「慰謝料請求を有利に進めるには、どのタイミングで証拠を出すべき?」
「離婚の話し合いの際に、不貞の証拠を見せてもよい?」
「不貞を辞めさせたいだけの場合は、証拠をどう使うのがベスト?」
証拠は、その内容はもちろん、それを出すタイミングも重要です。
証拠を出すタイミングを誤ると、証拠を握りつぶされたり、証拠が使えなくなったりするおそれがあります。
手元の証拠を最大限活かすためには、証拠を出す効果的なタイミングを知ることが大切です。
せっかく苦労して集めた証拠が無駄になることは避けたいですよね。
この記事を参考に、手元の証拠を最大限活かす方法を検討しましょう。
不貞行為の証拠を出す効果的なタイミング
不貞行為の証拠を出す効果的なタイミングは、次の2つが揃った時です。
- 不貞行為の証拠が十分揃ったとき
- 相手が不貞行為の存在を否定したときや嘘の説明をしたとき
以下、詳しく説明します。
①不貞行為の証拠が十分揃ったとき
不貞行為の証拠が十分揃ってから証拠を出しましょう。
証拠が十分でないと、相手に言い訳をする余地を与えるからです。
例えば、配偶者と不倫相手のツーショット写真を見せた場合です。
この証拠だけでは、配偶者は、「友人たちと集まっていて、その場のノリで撮っただけ。」「仲は良いがやましい関係は一切ない。」などと、いくらでも言い訳ができます。
配偶者の言い分が嘘でも、それを覆す証拠がなければ、それ以上の追及は難しいです。
不貞を認めないどころか、証拠隠滅や不倫相手、友人などとの口裏合わせを図る可能性もあります。
証拠が不十分な段階で相手に見せると、その後、新たな証拠を集めにくくなるでしょう。
しかし、先ほどのツーショット写真のほかにも、同日のラブホテルの領収書や肉体関係があったことを示すLINEのやり取りがあった場合はどうでしょう。
先ほどのケースよりも、言い訳をするのが難しいでしょう。
したがって、言い逃れできない程度に十分な証拠が揃ってから証拠を出しましょう。
②相手が不貞行為の存在を否定したときや嘘の説明をしたとき
①に加えて、相手が不貞行為の存在を否定したときや嘘の説明をしたときに証拠を出しましょう。
不貞行為の存在を否定したり、嘘の説明をしたりするのは、このまま誤魔化せるのではないかと甘く考えているからです。
決定的な証拠がない限りは、慰謝料請求や離婚請求などの法的措置をとるのが難しいことを、相手が知っている可能性が高いでしょう。
このような場合は、十分な証拠を提示しない限り、不貞や嘘を繰り返す可能性が高いです。
このタイミングで十分な証拠を示すことで、不貞を認めざるを得ない状況にできます。
不貞の疑いがあることを伝えた段階で、相手がすぐに不貞を認めた場合は、無理に証拠を出す必要はありません。
今後、慰謝料請求や離婚請求をする段階で、相手が発言を撤回した時などのために残すのがよいでしょう。
不貞行為の証拠を出すタイミングを誤るとどうなる?
不貞行為の証拠を出すタイミングを誤ると、どうなるのでしょう?
早すぎる場合と遅すぎる場合のそれぞれについて、解説します。
早すぎると証拠を握り潰される
証拠を出すのが早すぎると、証拠を握りつぶされる可能性があります。
なぜなら、証拠に対する対策の時間を与えるからです。
例えば、配偶者が不倫相手の家に入る瞬間の写真を提示した場合、その場では、動揺して不貞を認めるかもしれません。
しかし、後日の話し合いの場で、「不貞はしていない。」「あの日は、仕事の話をするために少し家にお邪魔しただけ。」などと、発言を変える可能性もあるでしょう。
証拠を出すのが早すぎると、相手に証拠の穴をつくためや反論をするための十分な時間を与えます。
さらに、それに関連する証拠の隠滅をされる可能性もあるでしょう。
早めに弁護士に相談し、対策を練ってくるかもしれません。
遅すぎると証拠を使えなくなる
裁判では、証拠を出すのが遅すぎると、証拠を使えなくなる可能性があります。
民事訴訟法第157条にも、次のように定められています。
当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。
引用:民事訴訟法第157条|e-Gov法令検索
つまり、証拠を提出できたにもかかわらず提出を遅らせたり、提出を忘れたりした場合は、裁判でその証拠が使えない可能性があります。
この場合、その証拠の存在は相手に不意打ちになるため、相手にも反論の機会を与える必要があり、裁判が長引くからです。
裁判は、原告と被告の双方が、主張と反論、立証を繰り返し、それらをもとに、裁判官が判決を下します。
十分な時間をかけて主張と反論、立証を尽くした後に、急に新たな証拠を出すと、追加で主張と反論、立証の場を設けなければなりません。
これを許すと、いつまでも判決を下せません。
したがって、裁判では、適切なタイミングで証拠を出す必要があります。
目的別|不貞行為の証拠を出すタイミングと抑えるべきポイント
不貞行為の証拠を出す効果的なタイミングは1章のとおりですが、証拠を出す目的によっては、証拠を出すこと自体を慎重に検討すべきです。
以下、次の3つの目的別に、証拠を出すタイミングと抑えるべきポイントを解説します。
- 配偶者に反省をさせたい・関係解消を約束させたい
- 配偶者に対し慰謝料請求・離婚請求をしたい
- 不倫相手に対し慰謝料請求をしたい
配偶者に反省させたい・関係解消を約束させたい
配偶者に反省させたい・関係解消を約束させたい場合は、証拠が揃い次第、早い段階で証拠を見せて話し合うのもひとつの方法です。
配偶者が不倫相手と会い続けるのを見て見ぬふりし続けるのは、精神的な負担がかかるでしょう。
慰謝料請求や離婚請求を全く考えていないのであれば、決定的な証拠がなくても、ある程度の証拠が揃い次第、話し合いを進めてもよいかもしれません。
ただし、あくまで話し合いで解決できるように、感情的に問い詰めることはおすすめしません。
夫婦関係に亀裂を生じさせかねないからです。
特に、離婚をする予定がない場合は、配偶者に対して不貞を認めるよう厳しく追及するのではなく、まずは不貞に関する弱い証拠を提示し、「正直に話してほしい。」「別居や離婚はなるべくしたくない。」といった意思を見せ、配偶者が自発的に不貞を認めるように誘導しながら話し合いを行うことが大切です。
話し合いができたら、誓約書を作成することをおすすめします。
誓約書の存在は、不貞の再発防止に繋がるだけでなく、将来、離婚などの話が出た際に、あなたに有利に働くでしょう。
夫婦間の誓約書について、詳しくは「夫婦間で交わす誓約書の書き方|再構築するためのテンプレート付き」の記事をご参照ください。
配偶者に慰謝料請求・離婚請求をしたい
配偶者に慰謝料請求・離婚請求をしたい場合は、正式に動き出すまでは証拠を出さないのもひとつの方法です。
なぜなら、配偶者を泳がせていた方が、より多くの証拠を確保しやすいからです。
不倫慰謝料の金額は、不貞回数が多いほど、不貞期間が長いほど、高い傾向にあります。
証拠が多ければ、それだけ多くの不貞を証明できる可能性が高いでしょう。
さらに、慰謝料や離婚に関して、配偶者との話し合いで決着がつかない場合は、最終的に裁判を起こす必要があります。
裁判では、証拠をもとに事実認定を行いますから、交渉段階よりも、より決定的な証拠が必要です。
裁判に進む可能性を考慮して、決定的な証拠は残すのもひとつの方法でしょう。
不倫相手に対し慰謝料請求をしたい
不倫相手に対し慰謝料請求をしたい場合は、不倫相手に慰謝料請求するまでは、配偶者にも証拠を見せないのもひとつの方法です。
なぜなら、配偶者に見せることで、不倫相手に話が伝わり、対策される可能性があるからです。
配偶者の自白を取り、それも合わせて証拠にしたいと考えている方もいるかもしれません。
その場合は、1章のとおり、言い逃れをされないよう十分な証拠を集めてから問い詰めましょう。
さらに、配偶者に証拠を出す場合は、別データでも保管することをおすすめします。
逆上した配偶者に、その場で消すよう迫られ、証拠が消滅したというケースも多々あります。
配偶者に証拠を見せた時、不倫相手をかばうのか、あなたに協力的な姿勢を見せるのかは、人それぞれです。
配偶者がどのような行動に出るのか、弱い証拠を提示して探ってみるのもよいかもしれません。
証拠はいつ出すかだけじゃない!どう使うかも重要
証拠を最大限に活かすためには、証拠を出すタイミングだけではなく、証拠の使い方も重要です。
証拠の使い方については、次の2つのポイントを抑えましょう。
- 証拠の組み合わせで説得力を高める
- 証拠を出す順番を工夫して効果的に使う
以下、詳しく解説します。
証拠の組み合わせで説得力を高める
証拠の組み合わせで説得力を高めましょう。
複数の証拠を組み合わせることで、言い訳をする余地を減らせます。
ひとつでは証拠として弱くても、組み合わせることで有力な証拠になる場合もあります。
例えば、次の証拠を示したケースです。
【ケース①】
・映画館のチケット2枚
これだけでは、同性の友人と見に行ったなどといくらでも言い逃れられるでしょう。
では、次の証拠を示したケースです。
【ケース②】
・映画館のチケット2枚
・同日のLINEのやり取り(「大好き。」など恋愛感情を示す表現を含む。)
この場合、不倫相手と映画館に行ったことは認めざるを得ないでしょう。
しかし、LINEのやり取りは、「悪ふざけで送った。」などと言い逃れができます。
【ケース③】
・映画館のチケット2枚
・同日のLINEのやり取り(「大好き。」など恋愛感情を示す表現を含む。)
・同日のラブホテルの領収書
この場合、言い逃れは難しいでしょう。
もちろん、これら3つは、決定的な証拠とまでは言えませんから、それでも言い逃れされる可能性はあります。
しかし、ここまでのように、証拠があればあるほど、徐々に言い逃れしにくくなります。
証拠の収集は根気のいる作業ですし、なかなか見つからないかもしれません。
ですが、些細な証拠でも、組み合わせることで、不貞を証明できる可能性があります。
できるだけ多くの証拠を獲得することをおすすめします。
証拠を出す順番を工夫して効果的に使う
証拠を出す順番を工夫して効果的に使いましょう。
いきなりすべての証拠を提示しても、相手が必ず不貞を認めるとは限りません。
何とかして言い逃れようと、あの手この手を使って不貞を否定する可能性も十分あります。
この場合、あなたとしては、これ以上相手を追及するのが難しいでしょう。
交渉段階では、弱い証拠から提示することをおすすめします。
まずは、弱い証拠を提示し、相手が否定や嘘をついたら、それを崩す証拠をひとつずつ出しましょう。
そして、決定的な証拠は最後に提示しましょう。
相手が頑なに否定する場合や徹底的に争う姿勢を見せる場合は、裁判になるまで残すのもひとつの方法です。
慰謝料請求・離婚請求を考えているなら証拠を出す前に弁護士に相談を
慰謝料請求・離婚請求を考えている場合は、相手に証拠を出す前に、弁護士に相談することをおすすめします。
証拠を出すタイミングを誤ると、せっかく苦労して集めた証拠も無駄になる可能性があります。
そもそも、証拠として十分でない可能性もあります。
相手に言い逃れされたり、完全に不貞を否定されたりした後に、「もう一度証拠を集めよう」「交渉の仕方を考え直そう」と思っても、既に手の内を明かした以上、難易度が上がります。
したがって、証拠を出す前に弁護士に相談しましょう。
弁護士であれば、あなたの集めた証拠を最大限活かす方法を熟知しています。
弁護士の交渉力とベストなタイミングでの証拠提示によって、あなたに有利な解決ができる可能性が高くなるでしょう。
まとめ
不貞行為の証拠を出す効果的なタイミングは、次の2つが揃った時です。
- 不貞行為の証拠が十分揃ったとき
- 相手が不貞行為の存在を否定したときや嘘の説明をしたとき
ただし、証拠を提示する目的や、持っている証拠の種類によって、ベストなタイミングは様々です。
慰謝料請求や離婚請求を考えている方は、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
証拠を出すタイミングは、解決の結果を左右する重要なポイントです。
弁護士に相談し、あなたが一生懸命集めた証拠を最大限活かしましょう。
ネクスパート法律事務所では、不貞問題に強い弁護士が多数在籍しています。
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コラム監修者
SHIZU ISHIDA
所属:東京オフィス
広島県広島市出身。青山学院大学心理学科、東海大学法科大学院卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。弁護士として法曹界に入り、刑事、民事、法人案件等幅広い分野の専門知識を習得。弁護士登録10年目にしてネクスパート法律事務所に入所し、現在は主に離婚事件に注力している。