未成年や高齢者は自己破産できる?年齢制限について解説
自己破産をすると、借金の支払義務が免除されます(税金や養育費など一部支払義務が免除されないものもあります)。
借金が膨らんでしまい全額を返済するのが難しい場合、生活の再建を目指すため自己破産を検討する人も少なくありません。
そこで、この記事では自己破産の年齢制限について、未成年や高齢者の場合の注意点を中心に解説していきます。
目次
自己破産するのに年齢制限ってある?自己破産ができる条件とは
実は、自己破産をするのに年齢の制限はありません。
ではどのような場合に自己破産をすることができるのでしょうか?自己破産ができる条件は以下の2つです。
①支払不能の状態であること
収入や財産、生活状況や将来支払える見込みなどを総合的に判断して借金の返済が不可能な状態である場合、自己破産をすることができます。
②免責不許可事由に該当しないこと
自己破産をして借金の支払義務を免除してもらうためには、免責許可事由に該当していない必要があります。
免責不許可事由の例は以下のとおりです。
- 自己破産手続きで財産を没収されるのを避けるために財産を隠したりする行為
- クレジットカードで購入したものを売却して現金化する行為
- 特定の債権者にだけ優先して借金を返済する
- パチンコや競馬などのギャンブルや収入に見合わない浪費
- 返済できないとわかっているのに支払いができるふりをしてお金を借りたりする
- 財産に関する書類や帳簿などを隠したり、改ざんしたりする
- 債権者名簿に虚偽の記載をしたり、一部の債権者を隠して記載しなかったりする
- 裁判所が行う調査において、説明を拒んだり虚偽の説明をする
- 破産管財人の業務を妨害する
- 2回目以降の自己破産で、前回の免責許可決定から7年以内
- その他、破産法に定められている義務に違反する
などです。
もし免責不許可事由のどれかに該当してしまった場合でも、自己破産をして免責許可を得られるケースもあります。
破産に至った経緯や、破産者の事情によって免責を許可してもよいと裁判所が判断した場合には免責許可決定が出る裁量免責という制度があるからです。
免責不許可事由に該当してしまうけど自己破産をしたいという人は、弁護士に相談することをおすすめします。
未成年や高齢者が自己破産をする場合の注意点
自己破産ができる条件は先述のとおり、支払不能の状態であり、免責不許可事由に該当しないことです。
年齢制限はありません。ただし、未成年者と高齢者が自己破産をする場合には注意が必要です。
以下、その理由について見ていきましょう。
①未成年者が自己破産をする場合
未成年であっても自己破産をすることは可能です。しかし、未成年者は法定代理人(親)の同意がなければ法律行為は行えません。未成年者が自己破産をする場合には、法定代理人(親)の同意が必要になります。
そもそも、未成年者は借金をすることができるのでしょうか?
法定代理人(親)の同意がない契約は後から取り消すことが可能です。未成年者が借金をする場合も同様で、もし法定代理人(親)の同意なく借金をした場合には、契約をなかったことにすることができます。
ただし、未成年者でも借金が有効になるケースがあります。
- 法定代理人が同意した場合
- 未成年者が結婚しているまたは結婚歴がある場合
- 未成年者は結婚すれば成年とみなされるため、法定代理人の同意がなくても借金が可能です。結婚後離婚をした場合でも成年として扱われます。
- 年齢を詐称して借金をした場合
- 法定代理人の同意書を偽造して借金した場合
これらに該当する場合には借金も有効となるため、借金が返済できない状態になれば法定代理人の同意のもとに自己破産をすることは可能です。
②高齢者が自己破産をする場合
自己破産に年齢制限はありませんので、高齢者でも自己破産をすることが可能です。
もし借金を残したまま亡くなると、借金は配偶者や子など相続人に相続されることになりますので、借金を抱えている場合には自己破産を検討してもよいかもしれません。
相続人が相続放棄をした場合には借金が相続されることはありませんが、プラスの財産も相続することはできませんので注意が必要です。
③認知症の高齢者が自己破産をする場合
認知症を患っている高齢者が自己破産をする場合、まずは成年後見人を付ける必要があります。
成年後見人とは、認知症などの理由で判断能力を欠く人の代わりに財産を管理したり契約を結んだりする人のことです。家庭裁判所に成年後見申立てを行い、成年後見人を選任してもらいます。
自己破産の手続きは、選任された成年後見人が進めていくことになります。
もし身内に借金を抱えた認知症の人がいる場合には、弁護士に相談するとよいでしょう。
まとめ
自己破産には、年齢による制限はありません。未成年者でも高齢者でも自己破産をすることは可能です。
ただし、未成年者の場合には法定代理人の同意が必要、認知症を患っている高齢者の場合には成年後見人が手続きをする必要があるなどそれぞれ注意点もあります。
個別の事情については弁護士に相談することをおすすめします。