自己破産をするとパスポートの申請や取得ができない?
自己破産をすると借金の返済を免除してもらえるというメリットがありますが、財産が処分されてしまうなどのデメリットもあります。
デメリットのひとつとして、パスポートの申請や取得ができなくなるという噂があるようですが、これは本当なのでしょうか?
この記事では、「自己破産をするとパスポートの申請や取得ができない?」について解説していきます。
目次
自己破産をするとパスポートが作れなくなる?
自己破産をしてもパスポートの申請や取得は可能
自己破産をするとパスポートが作れなくなるというのは真実ではありません。
自己破産をしたことを理由にパスポートの申請や取得ができなくなることはありません。
もちろん、すでに取得しているパスポートを没収されてしまうこともありません。
パスポートが作れない場合
自己破産をしてもパスポートの申請や取得に制限がかかることはありませんが、犯罪歴がある場合などにパスポートの取得ができないことがあります。
旅券法というパスポートについて定めた法律の中で、パスポート発給の制限についての条文があります。
- ①渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者
- ②死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾こう引状、勾こう留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者
- ③禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
- ④旅券若しくは渡航書を偽造し、又は旅券若しくは渡航書として偽造された文書を行使し、若しくはその未遂罪を犯し、刑に処せられた者
- ⑤著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
などはパスポートの発給に制限がかかります。
こちらは一部抜粋したもので、少し難しくわかりにくい箇所もありますが、おおまかに言えば、犯罪を犯していたり、パスポートの偽造をしたり、日本の国益を害すると認定されたりしなければパスポートの発給が禁止されることはありません。
自己破産手続をすることは上記の条文には当てはまりません。
自己破産をすると海外旅行に行けない
自己破産をしてもパスポートの申請や取得は可能ですが、破産手続中は海外旅行が制限されることがあるため、注意が必要です。
自己破産手続き中の旅行は裁判所の許可が必要
自己破産手続中には、いくつかの制限を受けることがあります。
その中のひとつに、移動に関する制限があり、居住地を離れる場合には裁判所の許可を得なければなりません。
破産手続中に引っ越しをしなければならない場合や旅行で長期間自宅から離れる場合などには、事前に裁判所に許可をもらう必要があります。
必ず申立てを依頼した弁護士に相談するなどして、事前に裁判所の許可を得ておきましょう。もし許可を得ずに旅行に行ったりしてしまうと、その後の手続きに影響を及ぼす可能性があります。
移動の制限がかかる期間
この移動の制限がかかるのは、あくまで自己破産手続中です。
破産手続開始決定が出てから免責許可決定が確定するまでの期間は通常、3か月~6か月程度であることがほとんどです。
免責許可決定が確定すれば、制限がかかることはありませんので、自由に旅行や引っ越しをすることができます。
まとめ
自己破産をしたからといって、パスポートの申請や取得に制限がかかることはなく、犯罪歴があるなど一部の限られた場合を除いて、パスポートは発給されます。
ただし、自己破産手続中には、移動の制限がかかることがあり、海外旅行に行く場合には裁判所の許可が必要になります。海外でなく国内であっても旅行に行く場合などには、必ず事前に申立てを依頼した弁護士または裁判所に確認をしましょう。
自己破産に関する噂には、このように事実ではないこともインターネット上には出回っていることがあります。個別の事情については、申立てを依頼する弁護士に相談するとよいでしょう。