任意整理のよくある失敗例や失敗を防ぐ方法を解説
借金の利息をカットして返済の負担を減らせる任意整理。借金の元本の返済方法を変更できるので、毎月の返済額を現在より減らせる可能性があります。
しかし、いくつかの点に気をつけないと、任意整理が失敗する可能性もあります。
この記事では、以下5点を中心に、任意整理の失敗を防ぐために知っておきたいことを解説します。
- 任意整理のよくある失敗例
- 返済を怠った場合どうなるのか?
- 任意整理に失敗しないためにすべきこと
- 失敗しないために知っておきたいこと
- 失敗したらすべき対処法
任意整理すべきか迷っている人は、手続きの失敗を防ぐためにも今回紹介する内容を事前に把握しておきましょう。
目次
任意整理のよくある失敗例
ここではよくある任意整理の失敗例を9つ紹介します。
3年から5年での完済が難しい
任意整理は、借金の利息をカットしたうえで、3〜5年で分割返済する手続きです。
任意整理をした場合、最高5年で返済できる見通しがなければ、債権者との交渉は失敗します。
返済の途中で支払不能になると、一括返済しなければなりません。期限の利益を失うためです。
弁護士費用を払えない
弁護士費用が払えない場合、結果的に任意整理に失敗する可能性が高いです。
任意整理をするには、債権者と交渉をして合意を得なければなりません。
弁護士を通して任意整理の交渉をしない場合、そもそも金融機関から交渉を拒否される可能性が高いです。
そもそも債権者が任意整理に応じていない
金融機関が任意整理に応じていないケースもあります。
この場合、弁護士を通して交渉を行っても任意整理は失敗します。任意整理に応じていない金融機関から借金をしている場合は、個人再生や自己破産など他の手続きを選びましょう。
任意整理が2回目
任意整理が2回目とは、次の2通りが考えられます。
- 2回目の任意整理
- 再和解
2回目の任意整理
任意整理には回数制限は定められていないため、2回目でも任意整理できます。
再和解
再和解の流れは…
- 1度任意整理を行う
- 返済を開始する
- 途中で返済が困難になる
- 再度同じ金融機関の借金を任意整理する
任意整理後、返済を滞納すると、遅延損害金の支払いに加え、一括返済をしなければなりません。
2度目の任意整理のため、金融機関の対応も厳しいのが一般的です。そもそも一度和解をしているので、和解自体に応じてもらえない可能性が高く、和解に応じてもらえたとしても和解の条件が厳しくなり返済の負担を軽減できない可能性があります。
ローンの返済が残っている
持ち家や車のローンの返済が残っている場合、任意整理が失敗に終わるケースが多いです。
金融機関としては、ローンを支払う余裕があるなら借金も返済できると考えるためです。
住宅ローンを残しつつ借金の負担を減らすのであれば、個人再生を検討しましょう。ただし、個人再生では車のローンが残っている場合車を引き揚げられることになります。
金利が低い
任意整理は、あくまでも借金の将来の金利をカットし、返済回数を増やすことで返済の負担を減らす手続きです。和解後は元本の返済をする必要があります。
そのため元から金利が低かったり、長期の返済期間が定められている借金の場合、任意整理をする効果が薄いため失敗に終わる可能性が高いです。
特に国の教育ローンや奨学金などは、元から金利が低く設定され、返済期間も長期になっているので、任意整理をしてもほとんど意味がありません。
金利が低い教育ローンや奨学金の場合、独自の金利減免制度を利用できるケースが多いので、返済が難しくなったら債権者に相談しましょう。
借り入れをしてから返済をしていない
借入をしてから返済をしていない、もしくは1~2回程度しか返済をしていない場合、任意整理は失敗に終わる可能性が高いです。
債権者からすると、初めから任意整理をして返済をする予定だったのでは、と思われてしまうためです。また任意整理では元本を返済する能力があるかどうかも重要ですが、1度も返済していないと債権者は返済能力がないと判断します。この場合、債権者は任意整理に応じても将来利息のカットにまでは応じない可能性があります。
少なくとも半年から1年程度は返済実績がないと、任意整理を利用するのは難しいです。
任意整理後に返済を怠った場合はどうなる?
任意整理後に返済を怠った場合、借金の返済はどうなるのか解説します。
1~2か月以内ならまだ間に合う
任意整理後の返済を怠ったとしても、1〜2ヶ月以内であればまだ間に合います。
一般的な金融機関では、2回以上返済を怠ると期限の利益を失うため借金の一括請求が行われます。
返済が滞っている理由が一時的なものであれば、怠った返済分を支払うことで、再び分割支払いで返済できます。
2回以上返済を怠ると一括請求される
任意整理をした後に、2回以上返済を怠ると債権者から残債務の一括請求が行われます。
この時点で再び分割での返済はできなくなり、遅延損害金が発生します。
返済を怠った場合の対処法
返済を怠った場合、次の2通りの対処法があります。
- 再和解
- 追加の任意整理
再和解を行う場合、債権者の対応が厳しくなるので、任意整理に失敗する可能性が高いです。
その場合、借金している他の金融機関を任意整理の対象として追加して、返済の負担を減らせます。
任意整理が失敗しないためにすべきこと
ここでは任意整理が失敗に終わらないためにすべきことについて解説します。
弁護士に相談する
任意整理を成功させるためにも、まずは弁護士に相談しましょう。特に任意整理の実績が豊富な弁護士であれば、債権者との交渉を有利に終えて、返済の負担を軽減できます。
金融機関によっては、マニュアルで個人相手の任意整理は断ることを定めています。
スムーズに任意整理を進めるためには、弁護士のサポートが必要不可欠です。
弁護士の指示に従って手続きを進める
任意整理を行う場合、手続きの過程で弁護士の質問に答えたり、指示に従って必要な書類を作成したりする必要があります。
質問に対して嘘をついたり、指示に反した動きを続けたりすると、担当の弁護士が辞任する可能性もあります。
担当の弁護士に受任されると、交渉に悪影響がでて手続き終了が遅れるので、借金に苦しむ期間が長引きかねません。
できるだけ早く日常生活を取り戻すためにも、担当となった弁護士の指示には必ず従いましょう。
自分に適した債務整理を選ぶ
抱えている借金の額や現在の収入状況によっては、任意整理よりも他の債務整理手続きの方が適している場合もあります。
弁護士に相談すれば、借金額や現在の収入状況を考慮した上で、最適な解決方法を助言してもらえます。
任意整理で失敗しないために知っておきたいこと
ここでは、任意整理で失敗しないために、事前に知っておきたいことを解説します。
任意整理のデメリット
任意整理のデメリットは、次の5つです。
- ブラックリストへ登録されて、新規クレジットカードの作成やローンの契約ができない
- 一定の収入がなければ利用できない
- 任意整理に応じていない金融機関がある
- ほとんど減額できないケースがある
- 借金の元本は返済しなければならない
任意整理=人生終わりではない
確かに任意整理をすると、ブラックリストに登録されて新規クレジットカードの作成やローンの契約が一定期間できません。
クレジットカードが必要不可欠な現代社会では、ブラックリストに登録されることを人生の終わりと考える人も多いです。
しかし、任意整理せずに借金を放置していると、利子が雪だるま式に増えて返済が不可能となります。
最終的には自己破産せざるを得なくなるので、早い段階で任意整理による解決を図った方が良いです。
自己破産の場合、持ち家や車を処分する必要があるため、家族や親族に借金したことがバレる可能性があります。
任意整理の場合、所有している財産を処分せずに、家族や親族に借金を知られることなく解決可能です。
任意整理に失敗したらすべきこと
万が一任意整理に失敗した場合、どのように対処すべきなのか解説します。
収支のバランスを見直す
まずは収支のバランスを見直して、少しでも返済の負担を減らしましょう。無駄な出費をカットできれば、毎月の返済の負担も減り生活に余裕が生まれます。
収支のバランスによっては、任意整理を行う必要がないことに気づける場合もあります。
返済を追いつかせる
すでに返済を滞納している場合、迅速に滞納分を返済しましょう。
返済が長期間滞ってしまうと、期限の利益を失って一括請求されます。一括請求で返済の負担が増えることを防ぐためにも、まずは返済を追いつかせて、その後債権者に返済額の調整を依頼するのがおすすめです。
個人再生を検討する
個人再生は、裁判所を通して手続きを行うことで借金を大幅に減額できる債務整理手続きです。
個人再生が適している人は、次のとおりです。
- 借金が減額されれば完済できる見込みのある人
- 手元に残しておきたい財産がある人
- 減額された借金を3年もしくは5年で完済できる見込みがある人
- 現在一定額の収入がある人
- 自己破産の手続きで免責許可が認められず、資格制限されたままの人
自己破産を検討する
自己破産は、裁判所を通して手続きを行うことで抱えている借金が全て免除になる債務整理手続きです。
自己破産が適している人は、次のとおりです。
- 借金を返済できる見込みがない
- 手元に残しておきたい財産・資産がない
- 現在一定額の収入がない
まとめ|任意整理の失敗が不安な方はご相談ください
任意整理は借金の利息をカットして、分割返済を行うことで支払いの負担を軽減できる債務整理手続きです。
一般的な金融機関の借金であれば、任意整理は問題なく行えます。しかし予測不可能な事情で失敗する可能性もあるため、余裕を持った返済計画での和解を結ぶ必要があります。
弁護士に依頼すれば、難しい手続きを全て委任できることはもちろんのこと、有利な条件で債権者との間で和解を結ぶことが可能です。
現在任意整理をしようか迷っている方や、任意整理の失敗が不安な方は、ぜひ1度ネクスパート法律事務所へお気軽にご相談ください。
任意整理の経験が豊富な弁護士が、現在の借金額や収入に応じて最適なサポートを提供します。