督促状とは?催促状との違い・内容や届く理由・無視するリスクを紹介
借金の返済を滞納したり、代金を支払わなかったりすると、督促状という書類が届くことがあります。
督促状が届いたときは、仰々しい文面に不安を感じてしまう方も多いでしょう。この記事では、督促状とは何か、無視をしたらどうなるのか、などについて解説します。
督促状とは
督促状は支払いを促す書類
督促状(とくそくじょう)とは、期日までに入金がなかった場合に、支払いを促すために送付される書類です。督促状に法的効力はありませんが、心理的プレッシャーを感じさせる効果があります。
実際、督促状が届いた方は、不安や焦りを感じて「すぐに振り込まないといけない」と思った方も多いでしょう。
督促状は基本的に債権者から直接届きますが、弁護士や債権回収会社から送付されることもあります。この場合は、債権者が外部に債権回収を依頼したということです。
督促状は複数回送られてくることもありますが、放置していると、法的手続きに進んでしまう可能性は高いです。そのため、督促状が届いたときは、速やかに対応する必要があります。
督促状に書かれている内容
督促状には、差出人・支払いを促す文言・請求金額・支払期限・振込先などが記載されています。場合によっては、法的措置への言及がされていることもあります。
法的措置とは、支払督促や裁判のことを指します。これらの法的措置を取られると、裁判所から訴状や支払督促などの書類が届き、最終的には財産を差し押さえられる可能性があります。
督促状の内容をよく確認し、支払い可能な場合は、速やかに入金を行いましょう。
督促状と催促状との違い
督促状と似た言葉の書類として、催促状(さいそくじょう)や催告書(さいこくしょ)があります。それぞれの意味は次のとおりです。
書類名 | 意味 |
催促状(さいそくじょう) | 期限が過ぎた支払いを催促する書類 |
催告書(さいこくしょ) | 法的手段を取る前の最終通告で送られる書類 |
これらの書類は、すべて支払いを促すために送られるものなので、意味合いとしては同じような書類です。しかし、催告書は法的手続きに移る一歩手前の段階で送られてくる書類のため、督促状や催促状よりも深刻度が高くなります。
一般的には、①催促状②督促状③催告書という順で、強いニュアンスの文書になります。これらの書類が届いても、指定された期日までに支払いを済ませれば、基本的に大きな問題とはなりません。
経済的な状況から支払いが難しい場合は、債務整理を検討し、弁護士に相談してもよいでしょう。債務整理では、借金を全額免除にしたり、利息をカットしたりすることが可能です。
督促状が届くよくあるケース
税金や公共料金の未納
督促状が届く代表的な例は、税金や公共料金の未納です。住民税や健康保険料などの支払いを忘れてしまい、督促状が届いてしまった、という経験がある方も多いでしょう。
横浜市を例にすると、未納の市税に対しては30日以内に督促状が送られてきます(督促状や催告書が届いたら|横浜市)。催告書は、督促状を送付した後も未納が続いた場合に届きます。
税金についても、督促状や催告状を無視して未納のままでいると、財産を差し押さえられる可能性があります。また、延滞金も加算され、本来よりも多く税金を納めることになってしまうので注意しましょう。
金融業者への借金滞納
消費者金融や銀行から借入し、返済を滞納してしまった場合も、督促状が届きます。最初は電話やメールで催促の連絡が来るため、その時点で支払いを行えば、督促状は送られてきません。
金融業者の場合、電話や督促状を無視していると、職場にも連絡が掛かってくる可能性があります。また、信用情報機関に事故情報が登録され、いわゆるブラックリストに載ってしまいます。最終的には、借金の一括返済を求められ、法的手続きに進むことになるでしょう。
通販での後払い決済
最近では、後払い決済が利用できる通販サイトも多くなっています。後払い決済は、購入した商品を受け取った後に、コンビニや銀行で代金を支払うという仕組みです。後払いのため、お金に余裕がないときでも購入しやすいというメリットがあります。
しかし、後払い決済は代金の支払いを忘れてしまいやすいです。この場合も、最初は電話やメールで催促され、その後に督促状が送付されることが多いでしょう。
督促状に記載されている期日までに支払いを済ませれば問題ありませんが、未納のままでいると法的手続きに進んでしまう恐れがあります。また、代金を故意的に支払わなかった場合は、事業者が被害届を提出し、詐欺罪に問われる恐れもあるので注意しましょう。
督促状が届いた時の注意点
支払い忘れの場合は期限内に対応する
単なる支払い忘れの場合は、督促状を確認した時点で速やかに入金を済ませましょう。記載された期日までに支払いを済ませれば、基本的に大きな問題にはなりません。
支払いができない場合も無視をしない
督促状が届き、経済的な理由から支払いができない場合も、無視をせず対応する必要があります。債権者と話し合うことで、支払い期日を伸ばしてもらったり、分割払いにできたりする可能性もあります。
支払いができないからと無視を続けていると、債権者は法的手続きに移らざるを得なくなります。どうしても支払いができない場合は、自己破産や任意整理などの債務整理を検討した方がよいでしょう。
架空請求などの詐欺に注意する
督促状は、架空請求などの詐欺に利用されることがあります。法務省のホームページからも注意喚起がされています。
最近,身に覚えのない出会い系サイトの利用料などの支払いを求める架空請求について,督促手続や少額訴訟手続を仮装し又は悪用するケースがあるという相談・情報が法務省・国民生活センター等に寄せられています。
単なる架空請求であれば,身に覚えがない以上請求に応じる必要はありませんが,裁判所の手続を悪用する形で請求してきた場合には,注意を要します。
督促状が届くと、多くの方は焦りや不安を感じ、「すぐに振り込まないといけない」という気持ちになります。しかし、督促状の内容をよく確認せずに、焦って振り込んではいけません。
利用した覚えのない請求については、原則、無視をしても問題ありません。相手先に不用意に連絡するのもNGです。架空請求か判断できないときは、最寄りの消費生活センターにご相談ください。
督促状を無視するとどうなる?
自宅や会社に連絡がくる
督促状を無視すると、自宅や会社に連絡が来ます。特に、消費者金融からの督促状は、無視をすると会社にも連絡が来ることが多いので、職場の人にも借金がバレてしまう可能性があります。
消費者金融から職場に電話が掛かってきた際は、アコムやアイフルなどの会社名を名乗るわけではありませんが、明らかに不自然な電話のため、職場の人も怪しく思ってしまうでしょう。
連帯保証人に請求がくる
本人と連絡が取れない場合、連帯保証人に連絡や請求が行く可能性があります。連帯保証人は、本人に代わって借金を返済する義務を負っています。また、連帯保証人に請求が来るときは、一括請求であることが多いです。
返済ができない場合は、連帯保証人の財産も差し押さえられる可能性があります。連帯保証人には、家族などの身近な人がなっていることが多いでしょう。身近な人に迷惑を掛けないためにも、なるべく早い段階で借金の問題を解決する必要があります。
ブラックリストに登録される
督促状を無視していると、ブラックリストに載ってしまうことがあります。特に消費者金融の借金は、2〜3ヵ月滞納するとブラックリストに登録されることが多いです。しかし、税金や社会保険料などは、滞納してもブラックリストには載りません。
一度登録されると、完済してから5年程度はブラックリストに載ることになります。ブラックリストに登録されると、ローンが通らなくなったり、クレジットカードが作れなくなったりします。ブラックリストのデメリットについては「ブラックリストとは?デメリットや登録期間を解説」の記事をご覧ください。
一括返済を要求される
督促状を無視すると、残っている借金の一括返済を求められることがあります。一括返済の請求は、内容証明郵便で届くことが多いです。
内容証明郵便は、相手がいつ書類を受け取ったのかが郵便局に記録されるため、請求が届いていないという主張は認められません。
一括で請求された場合、支払いができないという方も多いでしょう。支払いができない場合は、債権者と再度分割払いの交渉をしたり、弁護士に債務整理を依頼したり、などの対応が考えられます。
裁判所から書類が届く
督促状や一括請求も無視すると、最終的には裁判所から支払督促や訴状などの書類が届きます。これは、すでに債権者が法的手続きに進んだということです。
支払督促とは、裁判所が債務者に対して金銭の支払いを命じる手続きです。訴状は、債権者が裁判を申し立てたことを知らせる書類です。訴状が届いた場合は、答弁書を提出し、裁判所に出廷する必要があります。
財産を差し押さえられる
裁判所からの書類も無視すると、自動的に敗訴となり、いよいよ強制執行による財産の差し押さえに移る可能性が高くなります。差し押さえの対象となる財産は、不動産や預貯金、給料などです。
給料の差し押さえでは、差し押さえ分の金額が引かれた給料が会社から支給されます。そのため、借金や差し押さえをされたことが会社にバレることになります。
ただし、給料全額を差し押さえられるわけではありません。差し押さえできる金額は、原則として手取りの4分の1が上限となります。
督促状などの催促や取り立てを止めるには
債務整理をする
借金の返済が難しい場合は、弁護士に債務整理を依頼するのもひとつの手段です。債務整理には、自己破産や個人再生、任意整理などがあります。それぞれの特徴は次のとおりです。
種類 | 特徴 |
自己破産 | 裁判所を通して、借金を全額免除にする手続き。 |
個人再生 | 裁判所を通して、借金を大幅に減額する手続き |
任意整理 | 裁判所を通さず、債権者との交渉により、利息を免除する手続き |
ご自身の状況によって、どの方法を選択すべきかは異なります。弁護士に状況を説明し、アドバイスをもらいながら判断していくのがよいでしょう。
債務整理は借金の問題を解決し、生活を立て直すための手段として、利用される方も決して少なくありません。
返済計画を相談する
督促状や一括請求が届いたら、債権者と返済計画について再度相談してみるのもひとつの手です。返済を滞納している以上、相談することが億劫な方もいると思いますが、無視をするよりかはよいでしょう。
無視を続けると、債権者は法的手続きに移らざるを得ません。法的手続きは、時間も手間も掛かるため、できるならお互い避けたいと考えるのが一般的です。
ただし、債権者も何年間も返済を待ってくれるわけではありません。そもそも返済見込みがない場合は、弁護士に債務整理の相談をするのがよいでしょう。
時効の援用をする
時効の援用とは、借金の時効が成立していることを主張して、返済義務をなくすための手続きです。
借金には時効があります。時効が成立する期間は、返済期日から5年または10年です。この期間を過ぎていた場合に、時効援用の手続きをすることで、返済する義務はなくなります。
ただし、時効は更新することもできるため、この期間を過ぎていても必ず時効になるとは限りません。
数年前の借金の請求が突然来たケースでは、時効が成立していないか確認した方がよいでしょう。時効援用の手続きは、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。
まとめ
督促状は債務者に対して、期日が過ぎた支払いを催促するための書類です。督促状が届いた場合は、内容をよく確認し、速やかに対応する必要があります。
借金の返済が難しい場合は、弁護士に債務整理の依頼をすることで、借金問題の早期解決に繋がります。ネクスパート法律事務所では、借金にお困りの方の無料相談窓口を設けていますので、まずはお気軽にご連絡ください。