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東京都中央区・東京駅八重洲口すぐのサウナ浴場に対して2億5000万円の立退料が認められたケース

東京都中央区、東京駅八重洲口の至近にあるにあるビル。その3階から7階部分を月約600万円で借りサウナ浴場等を経営してきた借主。しかし、建物を建替えるとして立退きを求められます!裁判所が借主に対して2億5000万円の立退料を認めたポイントは?
裁判所が考慮した事実(東京地判平成23年3月10日)
倒壊の危険が重視されなかった!
本件建物は、築40年を超える建物で、老朽化が激しく、地震により倒壊や崩壊の危険がある状況でした。しかし、裁判所は、耐震強度の問題は、借主側の問題ではなく、むしろ貸主側の問題であり、また、本件建物の賃料算定にあたり、老朽化の問題が一切考慮されていないことからすると、立退きの可否の判断に際し、重視すべきでないとの判断をしました。
借主は10年以上サウナ浴場を経営し、事業は大きかった!
借主は、10年以上の間本件建物でサウナ浴場を経営してきており、固定客も少なからず存在していました。また、借主の収入源は、サウナ浴場の経営のみでしたが、借主の従業員が数十人もおり、また、同一立地で同一規模の物件を確保するのは相当に困難な状況でした。これらのことから、裁判所は、借主が本件建物を使用する必要性が相当高いとの判断をしました。
借主の契約違反はそれほど大きくなかった
貸主は、借主側が、看板の違法設置、無断増改築、階段付近の障害物の設置、用法違反等を主張しましたが、増改築、用法違反に関しては、従前の貸主や前貸主とのやり取りから明示又は黙示の許諾があったのではないかとの判断がされました。また、障害物の設置に関しては、問題があるとしつつも、軽微な違反で、多少立退きの可否の判断で考慮すべきと判断したにすぎませんでした。
以上のような事情を総合して、裁判所は高額の立退料を認めました。
弁護士が解説する立退料算定のポイント
本件で特徴的なのは、倒壊の危険が貸主の利益として判断されていない点にあります。
これは、他の裁判例で多くある事案とは異なり、貸主側が建て替えの具体的な見通しを一切示していないことが理由であるものと思われます。現に建替えを計画しているのでなければ、そのために借主を立ち退かせる必要性はその時点で無いことは明らかですし、建替えを行わないのであれば、老朽化という事情は宙ぶらりんのままいかなる必要性につながるのか判断できない状態となります。
このことからわかることは、有利そうに見える事情や不利そうに見える事情が、いかなる理由で貸主が借主を立ち退かせる必要性、又は借主が当該建物を使用し続ける必要性に繋がるのかを良く意識すべきであるということです。