家賃滞納の裁判に負けるとどうなる?裁判を無視・欠席するリスクを紹介
家賃滞納が原因で裁判に発展すると、借主(住民)は非常に厳しい状況になります。
裁判に負けると、家賃の支払いや退去を命じられる可能性が高いです。
ここでは、家賃滞納による裁判の結果や、判決を無視した場合のリスク、家賃滞納後の流れについて詳しく解説します。
目次
家賃滞納の裁判に負けるとどうなる?
家賃滞納が続き、最終的に裁判で敗訴した場合、借主にはさまざまな法的措置が取られます。
生活や財産に大きな影響があるので、正しい理解を持ちましょう。
家賃や遅延損害金の支払い命令が出る
裁判に敗訴した場合、最も一般的な結果は、家賃や遅延損害金の支払い命令です。
これには、滞納している家賃の支払いや、その期間に応じた遅延損害金を一括で支払うよう命じられることが含まれます。
裁判所が判決を下すと、通常は一定の期限内に支払いが求められ、その期限を守らなければ次の段階に進みます。
物件から強制退去させられる
裁判で敗訴した場合、もう一つ考えられるのは、強制退去の命令です。長期間家賃を滞納した場合、賃貸契約も解約になる可能性が高いです。
強制退去を避けるためには、裁判前に交渉を行うことが有効ですが、裁判に負けた後だと交渉の余地がほとんどなくなるので、早期に対策を打つようにしましょう。
財産の差し押さえを受ける
裁判の判決を無視して、滞納した家賃を支払わないでいた場合、強制執行として財産の差し押さえを受けます。
差し押さえの対象になるのは、現金、口座の預金、不動産など様々です。差し押さえは、借主から強制的にお金や財産を回収し、大家に支払うために行われる措置です。
差し押さえられることは、借主にとって非常に大きな経済的な打撃となるため、その前に対処することが大切です。
ブラックリストに載る可能性がある
裁判に負けると、家賃滞納や、保証会社が家賃を肩代わりした事実が信用情報に記録される可能性があります。
これはいわゆる、ブラックリストに載るというもので、今後のクレジットカード申請やローンの借り入れ、賃貸契約の締結などに悪い影響を与えます。
家賃滞納が解消されないままだと、借入審査を通過するのが困難になります。
将来の生活設計に支障をきたす恐れもあるため、早期に問題を解決することが重要です。
家賃滞納による裁判所の呼び出しを無視してはいけない理由は?
家賃滞納により裁判所から呼び出しを受けた場合、絶対に無視してはいけません。ここでは、裁判所の呼び出しを無視してはいけない理由を説明します。
欠席すると相手の主張が全面的に認められるから
裁判に欠席すると、裁判所は相手側(大家)の主張をそのまま受け入れることになります。
裁判所は、出廷した当事者の意見を基に判決を下すため、借主が出席しなければ、大家側が主張する内容が事実として認定されるリスクが高いです。
結果として、借主は不利な立場に追い込まれ、家賃滞納に対する支払義務やその他の条件が強制的に決定される可能性があります。
裁判後の支払いに関する交渉が難しくなるから
裁判後に支払い方法や交渉を行おうとしても、裁判を欠席した場合、その後の交渉が非常に難しくなります。
裁判に出廷していれば、自己の状況を説明したり、分割払いを提案したりするチャンスがありますが、欠席するとその機会を失います。
大家としても、裁判に出席しなかった人の提案やお願いは聞きたくないというのが正直なところでしょう。
家賃滞納から裁判までの一般的な流れ
家賃滞納から裁判に発展するまでの一般的な流れをご紹介します。
家賃を滞納してから裁判を起こすタイミングは大家によって異なります。
例えば、半年ほど滞納した時点で裁判をする大家もいれば、1年以上滞納しても裁判をしない大家もいます。
家賃滞納発生
毎月設定されている支払日に家賃が支払えないと、滞納が始まります。数日滞納したくらいでは、特に何も起こらないでしょう。
2週間以上滞納すると、大家や管理会社から、家賃が未払いであることの連絡がくるかもしれません。
電話がかかってきたら、なるべく出るようにしてください。
「明日までには支払えます」など、いつまでに支払えるか伝えることができれば、それ以上支払いを催促する連絡もこないはずです。
内容証明郵便による督促
目安として滞納が2~3か月滞納が続くと、大家は内容証明郵便を使って正式に督促を行います。
内容証明郵便は文書の内容が郵便局に記録として残ります。つまり、証拠を残してこの後の法的措置を検討している可能性が高いのです。
契約解除の通知
滞納が3か月以上続くと、賃貸契約が解除される可能性があります。契約が解除されると、借主は物件から出ていかなくてはなりません。
当然ながら、物件から出て行ったからといって、過去の家賃の支払いがなくなるわけではないので注意しましょう。
支払督促や裁判
契約解除後、家賃が支払われない場合、大家は裁判所に支払督促を申し立てたり、正式に裁判を起こしたりします。
支払督促は、簡易的な手続きであり、裁判を経ずに支払いを求める方法ですが、借主が異議を唱えた場合、通常の裁判へと進行します。
裁判では、滞納している家賃の支払いが命じられ、場合によっては遅延損害金も加算されることがあります。
差し押さえ・強制執行
裁判で支払い命令が出たにもかかわらず、借主が家賃を支払わない場合、最終的には財産の差し押さえや強制執行が行われます。
差し押さえとは、借主が所有している財産を自由に使ったり、処分できなくしたりする手続きのことです。差し押さえの対象は、現金や口座の預金、不動産などです。
これらを売却・換価したあとに大家に配当します。
裁判で判決が出たあとは、強制執行が行われる可能性が高いです。判決が出る前に大家と和解できるようにすることが大切です。
家賃滞納における裁判の答弁書とは?
裁判において借りた側の主張を記載する書類
答弁書は、借主が家賃滞納に関して自分の意見を裁判所に伝えるための公式な書類です。
答弁書があることで、裁判所は貸主側の請求が正当かどうかを公平に判断しやすくなります。
たとえば、家賃を支払えなかった理由や、遅延したことに対する弁解などを述べることが可能です。
答弁書に記載すべき内容の例
答弁書に記載すべき内容を挙げます。
【家賃滞納の事実確認】
まず、家賃滞納の事実について確認します。滞納している金額や期間が記載されている場合、その内容が正しいかどうかをチェックし、自分の立場を明確にしましょう。
記入例「〇年〇月〇日~〇年〇月〇日までの家賃未払いは事実です。間違いありません。」
【滞納の理由】
重要なのは、なぜ家賃を滞納したのか、その理由を説明することです。経済的な困難や予期しない事情を述べることで、裁判所に理解を求めることができます。
記入例「一時的な失業により家賃が払えませんでした」「急な医療費の支払いが重なり
、家賃の支払いが送れてしまいました。」など
【今後の支払い計画】
家賃を滞納していることを反省し、今後の支払い計画や支払能力について触れることも大切です。
再発防止のための具体的なプランを示すことで、裁判所や貸主に誠意を見せることができます。
記入例:「今後毎月〇万円ずつ家賃を支払います。」「今年〇月のボーナスで〇〇万円を支払います。」など
【支払い意思があること】
支払う意思があることを明確に示すことが重要です。滞納した理由が解決し、今後は適切に家賃を支払うつもりであることを伝えましょう。
記入例「今後は約束通りに支払いをしますので、再度の猶予をお願いいたします。」
【交渉の意思】
強制執行などの措置を避けるために、貸主との交渉を希望する旨を記載することも有効です。たとえば、分割払いなどの提案をすることが考えられます。
記入例「支払いが難しい状態が続いているため、分割での支払いについて相談したいです。」
【反論や異議申し立て】
訴えに対して反論がある場合や誤解がある場合には、その点についても説明を加えます。
例えば、支払った家賃の証拠がある場合はその証拠を添付し、主張を裏付けることができます。
記入例「〇月分の家賃は手渡しで一部を支払っています。その証拠となる領収書を添付します。」
主張がある場合には、基本的には根拠や証拠が用意できるといいでしょう。
答弁書を提出しなかった場合のリスク
答弁書を提出しない場合、裁判所は借主の意見を考慮することなく、貸主側の主張を優先して判断します。つまり、自分に不利な結果になる可能性が高くなります。
例えば、滞納した理由や支払いの意思が伝わらず、強制執行や財産の差し押さえなどの厳しい措置が取られるかもしれません。
答弁書を提出しないことで、大家からの信用を失い、今後の交渉や和解がさらに難しくなる原因にもなります。
答弁書は2週間以内に裁判所に提出する
答弁書は、裁判所から通知を受け取った日から2週間以内に提出する必要があります。
これを守らないと、裁判所は借主の主張を考慮せずに判決を下す可能性が高くなります。
提出の際は、期限を守ること、内容が正確であること、必要な証拠を添付していることを確認しましょう。
家賃滞納の裁判後に分割払いはできる?
裁判所が判決を下した後、まだ強制執行が行われていない段階では、借主と貸主が交渉を行い、分割払いの合意をすることも可能です。
大家と交渉すれば分割払いも可能
裁判後に分割払いを希望する場合、まずは大家に対して分割払いの申し出を行うことが重要です。
大家の立場としては、できるだけ早く全額を回収したいと考えることが多いです。
よって、分割払いを提案する際は、具体的な支払計画や支払い期限をしっかりと提示することが交渉を有利に進めるポイントです。
分割払いの交渉のポイント
分割払いの交渉をする際、いくつかのポイントを押さえることで、交渉を有利に進めることができます。
- なるべく早い段階で大家や保証会社に連絡する
- 支払える金額と期間を明確に提示する
- 現在の支払い能力を明確に伝える など
現実的に支払いが可能であることを理解してもらったうえで、支払いが遅れないように最善を尽くすことを伝えることで、再度大家から信用してもらいましょう。
強制執行が始まると交渉は難しくなる
裁判後に強制執行が始まると、分割払いの交渉は難しくなります。強制執行とは、判決に基づいて財産の差し押さえや強制的な支払い手続きを行うことです。
この段階になると、すでに強制的な取り立てが始まっているため、あえて借主の分割払い提案に乗るメリットがなくなってしまいます。
そのため、分割払いをしたい場合には、裁判後できるだけ早く大家と交渉し、分割払いの合意を得ることが大切です。
家賃滞納の裁判に関するよくある質問
家賃滞納の訴訟を取り下げてもらうことはできる?
家賃滞納に関する訴訟が進行中でも、双方が合意すれば訴訟を取り下げることは可能です。
双方の同意のうえで、裁判所に対して手続きを行う必要があります。
家賃滞納の裁判の判決は無視できない?
裁判の判決は法的効力を持つため、無視することはできません。
判決を無視すると、財産の差し押さえなどが行われる可能性があります。
判決に不服がある場合は、速やかに控訴などの手続きを取ってください。
まとめ
家賃滞納は、短期間であれば問題になりませんが、数カ月以上続くようであれば注意してください。
大家は、法的措置を取って家賃を回収してくる可能性があります。仮に裁判に発展した場合、支払いをした証拠がなければ、敗訴する可能性が高いです。
裁判に敗訴すると、家賃や遅延損害金の支払いを命じられますが、それを無視してはいけません。
無視すると、強制執行となり、現金や口座のお金、財産などを没収される可能性があります。
差し押さえを回避するためには、大家と交渉し、分割払いの交渉をしたり、債務整理を検討したりする必要があります。
家賃に関して困りごとがあったら、早めに弁護士に相談しましょう。裁判の判決が出てからでは、手遅れになる可能性があります。