日本は通勤時間や労働時間が他国と比較しても長いと言われており、仕事や育児を両立させることを優先する夫婦が多いと考えられています。夫婦2人の大切な時間を確保しにくく、「セックスレス」に陥る夫婦も多いのです。

夫婦生活を円満に過ごすためには家事や育児の協力も大切ですが、男女としての営みもまた、重要な要素であることは言うまでもありません。しかし、セックスは大切なコミュニケーションである反面、デリケートな側面もあります。

もしも夫婦のどちらかが拒むようになってしまったら、寂しさやストレスから関係が悪化していくケースもあります。そこで今回は「セックスレスと離婚」について詳しく解説します。セックスレスを理由に離婚はできるのか、慰謝料の請求はできるか等詳しく解説しますので、是非ご一読ください。

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セックスレスの定義とは

ギリシャなどセックスに関して開放的な国と比較すると、日本は夫婦間のセックスが少なく、レスの傾向があると言われています。日本は超高齢化・超少子化を辿っていますが、超少子化の背景には晩婚化だけではなく、夫婦の大切なコミュニケーションであるセックスが少ないことも原因と考えられています。では、セックスレスの定義とは具体的にどんなものでしょうか。

法律上の定義はない

セックスレスが原因で夫婦が不仲に陥るケースは多いですが、法律上にセックスレスに関する具体的な規定はありません。セックスが少ないと感じるのは個人差が非常に大きく、週に1回で少ないと感じる方もいれば、多いと感じる方もいます。

セックスにおける価値観は夫婦間であっても一致しないことが多いでしょう。ネット上で広く流布されている定義には「日本性科学会」が定義したとされる1つの目安があります。「カップルの間で1ヵ月以上セックスが無い場合にはセックスレスとされる」というものです。

しかし、未婚のカップルとは異なり夫婦生活で考えてみると、単身赴任や産後の育児期間などを考えると1か月セックスがない状態をセックスレスと呼ぶのは難しいかもしれません。性の不一致を争点に離婚をしたい場合、セックスレスであろうと考えられるのは1年以上と考えるケースが多いでしょう。

セックスレスは離婚理由になるのか

夫婦生活においてセックスレスは非常にデリケートな問題です。夫婦のうちどちらかが無理にお願いをして営む行為ではありませんし、性的な話を嫌う配偶者もいるでしょう。では、セックスレスの問題が解決できない場合には、「離婚理由」にはなるのでしょうか。ここからは「セックスレスと離婚」について、もう一歩踏み込んでみましょう。

協議離婚であれば理由は関係ない

夫婦間でのセックスの問題が解決し難い場合には、離婚を考える人も多いでしょう。離婚をするには「協議・調停・裁判」という3つの方法があります。この中で、協議離婚はどんな理由であっても夫婦間で同意ができれば離婚が成立するため、裁判所で調停や裁判をする必要がありません。

協議離婚は話し合いだけで終わるので、最も簡単な離婚方法と言えるでしょう。話し合いが難しい場合には家庭裁判所へ調停の申立てを行うことになります。

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セックスレスが原因の離婚は珍しくない

セックスレスに悩む夫婦の中には「子どもを持てない」という事実に落ち込み、友人や知人の子どもを見るたびに辛い思いをする、という方もいます。

夫婦におけるセックスはただのコミュニケーションだけではなく、子どもを持つかどうかという大きな問題も含んでいるため、非常にデリケートな問題です。そのため、セックスレスに悩んだ末に離婚を決断する人は決して少なくありません。

令和2年度司法統計を参考にすると、離婚を申し立てた理由には「性格の不一致」や「精神的な虐待」などよりは少ないですが、男女ともに「性的不調和」についても挙げています。性的不調和にはセックスレスの問題も含まれています。

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裁判になった場合離婚は認められるのか

夫婦間の話し合いが進まず、裁判になってしまった場合には、セックスレスを理由に離婚は認められるのでしょうか。ここで裁判所へ離婚を申し立てる際の「離婚事由」を振り返ってみましょう。民法770条1項の規定は以下のとおりです。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

引用元:民法第770条 – Wikibooks

セックスレスの問題は上記5つの中では「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」が該当します。子どもが欲しいのにセックスをしてくれない、夫婦の一方から汚いもののように扱われセックスに応じてくれない、などのケースが考えられるでしょう。

セックスレスが認められる目安は1年

文中にも少し触れましたが、夫婦間の間でセックスが無くなり、セックスレスとみなされるのは「1年以上」が目安の1つです。夫婦間でセックスへの関心や意欲は異なることが多いため、数ヵ月程度のセックスレスでは離婚事由には認められない場合があります。

また、1年というのはあくまでも目安に過ぎません。産後にセックスレスに陥る夫婦は多いですが、拒む理由が産後の子宮の回復が遅れていて産婦人科にて治療を受けている、など病気が背景にある場合は離婚事由としては認められにくいでしょう。

セックスレスが原因の離婚で慰謝料は請求できる?

セックスレスが原因で離婚をする場合には、慰謝料の請求をすることはできるのでしょうか。結論から言うと、認められるケースもあります。詳細は下記のとおりです。

慰謝料を請求できるケース

慰謝料を請求できるケースには以下のようなパターンが考えられます。

  • セックスレスの原因が配偶者のどちらかの不貞行為による場合、不貞行為に関する慰謝料請求ができる
  • 強くセックスを拒み、夫婦関係が破綻しているケース
  • 実は配偶者のどちらかが同性愛者であり、セックスができないケース

性に関する問題のため非常にデリケートですが、夫婦間で話し合いが決裂している、あるいは話し合いすら難しい場合には慰謝料請求ができる可能性があります。慰謝料請求ができるケースには不貞行為や強く拒まれているケースなどは慰謝料請求ができると考えられます。

慰謝料を請求できないケース

セックスレスなら必ずしも慰謝料の請求ができるわけではありません。例として、夫婦のうちいずれかの病気が原因でセックスができない場合や、レスに陥ってからまだ月日が浅いケース、仕事で夫婦のいずれかが駐在員として遠方におりやむを得ない場合や、夫婦間でセックスをしないと同意があった場合などは慰謝料請求ができません。

離婚で慰謝料請求できる条件や理由

セックスレスの慰謝料相場

セックスレスで慰謝料を請求する場合には、一体どの程度の金額を得ることができるのでしょうか。セックスレスの慰謝料相場は不貞行為によるものや、モラハラ・DVを理由に請求を行うケースよりも慰謝料相場は低いとされます。

一般的には数十万~100万程度が多く、200~300万までが高額な慰謝料獲得の例とされるでしょう。セックスレスは拒む方・求める方の双方の言い分が激しく衝突する可能性もあり、慰謝料獲得を目指すには弁護士への相談がおすすめです。

離婚の慰謝料相場|年収との関係や請求できないケースとは

セックスレスを証明するための証拠

セックスレスは不貞行為のようにホテルへの出入りを写真に収める、音声やメールを抑えることが難しい案件です。夫婦間の性への考え方の不一致でセックスレスが長期化している場合は、解決を模索する会話のやりとりを録音する、夫婦間の話し合いが残されたLINEなどを証拠とすることが可能です。

セックスレスへのつらい思いを日記に書き留めることも証拠として利用することができます。証拠を作る際には時間がかかるケースもあるので、セックスレスを理由に離婚を検討する場合には早めに弁護士へ相談を行い、どのような証拠を残すべきかアドバイスをもらうことがおすすめです。

まとめ

この記事ではセックスレスで離婚や慰謝料請求はできるのか、をテーマに詳しく解説をしました。夫婦間のデリケートな問題であるセックスレスは、話し合いすらままならないまま長期間経過している方も多いのではないでしょうか。ご家族や友達にも話しにくいことだからこそ、この機会に専門家である弁護士への相談をご検討ください。