任意整理と債務整理の違いは?特徴や向いている人を紹介 - 債務整理は弁護士に相談【ネクスパート法律事務所】

任意整理と債務整理の違いは?特徴や向いている人を紹介

借金の返済が苦しいときや困難なときは、債務整理をする必要があります。

一言に債務整理といっても、任意整理や自己破産など、様々な手続きがあり、また、専門用語もたくさん出てくるため、違いがよくわからない人も多いでしょう。

特に債務者(借金を抱えている人)の疑問で多いのは、債務整理と任意整理の違いです。

ここでは、債務整理と任意整理の違いをメインに、債務整理に関する基本的な解説をしていきます。

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任意整理と債務整理の違いは?

まずは本題である、債務整理と任意整理の違いについて説明します。

債務整理は借金問題の解決手続きの総称

債務整理は、借金問題の解決手続きの総称です。

借金に関する手続きには、主に任意整理、個人再生、自己破産の3種類があり、これらをまとめたものが債務整理と呼ばれます。

つまり、債務整理と呼ばれる手続きそのものが存在するわけではありません。

債務整理をする=基本的に任意整理・個人再生・自己破産のいずれかを行うことになります。

各手続きの違いを表で簡単にまとめました。

任意整理 個人再生 自己破産
減額効果 利息のカット 最大5~10分の1 全額免除
裁判所 通さない 通す 通す
手続き費用 1社/数万円 40万円~ 40万円~
自宅 残せる 残せる 残せない
年間件数 推定200万件以上 約1万件 7~8万件

任意整理は債務整理手続きの一種

上記の説明でわかる通り、債務整理という大枠の中に、任意整理の手続きがあります。

任意整理は、正確な件数は不明なものの、毎年200万人以上行われていると考えられています。

個人再生や自己破産と比べると圧倒的に件数が多いため「債務整理をした=任意整理をした」という印象を持つ人がいてもおかしくはないでしょう。

個人再生や自己破産の件数が明確に算出されているのに対し、任意整理は件数がはっきりしていないのには理由があります。

  1. 裁判所を通さない、当事者同士の話し合いのため、件数を把握しにくい
  2. 1人が手続きをする=1件ではないため

②は任意整理の手続きの内容にも関わってくるため、次で詳しく説明します。

任意整理手続きの内容とは?

債務整理と任意整理の違いが理解できたところで、任意整理の内容について説明します。

裁判所を介さず、債権者と直接減額交渉を行う

任意整理を一言で表すならば、裁判所を通さず、債権者(貸主)と直接借金減額の交渉を行う手続き、となります。

実際には、債務者本人ではなく、依頼を受けた弁護士や司法書士が減額の交渉を行うのが一般的です。

「借金の減額をしたところで、貸した側にはなんのメリットもないのでは?」と感じる人がいるかも知れませんが、その疑問はもっともです。

実際に、借金減額の交渉を受け入れることによる、債権者側のメリットはありません。

それに、裁判所で強制的に決着をつけるわけではなく、当事者同士が話し合いを行うことになるため、債権者側には交渉を拒否する権利があります。

それでも、債権者が任意整理を受け入れるのには理由があります。

「借金の返済が難しいので減額して欲しい」と申し出ている債務者に対して「NO」を突きつけると、結果として借金の回収ができなくなったり、踏み倒されたりなどの原因となります。

ですので、本意ではないものの、業者としては「任意整理を受け入れた方が得策だ」と考え、交渉に応じるのです。

将来利息や遅延損害金のカットが期待できる

任意整理は言葉の通り、任意での交渉になるため、債権者には、和解の条件や内容を決める権利があります。

ですが、一般的には、今後発生する借金の利息のカットや、すでに発生している遅延損害金の支払い免除が期待できます。

わかりやすい例をあげてみます。あなたが人にお金を貸していると想像してみましょう。

  1. AさんがBさんに100万円を貸す
  2. BさんはAさんに対して110万円を返済する
  3. AさんはBさんにお金を貸すことで10万円の利益を得る

③で触れられている10万円(借金に対する利息)の部分が、貸金業者における利益になります。

BさんからAさんに対して「借金の返済ができないから減額をしてもらえないか」と申し出があったとします。

その際に、Aさんは最初に貸した100万円(元金)さえ回収できれば、ひとまず損をすることはありません。

貸金業者(債権者)は「踏み倒されるのも困るし、個人再生や自己破産の手続きを取られるのも困る。であれば、最初に貸した100万円だけ返済してもらって、早く取引を終わらせてしまおう」と考えるのです。

任意整理によって、借金の利息や遅延損害金のカットが期待できるのは、上記のような理由があるためです。

減額された借金は3~5年で分割払いする

任意整理によって減額された借金は、3~5年で分割払いしていくのが一般的です。

多くのケースでは、月々の支払額が減り、返済が楽になります。

分割回数は、借入をしていた業者の方針や、今までの取引期間や返済実績によっても変わります。

3~5年での分割になるケースが多いですが、業者によっては7年(84回)での分割払いを認めてくれることもあります。

債権者ごとに対応を変えることができる

任意整理は、1社ずつ、自分が任意整理をするかしないかを決めることができます。

借入が5社あった場合を想定してみます。

借入先 対応
A消費者金融 借入が多いため任意整理する
B消費者金融 借入が少ないため任意整理しない
C自動車ローン 完済できないと自動車が引き上げられてしまうため、任意整理しない
Dクレカ リボ残高が多いため任意整理する
E銀行 借入は多いものの、保証人がいるため任意整理できない

上記のように、債務者の都合に合わせて、任意整理するかしないかを決めることができます。

このケースでは、借入の多いA社とD社の借金減額をすることで、C社とE銀行への返済を継続できるようにする狙いがあります。

実際に、借入額が少なかったり、利息の額が低い場合、任意整理をしてもあまり意味がありません。

個人再生と自己破産の場合、すべての債権者を平等に扱わなければなりませんが、任意整理の場合、柔軟な対応を取ることが可能です。

任意整理が向いている人の特徴

次に任意整理が向いている人の特徴を紹介します。

利息の支払いが多く借金が減らない人

毎月返済をしているにも関わらず、利息が多く、借金が中々減らない人は任意整理がおすすめです。

借金の利息がカットされ、元金のみの返済となれば、早いペースで借金を減らしていけるのではないでしょうか。

また、毎月返済できているということは、安定した収入があることの証明にもなります。

逆に、安定した収入がない人は、そもそも任意整理を断られてしまう可能性があります。

債務整理したくない借金がある人

先ほども説明しましたが、任意整理は借入先一社ごとに対応を決めることができます。

  • 住宅ローン・自動車ローン:返済できなければ自宅(車)を失う
  • 保証人がついている:保証人が返済することになるので、任意整理しても意味がない(できない)
  • 借入が少ない:任意整理してもあまり効果がない など

上記のような、都合の悪い借金に関しては、任意整理の対象とせず、返済を続けることができます。

該当する借金がある人は任意整理がおすすめです。

個人再生や自己破産の場合、借金は一括りにされ、減額や支払い免除の対象となってしまいます。

保証人に迷惑をかけたくない人

上記でも触れましたが、保証人に迷惑をかけたくない人は任意整理がおすすめです。

実際のところ、保証人がついている借金を任意整理しようとしても「では保証人に全額支払ってもらいます」となり、交渉を断られる上に、保証人に迷惑がかかる可能性が高いです。

こういったケースでの対処法の例を紹介します。

  1. 保証人がついている借金以外をすべて任意整理する
  2. 月々の支払額が減り、余裕ができたところで、保証人がついている借金の返済を継続する

こういった柔軟な対応が取れるのは任意整理だけなのです。

債務整理を人に知られたくない人

債務整理をしたことを、周囲に知られたくない人は任意整理がおすすめです。

債務整理したことがばれてしまうのには、いくつかのパターンがありますので紹介します。

パターン 理由
知人から借入をしている 個人再生や自己破産をするとすべての債権者に通知がいくためばれる
会社から借入をしている 個人再生や自己破産をするとすべての債権者に通知がいくためばれる
住宅ローン、自動車ローンがある 完済できないと、家や車を失うことになるためばれる
保証人がいる 債務整理をすれば保証人に請求がいくためばれる
官報に掲載されてばれる 裁判所を通じた債務整理を行うと国の機関紙で公告(お知らせ)されるのでばれる
自己破産をする 世帯としての収入に調査が入るためばれる(配偶者の給与明細や預金通帳の提出など)

上記のようなケースでは、債務整理をしたことが特定の人物に知られてしまいます。

先ほどと説明が似ていますが、こういった債務整理したくない借金をリストから外すことができるのは任意整理だけになります。

任意整理しない方がいい人・できない人の特徴

次に、任意整理しない方がいい人や、できない人の特徴を紹介します。

収入がない人・不安定な人

任意整理は、借金の減額をしたうえで、3~5年程度で分割払いしていく手続きです。

ですので、これから数年安定した返済ができない人は任意整理はできません。

任意整理ができないというよりは、債権者から交渉を断られてしまうイメージです。

現状、収入が皆無な人は、自己破産を選択するしかありません。

3~5年での分割払いが困難な人

安定した収入があったとしても、金額が低く、3~5年での分割払いが困難な人には任意整理は向いていません。

仮に任意整理が成立し、分割払いがスタートした後でも、2か月程度支払いが遅れてしまうと、債権者から一括での返済を求められる可能性があるので注意しましょう。

こういったケースでは、借金を5~10分の1まで減額できる、個人再生がおすすめです。

今後5年以内に借入をする予定がある人

任意整理をすると、ブラックリストに登録され、完済後5年程度は借入やクレジットカードの新規作成が困難になります。

直近で借入をする予定のある人は、任意整理に限らず、債務整理をしない方がいいでしょう。

債務整理をすると、個人信用情報機関に、金融事故を起こしたことが記録されます。

ローンを組む際や借入をする際、貸金業者は個人信用情報機関を通じて申込者の情報をチェックし、審査します。

個人信用情報機関には、借入日、借入額、返済実績など、借金に関する個人情報が記録されているため、その段階で債務整理をしたことが知られてしまいます。

結果、審査落ちしていまい、借入が困難になる仕組みです。任意整理の場合、金融事故に関する記録が消えるまでに、5年ほどかかります。

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債務整理や任意整理のデメリット

債務整理や任意整理の違い、手続きの内容や特徴がわかってきたところで、デメリットを説明します。

すべての債務整理に共通するデメリットや、それぞれの手続き固有のデメリットを紹介します。

債務整理共通のデメリット

まずは、すべての債務整理手続きに共通するデメリットを紹介します。

  • ブラックリストに登録され、今後の借入が困難になる
  • 保証人が返済を引き継ぐことになり、迷惑がかかる
  • 弁護士費用がかかる

任意整理の場合、ブラックリストに登録される期間は5年と短いです。個人再生の場合は、7年、自己破産の場合は5~10年ともう少し長くなります。

保証人の問題に関しても、任意整理であれば、保証人に迷惑がかからないようにすることが可能です。

弁護士費用は、個人再生・自己破産の場合、最低でも40万円はかかりますが、任意整理の場合、交渉一社につき数万円で済むため、安く済みます。

任意整理固有のデメリット

任意整理固有のデメリットは特にありません。しいていうならば、大幅な借金減額は望めない点です。

  • 任意整理:借金の利息や遅延損害金がカットされる
  • 個人再生:5,000万円までの借金を5~10分の1まで減額できる
  • 自己破産:借金の返済が全額免除される

このように、任意整理はメリットが多い代わりに、他の債務整理手続きと比べると減額効果が弱いのが特徴です。

安定した収入があり、返済を継続できる人でないと、任意整理をすることはできません。

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個人再生・自己破産のデメリット

個人再生と自己破産のデメリットについて説明します。

共通のデメリット

共通しているのは、官報に載る点です。官報とは、国が国民にお知らせをするための機関紙で、毎日発行されています。

インターネットから閲覧可能で、裁判所で行われた手続きも掲載されます。

個人再生と自己破産は裁判所で行われる手続きなので、氏名や住所、債務整理をした旨が掲載されてしまいます。

とはいえ、「官報をきっかけに債務整理をしたことがばれるのでは?」といった心配は必要ありません。

官報の存在を知らない人が大半で、毎日発行される膨大な量の情報の中から特定の個人の情報を見つけるのは困難だからです。

自己破産固有のデメリット

自己破産固有のデメリットは、借金がなくなる代わりに、自分が所有している財産も失う点です。

破産手続きの際、家や車をはじめとした、換金したら20万円以上になるものは、裁判所から差し押さえられてしまいます。

破産者から差し押さえた財産をお金に換えたうえで、債権者に配当するためです。

財産を失いたくない人は、状況に合わせて、個人再生や任意整理を選択しなくてはなりません。

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任意整理と自己破産の違いに関するよくある質問

任意整理と自己破産の違いは?

任意整理と自己破産は、どちらも債務整理手続きであることには変わりがありませんが、条件や内容に違いがあります。

手続き名 特徴
任意整理 ・裁判所を通さず、債権者と直接借金の減額交渉を行う
・債権者が認めれば、借金の将来利息や遅延損害金がカットされる
・減額された借金を3~5年で分割払いする
自己破産 ・裁判所を通して、借金の支払い免除を行う
・裁判所が認めれば、借金の返済が全額免除される
・借金がなくなるかわりに自分の財産で一定の価値があるものは失うことになる

債務整理の効果としては、自己破産の方がはるかに強力です。

その分手続きに時間がかかったり、条件が厳しかったり、弁護士費用が多めにかかったりなどのデメリットがあるため注意が必要です。

債務整理と自己破産の違いは?

債務整理は、借金問題の解決手続きの総称で、自己破産は債務整理手続きの中の一つです。

下記の図をご覧ください。

債務整理という手続きそのものは存在しません。

債務整理をする場合、主に任意整理・個人再生・自己破産から選ぶ必要があります。

任意整理しなければよかったケースは?

任意整理しなければよかったケースの例は、以下のようなものが挙げられます。

  • 任意整理しなくても、もう少し頑張れば自力で返済できた
  • ブラックリストに登録されることで借入ができなくなった
  • 任意整理をしたが、結局返済は楽にならなかった など

「任意整理しなければよかった…」と後悔しないためには、手続きを弁護士や司法書士に依頼する際に、気になることはすべて質問し、疑問を解消しておくことが大切です。

まとめ

任意整理と債務整理の違いについて説明しました。

債務整理は、借金を解消するための手続きの総称であり、任意整理はその中の手続きのひとつです。

債務整理には、任意整理の他に、個人再生や自己破産などがあります。

任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接借金減額の交渉を行う手続きで、依頼を受けた弁護士や司法書士が行うのが一般的です。

交渉が認められると、借金の将来利息や遅延損害金のカットが期待でき、元金のみを3~5年かけて分割払いしていきます。

数年かけて分割払いをするため、安定した収入のない方は利用できません。

もし今借金を抱えており、債務整理を検討しているのであれば、一度弁護士に相談しましょう。

相談者の状況に合わせた、ベストな提案をしてくれるでしょう。

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