更新日:2026年2月26日 (木)

公開日:2025年2月17日 (月)

亡くなった夫の裏切りが発覚!死後でも慰謝料請求は認められる?

亡くなった夫の裏切りが発覚!死後でも慰謝料請求は認められる? 亡くなった夫の裏切りが発覚!死後でも慰謝料請求は認められる?

サマリー

亡くなった夫の不倫が発覚したあなたは、夫に裏切られていたことに対する悲しみと怒りがないまぜになった気持ちを抱えて、苦しんでいることでしょう。
夫を問い詰めることもできず、「せめて不倫相手に慰謝料を請求したい」と考えていませんか?

この記事では、夫の死後でも不倫相手に対する慰謝料請求は認められるか、死後に慰謝料を請求する際の注意点についての解説に加え、死後の慰謝料請求を認めた判例も紹介します。
焦って行動するのは賢明ではありません。この記事をご一読いただき、今後の対応を冷静にご検討いただければと存じます。

亡くなった夫の裏切りが発覚!死後でも慰謝料請求は認められる?

夫の死後でも、不倫相手に対する慰謝料請求が認められる可能性があります。

不倫(不貞行為)は共同不法行為に該当するため、当事者の一方が亡くなっても、もう一方の当事者が損害賠償責任を負っていることに変わりないためです。

ただし、不貞行為に基づく慰謝料請求が認められるためには、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 不貞行為の時点であなたと夫が婚姻関係にあった
  • 夫と不倫相手の間に肉体関係があった
  • 不貞行為の時点であなたと夫の婚姻関係が破綻していなかった
  • あなたの夫が既婚者であると不倫相手が知っていた、または知る余地があった

不貞行為に基づく慰謝料請求が認められる条件について、詳しくは「不倫の慰謝料請求できる4つの条件と慰謝料請求が難しい4つのケース」をご参照ください。

条件を満たしている場合でも、不倫相手の氏名・住所がわからない場合や、不貞行為の証拠がない場合は、慰謝料請求は難しいです。夫の死後に不倫が発覚した場合は、夫の目を気にすることなく、慰謝料請求の準備ができます。遺品の中に不倫相手を特定する情報や不貞行為の証拠になりそうなものがないか、落ち着いて探してみましょう

収集すべき不貞行為の証拠については、「浮気の証拠になるもの13選と自力で証拠を集めるポイント・注意点」をご参照ください。

亡くなった夫の裏切りが発覚し死後に慰謝料を請求する際の注意点

夫の死後に慰謝料を請求する際の主な注意点として、以下の2つが挙げられます。

  • 慰謝料請求には時効がある
  • 夫の相続人であるあなたは慰謝料債務を相続する

以下で、詳しく解説します。

慰謝料請求には時効がある

慰謝料請求には時効があります

慰謝料請求権は、以下のいずれか早い時点を経過すると、時効の成立により消滅します(民法第724条)。

  • 不貞行為があったことと不倫相手の氏名・住所を知った時から3年
  • 不貞行為があった時から20年

時効が成立すると、不倫相手に対する慰謝料請求はできなくなります

つまり、不倫の事実や不倫相手の存在を知った後、何ら行動を起こさずに3年が経過すると、慰謝料を請求できなくなる可能性があります。夫の死後に不倫の事実が発覚した場合でも、それが20年以上前の出来事であれば、慰謝料を請求するのは現実的に難しいでしょう。なお、すぐに行動を起こせない場合は、内容証明郵便を送付して時効の完成を猶予したり、訴訟を提起して時効を更新したりすることで、時効の成立を阻止できます。

「不倫相手に対して慰謝料請求したいがすぐに動けない」「時効が成立しているかどうか判断できない」などと悩んだら、弁護士への相談を検討しましょう。慰謝料請求権の消滅時効について、詳しくは「不倫慰謝料の消滅時効とは|民法改正による変更点」をご参照ください。

夫の相続人であるあなたは慰謝料債務を相続する

夫の相続人であるあなたは、慰謝料債務を相続します

相続放棄をしないかぎり、あなたは亡くなった夫の権利や義務も相続します。そのため、不倫相手から慰謝料を獲得できても、不倫相手に求償権を行使されれば、あなたが不倫相手に対して亡くなった夫の責任部分を支払わなければなりません

求償権とは、共同不法行為をした当事者の一方が自身の責任部分を超えて慰謝料を支払った場合に、責任部分を超えた部分の支払いをもう一方の当事者に請求できる権利です。

例えば、あなたが不倫相手に対して慰謝料100万円を請求し、不倫相手が100万円を支払った場合、不倫相手に求償権を行使されれば、亡くなった夫の相続人であるあなたは夫の責任部分50万円を支払わなければなりません。子ども等も相続人となる場合、あなた以外の相続人も不倫相手から求償権を行使されるおそれがあります。

夫の死後に不倫相手に慰謝料を請求する場合は、求償権を放棄させて、示談書に記載すると良いでしょう。求償権放棄について、詳しくは「求償権放棄とは?放棄させるメリット・デメリットをわかりやすく解説」をご参照ください。

【補足】
もっとも、夫の死後に慰謝料を請求する場合、不倫相手に対して慰謝料を請求できる権利と、不倫相手からの求償権行使に応じる義務の2つの法律上の地位が相続人に帰属(混同)するため、不倫相手に対する慰謝料請求は、不倫相手の責任部分しか認められない可能性もあります。

亡くなった夫の裏切りについて死後の慰謝料請求を認めた判例

亡くなった夫の裏切りについて死後の慰謝料請求を認めた2つの判例を紹介します。

東京地裁平成30年 1月31日|認容額100万円

亡くなった夫の生前の継続的な不貞行為により精神的苦痛を被ったと主張して、不倫相手に対して慰謝料の支払いを求めた事案です。

 

X・A・長女・二女は東京都で同居していましたが、子どもらの米国留学に伴い、Xと子どもらはニューヨーク市に移住、AはXと相談し、茨城県に1LDKの自宅を購入しました。

その後、Aは直腸がんの治療のため入退院を繰り返していましたが、Xに対して以下のような告白をしてすぐに亡くなりました。

  • 長年にわたり独身のYと不貞関係を続けていること
  • Xや子どもらを裏切って申し訳ないと思っていること
  • Yの写真ややり取りのメモ等が勤務先の机の引き出し等に入っていること

YとAは、ホステスと客として出会いました。Yは不貞行為の存在を否定しましたが、裁判所は、以下の事実からXとYはホステスと客の関係にとどまらず、不貞関係にあったと判断しています。

  • 複数回ホテルや茨城県の自宅に2人きりで宿泊している
  • Yが裸での写真撮影を許している

裁判所は、XとAの別居期間は長いが互いに行き来はあり、夫婦関係が破綻していたとはいえないとし、Yが当初は亡Aが既婚者だと知らなかったとしても、Aの自宅に行った際には既婚者であると気がついていたと推認できるとして、不法行為の成立を認めました。

裁判所は、Yに対して慰謝料100万円の支払いを命じています。なお、この事例では、相当因果関係を有する損害として、弁護士費用10万円の支払いも命じています。

東京地裁平成27年 4月14 |認容額250万円

亡くなった夫との不貞行為及びいやがらせ行為等により精神的苦痛を受けたと主張して、不倫相手に対して慰謝料の支払いを求めた事案です。

XはAとの婚姻後、子どもらとともにA所有のマンションで同居していました。しかし、Xの職場が遠く、体力的に通勤が困難だったため、Aと相談の上、Xと子どもらはX所有のマンションに転居しました。平日は別居状態でしたが、週末はAのマンションで過ごしていました。

その後、Aは、がんの治療のため入通院を繰り返していましたが、Xに入院・手術予定を事前に知らせず、退院後、事後的に報告していました。その後、治療の甲斐なくAは死亡しましたが、XはAの母から電話でAの訃報を知らされました。

AがXを遠ざけるような言動をとったのは、Aが被告と知り合った頃以後であることが証拠上明らかになっています。

裁判所は、YとAが不貞関係にあったか否かは明らかではないとしつつも、以下の事実から、YがXA間の健全な婚姻関係の継続を困難にしたと判断しました。

  • AとYが宿泊旅行に出かけたり頻繁に会ったりする親密な関係であったこと
  • Aのがん発覚後、AまたはYは、Xに対して、A所有のマンションへの訪問を拒絶する内容のメールを送信していたこと
  • Yが、Aに対して、病状や入院することをXに伝えないように頼んだこと
  • Yが、医師に対してAの妻だと装い、説明等を受けていたこと
  • Yが、Aに対して、YとAの母以外の見舞いを断るように言っていたこと

この事案では、Yに対して慰謝料250万円の支払いを命じていますが、Yの行為によって、Xが病身のAを見舞ったり、介護したりする機会や、生前に会う機会を失ったことで多大な精神的苦痛を受けたことに加え、以下の事実が考慮されています。

  • Xが精神科病院に通院しなければならない状況となり、心因反応と診断されたこと
  • 精神的苦痛から休職を余儀なくされたこと

まとめ

慰謝料請求の条件を満たしていれば、死後でも請求が認められる可能性がありますが、あなたは亡くなった夫の慰謝料債務も相続するため、適切な対応が求められます

「亡くなった夫の不倫相手に慰謝料を請求したい」とお考えなら、ぜひネクスパートにご相談ください。

不貞問題に精通した弁護士が、あなたの状況を考慮した適切な解決策をアドバイスいたします。

初回相談は30分無料です。お問い合わせはLINE・メールで24時間受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

コラム監修者

SHIZU ISHIDA

SHIZU ISHIDA

所属:東京オフィス

広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。

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