借金の時効とは?長期の借金は時効援用手続きをしましょう
借金の時効が成立することで、返済義務がなくなるケースもあります。しかし、ただ長期間滞納しているだけで、時効が成立して借金の返済義務が消滅するわけではありません。
今回は借金の時効について、以下の点を中心に解説します。
- 借金時効の全体像
- 時効援用のメリット
- 借金返済が難しい場合の対応
借金の時効が成立するのは難しいと言わざるを得ません。時効が難しい場合の解決方法である債務整理についても解説するので、借金にお困りの方は参考にしてください。
目次
借金の時効とは
ここでは民法で定められている時効の制度概要と期間について解説します。
消滅時効とは
消滅時効とは、権利が一定期間行使されなかった場合に、その権利を消滅させる制度です。
民法によって定められた時効の期間が経過することで、消滅時効が援用可能となり、確定的に権利が消滅します。
例えば、借金の時効の場合、お金を貸している債権者がお金を借りている債務者に対して、一定期間時効の中断に該当する行為をしなければ、消滅時効が成立します。
時効になる期間
民法では時効が成立する期間を以下のように定めています。
令和2年4月1日以降に借り入れをした場合
民法第166条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する
債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき
権利を行使することができる時から10年間行使しないとき
引用:民法166条
消費者金融からの借金の場合、最終返済日の翌日から5年の経過で時効が成立します。
令和2年3月31日以前に借入をした場合
令和2年3月31日以前の借り入れについては、商事債権であるため旧商法522条の規定により権利行使ができる時から5年で時効を迎えます。
借金の時効は困難?成立条件とは
借金の時効が成立するためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 時効の中断がない
- 時効期間が経過している
- 時効援用をしている
条件①時効の中断がない
時効の中断とは、特定の事由がおこると、時効の進行がストップして新たに0から時効期間の進行が始まることです。
例えば、ある消費者金融から借金をした場合、時効の成立には5年が必要です。 しかし最終返済日の翌日から3年が経過した時点で時効の中断がおきると、それまでの時間経過は意味がなくなり、再び0から時効時間が計算されます。
時効中断事由は、以下の4つが該当します。
時効中断事由 | 具体的な行為 |
請求 | 貸金返還請求などの訴訟提起 |
差し押さえ | 給与債権の差し押えなど |
仮差し押さえ・仮処分 | 仮差し押さえ処分 |
承認
(時効援用権の喪失) |
・借金を返す意思を債権者に示す
・支払猶予のお願いを債権者にする ・借金の一部返済を行う |
条件②期間が経過していること
時効が成立するためには、民法で定められた期間が経過している必要があります。
2020年4月1日に民法改正が行われたため、借金をした時期によって時効成立期間が若干異なります。
2020年4月1日以降の借金の場合、債権者が権利を行使できることを知った時から5年間もしくは、権利を行使できる時から10年間経過すれば時効が成立します。
条件③時効の援用をしていること
時効が成立する期間が経過していても、時効援用をしなければ借金免除の効果は発生しません。
時効の援用を行うためには、債権者に対して時効援用通知書を送付する必要があります。ただし正しい手続きで行わなかった場合、債権者への行為が債務の承認とみなされて時効が中断する可能性もあります。
時効の援用を行う場合、時効中断事由とみなされないためにも弁護士で相談するのがおすすめです。
借金時効援用のメリット
ここでは借金をしていて時効が成立した場合、時効を援用する3つのメリットを解説します。
催促・取り立てがなくなる
時効の援用を行う場合、債権者に対して受任通知を送付します。
受任通知を受け取った債権者は、それ以降債務者に対して直接催促や取り立てを行うことはできません。
時効の援用を行えば、催促や取り立てから解放されます。
ブラックリスト登録が消えるケースも
借金を長期間延滞すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。事故情報が登録されることは、俗にブラックリストに載るとも言われています。
1度ブラックリストに載った場合、一定期間経過するまで新規クレジットカードの作成やローンの契約ができません。
しかし時効の援用をした場合、信用情報機関に登録されている事故情報が削除されます。時間経過を待つ必要がないため、早い段階で再びクレジットカードやローンが利用できます。
時効が成立すれば返済義務がなくなる
時効援用最大のメリットは、借金の返済義務がなくなることです。
裁判所をとおして行う手続きではないため、費用の負担もほとんどなく、迅速に手続きを終えることができます。
借金の消滅時効の援用の流れ
借金の消滅時効を援用する場合、以下のような流れで手続きを行う必要があります。
- 弁護士への依頼
- 受任通知の送付
- 時効援用通知書の送付
弁護士に依頼する
借金の時効援用を行う場合、まずは弁護士に依頼しましょう。
弁護士は信用情報機関に信用情報開示請求を行って、時効が成立しているか確認します。
時効が成立していれば、そのまま時効援用の手続き開始です。時効が成立していない場合も、他の解決方法を提案します。
受任通知の送付
時効が成立していた場合、弁護士は債権者に対して受任通知を送付します。
受任通知を債権者が受け取った時点で、催促や取り立てなどがストップします。
時効援用通知書の送付
時効援用通知書とは、消滅時効援用を債権者に通知するための書類です。
時効援用通知書を債権者に送らなければ、時効援用が成立しません。時効援用通知書には、以下の内容を記載する必要があります。
- 時効援用の日付
- 差出人の情報
- 債権を特定する情報
- 消滅時効を援用する旨
時効援用通知書を内容証明郵便で送った後は、債権者から何か連絡があったとしても対応する必要はありません。
時効成立は難しい!早めの借金解決なら債務整理がおすすめ
一般的な消費者金融や金融機関からの借金の場合、時効成立を迎えるのは困難です。時効成立が難しい場合の借金解決手段としては、債務整理をおすすめします。
債務整理とは?
債務整理とは、借金を減額・免除できる法的な手続きです。
債務整理には3つの種類があり、それぞれ借金に対する効果やメリット・デメリットが異なります。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
借金に対する効果 | ・利息のカット
・返済期間の調整 |
最大90%減額される | 免除になる |
手続きに必要な期間 | 2~6ヶ月 | 4~6ヶ月 | 6ヶ月から半年以上 |
裁判所へ支払う費用 | 0円 | 約30万円前後 | 同時廃止:1~3万円
管財事件:50万円 |
手続き後の返済期間 | 3~5年 | 3~5年 | なし |
官報への掲載 | 掲載されない | 掲載される | 掲載される |
再度借り入れができるまでの期間 | 5年間 | 5~10年間 | 5~10年間 |
どのような人が向いているか | ・利息がなければ借金の返済ができそうな人 | ・持ち家を残しながら借金を減額したい人
・借金が減れば返済の見通しが立つ人 |
・財産や資産がない人
・借金の返済見込みがない人 |
時効成立が難しい場合、債務整理で借金問題を解決しましょう。
抱えている借金の総額や収入によって、どの手続きが適しているかは異なります。弁護士に相談すれば、時効が成立しているかを含めて債務整理に関する助言を受けられます。
借金問題を解決したいのなら、まずは弁護士に相談しましょう。
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まとめ
借金の時効が成立するためには、様々な条件を満たす必要があります。金融機関や消費者金融からの借金の場合、相手もあの手この手で時効中断を図ってくるため、時効が成立するのは難しいと言わざるを得ません。
時効による借金問題解決が難しい場合は、債務整理を検討しましょう。債務整理であれば、半年から1年程度で借金の減額・免除が実現します。
時効が成立しているか、どの債務整理が適しているか把握するためにも、早い段階で弁護士への相談をおすすめします。