留置場にいる期間は最長20日以上?留置場の生活や留置場に入る理由

勾留は、警察署の留置所(正確には留置場)に一定期間身柄を拘束されることです。

勾留には、刑事裁判で訴えられる前の勾留(起訴前勾留)と訴えられた後の勾留(起訴後勾留)があり、それぞれ拘束される期間も収容場所も異なります。

家族や大切な人が逮捕されてしまった場合、いつ帰ってくるのだろうと不安に感じるかと思いますので、勾留期間や逮捕後の流れを知っておくことが大切です。

この記事では、留置場に勾留される期間や勾留について解説します。

  • 起訴前と起訴後に留置場にいる期間
  • 勾留や期間が長期にわたる理由
  • 留置場の生活
  • 勾留された場合にできること

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留置所にいる期間

刑事事件では、逮捕から次のような流れで手続きが進んでいきます。

警察が捜査を行った後は、検察が刑事裁判にかける(起訴)かどうかを決めるため、事件は検察に送致されます。

逮捕や勾留は、国による強制的な身柄拘束であり、拒否することはできません。

しかし、刑事裁判で有罪となってない以上、犯罪者と断定はできませんし、無罪の可能性もあります(推定無罪)。

無罪の人が長期間勾留されてしまうと不利益が大きいため、このように拘束される期間が法律によって制限されています。

ここでは、起訴前の勾留と起訴後の勾留で、留置場に入れられる期間について解説します。

起訴前の勾留は10~20日間

検察は逮捕後の勾留が必要だと判断すると、裁判所の許可のもと被疑者を勾留します。起訴前勾留や被疑者勾留と呼ばれるものです。

送致後に勾留が決定すると、身柄は検察庁から再び警察に移送され、留置場に入れられます。

起訴前の勾留期間は、原則10日間です。やむを得ない事情があれば、更に最大10日間延長されます(刑事訴訟法第208条)。

このやむを得ない事情というのは、例えば事件が複雑で共犯者や物証、余罪が多い、実況見分が終わっていない、被疑者が否認や黙秘しているなどのケースです。

検察はこの勾留期間が終わるまでに、起訴か不起訴かを決定します。

逮捕から勾留が決定するまでは72時間以内と定められているため、逮捕から数えて最大で23日間、留置場に入れられることが考えられます(刑事訴訟法第205条)。

法務省によると、2022年に刑法犯で勾留された割合は96.2%でした。

逮捕される割合は34.3%ですが、逮捕されると高確率で勾留されることになるでしょう。

参考:令和5年版 犯罪白書 第3節 被疑者の逮捕と勾留|法務省

起訴後は拘置所で2か月

起訴前勾留の期間中に起訴が決定すると、今度は裁判官が、起訴後の勾留の要否を判断します(刑事訴訟法第280条)。

起訴後の勾留は、被告人勾留とも呼ばれ、裁判の欠席や被害者の脅迫防止のために行われます。

起訴後勾留の期間は2か月で、継続の必要があれば1か月だけ更新されます(刑事訴訟法第60条)。

次に当てはまると、更新には制限はありません。

後述する保釈が認められない場合、刑事裁判で処分が決定するまで勾留が続くおそれがあります。

  • 死刑または無期、もしくは1年以上の懲役、禁錮にあたる罪を犯したとき
  • 被告人に犯罪の常習性があり、長期3年以上の懲役、禁錮にあたる罪を犯したことがあるとき
  • 被告人が証拠隠滅をすると疑うに足る相当な理由があるとき
  • 被告人が被害者やその親族など事件の関係者に危害を加えるなど疑うに足る相当な理由があるとき
  • 被告人の氏名や住所がわからないとき

参考:刑事訴訟法第89条|e-Gov

前述の統計によると、起訴後勾留が行われる割合は、簡易裁判所と地方裁判所で異なりますが、おおよそ60~70%程度です。

保釈率は約30%、保釈されるまでの期間は、2~3か月以内が最多でした。

なお、起訴後の勾留が決定すると、身柄は拘置所に移送されることがあります。

本来、勾留が行われた場合には、被疑者や被告人の身柄は法律上、拘置所に留置することと定められていました。

しかし、拘置所は全国に数が少なく、収容能力の問題もあるため、留置場に入れられることがほとんどです。

起訴後であっても、引き続き留置場に勾留される場合もあります。

参考:保釈に関する数値データ|一般社団法人 日本保釈支援協会

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勾留期間が20日以上になるのはなぜ?

前述のとおり、起訴前の勾留は最長でも20日間です。ただし、勾留期間が長引くケースもあります。

ここでは、勾留期間が長引くケースを解説します。

再逮捕されたから

勾留期限が来て、検察が被疑者を起訴できなければ、釈放しなければなりません。

しかし、釈放された途端に別の容疑で再逮捕されることがあります。再逮捕された場合は、再度勾留される可能性があります。

例えば、殺人の疑いで逮捕された人が、その後、死体遺棄の疑いで再逮捕されるケースが挙げられます。

他にも薬物犯罪で所持と使用で分けて逮捕されたり、詐欺で複数の被害者ごとに逮捕されたりするケースもあるため、余罪や被害者が多い犯罪だと再逮捕から勾留ということも考えられるでしょう。

同一の犯罪で何度も逮捕や勾留を行うと、期間を制限している意味がないため、本来は、同一の犯罪事実による再逮捕や勾留は禁止されています(一罪一逮捕一勾留の原則)。

しかし、上記のような事件では、勾留期間内で捜査を終わらせるのは困難なため、実際は別の容疑での再逮捕が行われています。

再逮捕が、以前の逮捕や勾留と同じ罪だと考えられる場合は、勾留に対する異議申し立てを弁護士に依頼しましょう。

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精神鑑定が行われたから

殺人や放火など、裁判員裁判の対象となる重大事件では、被疑者の責任能力に問題があると考えられる場合に、精神鑑定が行われます。

医師が精神鑑定を行うため、被疑者は2~3か月ほど病院や拘置所に収容されます(鑑定留置)。

鑑定留置を終えると、残りの勾留が執行され、検察は結果をもとに起訴か不起訴かを判断します。

精神鑑定が行われる場合は、鑑定留置と勾留の間の約3~4か月ほど身柄を拘束されることになります。

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勾留再延長が認められる罪だから

起訴前の勾留は10~20日間ですが、例外的に勾留再延長が認められる罪があります。

この罪を犯した場合は、最長20日にさらに5日の勾留再延長が認められます(刑事訴訟法第208条の2)。

例外的に勾留延長が認められる罪は次のとおりです。

  • 内乱に関する罪
  • 外患に関する罪
  • 国交に関する罪
  • 騒乱の罪

こうした罪は、内乱や外国との紛争、暴力的なデモの際に適用されるため、一般的な犯罪の勾留期間は最長20日と覚えておけば問題ありません。

留置所に入る理由

検察や裁判所は単に怪しいという理由だけで留置場に身柄を拘束しているわけではありません。

被疑者や被告人が留置場に入れられる理由は、逃亡や証拠隠滅防止のためです。法律では次に該当する場合に、勾留できるとしています。

  • 被疑者や被告人に定まった住所がないとき
  • 被疑者や被告人が、証拠隠滅や逃亡をすると疑うに足りる相当な理由があるとき

参考:刑事訴訟法第60条|e-Gov

刑事裁判は、結果によっては被告人にとって大きな不利益となるため、本人不在で裁判を行うことはできません(刑事訴訟法第286条)。

そのため、起訴後の勾留では、次の理由も考慮されて、勾留が決定されます。

  • 裁判に出廷しないことを避けるため
  • 被害者など関わった人に危害を加えさせないため

被疑者が証拠隠滅や逃亡しないと判断されれば、勾留が行われずに釈放されることもあります。

留置所の生活

勾留されると身柄を拘束されますが、刑罰が確定したわけではないので、受刑者のような扱いをされるわけではありません。

留置場に入れられた場合、被疑者はどのような生活をおくるのでしょうか。ここでは、留置場の生活について紹介します。

部屋

留置場は警察署内にあります。

被疑者が過ごす部屋は、6人程の被疑者がいる雑居房であることが多いですが、被疑者同士でトラブルがあったような場合は、単独室に入れられることもあるようです。

留置場は基本的に、留置担当をしている警察官が被疑者の監視を行います。

拘置所のように私語が完全に禁止されているわけではないので、被疑者同士自由に話をすることができます。

1日のスケジュール

各留置場によって異なりますが、おおよそ朝7時頃に起床して朝食、昼食は12時頃、夕食は18時頃、そして21時就寝と決まっています。

健康保持のために、平日午前中に30分ほど運動時間が設けられていることが多いです。

1日のスケジュールは、基本的に取り調べや実況見分が行われます。

なお、取り調べは警察が行うことが多く、原則8時間までと決められています。それ以外の時間は読書や手紙を書くなどして過ごせます。

入浴は週に2回以上と義務づけられています(刑事施設及び被収容者の処遇に関する規則第25条)。

就寝時間は早いですが、完全に消灯にはなりません。読書ができる程度の明かりは点いているため、人によってはなかなか眠れないこともあるようです。

食事

留置場には調理施設がないため、3食の食事は業者が作った日替わり弁当が配られます。

弁当もカロリーや栄養が考慮されていますが、似たようなメニューの繰り返しに飽きたり、人によっては味が薄く物足りなく感じるようです。

留置場の食事は質素であるため、体重が減って健康になったという話も聞かれます。

業者に依頼をしてもらい、現金で自弁と呼ばれるお弁当を購入することもできます。

面会

勾留が決定した後(逮捕から4日目)であれば、留置場で面会が可能です。

面会のルールは各留置場で異なるため、事前に問い合わせることをおすすめします。

  • 受付時間は平日午前9~11時/午後は13~16時まで
  • 面会可能なのは1日1度、1回の面会は3人まで
  • 面会時間は15~20分程度
  • 面会には警察官が立ち会う
  • すでに他の人が面会している場合や取り調べ中は、面会不可

ただし、接見禁止処分がついている場合は、家族でも面会できません。

その場合は、弁護士に接見禁止の一部解除を依頼したり、手紙などを差し入れてもらったりしましょう。

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留置所から釈放されるケース

勾留が行われなかった

逃亡や証拠隠滅のおそれがなければ、勾留は行われず、在宅事件に切り替わることになります。

在宅事件とは、留置場に身柄を拘束をされずに、時々呼び出しを受けて取り調べなどの捜査が続く事件のことです。

不起訴が決定したわけではないので、在宅のまま起訴されることもあります。

勾留されないケースとして、検察が勾留を不要と判断する場合や、検察が勾留の許可を求める勾留請求を裁判所に却下された場合が考えられます。

なお、前述の統計によると、勾留請求が却下された割合は3.7%でした。

極めて低い数字に思われますが、早期に弁護士に依頼をして、弁護士が裁判官や検察に意見書を提出することで、勾留が却下されることもあります。

勾留請求の却下で釈放された後も、在宅事件に切り替わることになります。

不起訴処分になった

勾留期間の満期までに不起訴処分が決定すれば、事件は終了です。刑事裁判にならずに、警察署で身柄を釈放してもらえます。

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保釈が認められた

起訴後の勾留から釈放されるケースが、保釈請求が認められた場合です。

裁判所に保釈金を納めることで、その保釈金を担保として一時的に身柄が解放される制度が保釈制度です。

保釈金は、保釈のルールに違反したり、裁判に欠席したりすると没収されます。

保釈が認められれば、一時的に身柄が解放され、自宅から裁判に出席することができます。

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留置所から釈放されたら迎えに行ける?

身元引受人として家族に連絡が来る

逮捕された場合、基本的には検察に送致されます。

しかし、比較的軽微な事案であれば、警察が検察に送致せず、逮捕当日に微罪処分として身柄を釈放することもあります。

この場合、警察は身元引受人として家族に連絡して、本人を迎えに来てもらうことになります。

逮捕当日の釈放以外でも、勾留されずに釈放された場合、検察の判断で連絡がくることもあります。

一方で、身柄は釈放されたものの、家宅捜索のために、警察が被疑者を自宅まで送ることもあります。

勾留満期の釈放は連絡が来ない

勾留満期で釈放される場合、検察や警察から家族に釈放の連絡は来ません

釈放の日は、貴重品を返却されて、そのまま警察署の前で釈放されることになります。

勾留されていた警察署が近場であれば、帰宅するのに苦労はしないかもしれません。

しかし、事件現場が自宅から遠方の場合、事件現場を管轄する警察署に勾留される可能性があります。

遠方の警察署前で釈放されても、携帯の電池が切れており、所持金が足りずに帰宅できなくなることも考えられます。

自宅から遠方の警察署に勾留された場合は、いつ釈放されてもいいように、現金を多めに差し入れておくと良いでしょう。

依頼していれば弁護士から連絡がある

もし家族や本人が、私選弁護人を選任していれば、弁護士が手続きの状況や流れを把握しているため、不安がないようにこまめに状況を共有してもらうことができます。

弁護士であれば、接見にも制限がないため、被疑者や被告人の状況を把握して、積極的に身柄釈放に向けてサポートしてくれます。

家族が正しい情報や状況を入手するためにも、刑事手続きでは弁護士のサポートを受けるのが一番です。

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勾留された場合の対処法

もし勾留されてしまった場合は、弁護士の力をかりて釈放してもらいましょう。勾留された場合は次の方法が考えられます。

  • 勾留に対して準抗告を申し立てる
  • 勾留の取り消しを申し立てる
  • 被害者と示談をして不起訴を目指す

勾留に対する準抗告とは、勾留を決定した裁判官に不服を申し立てることです。

勾留の必要性がなくなった際に、勾留の取り消しを求める勾留取消請求を申し立てることもあります。

勾留に対する準抗告や取消請求はいずれもハードルが高いため、刑事事件の実績がある弁護士に依頼するのが一番です。

早期釈放を目指し、不起訴処分を得るなら、被害者との示談も重要です。一緒に対応してもらいましょう。

留置所や勾留についてよくある質問

釈放される時はどこで釈放される?

勾留から釈放されるときは、警察署で釈放されることになります。

釈放されると弁護士から連絡があった場合は、警察署の前や警察署の1階で待っていれば、本人と会えるでしょう。

保釈が決定したらいつ保釈される?

保釈が決定した場合、裁判所に保釈金を納付してから、おおよそ2~3時間後に保釈されるケースが多いです。

裁判所に保釈請求を行い、保釈の許可決定が下された後、弁護士が直接裁判所に保釈金を納めます。

保釈金を納めると、保釈許可決定書に受領印を押してもらえるので、それを担当部署に提出します。

担当部署の書記官が検察に連絡を入れ、検察から留置場や拘置所に釈放の連絡がされます。

留置所と拘置所の違いは?

拘置所も、留置場と同様に刑事裁判を受ける前の未決拘禁者を収容する施設です。しかし、留置場と拘置所には、いくつかの違いがあります。

留置場 拘置所
管理者 警察 法務省
収容者 起訴前の被疑者と起訴後の被告人 起訴前の被疑者と起訴後の被告人

死刑執行を待つ死刑囚

収容場所 全国の警察署内、1,300ヶ所 各地の拘置所や拘置支所、111ヶ所
部屋 6人程の被疑者がいる雑居房が多い 単独室
食事 1日3食、業者が作った弁当が配られる 1日3食、受刑者が作った料理が食べられる

拘置所は、起訴後に収容されるケースが多いため、取り調べではなく裁判への出席がスケジュールに組み込まれます。

起床時間や食事の時間、自由時間の過ごし方、面会などは留置場と大きく変わりません。

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留置所にいた期間は懲役の期間から引かれる?

刑事裁判で、懲役などの実刑判決が下された場合は、留置場に勾留されていた未決勾留日数が算入されることがあります

被疑者や被告人は有罪となるまで推定無罪として扱われていますが、長期の勾留は刑罰を受けているのと同じことです。

そのため、被疑者や被告人の人権の観点から、未決勾留日数を刑期に算入して、刑罰に服したとすることがあります。

未決勾留日数が算入されれば、その分刑罰を受ける期間が短縮されます。

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まとめ

留置場に入れられる期間は、起訴前と起訴後で異なります。

起訴前は逮捕から最長23日間留置場に入れられることになり、会社や学校に行けないなど私生活にも大きな影響が生じます。

勾留決定前に弁護士に依頼できれば、留置場に入れられずに済み、会社や学校への影響も最小限にできる可能性があります。

起訴後の勾留はさらに長引くおそれがあるため、不起訴を目指すために弁護士のサポートを受けましょう。

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