自己破産で夫婦関係に影響すること・しないこと

妻や夫の借金返済が難しい場合、自己破産によって借金問題を解決できます。しかし妻もしくは夫が自己破産をすると、自己破産をしていない側にも影響するのでしょうか?
今回の記事では、次の3点について解説します。
- 夫婦に影響があるケース・ないケース
- 夫婦そろって自己破産した方が良い場合
- 自己破産で夫婦間への影響を最小限にするための方法

配偶者やご家族にどんな負担がかかるのかを把握した上で手続きを進めましょう。自己破産を検討する上で不安がある方は一度ご相談ください。
目次
自己破産で夫婦に影響があるケース・ないケース
ここでは自己破産で夫婦に影響があるケースとないケースについて、それぞれ解説します。
自己破産で夫婦に影響があるケース
自己破産で夫婦に影響があるケースは、一体どういった場合なのでしょうか。以下で詳しくみていきましょう。
妻または夫が連帯保証人である
妻または夫が借金の連帯保証人である場合、自己破産をすると本人から連帯保証人である妻または夫に支払い義務が移行します。
自己破産をした場合、債務者は残りの借金の支払いを連帯保証人に対して請求するのが通常です。
そのため夫婦のどちらか1人が自己破産をしたとしても、連帯保証人となっている妻もしくは夫が返済を迫られます。
仮に夫婦揃って支払い能力がない場合、2人同時に自己破産した方がよいです。
破産者名義の財産(家・自動車)がある
破産者名義の財産がある場合、自己破産に伴い財産の処分を行う必要があります。
不動産は登記、自動車は登録をしなければ、夫婦間でも所有権を破産管財人に対して主張できません。
そのため破産者名義の不動産や車などがある場合、ほぼ確実に手放さなければいけません。
親戚から借金をしている
妻や夫の親戚から借金をしている場合、自己破産によって影響を受ける可能性があります。
そもそも自己破産の手続きをする際には、親戚から借りたお金に関しても手続きの対象になります。
お金を借りた人に迷惑をかけたくないと思い、親戚からの借金を申告せず自己破産の手続きを進めてしまうと、免責が認められない可能性もあります。
制限を受ける職種に携わっている
自己破産をするとデメリットとして、一定の資格や職業に制限を受けます。
破産手続きを開始することで、すでに取得している資格を失うもしくは新しく取得できなくなってしまいます。
制限される資格の種類としては、次のようなものが挙げられます。
- 宅地建物取引士(宅地建物取引業法18条1項2号)、公認会計士(公認会計士法4条4号)や税理士(税理士法4条2号)などの士業
- 警備員(警備業法14条1項)
- 公証人(公証人法14条2号)
- 交通事故相談員(交通安全活動推進センターに関する規則4条1項2号)
- 固定資産評価員(地方税法407条1号)
上記の職業に関係した仕事についている人は、場合によっては辞めなければならない可能性もあります。
自己破産によって仕事を辞めることになると、生活環境の変化など配偶者に対して影響を与えることは間違いありません。
家や車を手放す場合
破産者名義の財産がある場合のところでも解説しましたが、自己破産すると家や車などを手放さなければなりません。
20万円以上の価値を有している財産は処分対象になるため、ほぼ確実に家や車などは手放す必要があります。
学資保険に加入している
自己破産をすると、学資保険が解約されるケースがあります。自己破産で処分対象となる財産は20万円以上のものです。
処分対象となる土地や住宅、車などの物に限らず、保険も該当します。
例えば、学資保険の解約返戻金が20万円以上であれば、現金化して債権者へ分配する対象となるため解約される可能性があります。
自己破産で夫婦に影響がないケース
ここでは自己破産で夫婦に影響がないケースについて解説します。
妻または夫が保証人ではないケース
妻または夫が保証人ではない場合、自己破産による影響は小さいです。
自己破産をしたとしても返済の請求をされないので、夫婦どちらか片方のみの自己破産だけで解決できます。
持ち家や車などがないケース
自己破産によって生じる1番の影響は、持ち家や車などを処分しなければいけない点です。
しかし持ち家や車などがない夫婦の場合、影響を受けることなく自己破産できます。
こういった夫婦は自己破産による影響が最小限であるため、任意整理や個人再生よりも自己破産を選んだ方が迅速に生活を立て直した方が良い場合も多いです。
夫婦がそろって自己破産しだ方が良い場合とは?
夫婦がそれぞれの連帯保証人になっている場合、2人同時に自己破産をしたほうがいいかもしれません。どちらか片方が自己破産をしただけでは、連帯保証人となっている配偶者へ請求されるためです。
自己破産で夫婦間への影響を最小限にするなら弁護士に依頼がおすすめ
弁護士に依頼することで、夫婦間への影響を最小限にできる理由を解説します。
財産を手元に残せる
弁護士に依頼して自己破産をすれば、ある程度の財産を手元に残せます。自己破産の手続きでは財産を処分しなければいけませんが、それを決めるのは裁判所と破産管財人です。
弁護士であれば、裁判所や破産管財人に対して自己破産しても手元に残せる財産の拡張を申し立てしたり、特定の財産を残せるよう交渉したりしてくれます。
迅速に手続きを進められる
自己破産を裁判所に申し立てるためには、手続きの際に専門的な知識を要求とする書類や資料を提出しなければいけません。例えば、下記の書類は裁判所に提出しなければいけないもののほんの一部です。
- 自己破産申立書
- 陳述書
- 給与明細書などの収入がわかるもの
- 財産目録
- 滞納公租公課一覧表
- 債権者一覧表
これはあくまでも必要な書類の一部であり、実際には膨大な量の書類や資料を提出する必要があります。
また提出をしたとしても、内容に不備があれば再度やり直しをしなければいけません。弁護士に依頼をすれば、こういった書類や資料の準備は全て代理してもらえます。
手続きにかかる負担もなくなるので、自己破産後の生活を立て直すことだけに集中できます。
自己破産以外の解決策も提案してくれる
借金の問題を解決するためには、自己破産以外にも任意整理や個人再生という方法があります。弁護士に相談すれば、その人に最適な解決策を提案してくれるため、自己破産以外の方法で借金問題を解決可能です。
現在抱えている借金が自己破産以外でしか解決できないと思い込んでいる方でも、場合によっては任意整理や個人再生で解決できます。
まとめ
今回は自己破産した場合、夫婦の間にどのような影響が生じるのか解説しました。
確かに自己破産はデメリットがいくつかあるので、配偶者に迷惑をかけると感じ自己破産に踏み切ることができない人も多いです。
しかし自己破産をしたとしても、夫婦間に影響がないケースも少なくありません。
自己破産に不安を感じていることや疑問に思っていることがあれば、1度弁護士に相談して解決するのがおすすめです。