中央区銀座・料亭に対し2000万円の立退料が認められたケース

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東京都中央区銀座にある8階建のオフィスビル。その地下1階部分を月約150万円で借り、料亭として使用してきた借主。しかし、建物を建替えるとして立退きを求められました!裁判所が借主に2000万円の立退料を認めたポイントとは?

 裁判所が考慮した事実(東京地判平成22年5月20日) 

経年劣化の影響は少なかったものの、本件建物の耐震性には問題があった

本件建物は、築約45年の建物で、震度6強から震度7の地震で倒壊する危険がある状態にありました。また、本件建物の外観の経年劣化の影響は少なかったものの、耐震補強工事をした場合、天井が非常に低くなり、窓からの採光にも大きな影響があるなど、オフィスビルとしての機能に支障がある状態でした。また、耐震工事には、12億5000万円ほどかかる状況にありました。これらのような点から、裁判所は、建替えの必要性が高い旨の判断をしました。

料亭は借主の運営において重要な店舗であった

借主は、外食業界全般で事業展開をしていましたが、高級料亭、高級日本料理は、本件建物で行っていた店舗のみでした。借主の料亭は、ミシュランガイドで2年にわたり1つ星の評価を受け、知名度が近年飛躍的に上がっている状態でした。このような点から、裁判所は、料亭の運営は借主にとって非常に重要である旨の判断をしました。

借主の高級料亭は移転が困難ではなかった

借主の料亭は、創業約80年でしたが、本件建物での運営は約10年間だけでした。そのため、料亭のブランド力は、本件建物で築かれたものとはいい難い状況にありました。また、銀座という立地的にも、高級料亭を営むことができる場所は多く見込まれる状況で、貸主もその候補を提示していました。このことから、裁判所は、借主の移転は困難ではない旨の判断をしました。

弁護士が解説する立退料算定のポイント

本件で特徴的なのは、当事者双方の利益の判断において、本件建物の効用に注目された判断が多くされている点にあります。貸主側の事情としては、本件建物の老朽化だけでなく、本件建物がオフィスビルである点にも注目して、どのような対応を貸主がとるのが合理的なのか、という検討がされています。借主側の事情としては、借主が本件建物を使用して経営してきた料亭のブランド力に本件建物がどの程度貢献してきたのかという点で、本件建物の効用を検討しています。

これらのことからわかるのは、建物をどのように使うのが良いのか、逆に建物を使うことによっていかなる利益を受けてきたのかという、現実的な部分も重要な判断要素になるということです。

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