家庭内別居をしている夫婦は関係が冷え切っており、破たんしている状態も多いですが、修復を目指して同居を続ける、あるいは子どもが幼いために別居をしないケースもあります。(参考:家庭内別居とはどんな生活?

では、家庭内別居の状態に陥ったら実際にはどのぐらい離婚に至っているのでしょうか。また、家庭内別居状態から離婚へ一歩踏み出すためにはどのような「切り出し方」を行っているのでしょうか。この記事では家庭内別居から離婚に至るケースについて詳しく解説します。

家庭内別居の離婚率とは

家庭内別居は夫婦関係がこじれてしまったまま、ひとつ屋根の下で暮らしを続けていく状態です。夫婦双方が冷戦のような状態であるため、ストレスフルな日常生活が続きます。では、実際に家庭内別居から離婚に至る夫婦はどのぐらいの割合で存在しているのでしょうか。

ノマドマーケティング株式会社が実施したある統計を参考にしましょう。30歳以上の男女、婚姻関係者100名にアンケート調査を行った結果、家庭内別居の経験は実に44%にも上ります。夫婦の過半数に近い数字で家庭内別居に陥った経験があるのです。

では、その後の離婚率はどうでしょうか。家庭内別居に至った男女の83%は実際に離婚に至っている、という調査結果があります。

家庭内別居から、別居して離婚に至ったか
はい 83%
いいえ 17%

参考:家庭内別居の割合って!?「きっかけ」「期間」「男性・女性の心理」「離婚率」について徹底調査

つらい家庭内別居期間を経験してしまうと、やはり夫婦関係の修復の難しいことをうかがい知ることができます。

家庭内別居中の離婚

辛くストレスの多い家庭内別居ですが、実際に離婚に至る可能性が高いことがわかりました。では、家庭内別居を続けている場合には、離婚の理由には該当するのでしょうか。

家庭内別居は離婚の理由になる?

家庭内別居が続く場合には夫婦関係が冷え切っており、関係の修復は目指しにくいものです。では、離婚を検討する場合には家庭内別居は離婚の理由(離婚事由)として認められるのでしょうか。実は、住まいを明確に分ける別居とは異なり、家庭内別居は離婚の理由としてはなかなか認められにくいのです。

家庭内別居は暮らしを共にしており、生活費も双方が支払っているなど、通常の別居と比べると円満に見える状態が続きます。また、家庭内別居とはいえ、必要最低限の会話は交わせていることも多く離婚原因とは言いにくくなってしまうのです。

また、子どもがいる場合には子どもの前では良きパパやママとして過ごしているので、周囲からも円満な家庭として見られています。しかし、次のようなケースは例外です。

  • DVやモラルハラスメントがあり、証拠も得られている
  • 不貞行為による家庭内別居 など

全ての家庭内別居が離婚の理由にできないわけではありません。特に緊急性の高いDVに関しては早急に別居や離婚を弁護士に相談しながら判断することも重要です。

離婚を決めた理由ランキング|男女別の離婚原因トップ5

家庭内別居は何年で離婚できる?

暮らしを別々にする別居の場合、別居期間が長くなると離婚の理由に該当しますが、家庭内別居の場合にはどのぐらいの期間があると離婚の理由になるのでしょうか。

基本的に通常の別居であれば3~5年程度の別居で婚姻関係が破たんしたと判断できるのですが、家庭内別居ですと判断が難しいのが実情です。しかし、双方が夫婦関係の修復意欲がなく離婚に同意ができていれば別居期間の有無を問わずに離婚ができます。

別居から離婚までの平均期間は何年?

家庭内別居中の配偶者への離婚の切り出し方

家庭内別居の着地点が見えず、夫婦関係が悪化の一途を辿っている場合には離婚を切り出したいと考えている方も多いでしょう。では、会話も交わせない状態の配偶者へ具体的に離婚を切り出すためにはどうするべきでしょうか。切り出すための3つのヒントをご紹介します。

1. 離婚の意志をはっきりと伝える

夫婦関係の会話が成立していない場合でも、離婚の意志が固まったら直接伝えるかメールやLINEなどで切り出しましょう。しかし、話しかけると激高する配偶者の場合にはこの方法によってトラブルに発展する可能性があります。そんな場合には次の方法がおすすめです。

2. 別居をする

家庭内別居から別居へステップアップすることで、離婚への第一歩が始まります。この方法はDVやモラハラがある場合でも有効な方法です。

不貞行為などを理由に家庭内別居が起きた場合には、離婚を有利に進めるためにもまずは弁護士に相談を行い、証拠などを確保した上で別居に入ることがおすすめです。

【不貞行為の定義とは】どこからが不倫?簡単にわかりやすく解説

3. 弁護士へ相談をする

上記で少し触れましたが、離婚の背景にはDVなどの重大な問題が隠れていることも多く、弁護士の力が必要なケースもあります。離婚の切り出し方で相手が激高することが想定される場合には、専門家の力を借りることがおすすめです。

離婚問題を電話・メールで弁護士に無料相談

家庭内別居中の配偶者と離婚する際に話し合うこと

家庭内別居を経て配偶者と離婚をする場合には、離婚をしてしまう前にどんな点を話し合っておくべきでしょうか。以下のポイントで解説します。

慰謝料

家庭内別居に至った理由に関して、証拠を押さえておくことで慰謝料の請求ができる可能性があります。特にDVなどは診断書を取得し速やかに別居へ至ることで、離婚時に慰謝料を求めることが可能です。

一方で、家庭内別居期間中に配偶者のいずれかが不貞行為に及んだ場合は慰謝料請求が難しい可能性があります。すでに家庭内別居という形態で婚姻関係が破たんしているからです。慰謝料の請求に関しては離婚前に弁護士に相談をしておくと良いでしょう。

離婚で慰謝料請求できる条件や理由

財産分与

離婚に至る場合には夫婦が一緒に築き上げた共有財産を「財産分与」で分ける必要があります。財産分与は夫婦共有の財産が多い場合には非常に複雑となるケースもあります。また、住宅ローンがある場合には今後誰が、どのように支払うのかを検討する必要があります。

離婚時の財産分与で家はどう扱う?住宅ローンや売却・名義変更時の注意点

婚姻費用

もしも家庭内別居から別居に至る場合には、夫婦のうち収入が多い方が婚姻費用の支払い義務を負う必要があります。家庭内別居時よりも支出が大きくなるため注意が必要です。

婚姻費用とは|別居中の生活費を分担する義務や養育費との違い

親権、養育費

子どもがいるご家庭の場合、離婚ではなく家庭内別居を決断するケースも多く、子どもの生活を守るためにパパとママとして振る舞うことを続ける場合があります。

しかし、家庭内別居の重圧に苦しみ離婚に至る場合には親権や養育費といった問題に向き合う必要があります。大切な子どもの未来のために話し合いをしっかりと重ねるべきです。

養育費の相場は月いくら?養育費の計算方法や平均受給金額

家庭内別居中の配偶者が離婚してくれない時の対処

家庭内別居は世間への体裁を保つために離婚や別居ではなく家庭内別居を選んでいる場合があります。配偶者のプライドが高く、離婚を拒否されるケースも少なくありません。では、配偶者が離婚に同意してくれない場合にはどうするべきでしょうか。(関連:離婚してくれない夫・妻に疲れた|説得の仕方や相手の心理

家庭内ではなく別居を開始する

先にも少し触れましたが、離婚への第一歩としてまずは別居を検討してみましょう。別居は離婚事由に該当するため、家庭内別居よりも円満に離婚がしやすくなります。

話し合いが進まない時は弁護士への依頼を検討する

家庭内別居で膠着状態を続けていても離婚へのチャンスが切り拓けない場合には、早急に弁護士へ離婚相談を開始されることがおすすめです。弁護士に相談することで、相手に対して離婚への本気度を示すこともでき、交渉も弁護士に任せられるため、スムーズに離婚の話し合いが進む可能性が高くなります。

別居中の配偶者と離婚の話し合いが進まないときの対処法

調停や裁判の申立て

離婚は双方が同意すればすぐに終わりますが、話し合いがこじれた、親権や財産分与などで争うべき点がある場合には家庭裁判所で離婚に関する手続きをすることができます。離婚調停や離婚裁判といった方法です。調停を経ても解決できない場合には、裁判へ移行することができます。

離婚調停とは?調停の流れから手続き方法・費用まで詳しく解説

まとめ

この記事では「家庭内別居の離婚率と離婚の切り出し方」を焦点に詳しく解説を行いました。家庭内別居はつらい生活であり、もしも心身共にストレスを感じている場合には離婚も1つの解決策として考えてみることもおすすめです。別居に踏み切る、協議に入る場合には離婚の心強いパートナーである弁護士へお気軽にご相談ください。