連帯保証人とは?保証人との違い・責任やリスクをわかりやすく解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

連帯保証人とは?保証人との違い・責任やリスクをわかりやすく解説

連帯保証人はよく聞く言葉ですが、その具体的な役割や責任について深く理解している人は少ないかもしれません。

実際のところ、連帯保証人は非常に責任が重い立場であるため、安易に引き受けてしまうと、多額の責任を負うことになり、人生が破綻する可能性があります。

この記事では連帯保証人の定義や責任、保証人との違いなどを解説します。

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借金の連帯保証人とは

まずは、連帯保証人がどんなものなのか、簡単に説明します。

本人が返済できない場合に代わりに返済する

借金の連帯保証人とは、債務者(借主)が何らかの理由で返済できなくなった場合に、その借金を代わりに返済する義務を負う人を指します。

この制度は、債務者が支払い不能に陥った際の債権者(貸主)のリスクを軽減するための仕組みです。

たとえば、債務者が失業や破産、死亡などで返済能力を失った場合、債権者は連帯保証人に直接請求することができます。

連帯保証人は、債務者と同じく借金を返済する責任を負うため、引き受ける際には慎重にならなくてはなりません。

基本的に債務者本人と同等の責任を負う

連帯保証人は、簡単にいうと自分が借金をしたのと変わらない立場になります。

通常の保証人なら、まず債務者に請求するよう求めることができますが、連帯保証人にはその権利がありません。

債務者が支払えなくなった瞬間から、自分が借金を背負ったのと同じ状態になるのです。

そして、連帯保証人が複数いても、借金全額について責任を負う仕組みになっています。

たとえば、1,000万円の借金で連帯保証人が2人いたとしても、1人ずつが1,000万円全額の返済を求められる可能性があります。

これは、2人の連帯保証人が計2,000万円を債権者に支払うという意味ではありません。

「保証人が二人いるのだから、私が支払うのは500万円まででいいだろう」という主張は通用しないという意味です。

連帯保証人は誰がなる?

連帯保証人は基本的に誰でもなることができます。ただし、連帯保証人になるには本人の同意が必要であり、さらに債権者がその人を適任と認める必要があります。

ここでは、連帯保証人として選ばれることが多い立場の人について紹介します。

家族

連帯保証人として最も選ばれるのは、借金をする本人の家族です。

特に配偶者、親、兄弟姉妹がなることが多いです。家族であれば、債権者にとって信用性が高く、必要な審査もスムーズに進む傾向があります。

また、家族間の信頼関係から、借金の相談を受けやすいことも理由の一つです。

ただし、家族だからといって簡単に連帯保証人を引き受けるのは危険です。

連帯保証人になると、借金全額について返済義務を負うことになるため、家族関係が悪化するリスクもあるからです。

雇用主や会社の関係者

従業員の借金について、雇用主や会社の関係者が連帯保証人となるケースもあります。

これは、事業資金の借り入れや、従業員の福利厚生の一環として行われる場合が多いです。

友人や知人

友人や知人が連帯保証人になることもあります。特に長い付き合いや深い信頼関係がある場合に頼まれることが多いです。

しかし、友人間の金銭問題はトラブルに発展することが多いので注意が必要です。

一度連帯保証人になると、借金の返済に関して法的な責任を負うため、友人関係が崩れる可能性もあります。

友人や知人の頼みを断るのが難しいと感じるかもしれませんが、責任の重さについてよく考えてみましょう。

事業のパートナー

共同事業を行う際に、ビジネスパートナーが連帯保証人となる場合もあります。

これは、事業資金を調達する際に信用力を補強するための手段として行われます。

事業のパートナーが連帯保証人になる場合、お互いが事業のリスクを共有する覚悟が求められます。

連帯保証人になれる人の条件

連帯保証人になるためには、法律上いくつかの条件があります。

まず、契約能力を持つことが前提です。具体的には、未成年者や成年被後見人など、法律で判断能力に制限がある人は原則として連帯保証人になることができません。

また、債権者は連帯保証人を信用できる人物かどうかを判断するため、収入や資産の状況を確認します。

収入が安定していない場合や多額の負債を抱えている場合には、連帯保証人として認められない可能性があります。

さらに、連帯保証人の信用情報も重要視されるため、過去に金融トラブルがあると不利になることがあります。

つまり連帯保証人も、借主本人と同様に、返済できるだけの収入や信用が必要になります。

連帯保証人と保証人の違い

保証人と連帯保証人は似ている言葉ですが、責任の重さや権利に大きな違いがあります。

以下は、保証人と連帯保証人の違いをまとめた表です。

項目 保証人 連帯保証人
催告の抗弁権 あり なし
検索の抗弁権 あり なし
責任の範囲 限定される 借り主と同等
債権者からの請求順序 主たる債務者が優先 優先順位がない

それぞれについて順番に説明します。

催告の抗弁権がない

通常の保証人には催告の抗弁権が認められています。

これは、債権者が保証人に返済を請求する前に、まず主たる債務者(借りた本人)に請求を行うよう求める権利のことです。

保証人はこの権利を行使することで、いきなり自分に返済の責任が生じることを避けることができます。

しかし、連帯保証人にはこの催告の抗弁権がありません。

債権者は主たる債務者に請求を行うことなく、いきなり連帯保証人に返済を求めることができます。

この点において、保証人より連帯保証人の方がリスクが大きいです。

検索の抗弁権がない

保証人にはもう一つ、検索の抗弁権という権利があります。これは、主たる債務者に返済能力や資産がある場合、まずそちらから債務を回収するよう債権者に求める権利です。

たとえば、主たる債務者が収入や財産を持っている場合、保証人は「先に本人に請求してください」ということができます。

しかし、連帯保証人にはこの検索の抗弁権も認められていません。

債権者は主たる債務者の財産や収入状況を調べることなく、直接連帯保証人に請求を行うことができます。

これにより、連帯保証人は保証人に比べてより厳しい立場に置かれます。

連帯保証人が複数いても全額の責任を負う

通常の保証人が複数いる場合、それぞれが負担する金額は分割されるのが一般的です。

たとえば、1,000万円の借金に対して保証人が2人(AさんとBさん)いる場合、それぞれが500万円ずつの責任を負うことが想定されます。Aさんが負担しなければならないのは500万円までです。

しかし、連帯保証人の場合、責任は分割されません。1人ひとりが借金全額について責任を負います。

たとえば、AさんとBさんが連帯保証人だった場合、Aさんだけが債権者から1,000万円を請求されても、支払いを拒否できません。

支払い後、AさんはBさんに対して500万円を請求することができます。

このように、連帯保証人はその人数に関わらず全額の責任を負うリスクを持っています。

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連帯保証人が必要になるケースの例

連帯保証人は、債権者が貸し倒れリスクを減らすために必要とされることが一般的です。

ここでは、連帯保証人が必要となる主なケースについて具体的に説明します。

賃貸契約

賃貸住宅の契約では、家賃の滞納リスクを減らすために連帯保証人が求められることが多いです。

特に学生や若年層の場合、収入や信用力が不十分なため、親や親族が連帯保証人になることが一般的です。

賃貸物件の契約では、連帯保証人が家賃や修繕費など、入居者が負担すべき費用全般に責任を負います。

ローン契約

住宅ローンや自動車ローン、個人ローンなどの契約でも、連帯保証人が求められる場合があります。

特に借入額が大きい場合や、申込者の収入や信用力が基準を満たしていない場合に、連帯保証人を立てることで契約が成立することがあります。

教育資金

奨学金や教育ローンを借りる場合、連帯保証人が必要になることがあります。

学生本人が借りるケースでは収入がないことが一般的なため、親や親族が連帯保証人になることが多いです。

教育資金の場合、連帯保証人がいないと借入ができない場合があり、進学を諦めざるを得ない状況も考えられます。

事業の資金調達

事業を始める際や運営資金を借り入れる際にも、連帯保証人が必要になることがあります。

特に中小企業や個人事業主の場合、法人の信用力だけでは融資を受けられない場合があり、経営者自身やその家族が連帯保証人になることが一般的です。

また、事業パートナーが連帯保証人になる場合もあります。

事業の資金調達においては、事業が失敗した場合のリスクを十分に理解した上で、連帯保証人になるかどうかを判断することが重要です。

クレジットカードの発行

クレジットカードを発行する際、特に収入がない学生や信用履歴が不足している人の場合、連帯保証人が求められることがあります。親が連帯保証人となるケースが多いです。

連帯保証人は支払い拒否ができる?

あまり深く考えずに連帯保証人になってしまったことで、他人の借金を抱え込む羽目に遭う人も多くいます。

「何とか支払わずに済む方法はないだろうか?」と考える人も多いですので、ここでは連帯保証人は支払い拒否ができるのかどうかについて説明します、

支払い拒否ができない可能性が高い

結論からいうと、連帯保証人は支払い拒否ができない可能性が高いです。

そもそも連帯保証人とは、借りた本人が返済できなかったときに、代わりに返済をする役目を持っています。

そのため支払い拒否ができるようであれば、連帯保証人としての役目を果たしていないことになります。これでは債権者も安心してお金を貸すことができないでしょう。

このような理由から、連帯保証人は支払い拒否ができないのが原則です。

支払えずに連帯保証人も破産する可能性がある

「支払い拒否はしないにせよ、実際問題お金がなく、借りた本人の代わりに返済ができない場合はどうなるのか?」が気になる人もいるでしょう。

借金額が大きい場合、連帯保証人が借金を返済できず、財産を差し押さえられたり、自己破産をせざるを得なくなる可能性があります。

収入や資産に見合わない規模の借金の連帯保証人になると、返済義務を果たせずに破産するリスクが高まるので十分に注意しましょう。

例外的に支払い拒否できるケース

例外的に連帯保証人が支払いを拒否できるケースがありますが、これらのケースは法律的に明確な根拠が必要なので、一度弁護士に相談することをおすすめします。

【借金そのものが無効または不成立の場合】

主たる債務者の借入契約自体が法律的に無効または不成立である場合、連帯保証人もその債務を負う必要はありません。

たとえば、契約書が適切に作成されていない場合や、詐欺によって契約が成立した場合などが該当します。

【借金が時効によって消滅した場合】

借金が時効により消滅している場合、連帯保証人もその債務を負う必要はありません。

ただし、時効の適用には条件があるため、弁護士の助言を得て時効援用の手続きを進める必要があります。

【連帯保証契約が不適切である場合】

連帯保証契約が適切に成立していない場合、たとえば契約内容に重大な不備がある場合や、連帯保証人が強制的に契約を結ばされた場合には、支払いを拒否できる可能性があります。

【債権者が不正を行った場合】

債権者が契約を結ぶ過程で不正を行った場合や、債務者や連帯保証人に対して虚偽の情報を提供して契約を誘導した場合には、連帯保証人が責任を負う必要はありません。

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連帯保証人に関するよくある質問

借りた本人が自己破産・個人再生したらどうなる?

主たる債務者(借りた本人)が自己破産や個人再生をした場合、その債務の責任は連帯保証人に移ります。

自己破産では主たる債務者の債務が免除されるため、連帯保証人が借金全額の返済義務を負うことになります。

個人再生の場合、手続きによって減額された金額を連帯保証人が支払うことになります。

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連帯保証人とは簡単にいうと?

連帯保証人とは、借りた本人が返済できない場合に、その借金を全額肩代わりする責任を負う人のことです。

保証人と違い、借金の請求が直接連帯保証人に行われることがあり、債権者に対して主たる債務者と同等の責任を負います。

まとめ

連帯保証人とは、借りた本人が返済できなくなった際に、代わりに借金を返済する責任を負う立場の人です。

主たる債務者と同等の責任を負うため、通常の保証人よりも重い義務を背負います。

連帯保証人が必要とされるのは、貸し倒れリスクを減らすためであり、住宅ローンや賃貸契約などでよく求められます。

そのリスクは非常に大きく、全額返済を請求される可能性があるほか、支払えない場合には破産に追い込まれることもあります。

引き受ける前には、責任の重さを理解し、慎重に検討することが重要です。

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