東京都目黒区・サウナ浴場に対して1250万円の立退料が認められたケース

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東京都目黒区、中目黒駅の至近にあるにある4階建て事務所ビル。その一部を月約20万2000円で借り飲食店グループの統括事務所及び住宅として使用してきた借主。しかし、建物を建替えるとして立退きを求められました!裁判所が借主に対して1250万円の立退料を認めたポイントとは?

 裁判所が考慮した事実(東京地判平成22年7月28日) 

劣化が激しく、早急な補修が必要な個所もあった

本件建物は、築約46年の建物でしたが、耐震性は有しており、倒壊の危険がある状態にはありませんでした。しかし、その老朽化により、階段部分を主として早急な補修が必要な個所がある状態でした。裁判所は、このような事情を貸主側に多少有利な事情として考慮しました。

裁判所は、貸主が本件建物を建て替える利益があるがあると判断

貸主は、本件建物を取壊し、6階建ての商業ビルを新築する計画を立て、これによる収益の変化に関する具体的な試算も立てた上で、各賃借人との間で退去の調整をしていました。このことから、裁判所は、貸主が本件建物を建て替える利益がある旨の判断をしました。

両者は賃料の増額を巡って2度裁判する等、信頼関係には良好とはいえない事情だった

借主は、40年近く一度も賃料の滞納等も含めた契約違反をせずに本件建物を使用してきました。しかし、両者は、賃料の増額を巡って2度裁判をしているなど、必ずしも信頼関係が良好とはいいがたい事情がありました。裁判所は、このような事情も考慮して、立退きはやむなしとの判断をしています。

借主は、本件建物を40年近く使用していた!

借主は、本件建物を事務所及び住宅として使用していました。そして、これらの使用に関しては、他の建物でも可能であり、移転に特段の障害もないことから、この点においては、借主が使用する利益は大きくない旨の判断がされています。しかし、貸主は、本件建物を40年近くも使用してきており、その点では、本件建物を使用し続ける利益があるとの判断がされました。

弁護士が解説する立退料算定のポイント

本件で特徴的なのは、貸主側にも借主側にも自身にとって有利になる大きな事情は無い点にあります。そのため、裁判所としても、「立退かせる利益がある」または「立退料を支払う必要がある」という判断ではなく、立退きを認めても不当ではなく、無償での明け渡しを命じることが相当とはいえない、といった消極的な判断を行っています。このことは、自信に強い事情がなくとも、相手方にも強い事情がなければある程度の立退料が認められうることを示しているといえます。

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