自己破産の反省文の書き方や例文・用紙について
自己破産において反省文が必要になるのは、通常であれば免責が認められないようなケースです。
たとえば、ギャンブルや浪費、財産隠しなどの免責不許可事由があると、裁判所はそのままでは借金の免除を認めない可能性があります。
そのような場合に、反省文は自らの過ちを認め、再発防止への意志を伝えるための重要な手段となります。
裁判所に誠意や再発防止への姿勢を示すことで、免責が認められる可能性があります。
ここでは、反省文が必要となるケースや書き方、提出時の注意点、具体的な例文まで幅広く解説します。
目次
自己破産で反省文が必要になるケース
自己破産をする際に、すべてのケースで反省文が必要になるわけではありません。ここでは、反省文が必要になるケースと、そうでないケースについて解説します。
免責不許可事由に該当したケース
自己破産の際、免責不許可事由と呼ばれる行為をしていた場合は、反省文の提出を求められることがあります。
免責不許可事由とは、たとえば次のような行為のことです。
- ギャンブルや浪費で借金を作った
- 特定の相手にだけ優先して返済した
- 財産を隠したり、名義を移したりした
- クレジットカードを現金化した
- 虚偽の内容で申し立てをした
これらに当てはまると、原則として借金の免除(免責)が認められないことになっています。
しかし、実際には、裁判所の裁量で免責が認められることがあります。これを裁量免責といいます。
反省文は、この裁量免責を得るために、反省の気持ちや生活を立て直す意志を裁判所に伝える手段のひとつとして重要になります。
同時廃止の場合は反省文は原則不要
一方で、反省文の提出が不要なケースもあります。その代表が、同時廃止事件です。
同時廃止とは、債務者にめぼしい財産がなく、免責不許可事由も特に見当たらない場合に、破産手続の開始と同時に廃止される簡易な手続きです。
この場合は破産管財人も選任されず、反省文の提出が求められることは通常ありません。
反省文を提出する相手やタイミング
反省文は、誰に、いつ提出すればよいかも気になるポイントです。以下で詳しく解説します。
裁判所または破産管財人に提出
反省文の提出先は、ケースによって異なります。
破産手続において反省文が必要と判断された場合は、裁判所または破産管財人に提出するのが一般的です。
破産管財人とは、破産手続きを進める、裁判所が選任した弁護士だと考えてください。破産管財人が選任されている場合には、その指示に従って提出することになります。
提出方法は、弁護士経由で渡す場合や、裁判所へ郵送するケースなどさまざまです。不安な場合は弁護士に確認しましょう。
反省文提出のタイミングは場合による
反省文の提出時期は一律ではありません。たとえば、債権者集会の前後、破産管財人の報告書作成時、免責審尋の前など、タイミングはケースバイケースです。
裁判所から直接求められることもあれば、管財人を通じて指示される場合もあります。
早すぎても意味がなく、遅れると不利に働くこともあるため、適切なタイミングを逃さないよう注意しましょう。
弁護士の指示に従えば心配ない
反省文の提出方法や時期についてはそこまで心配する必要はありません。依頼している弁護士の指示に従うようにしましょう。
弁護士は過去の裁判所の運用や管財人の傾向を熟知しており、反省文の必要性や適切な提出時期を把握しています。
自己破産の反省文の書き方・内容
反省文に盛り込むべき内容や、書く際のポイントを紹介します。
破産に至った経緯
まずは、なぜ借金が膨らんでしまったのか、その経緯を具体的に説明します。たとえば以下のようなものです。
- 生活費の補填が続いて借金が増えた
- 収入が減って返済が困難になった
- ギャンブルにのめりこんでしまった
事実に基づき、あいまいな表現を避けて率直に書くことが大切です。
反省・謝罪の意
次に、自分の行動に対する反省の気持ちと、迷惑をかけた人への謝罪を書きます。
家族や保証人、債権者など、迷惑をかけた人への思い、自分の軽率な行動への後悔の念を書くことで、誠実な姿勢が伝わりやすくなります。
自分が何を間違えたのかを明確に認識し、同じ過ちを繰り返さない意思を伝えることも重要です。
今後の生活の改善策
反省だけでなく、今後どうやって立て直していくかの具体策も重要です。たとえば、以下のような方法があります。
- 実家に戻って家賃を浮かせる
- 転職をして収入を増やす
- ギャンブル依存症の治療をする など
再発防止と生活再建の方針を簡潔にまとめます。将来に向けて真剣に取り組む姿勢を見せることで、裁判所の心証が良くなります。
裁判所への免責のお願い
最後に、免責を認めてもらいたいという気持ちを丁寧に伝えます。
単に「免責してください」と書くだけではなく、「今回の結果を重く受け止め、同じ過ちを繰り返さないことを誓います」といった表現がよいでしょう。
反省と今後への意志を改めて強調します。
自己破産の反省文の用紙や形式
ここでは、反省文をどのような紙にどのように書けばいいのか、具体的な部分を紹介します。
用紙
反省文はA4サイズの白い無地の紙を使用するのが一般的です。
罫線入りのノートや色付きの用紙は避け、なるべく正式な文書としてふさわしい体裁に整えましょう。
場合によっては様式が指定されることもあります。指示がある場合にはそれに従って下さい。
文字数
文字数の目安は400〜800字程度です。原稿用紙でいえば1~2枚分程度となります。
短すぎると誠意が伝わりにくく、逆に長すぎると読みづらくなることもあるため、内容を整理しつつ適度な分量を意識しましょう。
縦書き or 横書き
縦書きでも横書きでも構いません。
公的な場面では縦書きが好まれる傾向がありますが、特に決まりはなく、読みやすさや自分の書きやすさを優先して問題ありません。
ただし、文体や形式は統一感を持たせるよう心がけましょう。
手書き or パソコン
できれば手書きが望ましいとされています。字の上手・下手よりも、丁寧に書かれていることが大切です。
ただし、パソコンで作成したものでも受け付けられる場合があります。判断に迷う場合は、弁護士や破産管財人に確認しましょう。
ボールペン or 鉛筆
筆記用具は黒のボールペンまたは万年筆を使用しましょう。鉛筆やシャープペンシル、消せるボールペン(フリクションなど)はNGです。
反省文を正式な文書だと考え、訂正の必要がないように慎重に記載しましょう。
自己破産の反省文の例文
ここでは、反省文のサンプルを紹介します。よくある原因ごとに分けていますので、参考にしてください。
浪費の場合
まずは、浪費によって自己破産に至ったケースです。
私が借金を抱えることになった原因は、自分の収入を超えた買い物を繰り返し、金銭感覚が麻痺していたことにあります。クレジットカードの限度額を気にせず使い続け、必要のない高額な家電や洋服を次々と購入してしまいました。
家計の管理も甘く、月々の返済に追われながらも支出を抑える努力を怠っていました。結果として返済が困難となり、自己破産という判断に至りました。 これまでの行動を深く反省し、今後は身の丈に合った生活を心がけ、家計簿をつけるなどして金銭管理を徹底します。どうか免責を認めていただけますようお願い申し上げます。 |
ギャンブルの場合
次は、ギャンブルで自己破産に至ったケースです。
自己破産に至った原因は、私自身の軽率な行動によるものであり、特にパチンコや競馬などのギャンブルに多額のお金を費やしてしまったことが大きな要因です。一時的な勝ちに味をしめ、借金をしてまでギャンブルにのめり込んでしまった自分の甘さを、今は深く後悔しております。
家族や債権者の皆様には、多大な迷惑と不安を与えてしまいました。今回の破産手続きを機に、ギャンブルから完全に離れ、心を入れ替えて生活を立て直す決意です。 今後は安定した仕事に就き、堅実な生活を続けていくことを誓いますので、どうか免責をお認めいただけますようお願い申し上げます。 |
2回目の場合
前回の自己破産から7年経過する前に2度目の自己破産をすると、免責不許可事由となります。
2回目の自己破産をする際の反省文は以下を参考にしてください。
今回、二度目の自己破産となり、自分の管理能力のなさと学習不足を痛感しております。前回の免責を受けた後、一時は生活を立て直すことができましたが、徐々に支出が増え、収支のバランスが崩れていきました。
再び借金に頼る生活となり、自力ではどうにもならない状況に陥ってしまいました。 過去の経験を活かせなかったことを深く反省しております。 今後は第三者の力も借りながら、再発防止のための家計管理や支出の見直しを徹底し、二度と同じ失敗を繰り返さないよう努力いたします。誠に勝手なお願いとは承知しておりますが、何卒ご容赦いただき、免責をお認めいただければ幸いです。 |
保証人としての返済ができなかった場合
次は、保証人として借金が返済できなかったケースです。
他のケースと違い、主な責任はお金を借りた本人にありますが、自分の判断ミスや見通しの甘さを反省することが重要です。
今回、私が自己破産を申立てるに至ったのは、知人の借金の保証人となり、その知人が返済不能となったため、代わりに返済を求められたことが原因です。当時は安易に引き受けてしまい、契約内容やリスクを十分に理解していなかったことを深く反省しております。
最初は何とか返済しておりましたが、借入額が高額だったこともあり、自分の生活費にも支障が出るようになり、やむなく破産の決断をいたしました。保証人の責任の重さを痛感しており、今後はどんなに親しい関係であっても、安易に保証人になるような判断は二度といたしません。 これまでの過ちを反省し、生活の立て直しに真摯に取り組んでまいりますので、何卒免責をお認めいただきたくお願い申し上げます。 |
自己破産の反省文に書いてはいけない内容
自己破産の例文を読んで、具体的なイメージが沸いたところで、次は、反省文に書いてはいけない内容を紹介します。
反省文の内容によっては、裁判所や破産管財人の心証が悪くなり、手続きに影響を及ぼす可能性があるため、注意しましょう。
他人や環境のせいにする
家族が借金を勧めた、会社のせいで給料が下がった、など、他人や社会に責任を押し付けるような内容はNGです。
破産はあくまで本人の責任として扱われるため、自分の判断の甘さや準備不足を認める姿勢が求められます。
他人のせいにする内容は、反省の気持ちが伝わらず、かえって心証を悪くするおそれがあります。
開き直る・反省が見えない
もうどうしようもなかった、ストレスがたまっていたので仕方なかったなど、開き直ったような表現や、淡々と事実だけを並べて終わる文面も避けましょう。
重要なのは、自分の判断や行動をどのように受け止め、どれだけ反省しているかです。
感情を抑えつつ、誠意を持って反省の意を示すことが重要です。
テンプレをそのまま使う
文章を書くのが苦手だとしても、インターネット上のテンプレートをそのまま写したような文章はやめましょう。
内容の矛盾や具体性のなさが目立つと、心がこもっていない印象を受けたり、裁判所に見抜かれたりする可能性もあります。
例文は参考にとどめ、自分の言葉で書くようにしましょう。内容に困った場合は、弁護士に相談するのも有効です。
反省文を提出しないとどうなる?
免責が認められないおそれがある
免責不許可事由があるにもかかわらず、反省文を提出しないままでいると、裁判所が「反省していない」と判断し、免責を認めない可能性があります。
免責が下りなければ、借金はそのまま残ってしまいます。
最終的には、依頼した弁護士の判断によりますが、反省文の提出は必須であると考えましょう。
破産手続きが長引くおそれがある
反省文を出さないままでいると、手続きが一時中断したり、裁判所から再度提出を求められたりする可能性があります。
債権者集会で反省の有無について質問される場面もあり、口頭での説明では不十分と判断されることも考えられます。
反省文がないと、その分手続きに時間がかかり、免責決定が遅れる可能性があることを覚えておきましょう。
まとめ
自己破産の反省文は、免責不許可事由があるときに、裁判所から許し(裁量免責)を得るための大切な書類です。
借金に至ったきっかけや、自分の行動をどう反省しているか、今後どう生活を立て直すかなどを、自分の言葉で誠実に書く必要があります。
他人のせいにする、開き直る、ネットの例文をそのまま移すような内容は避けましょう。
提出のタイミングや書き方に不安がある場合は、弁護士の指示に従うのが安心です。