自己破産の手続期間やブラックリスト登録期間はどのくらい? - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

自己破産の手続期間やブラックリスト登録期間はどのくらい?

自己破産にかかる期間は、どの手続きで進められるかによって異なります。

自己破産には、次の3つの手続きがあります。

  • 同時廃止事件
  • 少額管財事件※
  • 破産管財事件

※少額管財事件を導入していない裁判所もあります。

この記事では、次の点を詳しく解説します。

  • 自己破産にかかる期間
  • 自己破産の期間が短くなるケース
  • 自己破産の期間が長くなるケース
  • 自己破産期間中の注意点
  • 自己破産のブラックリスト登録期間

自己破産にかかる期間が気になる方は、ぜひご参考になさってください。

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自己破産にかかる期間

ここでは、次の各手続きにかかる期間を説明します。

  • 同時廃止事件の場合
  • 少額管財事件の場合
  • 通常管財事件の場合

同時廃止事件と破産管財事件の違いは以下の記事をご確認ください。

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同時廃止事件の場合

同時廃止の場合、弁護士に依頼してから手続き終了までの期間は概ね6ヶ月です。

弁護士への依頼~申立ての期間【目安:2~3ヶ月】

弁護士に自己破産を依頼してから申立てまでの期間は、2~3ヶ月程度です。

  • 受任通知の送付:即日~3日程度
  • 必要書類の収集:2~3週間
  • 負債・財産の調査:2~3週間
  • 申立書類の準備:1ヶ月程度

弁護士費用を分割払いする場合は、費用の積立状況により3ヶ月以上かかることもあります。

申立て~開始決定の期間【目安:2週間~1ヶ月】

申立てから開始決定までの期間は、2週間~1ヶ月程度です。申立て後は次のとおり進行します。

  • 申立書類の審査
  • 申立書の訂正・追加書類の提出(不備不足がある場合)
  • 破産手続開始決定

同時廃止は、開始決定と同時に破産手続きが終了します(これを同時廃止といいます。)。

なお、東京地方裁判所では即日面接制度の運用があり、申立て当日から3日以内(休日を除く)に破産手続きが開始されるケースがあります。詳細は後述します。

開始決定~免責許可決定の期間【目安:概ね2ヶ月】

開始決定から免責許可決定までの期間は、概ね2ヶ月です。開始決定後は次のとおり進行します。

  • 破産手続開始決定の官報公告(開始決定から3週間)
  • 免責審尋(官報公告から2週間)
  • 免責許可・不許可決定(免責審尋から概ね1週間)

免責が不許可となった場合には、申立てをした地方裁判所を管轄する高等裁判所に対して異議申立ができます(これを即時抗告といいます)。

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免責許可決定~免責許可決定確定の期間【目安:概ね1ヶ月】

免責許可は、免責の官報公告を経て、概ね1ヶ月後に確定します。

少額管財事件の場合

少額管財の場合、弁護士に依頼してから手続き終了までの期間は6ヶ月~1年程度です。

弁護士への依頼~申立ての期間【目安:3~6ヶ月】

少額管財の場合、申立てまでの準備期間は3~6カ月程度です。同時廃止に比べて、書類の収集や負債・財産の調査に時間がかかります。

  • 受任通知の送付:即日~3日程度
  • 必要書類の収集:1ヶ月程度
  • 負債・財産の調査:1~2ヶ月程度
  • 申立書類の準備:1ヶ月程度

引継予納金の積立を要する場合は、6ヶ月以上かかることもあります。

申立て~開始決定の期間【目安:2週間~1ヶ月】

申立て後、手続きは以下のとおり進行し、2週間~1ヶ月で破産手続開始決定がなされます。

  • 申立書類の審査
  • (不備不足がある場合)申立書の訂正・追加書類の提出
  • 管財人候補者への打診・面接
  • 破産手続開始決定
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開始決定~免責許可決定の期間【目安:3~4ヶ月】

開始決定後は、次のとおり進行し概ね3~4ヶ月で免責許可決定がなされます。

  • 破産管財人の選任
  • 引継予納金の支払い
  • 破産管財人との面接
  • 財産や負債原因の調査
  • 債権者集会の開催
  • 免責審尋
  • 異時廃止(又は配当)
  • 免責許可決定(免責審尋から概ね1週間)
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免責許可決定~免責許可決定確定の期間【目安:概ね1ヶ月】

免責許可は、免責の官報公告を経て、概ね1ヶ月後に確定します。

通常管財事件の場合

通常管財の場合、弁護士に依頼してから手続終了まで1年以上かかることがあります。

弁護士への依頼~申立ての期間【目安:3~6ヶ月】

通常管財の場合、申立てまでの準備期間は3~6カ月程度です。通常管財は少額管財よりも負債状況や財産の調査に時間がかかることもあります。

  1. 受任通知の送付:即日~3日程度
  2. 必要書類の収集:1~2ヶ月
  3. 負債・財産の調査:2~3ヶ月
  4. 申立書類の準備:1ヶ月程度

引継予納金の積立を要する場合は、6ヶ月以上かかることもあります。

申立て~開始決定の期間【目安:概ね1ヶ月】

申立後、手続きは以下のとおり進行し、2週間~1ヶ月で破産手続き開始決定がなされます。

  • 申立書類の審査
  • 申立書の訂正・追加書類の提出(不備不足がある場合)
  • 管財人候補者への打診・面接
  • 破産手続開始決定

開始決定~免責許可決定の期間【目安:6ヶ月~1年以上】

開始決定後は、次のとおり進行し免責許可決定まで概ね6ヶ月~1年かかります。債権者が300人を超える大規模な破産事件の場合、2年、3年以上かかるケースもあります。

  • 破産管財人の選任
  • 引継用納金の支払い
  • 破産管財人との面接
  • 財産や負債原因の調査
  • 債権者集会の開催
  • 免責審尋
  • 異時廃止(又は配当)
  • 免責許可決定(免責審尋から概ね1週間)

免責許可決定~免責許可決定確定の期間【目安:概ね1ヶ月】

免責許可は、免責の官報公告を経て、概ね1ヶ月後に確定します。

自己破産の期間が短くなるケース

ここでは、自己破産の期間が短くなる代表的なケースを紹介します。

同時廃止事件

同時廃止事件は、財産の換価・配当手続きが行われないので、少額管財事件・通常管財事件に比べて短期間で終了します。

同時廃止と異時廃止の違いは、次のとおりです。

  • 同時廃止:破産手続開始と同時に廃止が決定される
  • 異時廃止:破産手続開始決定後に裁判所の職権で廃止する

同時廃止の場合は、破産管財人が選任されることなく手続きが終了します。

即日面接制度

東京地方裁判所では、即日面接制度が運用されています。即日面接制度を利用すると、早ければ自己破産を申立てたその日に破産手続開始決定がなされます。遅くとも申立日から3日以内(裁判所の休日を除く)に面接が実施されます。

自己破産の期間が長くなるケース

ここでは、自己破産の期間が長くなる可能性があるケースを紹介します。

自分で申立てる場合

自己破産をご自身で申立てると、次の点を理由に手続きがスムーズに進まず、期間が長くなる場合があります。

  • 専門家のアドバイスなく提出書面を作成・準備することが困難
  • 裁判所から補正や追加提出を求められる場合がある
  • 少額管財が利用できない
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2回目の自己破産

2回目の自己破産の場合、期間が1回目よりも長引く可能性があります。

破産に至った原因が1回目の自己破産と同じ理由の場合、原則管財事件となり、免責についても裁判所がより厳しい判断をすることが予測されます。

書類の収集に時間がかかる場合

自己破産申立ては、様々な書類を収集しなければならず、次のように書類の収集に時間がかかるケースがあります。

  • 仕事の都合で書類の収集が遅れる
  • 一度にすべての書類を集められず、有効期限の指定がある書類を取り直す必要が生じる

なお、有効期限の指定のある書類の具体例は、次のとおりです。

  • 債権調査票(6ヶ月以内)
  • 住民票(発行後3ヶ月以内)
  • 源泉徴収票(直近1年分)
  • 給与明細書(直近2ヶ月分)
  • 家計収支表(直近2ヶ月分)
  • 通帳のコピー(直近2週間以内に記帳)

大規模かつ複雑な管財事件

債権者の数が300人を超える大型事件や、財産関係が複雑な事案では手続きが長期化し、2~3年以上かかるケースもあります。

債権者が反対している場合

次の場合、手続きが長引くことがあります。

債権者が免責について反対意見を述べた場合

債務者は反対意見に対応しなければならず、主張が繰り返されることによって、手続きが長引くことがあります。

債権者が免責決定に対して即時抗告した場合

免責決定が確定しないまま高等裁判所の審理に移ることになり、さらに期間が延びることがあります。

自己破産期間中の注意点

ここでは、破産手続開始がもたらす債務者への法的効果を説明します。

資格の制限

破産手続開始によって、次のとおり資格が制限されることがあります。もっとも、免責許可を受ければ、元通り資格を取得・使用できます(これを復権といいます。)

  • 一定の資格を得ることができなくなる
  • 一定期間、資格を利用した仕事ができなくなる

資格制限は破産法の規定ではなく、それぞれの資格の取得要件等を定める法律に個別に規定されています。資格の制限を受ける職業の代表例は次のとおりです。

  • 士業
  • 警備員
  • 生命保険の外交員(生命保険募集人)
  • 建設業・宅地建物取引主任者
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居住地の制限

住居の移動に裁判所の許可が必要です。住居の移動には以下を含みます。

  • 住所の変更
  • 宿泊を要する旅行
  • 宿泊を要しない遠隔地への旅行

住民票の移動そのもの(届出)は裁判所の許可は不要ですが、住民票を移動した場合は裁判所への報告が必要です。

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通信の制限

破産者に宛てた郵便物は、破産管財人にすべて転送・閲覧されます。

破産管財人に郵便物が転送されることで、申告が漏れていた財産が発見されるケースがあります。

自己破産のブラックリスト登録期間

ここでは、自己破産のブラックリスト登録期間を説明します。

信用情報機関とは

自己破産すると、信用情機関に事故情報が登録されます。いわゆるブラックリストに載ることです。

信用情報とは

クレジットカードやローンの契約や申し込みに関する取引の事実を登録した個人情報です。

信用情報機関とは

信用情報機関は、加盟している金融機関(会員)から信用情報を収集・管理し、会員に提供する機関です。

個人の信用情報機関は3つあります。

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
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自己破産の信用情報の登録期間

自己破産した場合の信用情報機関への事故情報の登録期間は次のとおりです。

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC):5年
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC):5年
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC):10年
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まとめ

自己破産は弁護士への相談から、次のとおり少なくとも半年以上かかると想定すると良いでしょう。

  • 同時廃止:半年以上
  • 少額管財:半年~1年以上
  • 通常管財:1年以上

弁護士に依頼すると、すぐに裁判所に申立てができると思われる方がいらっしゃいますが、申立てには準備期間が必要です。申立前の準備を怠ると、かえって手続きが長引くこともあります。

少しでも早く自己破産の手続きを終わらせるためには、自己破産に精通した弁護士に依頼されることをおすすめします。

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