識の証明が必要
- 証拠収集や交渉を有利に進めるためには、早めに弁護士へ相談することが成功の鍵
事実婚の浮気問題は、法律婚同様の権利が認められる一方で、証明や手続きが複雑です。
正しい手順と適切な証拠準備で、慰謝料請求を確実に進めましょう。
ネクスパート法律事務所では、浮気・不貞問題に強い弁護士が多数在籍しています。
ご来所による面談はもちろん、仕事が忙しくて相談に行けない人や遠方にお住まいの方のためにオンライン法律相談サービスも実施しています。
初回相談は30分無料ですので、ぜひ一度ご相談ください。









