「家庭内別居」とは、ひとつ屋根の下に暮らしていながら夫婦間の会話がない状態を指します。お互いの存在はわかっていても会話を持たない、関係が破たんしているような状態のため大変ストレスの多い環境です。

寝室も別、食事も別、必要最低限の会話しか交わさない…家庭内別居は夫婦にとってどんな生活なのでしょうか。この記事では夫や妻が抱えている気持ちについて考察しながら、家庭内別居の実態について詳しく解説します。

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家庭内別居とは

夫婦関係の悪化などが原因で、家庭内で会話もほとんど交わさないような生活を送っている夫婦がいます。こうした夫婦生活を「家庭内別居」と呼びます。(家庭内離婚と言うこともあります)

では、家庭内別居とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか。家庭内別居とは、同じ家族でありながら家庭の中で「コミュニケーションを取らない」あるいは「避ける」などの行為を行います。寝室を明確に分ける夫婦も多く、夫婦であっても1つ屋根の下にいる他人として素知らぬフリをするような関係です。

家庭内別居に至る夫婦の多くは、価値観の不一致を理由に衝突としていたり、浮気などが原因で関係が悪化したものの、子どもがいるために同居生活を選んでいたりと原因はさまざまです。中には夫婦のいずれかが「なぜ配偶者が怒っているのかわからない」まま家庭内別居へ突入してしまっている場合もあります。

家庭内離婚とは – コトバンク

家庭内別居とはどんな生活か

では、家庭内別居とは具体的にはどんな生活なのでしょうか。通常の「別居」とは、配偶者のいずれかが住まいから離れて別の場所に暮らすことを指しますが、家庭内別居の場合はこれまでの暮らしの中で夫婦間のコミュニケーションを減らす、あるいは断絶するような状態です。具体的には以下4つのとおりです。

1. 家事をしない(ご飯を作らないなど)

家庭内別居でよくあるケースの1つ目は「家事をしない」ことです。夫婦でありながら食事は別々に取り、洗濯なども各自で行うような状態です。1つの住まいでありながら、シェアハウスのように他人同士が暮らしている状態に似ています。仕事に追われて帰宅したのに、食事が無い生活に耐える夫もおり、家庭内別居は心身に大きなストレスを与えます。

2. 会話、コミュニケーションがない

家庭内別居の特徴の2つ目は「夫婦間の会話やコミュニケーションがない」ことです。夫婦間の中で子どもの教育に関することや生活費に関することなど、必要最低限知っておくべきことの情報交換だけを行う夫婦もいます。

また、直接顔を見て会話をすることを避けるためにメールやLINEでのみやり取りを行う夫婦もいます。同じ空間にいるのに、夫婦が会話を交わさないことは大変ストレスフルな環境です。

3. 生活費、お金の管理が別

家庭内別居の特徴の3つ目は「生活費、お金の管理が別」と言うケースです。夫婦は本来扶養義務があり、双方が協力し合って生活すべきです。

扶養義務(ふようぎむ)
自力で生活を維持することが困難な者の生活維持のために、必要な支援・援助をする親族間の義務のこと。

引用元:扶養義務とは? わかりやすく解説 – Weblio辞書

しかし、家庭内別居では夫婦の間での生活費は別であり、お金の管理も別になっている場合があります。この場合、夫婦それぞれが一体何に、どの程度消費しているのかわかりません。生活費を一方が払わない場合には、生活が困窮してしまう可能性もあります。

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4. 家庭内別居が楽しい、快適と思う方もいる

家庭内別居の特徴の4つ目は「家庭内別居が楽しい、快適」と感じてしまうケースです。特に夫婦が活動する時間が異なっている場合(夫婦の一方が夜勤勤務がある等)、すれ違いの生活を続けている方が勝手気ままに暮らせてしまうため、徐々に快適さを感じてしまうのです。

家庭内別居は本来ストレスを感じやすいものですが、一度楽しいと感じてしまうとそのまま家庭内別居を改善することなく、続けてしまうのです。

家庭内別居を上手に続けるやり方やコツ

家庭内別居は本来安らぎを感じたい家庭の中が、常に緊張状態であることを意味します。仕事や育児に疲れた状態であっても、互いの気配を感じたら身を隠すような生活は決して楽しいものではありませんよね。では、もしも家庭内別居に陥ってしまったら一体どうするべきでしょうか。家庭内別居を上手に続けるやり方やコツについて以下で解説します。

最低限のルールを決めておく

家庭内別居はお互いの存在を感じているにもかかわらず、無視をし続けるようなライフスタイルです。この状況は非常にストレスフルであり、時間の経過とともに心身のバランスが崩れてしまうこともあります。

そこで、「生活費は共有する」「必要最低限の情報は交換する」などの最低限のルールは決めましょう。特にお金に関する問題はうやむやにしてしまうとその後にトラブルとなる可能性があるので、たとえ家庭内別居をしていてもクリアにしておくべき事案です。

子どもにも配慮した生活にする

家庭内別居を選択する方の中には、子どもがいるために実際の別居には踏み込まないという方もたくさんおられます。どちらかが子どもを連れて別居してしまうと生活費や学校に関する問題が発生するためです。

しかし、子どもにとって大切なパパとママが会話もせずに不仲のままならどう思うでしょうか。子どもの成長に暗い影を落としかねません。そこで、家庭内別居を続ける以上は、子どもには悟られないようにする、理解がある年齢なら着地点について家族間で話し合うなどの配慮を考えましょう。

今後のゴールを決めておく

家庭内別居は一度始めてしまうと生活が習慣化してしまい、いつまでもその状態が続いてしまう可能性があります。一度始めたからには、冷却期間としての家庭内別居をいつまで続けるのか、ゴールを見つけておくことが大切です。

夫婦関係の修復、あるいは離婚のいずれかを選ぶことになりますが、リラックスして生活できる日を目指して家庭内別居の区切りを見つけておきましょう。

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家庭内別居している時に気持ちとは

ただいま、と玄関を開けたら明るい家族の声…理想の家庭生活とは温かなもののはずが、家庭内別居をしている時にはそうした安らげる時間はありません。では、複雑なライフスタイルとなる家庭内別居時には、夫婦は一体どんな気持ちで生活しているのでしょうか。夫と妻、それぞれの気持ちについて考察します。

家庭内別居中の夫の気持ち

家庭内別居中には夫は以下のような気持ちを抱えています。

離婚できるか

安らげる家庭のはずは冷え切ってしまった関係の場合には、「離婚」の2文字が脳裏をよぎるでしょう。特に仕事が忙しく家庭にも居場所がない場合には、いつまで続くかわからない家庭内別居に不満を感じます。家庭内別居から別居を検討する夫も少なくありません。

妻が何を考えているのか知りたい

家庭内別居は妻側が無視をする、家事をしないところから始まる場合もあります。このようなケースでは、妻が何を考えているのか知りたい、と悩んでいます。

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家庭内別居中の妻の気持ち

家庭内別居中には妻は以下のような気持ちを抱えています。

将来のこと

子どもがいる場合や夫よりも収入が少ない、あるいは専業主婦である妻は将来に漠然とした不安を抱えています。仕事を探したり、実家が頼れるかどうかなど不安を抱えているのです。

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嫌悪感

夫の浮気などで家庭内別居へ至った場合には、夫への激しい嫌悪感を抱えている場合があります。子どもがいることなどを踏まえて夫婦関係の修復を目指す場合でも、許しがたい感情で悩んでいる場合があります。

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家庭内別居中の生活費は相手に請求できる?

家庭内別居の特徴にも挙げましたが、家庭内であっても生活費を別々にしてしまっている場合には、相手方に請求をすることはできるのでしょうか。結論から言うと、夫婦には扶養義務がある以上、たとえ家庭内別居に至っていても生活費の支払い義務はあります。

しかし、別居とは異なり光熱費は従来の夫婦関係時のまま引き落としができている、養育に関するお金は渡している、など家庭内別居は実際の別居時よりもきちんと必要なお金が支払われていることも多いのです。そのため、生活費の算定は別居時よりも少なくなることも考えられます。

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まとめ

この記事では家庭内別居における生活の実態に関して、夫婦それぞれの気持ちも考察しながら解説しました。家庭内別居は夫婦、そして子どもにとっても大きな問題です。修復を目指せそうな場合には、原因を打ち明け合ってなるべく早く問題を解決することがおすすめです。

また、家庭内別居から別居を検討し、離婚へと踏み出す場合には財産分与や養育費の問題も考えると、弁護士へのご相談がおすすめです。円満な着地点を知りたい場合にも、お気軽に弁護士へご相談ください。