離婚理由トップ5 男女別ランキング
離婚をした人は、どんな理由をきっかけに決断したのでしょうか?
この記事では、最高裁判所が公表する司法統計年報に基づき、令和6年に家庭裁判所へ申立てられた離婚調停の理由から、男女別の離婚理由のランキングのトップ5に迫ります。

女性側・男性側それぞれの離婚理由のトップ5を検証

女性側と男性側で、離婚理由に違いはあるのか、それぞれの理由のトップ5を紐解いてみます。

女性側の離婚理由のトップ5

女性側が離婚を決意した理由に挙げるトップ5は、以下のとおりです。

  1. 性格が合わない(性格の不一致)
  2. 生活費を渡さない
  3. 精神的に虐待する
  4. 暴力を振るう
  5. 異性関係

女性の場合、上位に生活費を渡さないや暴力を振るう等の、経済的基盤や身体的安全、生活の根幹に関わる理由が複数挙げられている点が特徴です。これは、配偶者に対する信頼の喪失や、自身の生存・安全の確保を優先する切実な動機が背景にあるのを示唆しています。

男性側の離婚理由のトップ5

男性側が離婚を決意した理由に挙げるトップ5は、以下のとおりです。

  1. 性格が合わない(性格の不一致)
  2. 精神的に虐待する
  3. 異性関係
  4. 浪費する
  5. 家族親族と折り合いが悪い

男性の場合、精神的虐待や浪費する等、精神的・経済的な不利益や、家庭内の人間関係に関する不満が上位に挙がっている点が特徴です。特に、女性のランキングには見られない、家族親族と折り合いが悪いが上位に位置しているのは注目すべき点かもしれません。男性は、家庭外の人間関係の軋轢を女性以上に離婚の決定的な理由と認識している可能性を示しています。

離婚理由ランキングの上位を占める理由の分析と考察

男女別に離婚理由ランキングの上位を占める理由について、それぞれ分析と考察をします。

男女ともにトップだった性格の不一致

男女ともに、離婚理由の第1位は性格の不一致です。
これは、離婚を決意する決定的な理由はないものの、長期的に結婚生活への不満が蓄積し爆発したと考えられる結果かもしれません。
性格の不一致につながる配偶者への不満は、考え方や価値観の違い、子育ての方針の相違、衣食住の嗜好、金銭感覚のずれなどが挙げられます。
現代社会では、夫婦が共有すべき価値観が画一的ではなくなり、個人の人生観や生活スタイルが尊重されるようになりました。これにより、些細な価値観のミスマッチが積み重なり、対話では修復できないレベルに達した状態が離婚に直結するのかもしれません。
結婚生活を単なる生活共同体としての機能的側面だけでなく、精神的なつながりや相互理解等の情緒的側面をより重視するようになった人が多いことが伺えます。

男女ともに上位だった精神的虐待(モラハラ)

精神的虐待、いわゆるモラルハラスメント(モラハラ)は、近年、離婚理由として男女ともに順位を上げています。
これは、社会でモラハラの概念が広く認知されるようになったことが影響を与えていると考えられます。
かつては気のせいだと片付けられていた行為、例えば配偶者を無視する、意見を主張すると大声で怒鳴る、気分が悪い時に八つ当たりをする等の行動が、法的に有効な離婚原因として認識されるようになりました。
インターネットやSNSを通じて、モラハラに関する情報や被害体験が共有され、被害者が「自分に起こっていることはおかしいことだ」と自覚するようになったのも要因の一つです。
こうしたことが影響し、弁護士もモラハラを離婚申立ての理由として積極的に取り上げるようになり、被害者が離婚調停を申し立てる心理的・法的ハードルが下がりました。
この変化は日本の家族関係において、非金銭的・非身体的な精神的安定も、法的かつ社会全体で重要視されるようになったと考えられます。

生活費を渡さない・浪費するにみるジェンダーギャップ

経済的な問題は、男女ともに離婚の重要な動機となっていますが、具体的な内容は性別によって顕著な違いが見られます。
女性の離婚理由で上位に挙がっている生活費を渡さないは、依然として多くの家庭で夫が主な家計の担い手である点が根強く残っていると感じます。そのため、夫が生活費を渡さないのは妻と子どもの生活を直接的に脅かします。単なる経済的困窮にとどまらず、配偶者としての義務の放棄、家族に対する信頼の根幹を揺るがす行為です。
男性が離婚理由の上位に挙げた浪費するは、妻が高額商品の購入や趣味にお金を使いすぎたり、ギャンブルなどで借金を作ったりする行為に対する不満です。これは、自らが築いた財産を配偶者によって無計画に使われることへの反発であり、家庭の経済基盤を揺るがす行為に対する不信感によるものです。
離婚において経済的動機が、女性にとっては生活維持の問題男性にとっては資産管理の問題として認識されていると考えられます。

不貞行為を理由とする異性関係への考え方の違い

不貞行為を理由とする異性関係は、男性の理由で第3位、女性の理由で第5位となっています。
男性の場合、妻の不貞は自身のプライドをひどく傷つける行為として認識される傾向が強いです。妻に裏切られた事実は、男性の自尊心と社会的地位を深く傷つけ、それ自体が単独で離婚の決定的な理由になりやすいことがわかります。
女性は、不貞行為を重要な離婚原因の一つとするものの、性格の不一致、生活費を渡さない、モラハラ、暴力など、他の要因がより上位に位置しています。配偶者の不貞行為は当然許されないと考えるものの、それ以上に生活の不安定さや精神的・身体的に傷つけられることへの不満を重視していることがわかります。

まとめ

男女別にみた離婚理由ランキングの結果を見て、どのように感じられたでしょうか?
共感された方もいらっしゃれば「それはちょっと違うのでは…」と思った方もいらっしゃると思います。考え方は人それぞれですが、どんな理由をきっかけに離婚を真剣に考えるようになったかを知るのは、自身の結婚生活を考える上で意味があると思います。
離婚を真剣に考えている方は、この記事を参考にしてご自身の気持ちを冷静に分析してみてください。
ネクスパート法律事務所には、離婚全般を数多く手掛けてきた弁護士が在籍しています。離婚を考えているけれど、何をしていいかわからないなど、お困りの方はご相談ください。
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