任意整理のデメリット一覧|家族やクレジットカードへの影響は?
任意整理は、債務整理の中でも裁判所を通さずに手続きできる方法で、比較的シンプルに借金の負担を減らせるのが特徴です。
しかし、債務整理はただ借金が減るだけではありません。任意整理にはメリットだけでなく、デメリットや注意すべき点、生活への影響もあります。
ここでは、任意整理による具体的なデメリットや、家族・仕事・クレジットカードへの影響について詳しく解説します。
目次
任意整理のデメリット6つ
任意整理には利息のカットなどのメリットがある一方で、注意しておくべきデメリットも存在します。ここでは代表的な6つのデメリットを紹介します。
元金は減らない
任意整理では、将来の利息や遅延損害金をカットすることはできますが、借金の元金そのものが減額されることは基本的にありません。
そのため、借金の総額が多い場合には、ある程度の金額を返済し続けることになります。
元金の大幅な減額を希望する場合は、個人再生や自己破産など、他の債務整理手続きの方が適しています。
交渉に応じない業者もいる
任意整理はあくまで、任意の交渉であるため、すべての債権者が和解に応じるとは限りません。
中には、分割払いに応じなかったり、そもそも交渉自体を拒否する業者も存在します。
交渉できない業者が出てくる可能性があることは想定しておかなければなりません。
任意整理の効果が薄いケースがある
借金の金額や内容によっては、任意整理をしても返済負担があまり軽減されないこともあります。
例えば、利息が少ないローンや、金額が少ない借入では、利息カットの効果が限定的です。
返済が困難な状態が続くようであれば、最初から個人再生や自己破産を検討すべきケースもあります。
保証人がいると任意整理できない
保証人がついている借金は、任意整理の対象にできない場合が多いです。
というのも、債権者は本人との分割交渉には応じず、保証人に対して一括で返済を求めてくる可能性が高いからです。
保証人は分割払いの契約をしていないため、任意整理をすると、突然多額の請求が保証人にいくことになります。
保証人が家族や知人である場合には、トラブルや人間関係の悪化につながるおそれもあるため、慎重に判断しましょう。
信用情報に傷がつく
任意整理を行うと、信用情報機関に事故情報として登録され、いわゆるブラックリストに登録されている状態になります。
この状態は完済後から約5年間続き、その間はクレジットカードの利用や新規発行、ローンの申請などが制限されます。
日常生活に支障が出るケースもあるため、信用回復までの生活をどう乗り切るか、事前に考えておくことが大切です。
手続き後も返済が続く
任意整理では、借金がゼロにはなりません。あくまでも、返済条件の見直しにとどまります。
通常は3~5年の分割返済となり、その間は毎月一定額の支払いを続けなければなりません。
返済を続ける中で収入が減ったり生活が苦しくなったりすると、再び返済が滞るリスクもあるため、無理のない返済計画を立てることが大切です。
任意整理による家族へのデメリット
任意整理は本人と債権者との交渉で完結するため、基本的には家族に法的な影響が及ぶことはありません。
しかし、家族と同居している場合や、経済面を共有している場合には、間接的な形で影響を受けることがあります。
以下では、家族に生じる可能性のある主なデメリットを紹介します。
家計に影響が出る可能性がある
任意整理をした後も、借金の返済は通常3〜5年ほど続きます。
それまでは滞納していたり、支払いを止めていたりした借金も、任意整理後は決められた金額を確実に返済していかなければなりません。結果として、金銭的な負担が生じます。
家族で生活費を共有している場合や、本人が世帯収入の一部を支えているようなケースでは、家計のやりくりに影響が出る可能性があります。
支出の見直しや節約が必要になる場面もあるかもしれません。
家族カードが使えなくなる可能性がある
任意整理の対象にしたクレジットカードが、家族カードとしても使われていた場合、本カードが強制解約されることで、家族カードも自動的に利用停止になります。
家族カードは、生活費の決済やネットショッピング、定期支払などに活用している家庭も多いため、突然使えなくなることで日常生活に支障が出る可能性もあります。
加えて、家族がそれまで家計管理を任されていた場合、解約を機に任意整理の事実を知られることにもつながります。
ストレスや不安を与える可能性がある
任意整理の手続き自体は家族に通知されることはありませんが、生活の変化やお金の使い方の変化によって、家族が異変を感じることもあります。
クレジットカードが使えなくなったり、お金の使い方が今までと変わったりすることで、隠しごとに対する不信感や、将来への不安が生じることもあります
任意整理をしたことを家族に伝えるかどうかは、よく検討した方がいいでしょう。
任意整理によるクレジットカードへのデメリット
任意整理を行うと、信用情報に影響が出るため、クレジットカードの利用にも大きな制限がかかります。
ここでは、クレジットカードに関して具体的にどのようなデメリットがあるのかを解説します。
任意整理をしたクレジットカードは強制解約になる
任意整理の対象としたクレジットカードは、手続き開始と同時に強制解約となります。
借金の返済条件を見直すという性質上、そのカード会社は今後の信用を認めないため、継続利用はできません。
そのため、光熱費や通信費などをそのカードで支払っていた場合は、早めに支払い方法の変更が必要になります。
他社のカードも更新できずに解約となる可能性がある
任意整理の対象にしていないクレジットカードは、すぐに解約されるわけではありません。
しかし、カードの更新時には信用情報のチェックが行われるため、その時点で信用リスクありと判断され、解約になる可能性があります。
つまり、任意整理をしていないカードであっても、今後も使い続けられるとは限らないのです。
油断していると、突然の利用停止や解約に困ることもあるため注意しましょう。
ローン・分割払い分の一括払いを求められる可能性がある
前述の通り、任意整理していないカードでも、更新時の信用チェックによって解約される可能性があります。
そのカードで分割払いやリボ払いを利用していた場合は、解約に伴い、残りの支払いを一括で請求されるケースもあるため注意しましょう。
例えば、A社のカードを任意整理したことがきっかけで、B社が信用リスクを感じ、カードを更新せずに解約することがあります。
このとき、B社のカードで残っていた分割払いやリボ払いの残高を、まとめて支払わなければならなくなることもあります。
事前にカード利用の状況を把握し、必要であれば支払方法の見直しも検討すべきです。
新しいカードをしばらく発行できなくなる
任意整理をすると、信用情報に事故情報が登録され、いわゆるブラックリスト状態になります。
この情報は通常、完済から5年間は保管されるため、その間は新しいクレジットカードの審査に通りにくくなります。
新規のカード発行ができないことにより、旅行予約やネット通販、公共料金の支払いなどで不便を感じる場面もあるでしょう。
公共料金やサブスクの支払方法を変更しなければならない
クレジットカードで支払っていた公共料金・サブスク・定期購入などは、カードの解約により支払えなくなる可能性があります。
そのため、任意整理後は口座振替やデビットカード、プリペイドカードなどに支払い方法を切り替える必要があります。
手続きが遅れるとサービスが停止されることもあるため、早めの対応が重要です。
任意整理による仕事へのデメリットは?
任意整理は借金を整理するための手続きですが、仕事や職場にどのような影響があるのか不安に思う人も多いでしょう。
ここでは、任意整理が職業や就職に与える影響について、よくある疑問を整理して解説します。
任意整理で職業制限は受けない
任意整理は裁判所を通さない手続きのため、自己破産のように特定の職業に就けなくなるといった、資格制限はありません。
たとえば、警備員や保険外交員、士業(弁護士・司法書士など)など、一定の資格を必要とする職業でも、任意整理を理由に資格を失うことはないため安心です。
会社にもバレる可能性は低い
任意整理はあくまで本人と債権者との間で行う手続きであり、裁判所を介さないため、勤務先に通知がいくことはありません。
そのため、会社に知られずに手続きを進めることができます。
借金を滞納しすぎて、給料口座を差し押さえられるなどすると、会社にバレてしまう可能性があるため、そうなる前に任意整理をするとよいでしょう。
就職や転職活動にも支障はない
任意整理をしても、履歴書や面接でその事実を申告する義務はありません。任意整理の情報が就職先に共有されることもありません。
ただし、金融機関や一部の信用情報を扱う企業に就職する場合は、信用情報の確認が行われる可能性があります。
そのような特殊な業界を除けば、任意整理が就職や転職の大きな障害になることはほとんどないといっていいでしょう。
任意整理をしたら人生終わりは誤解!弁護士に相談して正しい知識を
任意整理をしても、人生が終わりになることはありません。
借金問題は、正しい知識を持ち、正しい対応ができれば、再スタートを切ることができます。
そのためには、弁護士などの専門家に相談し、自分にとって最適な解決策を見つけることが重要です。
任意整理が本当に向いているのか、他の方法の方がよいのかも含め、状況を見極めて適切にアドバイスしてもらえます。
手続きや債権者との交渉も代行してもらえるため、精神的な負担も大きく軽減されます。
一人で悩まず、まずは無料相談などを利用してみましょう。
任意整理のデメリットに関するよくある質問
任意整理と個人再生のデメリットは?
任意整理は利息をカットできるものの、元本は減らないため、借金額が大きい場合は返済が厳しくなる可能性があります。
一方の個人再生は、借金を大幅に減額できる反面、裁判所を通すため手続きが煩雑で、一定の収入や資産状況も求められます。
どちらが適しているかは、状況に応じた判断が必要です。
任意整理はしない方がいい?
任意整理は、利息カットや返済の負担軽減には有効ですが、すべての人にとって最適な方法とは限りません。
たとえば、返済の見通しが立たないほど借金が多い場合や、保証人がついている借金が多い場合は、任意整理を選ばない方がよいこともあります。
状況に応じて他の債務整理を検討しましょう。
任意整理による携帯電話へのデメリットは?
任意整理をすると、スマホの分割払い(端末代)が残っている場合、その残額を一括請求される可能性があります。
信用情報に傷がつくため、新たに端末を分割で購入することが難しくなります。
ただし、通信契約そのものは通常継続できるため、回線が突然止まるようなことは基本的にありません。
まとめ
任意整理は、裁判所を通さずに借金の負担を軽減できる便利な制度ですが、すべての人にとって完璧な解決策とは限りません。
元本が減らないことや、信用情報への影響、家族やクレジットカードへの影響など、事前に知っておくべきデメリットもあります。
大切なのは、自分の状況に合った方法を選ぶことです。迷ったときは、弁護士など専門家に相談することで、安心して最適な選択ができるはずです。