更新日:2022年1月24日 (月)
公開日:2020年12月24日 (木)
再逮捕とは?されるケースやその後の流れ・手続きを解説
サマリー
ニュースなどで「再逮捕」という言葉を耳にすることがあっても、具体的にどのような手続きなのか、通常の逮捕と何が違うのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか。ご家族などが逮捕された場合、再逮捕によって身柄拘束がどれだけ続くのか不安を感じることもあるかもしれません。この記事では、再逮捕の法律上の意味や原則、再逮捕が行われる代表的なケース、そして再逮捕後の手続きの流れや身柄拘束期間について分かりやすく解説します。
再逮捕とは?法律上の位置づけと「一罪一逮捕一勾留の原則」
再逮捕について理解するためには、日常的な用語としての使われ方と法律上の正確な位置づけを把握することが大切です。
日常用語と刑事手続上における「再逮捕」の違い
ニュースなどで報道される「再逮捕」という言葉と、法律や刑事手続の理論上で用いられる「再逮捕」には概念上の違いが存在します。
一般的に再逮捕と呼ばれるのは、ある犯罪事実で逮捕・勾留された被疑者が、その事実とは「別の犯罪事実」によって再度逮捕される場面です。例えば、一つの窃盗事件で捜査を受けた後、別の余罪が発覚して再度逮捕されるケースがこれに該当します。
これに対し、刑事手続上の本来の再逮捕とは、すでに逮捕・勾留された事実と「同一の犯罪事実」について、釈放後などに再び身柄拘束を行うことを指します。
「一罪一逮捕一勾留の原則」と時間制限の趣旨
刑事手続上、同一の犯罪事実に基づく再逮捕や再勾留は、原則として認められていません。これを「一罪一逮捕一勾留の原則」と呼びます。
刑事訴訟法では、不当に長い身柄拘束を防ぎ人権を保障するため、逮捕から48時間以内の検察官送致、送致から24時間以内の勾留請求、勾留決定後は最大20日間(一部例外を除く)という厳格な時間制限が定められています。
もし同一事実での再逮捕を自由に認めてしまうと、法律が設けた身柄拘束の上限期間を容易に潜脱できてしまいます。そのため、同一事実による再逮捕は原則として違法と解されており、認められるとしても極めて例外的な場合に限られます。
「別の犯罪事実」と判断される基準
一罪一逮捕一勾留の原則に抵触しない「別の犯罪事実」であるかどうかは、犯行の日時、場所、被害者、行為態様などを比較して個別に判断されます。
罪名が異なる場合はもちろん、同じ罪名であっても犯行日時が異なる場合や、被害者が異なる場合には別事実と評価されます。このような別事実に基づく逮捕は適法な手続きとして行われます。
なお、先行する事件について検察官が起訴・不起訴の判断を留保したまま釈放する「処分保留」となった場合であっても、別事実が判明していれば再逮捕が行われることがあります。
再逮捕される主なケース
捜査機関が別事実によって被疑者を再逮捕する背景には、事件の性質や証拠の集まり具合など、いくつかの典型的な状況があります。
捜査の過程で余罪が判明した場合
ある犯罪事実で逮捕・勾留されて取り調べを受ける中で、同種または別の犯罪行為が発覚することがあります。たとえば、ある店舗での窃盗事件の捜査中に、別の日時や場所で行われた別の窃盗行為が明らかになるようなケースです。
ただし、余罪が発覚したからといって、そのすべてについて自動的に再逮捕が行われるわけではありません。逮捕には「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」と「逃亡や罪証隠滅のおそれ(逮捕の必要性)」が必要とされており、これらは事実ごとに個別に判断されます。
余罪が判明しても、逮捕の理由や必要性が認められない場合は再逮捕されず、身柄拘束を伴わない在宅事件として捜査が進められることもあります。
重大事件において段階的な捜査が行われる場合
重大事件では、立証の難易度や証拠の状況に応じて、段階的に逮捕を重ねる手法がとられることがあります。代表的な例が、死体遺棄罪と殺人罪の関係です。
遺体が発見された段階では、遺棄への関与を特定できても、殺害行為自体の証拠が十分に揃っていない場合があります。そのため、まずは立証が比較的容易な死体遺棄罪で逮捕・勾留し、その身柄拘束期間中に殺害に関する捜査を進め、疑いが固まった段階で殺人罪により再逮捕するという流れがとられることがあります。
重大事件では逃亡や証拠隠滅のおそれが強く認められやすいため、余罪や重大な本案の事実が固まるごとに再逮捕され、結果として身柄拘束が長期化しやすい傾向があります。
起訴後の保釈請求等を見据えた対応が行われる場合
先行する事件で起訴された場合、被告人側は裁判所に対して保釈を請求できるようになります。保釈が認められて保釈保証金が納付されれば身柄が解放されるため、捜査機関が身柄拘束を継続して捜査を進める必要があると判断した際に、余罪について再逮捕に踏み切るケースがあります。
この場合であっても、再逮捕の対象となる事実について逮捕・勾留の法的要件を個別に満たしている必要があります。
再逮捕後の流れと身柄拘束期間
再逮捕が行われた場合、刑事手続は初回の逮捕時と同様の制限時間に従って進められます。
再逮捕は、先行する事件について起訴・不起訴の処分が決定した際や、処分保留となったタイミングなどで行われます。再逮捕された後の刑事手続は、初回の逮捕時と基本的に同様の流れをたどります。
警察に再逮捕された場合、48時間以内に被疑者の身柄と事件記録が検察庁へ送致されます。送致を受けた検察官が引き続き身柄拘束を必要と判断した場合には、24時間以内に裁判官へ勾留請求を行います。
裁判官によって勾留決定が下されると、まず10日間の身柄拘束が決定します。さらに捜査を継続する必要があると認められた場合には、最大で10日間の勾留延長が認められることがあります。
| 手続の段階 | 主な内容 | 時間の制限・目安 |
|---|---|---|
| 逮捕から送致 | 警察から検察庁への身柄・書類の送致 | 48時間以内 |
| 送致から勾留請求 | 検察官による裁判所への勾留請求 | 24時間以内 |
| 勾留決定 | 裁判官による身柄拘束の決定 | 原則10日間 |
| 勾留延長 | やむを得ない事由による期間の延長 | 最大10日間(合計20日間) |
身柄拘束の長期化と再逮捕の回数制限
1つの事件における逮捕から勾留満了までの身柄拘束期間は、最大で23日間程度と定められています。しかし、再逮捕がなされると新たな事件として手続が進むため、身柄拘束期間は合算され、長期化していくことになります。
法律上、異なる犯罪事実に基づく再逮捕について、回数の上限は定められていません。
それぞれの犯罪事実について逮捕および勾留の要件が満たされる限り、理論上は複数回の再逮捕と勾留が繰り返される可能性があります。
そのため、余罪が複数存在するケースでは、数か月にわたって身体の拘束が続く事態も起こり得ます。身柄拘束の長期化は社会生活や精神面への影響が大きいため、手続が適正に行われているかどうかの確認が重要となります。
再逮捕の不安や身柄拘束の長期化に関する弁護士への相談
再逮捕によって身柄拘束が長期化すると、被疑者本人はもちろんのこと、外部と直接連絡を取ることが難しいご家族にとっても大きな精神的・身体的負担となります。
刑事事件において身柄拘束が継続する場合、弁護士は法的観点から適切な手続きが行われているかを確認し、さまざまな弁護活動を行います。
身柄拘束が続く場合の主な弁護活動
弁護士は、警察署の留置場などで身柄を拘束されている本人と直接面会(接見)を行うことができます。接見を通じて事件の状況や本人の言い分を把握し、今後の取り調べに対する法的な助言を行います。
また、捜査機関によって要件を満たさない不当な再逮捕や勾留が繰り返されていると判断される場合には、裁判所や捜査機関に対して意見書を提出するなど、手続きの適法性を争う申立てを行うことがあります。
不当な身柄拘束に対しては、法的根拠に基づいた意見の申立てを行うことが重要となります。
早期に弁護士へ相談して状況を把握する意義
再逮捕が重なると、それぞれの事件でどのような処分が下されるのか、いつまで身柄拘束が続くのかといった見通しを立てることが極めて難しくなります。
早い段階で弁護士に相談することで、現在進行している刑事手続きの正確な段階や、余罪を含めた今後の見通しについて整理しやすくなります。
再逮捕の可能性や長期化する身柄拘束に不安を抱えている場合は、早期に弁護士に相談し、状況に応じた客観的な説明や助言を受けることが大切です。
コラム監修者
HIROYUKI FUJIIE
所属:北九州オフィス 支店長
福岡県福岡市出身。東福岡高校、西南学院大学法学部、中央大学法科大学院を卒業後、新司法試験に合格し最高裁判所司法研修所を修了。人生の紆余曲折を経て、弁護士として法曹界に入り、一般民事全般・刑事分野の相談・交渉に取り組む。ネクスパート法律事務所の北九州オフィス所長として、依頼者に寄り添い、本当の意味での経済的・精神的満足という結果をご提供することを常に心がけている。