債務者とは?定義や債権者との違い、多重債務者になる理由を解説 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

債務者とは?定義や債権者との違い、多重債務者になる理由を解説

債務者とは、一般的には、借金があり、その返済をする義務がある人のことを指します。

現代社会でお金を借りたり、クレジットカードのリボ払いを利用することはよくあります。ですので、多くの人が当たり前のように債務者の立場を経験しています。

そんな債務ですが、借金の返済が滞ると、法的な問題に発展することもあります。ここでは、債務者の定義や義務、権利、債務不履行について説明します。

債務者とは

まず債務者とはなんなのか、言葉の意味を理解しましょう。辞書にはこう書いてあります。

特定人(債権者)に対して、一定の給付をなすべき義務を負う者。
【引用:goo 辞書

これだけではまだ理解できない人が多いはずですので、さらに具体的に説明をします。

借金を返済する義務がある人

ずばり、債務者とは、借金を返済する義務を負っている人のことです。お金を返す義務のことを債務といいます。債務者は、借りたお金を契約に基づいて返済する責任があります。

ややこしいですが、債務者は必ずしも、お金を借りた本人ではありません。

借金を返済する義務がある人が債務者です。例えば、お金を借りた本人ではなく、保証人が債務者となって返済することもありますし、子のために借りたお金を親が返済することもあります。

債権者とはお金を返してもらう権利を持つ人

債務者とは逆で、債権者とは、債務者からお金を返してもらう権利を持つ人や業者などのことを指します。債権者は、契約に基づいて債務者に対して返済を求める権利があります。

銀行やクレジットカード会社、消費者金融などが債権者の典型例でしょう。

債務とは義務のこと

一般的に、債務者といえばお金を借りた人のこと、債権者と言えばお金を貸した人のことを思い浮かべます。これは決して間違いではありません。

しかし、債務という言葉は、もう少し広い意味を持っています。

例えば、会社を想像してみましょう。従業員は、会社で働くという債務を負っています。経営者は、従業員に対して給料を払うという債務を背負っています。

このように、契約などに沿って果たさなければならない義務は、債務です。

多重債務者とは

次に、借金問題でよく聞く、多重債務者について説明します。

複数借入で返済が困難な状況にある人

多重債務者とは、複数のところから借入をしており、その返済が困難な状況にある人を指します。

例えば、銀行、消費者金融、クレジットカードのリボ払いなどの支払いが重なり、返済が困難になっている状態です。

ひどいケースだと、借金を返済するために、別のところから借入をすることもあります。多重債務は、返済が滞るリスクが高まり、債務不履行になりやすいです。

複数から借入があったとしても、経済的余裕があり、順調に返済ができている人のことは、多重債務者とは呼びません。

多重債務になってしまう原因

多重債務になってしまう原因で多いのは、借金返済のための借入です。

  • A社からお金を借りる
  • A社の返済のためにB社からお金を借りる
  • B社の返済のためにC社・D社からお金を借りる
  • これを繰り返す

単純計算ですが、A社から借りた30万円に利息を付けて返そうとすると、返済額が30数万円になります。これを返済するにはB社から30数万円借りなくてはいけません。

B社からの30数万円に利息を付けて返そうとすると、40万円近いお金が必要になります。

借金返済のための借入をすると、どんどん借金が膨らんでいくのです。目の前の借金を返済することに必死になり、新たな業者から借入をすると、多重債務に陥ります。

債務者に対して債権者が持っている主な法的効力

次に、債務者に対して債権者が持っている権利(法的効力)について説明します。債権者が持っている権利は主に以下の3つです。

  • 給付保持力:一度返済されたお金は債務者に返さなくていい
  • 訴求力:返済がないときに裁判を起こせる
  • 執行力:最終手段として財産を差し押さえることができる

それでは、それぞれの権利について説明します。

給付保持力

給付保持力は、債務者から一度返済を受けたお金について、債務者から返却を求められたとしても、それに応じなくていい権利のことを指します。

例えば、以下のようなケースを想像してみましょう。

債権者Aは債務者Bに対し、10万円を無利子で貸している。毎月1万円、10回払いで返済する契約である。いつも通り、Bから1万円の支払いがあったが、Bから「給料日前でお金がない、過去に返済した分のお金を一度返却してくれないか」とお願いされた。

このようなケースで債務者からの返却のお願いに応じなくていいのが給付保持力です。

訴求力

債務者が返済しようとしない場合、裁判を起こして返済を求めることができるのが、訴求力です。

当然ですが、債務者から返済がない場合、債権者は最終手段として裁判を起こすことができます。

裁判になれば、本当にお金の貸し借りがあったかの調査に始まり、両者の言い分を聞いたうえで判決を下すことになります。裁判以外にも、支払督促や調停などの法的措置を取ることが可能です。

貸金業者相手に裁判をすると、まず敗訴する可能性が高いため、債務者はそうなる前に手を打った方がいいでしょう。

執行力

執行力とは、債務者が裁判所の判決を守らない場合に、強制執行をして財産を差押える権利です。

裁判で「債務者は債権者に対して借金を返済せよ」という判決が下ったにも関わらず、それを守らないでいると、最終的に、債権者は裁判所を通じて強制執行を行うことができます。

具体的には、債務者が持つ財産を差押えて換金したり、給料口座から毎月お金を差押えることで借金を回収するなどです。

債務者が債務を果たさないと「債務不履行」となる

債務者が契約に基づいた返済を行わない場合、それは債務不履行となります。

債務不履行は、債務者が約束された期限までに返済を行わなかったりする状況を指します。

債務不履行になった場合、債権者は法的手続きを通じて債権者に強制的な返済を求めることができます。

債務不履行の種類

債務不履行にも状態によっていくつかの種類があるので説明します。

履行遅滞

履行遅滞とは、簡単に言えば、支払いが遅れている状態のことをいいます。

例えば、毎月の返済期日を過ぎても支払いが行われない場合、債権者は、債務者に対して遅延損害金を上乗せした金額を請求することができます。

履行遅滞は一時的なものが多いですが、何度も発生すると信用問題にも関わります。

不完全履行

不完全履行とは、債務者が契約に基づいた返済を行うものの、返済額が不足している場合や、返済方法が契約に反している状態を指します。

不完全履行が続くと、債権者は債務者に対して法的措置を取る可能性があります。

履行不能

履行不能とは、債務者が借金を返済するのが物理的、もしくは法的に困難な状況を指します。

例えば、借金が大きくなりすぎて返済できなくなった場合や、債務者が自己破産をしたときなどです。

自己破産などの債務整理をした場合は別ですが、そうでない場合には、債権者は、債務者に対して法的措置を取ったり、借金の残額に対して全額一括返済を求めることがあります。

関連記事
借金の返済が難しくなった場合、気になるのが滞納し続けると裁判を起こされるのかという点です。今回は借金を返済せずに滞納し続けているとどうなるのかを中心に、以下の点について解説します。 借金で裁判を起こされたらどうなるのか 借金滞納の裁判を無視...

債務者に関するよくある質問

債務者に関するよくある質問を紹介します。

債務者が亡くなったときはどうなる?

債務者が亡くなった場合、通常は、相続人が債務を引継ぎます。ただし、債務の額が大きすぎる場合などは、相続放棄をすることで、債務の引継ぎを回避することができます。

相続放棄をする場合、故人(被相続人)が残したプラスの財産を引き継ぐことも出来なくなってしまうため、慎重に検討しましょう。

債務と借金に違いはある?

債務と借金は似た意味を持ちますが、法律上では微妙な違いがあります。

債務は借金だけでなく、家賃などの支払い、仕事をする、物を渡すなど、契約上発生した様々な義務が該当します。

一方、借金は、単に、他人から借りたお金を返済する義務でしかないという点で違いがあります。

まとめ

債務者は、一般的には、借金を負い、返済する義務がある人のことを指します。厳密には、借金がある人ではなく、返済する義務がある人が債務者です。例えば、子どもが借りたお金を親が返済する場合、債務者は親になります。

債務者は、契約に基づいて定期的な返済を行わなければなりません。それができないと、債務不履行となり、最終的には債権者から裁判などの法的措置を取られる可能性があります。

貸金業者からお金を借りた場合、利息をつけて返済しなければなりません(A社)。A社の返済が厳しくなってくると、そのお金を返済するために、元金+利息を別の業者から借りることになります(B社)。

このように、複数の業者からお金を借り、返済が困難になっている状態を、多重債務や多重債務者と呼びます。

多重債務になってしまうと自力での返済が難しくなってしまうので注意をしましょう。

借金についてお悩みがある場合は弁護士に相談をしましょう。ネクスパート法律事務所では、初回30分の無料相談を受け付けております。

相談無料。取立てストップ。借金問題は弁護士の力で解決・減額できます! お困りの方は今すぐご連絡ください。

0120-949-229
メール相談フォームはこちら