アコムは任意整理に応じない?和解の条件やできなかった場合の対処法
アコムの借り入れには2種類あります。
ひとつは通常のカードローン、もうひとつはACマスターカードと呼ばれるクレジットカードです。
アコムの借金が返済できない、もしくは利息の支払いが多く、元金が一向に減らない場合には、任意整理を検討することになります。
そこで「アコムは任意整理に応じないのでは?」と不安になっている方が一定数いらっしゃるようです。
結論からいいますと、条件を満たせばアコムは任意整理が可能です。
ここでは、アコムの任意整理の和解条件や注意点、任意整理できなかった場合の対処法などを紹介します。
目次
任意整理とはどんな手続き?
まず、任意整理について正しい認識を持ちましょう。任意整理は、債務整理手続きのひとつです。
具体的には、裁判所を介さず、債権者(貸主)と直接借金減額の交渉を行う手続きを指します。
債務者が弁護士や司法書士に依頼をし、依頼を受けた専門家が債権者と借金減額の交渉を行うのが一般的です。
裁判所を通さない手続きのため、債権者は任意整理に応じる(和解する)義務はありません。
しかし、債権者が和解を拒否すると、結果として借金が回収できなくなるリスクなども発生するため、大手の貸金業者はたいてい、任意整理の交渉に応じます。
一般的には、以下の内容で和解することになります。
- 今後発生する利息(将来利息)や遅延損害金のカット
- 3~7年程度での分割払い
- 過払い金がある場合の返還
アコムが任意整理に応じないのは本当?
本題に入りますが、アコムが任意整理に応じないのは本当なのでしょうか。
アコムは条件次第で和解可能
結論、100%ではありませんが、アコムは任意整理に応じてくれます。
任意整理は、裁判所を通さずに行う借金減額手続きです。
他の業者もそうですが、交渉に応じた方が得だと判断すれば和解できますし、そうでなければ拒否されてしまうでしょう。
アコムが、他の業者と比べて特別厳しい対応を取るわけではありません。
アコムが任意整理に応じる条件の目安は、次項で詳しく説明します。
アコムの任意整理で交渉できること
アコムの任意整理で交渉できる内容は、他の貸金業者とあまり変わりません。
借金の将来利息のカットや遅延損害金の返済免除、月々の支払額の調整や分割払いなどです。
アコムの任意整理の条件の目安
それでは具体的に、アコムが任意整理に応じる条件の目安を紹介します。
毎月安定して返済できる収入があること
任意整理をした場合、減額された借金を毎月分割払いで返済していくことになります。
そのため、毎月安定して返済できるだけの安定した収入がない場合には、交渉に応じてもらえない可能性が高くなります。
安定した収入があるものの、収入額が少なすぎる場合も同様です。
アコムが提示した期間で完済できる程度の収入がない場合、和解できない可能性が高くなります。
一方、本人に収入がなくても、家族に収入がある場合などには、総合的な判断で和解に応じることがあります。
原則60回以内で分割払いすること
アコムは任意整理の際、基本的に3年(36回)での分割払いを求めてきます。
これに耐えられる程度の収入があるかどうかが、和解の目安となるでしょう。
ただし、借入額が大きい、借入期間が長いなどの事情がある場合には、最大で5年(60回)での分割払いを認めてくれることがあります。
かつては60回以上の分割払いに応じてくれることもありましたが、最近はほとんどないため、期待はできません。
1年以上の返済実績があること
返済実績が少なかったり、借入期間が数ヶ月など短かったりすると、交渉を断られる可能性が高くなります。
また、借入から1年以内で任意整理をする場合、1年(12回)での分割払いを求められることがあるため、注意が必要です。
借り入れからすぐに任意整理をしようとしたり、任意整理直前に大きな借入をしたりすると「最初から返済する気がなかったのでは?」と判断されやすくなります。
これは、アコムだけでなく、他の業者でも同様ですので覚えておきましょう。
過去の利息や遅延損害金は戻ってこない
アコムは、過去に支払った利息や遅延損害金を基本的に返還してくれません(2007年6月17日以前から継続的に取引があった場合を除く)。
減額されるのは、今後発生する利息や、すでに滞納している遅延損害金のみです。
貸金業者の収入源は、債務者から支払われた利息です。
そのためアコムに限らず、今後発生する利息のカットは認められても、過去に支払われた利息や遅延損害金は戻ってこないものと理解しましょう。
アコムを任意整理する際の注意点
アコムを任意整理する際の注意点を紹介します。
アコムと関係のある口座が凍結するおそれ
アコムは、自身が貸金業を営むだけでなく、他の銀行の保証会社をしています。
保証会社とは、債務者が返済できなくなった際に、本人に代わり、銀行に返済する会社のことです。
例えばですが、アコムが保証会社をしている銀行から借入がある状態で、アコムを任意整理したとします。すると、その借入がある銀行口座も凍結します。
具体例:三菱UFJ銀行のカードローンである、バンクイックから借入がある場合、アコムの任意整理をしたタイミングで、UFJの口座が凍結される
アコムは三菱UFJフィナンシャル・グループのグループ会社であり、三菱UFJ銀行の保証会社をしています。
以下に、アコムが保証会社をしている銀行を挙げますが、該当する銀行から借入がある方は、アコムを任意整理する前に、口座の中身を抜いておくなどして、凍結に備えましょう。
北海道銀行、広島銀行、スルガ銀行、十六銀行、青森銀行、八十二銀行、西日本シティ銀行、長崎銀行、南都銀行、北陸銀行、常陽銀行、群馬銀行、岩手銀行、三菱UFJ銀行、山形銀行、auじぶん銀行、セブン銀行、伊予銀行、三十三銀行、宮崎銀行、武蔵野銀行、中京銀行、足利銀行、鳥取銀行、大分銀行、四国銀行、ソニー銀行、琉球銀行、山梨中央銀行 |
今後の借り入れやクレカの作成が困難に
任意整理をした場合、ブラックリストに登録され、完済から5年ほど借入や、クレジットカードの新規作成をするのが困難になります。
任意整理をすると、その事実は、金融事故として個人信用情報機関に記録されます。
個人信用情報機関には、借入日、借入額、返済実績など、借金に関する個人情報が記録されています。
貸金業者は借入審査などの際、個人信用情報機関の情報にアクセスし、申込者に貸し付けをするか判断します。
そこで金融事故を起こしていることが発覚すると、審査を通過することが難しくなる、という仕組みです。
ブラックリストに登録されることで起こりうる現象を以下に挙げますので、それでも任意整理すべきかどうか、判断しましょう。
- 貸金業者や銀行からの借り入れが困難になる
- ローンを組んで買い物をするのが困難になる
- 誰かの借金の保証人になるのが困難になる
- 引っ越しの際、クレカ会社が保証会社をしている物件の入居審査を通過するのが困難になる など
アコムを債務整理後に再契約は可能?
アコムを任意整理したあと、再び借入をするなどの再契約はできるのでしょうか。
任意整理後の再契約は基本的に不可能
先ほど、任意整理した場合、完済から5年間ほど借入などが困難になる、と説明しました。
完済から5年経過すると、個人信用情報機関から金融事故の記録が消えます。
ですので、他の貸金業者からであれば借入が可能になります。ですが、アコムから借入をするのはほぼ不可能です。
社内ブラックと呼ばれますが、任意整理をしたらNG顧客として扱われるため、その後も借入をするのは困難なのです。
アコムのグループ会社との契約も難しい
アコムが属している、三菱UFJフィナンシャル・グループのグループ会社と契約するのも難しくなります。
アコムで任意整理したという事実が、グループ内で共有されるからだといわれています。
三菱UFJフィナンシャルグループの、グループ会社が気になる方は、以下のページからご確認ください。
【参考:グループ会社一覧 – 三菱UFJフィナンシャル・グループ】
アコムが任意整理できなかった場合の対処法
アコムの借入を任意整理できなかった、もしくはしない方がいいと判断した場合の対処法を紹介します。
他社からの借入を任意整理する
「事情によりアコムの任意整理はしない方がいいと判断した、しかし、借金は減らしたい」という方は、アコム以外の業者を任意整理するのがおすすめです。
アコム以外の業者の借金額や月々の支払額を減らすことで、アコムの返済を継続することが可能です。
任意整理は、業者1件ごとに対応を変えることができます。このように、特定の業者を外して任意整理をすることもできることを覚えておきましょう。
個人再生で借金減額
アコムから任意整理を断られてしまった、または任意整理をしても返済が困難だと判断した場合、個人再生をするのがおすすめです。
個人再生は、債務整理の手続きのひとつです。以下に特徴をあげます。
- 裁判所を通じて行う債務整理手続き
- 任意整理と違い、借金全てが減額の対象となる
- 5,000万円までの借金を、最大で5~10分の1まで減額できる
個人再生は、任意整理より強力な借金減額効果を持っています。個人再生が気になる方は、以下のリンクから確認してください。
自己破産で借金免除
現状収入がない方や少ない方、あまりにも借金が多い方は、任意整理や個人再生をしても、問題を解決できない可能性が高いでしょう。
その場合は、自己破産を行います。自己破産は個人再生と同じく、裁判所を通じて行う借金の解消手続きです。
- 裁判所を通じて行い債務整理手続き
- 許可が下りると借金の返済が免除される
- 借金がなくなる代わりに、家や車など、自分の財産を没収されてしまう
自己破産をすれば、借金がゼロになるため、収入が少ない方でも、人生の再スタートをきることができます。
そのかわり、生活に必要最低限なお金や家具、家電などを残したうえで、一定の価値がある財産は没収されてしまうため気をつけましょう。
自己破産が気になる方は、以下のリンクから確認してください。
アコムの任意整理に関するよくある質問
最後に、アコムの任意整理に関するよくある質問を紹介します。
アコムの借金が減額された人はいる?
もちろんいます。任意整理、個人再生、自己破産などの債務整理を用いて、アコムの借金を減額することが可能です。
アコムの債務整理中に借入はできる?
現実的に困難だと考えた方がいいでしょう。
債務整理を弁護士に依頼すると、その事実は、すべての債権者に通知されます(受任通知)。
その時点で、個人信用情報機関に記録されてしまい、ブラックリストに登録されます。
個人信用情報機関にある記録は、全ての銀行や貸金業者がチェックできるため、借入審査の際にブラックリストであることはバレてしまいます。
そうなれば、お金を借りることは難しくなります。
アコムの任意整理は条件が厳しい?
アコムの任意整理は支払回数などの面で、やや条件が厳しい印象を受けます。
7年(84回払い)での分割払いを認めてくれる業者がいる中で、アコムは基本的に3年(36回)での支払いを求めてきます。
それ以外の面では、特別条件が厳しい部分はありません。
アコムを任意整理したときの信用情報は?
アコムを任意整理した場合、個人情報信用機関に記録が残ります。
他の業者の借入を債務整理したり、一定期間(基本的に3ヶ月)滞納したときと同じように、ブラックリストに登録されます。
ブラックリストに登録されると、借入やクレカの新規作成などのアクションが困難になるため注意しましょう。
消費者金融を債務整理した際のデメリットは?
債務整理におけるデメリットを紹介します。各手続きに共通するデメリットは以下の通りです。
- ブラックリストに登録され、一定期間借入が困難になる
- ローン返済中の品物が没収される可能性がある(車など)
- 保証人が返済を引き継ぐことになる
その他、個人再生や自己破産など、裁判所を通じて行う債務整理をした場合、官報(かんぽう)に債務整理をした事実と個人情報が掲載されます。
官報とは、国が発行する機関紙のことです。
自己破産固有のデメリットとしては、手続き時、自分が所有する財産の中で一定の価値があるものは裁判所に差し押さえられてしまう、があげられます。
自己破産をする際、家や車は失うことになる可能性が高いので注意しましょう。
まとめ
「アコムは任意整理に応じない?」について説明しました。結論、アコムは任意整理に応じます。
任意整理は裁判所を通さず、債務者と債権者が直接、借金減額の交渉を行う手続きです。
任意整理の和解内容は、借金の将来利息のカットや遅延損害金の返済免除などが一般的ですが、業者によって方針や条件が異なります。
アコムの場合、安定した収入があること、3~5年で分割払いできる、1年以上の返済実績があるなどの条件を満たせば、交渉に応じてもらえる可能性が高くなります。
アコムを任意整理した場合、アコムだけでなく、グループ会社(三菱UFJフィナンシャル・グループ)との取引も困難になることを覚えておきましょう。
任意整理で和解できなかった、任意整理しても返済できそうにないなどの事情がある場合には、個人再生や自己破産など、別の債務整理も検討しましょう。
借金でお悩みであれば、一度弁護士に相談することをおすすめします。借金問題は、1人で悩んでいてもどうにもならないことが多いからです。
状況が悪化する前に、弁護士から適切なアドバイスをもらいましょう。