債務整理は弁護士に依頼|費用の相場や依頼の流れ、おすすめの選び方は?
債務整理をするとなったら、弁護士に依頼するのが一般的です。個人で必要書類を用意したり、手続きを進めるのは難しいです。一部の司法書士に依頼することもできますが、取り扱える借金額に制限があります。
この記事では、弁護士に依頼できる債務整理の内容や、必要な費用、弁護士事務所の選び方などを紹介していきます。
目次
債務整理で弁護士に依頼できること
まずは、弁護士に依頼できる借金減額手続き(債務整理)がどんなものなのか知りましょう。債務整理には、主に以下の3種類があります。
- 自己破産:借金の返済を免除する
- 個人再生:借金を5~10分の1まで減額する
- 任意整理:借金の利息をカットする
それぞれの概要について順番に紹介します。
任意整理
任意整理は、裁判所を介さず、借主(債権者)と直接、借金減額の交渉をする手続きです。
裁判所を介さず、当人同士で交渉を行う手続きなので、正確な件数は明らかになっていませんが、年間100万件以上利用されているといわれています。
任意整理は、法律にのっとった手続きではなく、当人同士が話し合いを行う私的な手続きです。よって、毎回同じ効果を得られるわけではありませんが、多くのケースでは、借金の利息や遅延損害金がカットできます。
任意での交渉ですので、債権者側には、減額交渉を断る自由があります。しかし、交渉を断ると、結果として借金が回収できなくなるリスクが高まります。
結果として「貸した分(元金)だけを回収して、早く手続きを終わらせてしまおう」という判断に落ち着くようです。
利息や遅延損害金がカットされたら、残りの借金を3~5年で分割払いしていくのが一般的です。借金額が大きかったり、取引期間が長かったりすると、さらに長期での分割払いが認められることもあります。
これまでの支払額が極端に少なかった人を除けば、毎月の支払額を減らしつつ、返済総額も減らすことができます。
個人再生
個人再生は、裁判所を通じて借金を5~10分の1まで減額する手続きです。減額された借金は、3~5年で分割払いします。
任意整理と似ている部分が多いため、一度表で比較してみましょう。
任意整理 | 個人再生 | |
裁判所 | 通さない | 通す |
減額効果 | 利息のカット | 5~10分の1まで減額 |
分割払い | 3~5年 | 原則3年 |
弁護士費用 | 1社につき数万円 | 40万円~ |
個人再生は、任意整理と違い、弁護士費用が多めにかかるものの、借金を大幅に減らすことができます。例えば、1000万円の借金であれば、最高で200万円(800万円減)まで減額できます。
安定した収入がある人であれば、残った借金を分割払いしていけるでしょう。
個人再生は裁判所を通じて行う手続きなので、手続きが認められる条件などが明確に定められています。詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
自己破産
自己破産は、債務整理の中でも最も効果の高い手続きです。自己破産が認められた場合、借金の返済が免除されます。つまり、ゼロになるのです。
「どうして自己破産などという手続きが存在するのか?」「借りたお金を返さなくて済むなんてムシがよすぎないか?」などといった声はよく聞かれます。
破産法1条、目的には、自己破産の目的について以下のようにかかれています。
- 支払不能な借金を清算することで、債務者(借主)に生活再建の機会を与える
- 借主や利害関係者の権利関係を適切に調整し、債務者が持つ財産を適正かつ公平に分配する
自己破産は、誰でも利用できるわけではなく、借金があまりにも多すぎて返済が現実的に困難な人や、現状収入がなく、返済が困難な人が利用できます。
自己破産は、認められると、借金がなくなる代わりに、自分が所有する財産の中で価値のあるものは没収されてしまいます。換金して債権者に配当するためです。
生活に最低限必要な財産を残して再スタートを切ることになるのが、自己破産の特徴です。
その他
その他、借金関係で弁護士に依頼できる手続きがあります。以下をご覧ください。
- 過払い金請求:過去に払いすぎた利息の返還を求める手続き
- 時効援用の手続き:時効を迎えたことを主張し、借金を消滅させるための手続き
過払い金請求に関しては、2010年6月以前から借入をしている人であれば発生している可能性があります。
時効に関しては、貸した側が返済を求めず、借りた側も返済せず…の状態が5年継続することで成立します。途中で借金を認めるようなやりとりをしたり、少額でも返済してしまっていると成立しません。
過払い金請求や、時効援用の手続きが気になる人は、一度弁護士に相談しましょう。
債務整理を依頼する弁護士のおすすめの選び方
債務整理に関して、なんとなく理解できたら、実際に弁護士に相談をしてみましょう。ここでは、債務整理を依頼する弁護士の選び方を紹介します。
債務整理の実績が豊富か
事務所が債務整理に力を入れており、実績が十分にあるかを確認しましょう。事務所の実績が重要な理由は以下の通りです。
- 依頼者の悩みに対して最適なアドバイスができる
- 依頼者の状況や希望に応じて最適な手続きを選択できる
- 過去の経験を活かして、スムーズに手続きを進めることができる
- 実績のある事務所を選ぶことで、依頼者が安心して結果を待つことができる など
弁護士費用が明確か
弁護士費用が明確かどうかも重要なポイントです。費用が不透明な事務所は避けるようにしましょう。契約前に、以下の点について確認すると良いでしょう。
- 相談料がかかるかどうか
- 着手金(仕事に取り掛かる際の前払い金)の有無
- 報酬金(手続きが成功した際に支払う報酬)の有無
- その他、費用の内訳についての説明があるか
事務所によっては、初回相談が無料であったり、着手金や報酬金の支払いについて分割払いができる場合もあります。依頼を検討している事務所に確認してみましょう。
依頼者の話を親身になって聞いてくれるか
最後に、弁護士が依頼者の話を親身になって聞いてくれるかどうかも重要です。借金の悩みは、個人のプライベートな問題であり、他人には言いづらいものです。そのため、弁護士が親身になって話を聞いてくれることで、依頼者は安心して相談することができます。
相談の際には、弁護士の対応をよく観察し、自分に合う弁護士かどうかを見極めましょう。
自宅から通える距離に事務所があるか
PCやスマホの扱いが得意な人であれば、全国対応している事務所を選んで、債務整理に必要な手続きをオンラインで完結できるかもしれません。
しかし、そうでない方は、契約書に署名する際など、必要な場面で事務所に通う必要がでてきます。自宅から事務所までの距離が遠いと不便ですので、なるべく近所にある事務所を選ぶといいでしょう。
分割払いや後払いに対応しているか
債務整理を検討している人は、借金を抱えており、手元にまとまったお金がないケースが多いです。個人再生や自己破産は、弁護士費用だけでも数十万円かかりますので、一括払いをするのは難しいでしょう。
そういった事情を考慮して、多くの弁護士事務所では分割払いや後払いに対応していますが、念のため、支払い方法について確認するといいでしょう。
債務整理にかかる弁護士費用の相場
債務整理にかかる弁護士費用の相場を紹介します。
任意整理の費用相場
任意整理は、裁判所を通さないため、料金体系がシンプルです。具体的に、以下の費用がかかります。
- 弁護士費用
- 債権者との連絡にかかる通信費(郵便切手代など)
- 印紙代
トータルで1社につき数万円~10万円程度かかります。1社あたりの費用なので、2社なら2倍、3社なら3倍の費用がかかる点に留意しましょう。
個人再生の費用相場
個人再生は裁判所を通す手続きですが、弁護士費用は、30万円~60万円ほどになります。
個人再生は、債務整理の中でも最も複雑な手続きのため、弁護士事務所の中でも金額が高く設定されていることが多いです。
成功報酬のかからない事務所もありますが、着手金を低めに設定している事務所などでは、成功報酬として20~30万円かかることもあります。
弁護士費用とは別で、裁判所に納める手数料が30万円程度かかります。
弁護士費用と裁判所に納める費用を合わせて、35万円~100万円ほどで考えておきましょう。
自己破産の費用相場
自己破産も裁判所を通す手続きですが、弁護士費用は30~50万円ほどになります。
自己破産でやっかいなのは、裁判所に納める費用です。申立者が車や自宅などの財産を所有している場合、自己破産が、管財事件として扱われます。管財事件の場合、破産管財人(破産手続きを進める人)の報酬などで、以下の費用がかかります。
- 少額管財の場合:20万円~
- 通常の管財事件の場合:50万円~
その他の実費なども合わせると、弁護士費用と裁判所に払う費用をトータルして35万円~100万円ほどになるでしょう。
費用を捻出できない方は法テラス
現状収入がない人は、弁護士費用を捻出することができません。そういった人は、法テラスを利用するのがおすすめです。
法テラスとは、国が設置した法律問題の総合解決窓口のことです。収入や資産が一定のラインを下回るなど、条件を満たしている人は、法テラスから、債務整理にかかる費用を肩代わりしてもらえます。
これを民事法律扶助(みんじほうりつふじょ)といいますが、肩代わりしてもらえるだけでなく、通常の弁護士費用よりも安い費用で依頼することが可能です。
法テラスについてくわしく知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。
参考:
任意整理 費用の目安 法テラス
自己破産 費用の目安 法テラス
債務整理を弁護士に依頼する際の流れ
債務整理を弁護士に依頼する際の流れを簡単に説明します。行う手続きの種類によって微妙に流れは異なりますので、おおまかなものとしてお考えください。
- 弁護士事務所に連絡を取り、相談の予約をする
- 初回相談で借金の状況や悩み、希望などを弁護士に伝える
- 内容に納得したら弁護士と契約を結ぶ
- 債権者との交渉(任意整理)・裁判所への申立て(個人再生、自己破産)
- 交渉成立(任意整理)・裁判所が手続きを認める(個人再生、自己破産)
- 返済の開始(任意整理・個人再生)・借金がなくなる(自己破産)
債務整理を弁護士に依頼する際のよくある質問
債務整理を弁護士に依頼する際によくある質問を紹介します。
弁護士事務所はどこがいい? 口コミで評判なのは?
いい弁護士事務所を探したいのであれば、事務所の口コミをチェックするといいでしょう。
とはいえ、食べログやホットペッパーのような、弁護士の口コミをまとめたポータルサイトはあまりありません。
ですので、Googleで気になる事務所を検索し、口コミをチェックするのがおすすめです。
債務整理の弁護士費用はいつ払う?
債務整理の費用は、手続きが始まる前に分割払いしてしまうのが一般的です。
弁護士が債務整理の依頼を受けると、そのことが債権者たちに通知されます。これを受任通知と呼びますが、受任通知を受け取った債権者たちは、債務者に対して取り立ての連絡を取ったりすることができなくなります。
この間に返済をストップし、今まで返済に充てていたお金を弁護士費用として積み立てていきます。必要な費用が積み立てられたところで、弁護士が正式に債務整理の手続きを開始します。
このような方法を取ることで、定期的な収入のある多くの人が、弁護士費用を支払うことができます。
弁護士に債務整理を依頼するデメリットは?
債務整理を弁護士に依頼するデメリットは特にありません。
しいていうならば、借金額が少ないのに債務整理をしようとすると、手続き費用>減額できた借金額、となり、赤字のリスクがあるくらいです。
もちろん、赤字のリスクがある場合には、弁護士がそのことを説明してくれますので、そこまで心配する必要はありません。
まとめ
債務整理は、借金を減額したり、返済を免除したりする手続きのことをいいます。
債務整理は、弁護士に依頼して行うのが一般的です。基本的には、弁護士に任せておけば問題はありません。
債務整理を検討している人は、まず自分の借金の状況を整理して、弁護士に連絡をしましょう。具体的には、借入先、借金額、毎月の手取り、返済額などです。
弁護士はそれらを聞いたうえで、最適な解決方法を提案してくれます。弁護士からの提案や費用面で納得できたら、正式に依頼をしましょう。
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