【弁護士解説】飲食店の開業に際して必要な許認可と営業許可取得までの流れ

新規に飲食店を開業する場合には、どのような営業許可を取らなければならないのでしょうか。

本稿では具体的な許認可等の取得の流れや営業許可等の取得までの期間を記載していきます。

目次

飲食店を開業する際の営業許可について

飲食店では、消費者が体内に摂取する食品を扱います。そのため、健康被害が生じることを防ぐ目的から、飲食店の営業は許可制となっています(食品衛生法55条1項)。

一般的な飲食店は、飲食店の営業許可さえあれば問題ありません。

万一、無許可での営業を行うと、2年以下の懲役または200万円以下の罰金等の罰則を受けることもあります。

※風営法等が関わる飲食店については、別途記事を作成予定です。

営業許可取得までの流れ

(1)保健所への相談

営業許可を得るためには、まず店舗所在地を管轄する保健所に事前相談を行います。店舗の工事の前に、店舗の設計図面を持参してください。居抜きの店舗を利用する場合には、現状を図面に起こして相談すればよいでしょう。

事前相談の際に指摘された事項は、施設の確認検査までに改善しなければなりません。

(2)申請書類の作成

一般的には営業許可申請書、図面、食品衛生責任者の資格証明書が必要ですが、各自治体で必要書類や費用等が異なります。事前相談の際に確認するとよいでしょう。

書類の作成に当たっては、専門的な知識が必要になることも多いため内装業者等の専門家と相談しながら進めるべきでしょう。

開業を急いでいる場合には、施設検査の少なくとも1週間から10日ほど前には申請書類を提出しておきましょう。

なお、令和3年6月1日とり、厚生労働省による「食品衛生申請等システム」の運用が開始されており、オンラインでの許可申請、届出等が可能になっています。

(3)確認検査

申請書類の提出が終わると、保健所の担当者が店舗の実地検査を行い、施設基準を満たしているか、施設が申請内容と一致しているか、事前相談の際の指摘点が改善されているか等を検査します。構造等にもよりますが、1時間~2時間程度で終わる場合が多いです。基本的には営業許可を受ける方の立会いの下で行われ、問題がなければ営業許可書の交付予定が書かれた書面が交付されます。対して、問題があった場合には、その場で指摘をされ、改善したうえ再度検査を受けることになります。

(4)営業許可書の交付及び営業の開始

通常、検査から1週間程度で営業許可書が作成されるため、予定日になったら保健所で営業許可の交付を受けます。

厳密には営業許可がされる日と、営業許可書が作成される日は異なり、営業許可がされた日から営業が開始できます。

営業許可を得たら、いよいよ営業ができます。営業を開始する際には、食品衛生責任者の名札を施設内に掲示する必要があります。名札については各自治体で定めが異なっていますので注意が必要です。これに対して、営業許可書については、法的には刑事の義務はありません。

営業開始後に内装工事等により申請内容に変更が生じた場合には、直ちに保健所に届け出る必要があります。

食品衛生責任者について

食品衛生管理者は、食品衛生上の管理運営を行うための全国共通の資格です。すべての飲食店は、食品衛生責任者を置く必要があります。

食品衛生責任者になるためには、食品衛生責任者養成講習会を受講し、修了する必要があります。講習会は、保健所もしくは各自治体が指定した民間団体が定期的に実施しています。

他方、栄養士や調理師等の資格を有している方は講習会を受講しなくても食品衛生責任者になれます。食品に関する資格を有している方や大学等で専門課程を経た方は管轄の保健所に確認をしてください。

講習会は、およそ1万円程度で受講可能です。日時、場所、持参書類等は自治体によって異なるため、管轄の保健所に問い合わせてみてください。

講習会は、午前から夕方まで1日かけて行われ、遅刻・早退等をすると修了不可となります。すべての講義を受講した後、一応テストがあります。厳密に合格点が決まっているものではなく、あまり構える必要はないでしょう。

テストを終えると、講習会場で食品衛生責任者手帳が交付されます。営業許可申請の際にも使用しますので大切に保管しておきましょう。なお、施設内に掲示する名札も同時に販売されますので、一緒に購入しておくと便利です。

開業までの期間が迫っているような場合には、保健所に対して、食品衛生責任者を直ちに設置する旨を誓約する書面を提出することで、少しの間食品衛生責任者の設置を猶予してもらうことができます。期間は厳密には決められていませんが可及的速やかに食品衛生責任者を設置しなければ、営業許可自体が取消されることもあり得ます。

なお、食品衛生責任者は、各施設に必ず1人置く必要があります。営業許可を受けた本人以外でも食品衛生責任者になることができますが、1人が複数店舗を兼任することは認められません。

おわりに

以上のように、飲食店の営業開始に当たっては営業許可や食品衛生責任者の取得が必要になります。書類の作成、手続き等懸念点などが生じた場合には是非無料相談をご利用ください。

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