逮捕から刑事処分までの流れと私選弁護人が逮捕期間中からしてくれること

逮捕期間中に弁護活動できるのは私選弁護人のみです。

私選弁護人であれば、逮捕直後から接見や釈放に向けた活動などを行ってくれます。

逮捕から刑事処分までの流れ

逮捕から刑事処分までの流れを図で示すと以下のとおりとなります。

①警察に逮捕されると②警察署内の留置施設に収容されます。

その後、③警察官による「弁解録取」の手続きを受けます。

事件性がない場合や、被害者から被害届が出されないなどの場合にはこの段階で⑩釈放されることもありますが、原則④検察庁へ送致する手続きが取られます。

なお、①から④までに要する時間は最大で48時間です。

送致後、⑤検察庁でも「弁解録取」を受けます。

その上で、身柄の拘束が必要ないと判断された場合は⑩釈放されますが、必要があると判断された場合は⑥勾留請求されます。

なお、④から⑥までに要する時間は最大で24時間です。

また、①から⑥までの時間は最大で72時間です。

検察官によって⑥勾留請求されると、今度は⑦裁判官による「勾留質問」を受けます。

ここで、身柄の拘束が必要ないと判断された場合は⑩釈放されますが、必要があると判断された場合は⑧勾留決定を受けます。

⑧勾留決定を受けると、通常は引き続き逮捕時に収容された留置施設に収容されつつ、⑨身柄事件として捜査が進みます。

収容期間ははじめ10日間ですが、「やむを得ない事由」が認められる場合は最大で10日間期間を延長されます(ただし、勾留の必要がない場合、不服申し立てが認められた場合は途中で釈放されます)。

なお、逮捕期間中(①から⑧までの期間)に⑩釈放された場合は、⑪在宅事件として捜査が進みます。

⑨身柄事件として捜査が進んだ場合でも⑪在宅事件として捜査が進んだ場合でも、最終的に何らかの刑事処分を受けるのは同じです。

ただ、上記のように、身柄事件では終局処分までに時間的制約があるのに対して、在宅事件ではそうした時間的制約がないのが特徴です。

逮捕期間中に弁護活動してくれるのは私選弁護人のみ

上の図を見てお分かりいただけると思いますが、逮捕期間中に弁護活動してくれる弁護人は私選弁護人のみです。

したがって、

  • 逮捕期間中から接見して欲しい
  • 勾留前に釈放して欲しい
  • 報道されないように警察に働きかけて欲しい
  • 職場や学校へ対応して欲しい

などという場合は私選弁護人に弁護活動を依頼する必要があります。

なお、弁護士との1回限りの接見をご希望の場合は、あえて私選弁護人を選任する
必要はなく、当番弁護士でも対応は可能です。

しかし、その当番弁護士が刑事事件の知識、経験が豊富な弁護士とは限りません。

また、当番弁護士が行うのは1回限りの接見で、接見後、私選弁護人として選任しない限り引き続き具体的な弁護活動を行ってくれるわけではないことに注意が必要です。

国選弁護人は弁護士費用を負担する必要がないことが最大の魅力です。

しかし、国選弁護人は⑧勾留決定された後に選任されます。

つまり、国選弁護人は逮捕期間中に弁護活動をすることができず、基本的には⑨身柄事件のみの対応しかできません。

また、誰でも選任できるわけではなく、選任するには要件(資力が50万円以下など)を満たす必要があります。

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私選弁護人が逮捕期間中からしてくれること

では、私選弁護人は逮捕期間中からどんなことをしてくれるのでしょうか?

逮捕された方と接見してくれる

まず、逮捕された方と接見し、逮捕された方がどんな犯罪を疑われているのか、その罪について認めるのか認めないのかなどを聴き取ります。

そして、それに応じて取調べなどに対するアドバイスや事件の見通しをお伝えします。

加えて、以下の釈放のための活動に備えて、釈放のために必要な事項も聴き取りします。

接見後は、ご家族などの依頼者に対し接見の結果を報告します。

なお、逮捕期間中、弁護士以外の方が逮捕された方と接見(面会・差入れ)することは基本的にはできません。

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釈放に向けた弁護活動を行ってくれる

正式契約後は、状況・必要に応じて、釈放に向けた活動を行います。

具体的には、被害者との示談交渉が事件であれば捜査機関にまず被害者と示談意向があることを伝えます。

それと同時に、ご家族などと連絡を取り合うなどして可能な限り釈放後の生活環境を整え、それらの状況を意見書にまとめて捜査機関や裁判所に提出します(あるいは直接交渉します)。

仮に逮捕期間中に釈放されない場合(勾留された場合)は、不服申し立てを行います。

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職場や学校に対応してくれる

会社員の方が逮捕された場合は職場、生徒・学生である方が逮捕された場合は学校への対応に迷われる方もおられるでしょう。

そうした場合は、その後の対応について弁護士の判断を仰ぎましょう。

既に逮捕されていることを職場や学校に知られているような場合は、弁護士に対応を任せましょう。

弁護士であれば、職場、学校に事件の状況、進捗、見通しを正確に伝えることができます。

それによって、職場、学校の対応も変わってくるでしょう。

なお、逮捕されたこと自体を理由として解雇されることはありません。

まずは落ち着いて対処することが大切です。

報道されないよう警察に働きかけてくれる

社会的関心の強い種類の事件については報道されることも考えられます。

事件の報道の情報元は警察です。

したがって、警察に対し報道機関に情報を提供しないよう働きかけを行います(ただし、弁護士を選任したときすでに情報提供され報道されている可能性もあります)。

なお、働きかけを行ったからといって必ずしも情報提供を阻止できるわけではありません。

報道機関に情報を提供するか否かはあくまで警察の判断に委ねられます。

まとめ

逮捕期間中から弁護活動を受けたいという場合は、私選弁護人を選任するのも選択肢の一つです。

逮捕されている方、ご家族の状況や予算に応じてベストな選択をしましょう。

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