私選弁護人と国選弁護人との違い~それぞれのメリット、デメリット

刑事事件において、私選弁護人を選任するのか国選弁護人を選任してもらうのかは悩みどころの一つではないでしょうか?

それぞれメリット、デメリットがあり、弁護人をどう生かすかによってその後の人生が変わる、といっても過言ではありません。

まずはそれぞれの特徴を抑えた上でベストな選択をしましょう。

刑事事件における「弁護人」の種類

刑事事件において選任され(選ばれ)、被疑者・被告人のために弁護活動する弁護士のことを「弁護人」といいます。

弁護人には私選弁護人と国選弁護人がいます。

私選弁護人は、被疑者・被告人自身あるいは被疑者・被告人と一定の身分関係にある方(ご家族など)によって選任された弁護人です。

他方、国選弁護人は、そうした方々に選任する権利はなく、法テラスの登録名簿の中から裁判所によって選任された弁護人のことをいいます。

私選弁護人と国選弁護人との違い

私選弁護人と国選弁護人は以下の点で違いがあります。

選任時期

私選弁護人

逮捕前、逮捕期間(逮捕から勾留決定が出るまでの期間)中、勾留期間中などを問わず、いつでも選任することが可能です。

国選弁護人

逮捕され勾留された後、あるいは起訴された後に選任することが可能です。

選任できる人

私選弁護人

被疑者・被告人自身、あるいは被疑者・被告人の法定代理人、配偶者、直系の親族などが選任することができます。

国選弁護人

被疑者・被告人自身が裁判所に請求し、裁判所が選任します。

なお、必要的弁護事件(重大事件)の場合は請求がなくても選任されます。

選任方法(手続き)

私選弁護人

弁護人から差し出された「弁護人選任届」に氏名を署名し押印(印鑑がない場合は指印)します。

弁護人選任届は捜査機関や裁判所に提出されます。

国選弁護人

資力(現金、預金等の残高)を申告する資力申告書を裁判所に提出します。

資力などの条件を満たせば裁判所により選任されます。

選任条件

私選弁護人

私選弁護人にはありません。

国選弁護人

資力が50万円未満であることが必要です。

なお、資力が50万円を超える方も請求することが可能ですが、そのためには予め弁護士会に私選弁護人選任の申出をしておかなければなりません。

弁護士費用

私選弁護人

私選弁護人の場合は自己負担です。

国選弁護人

国選弁護人の場合は原則、負担する必要はありません。

活動できる時期、事件

私選弁護人

私選弁護人はいつでも選任することができます。

したがって、いつでも、身柄事件、在宅事件を問わず活動可能です。

国選弁護人

国選弁護人は勾留後、あるいは起訴後に選任されますから、勾留後、起訴後からの活動となります。

また、在宅事件では起訴後しか活動しません。

解任の自由度

私選弁護人

私選弁護人はいつでも解任できます。

国選弁護人

国選弁護人は解任事由が法定されており、法定事由を満たさなければ解任できません。

以上を表にまとめると以下のとおりです。

私選弁護人 国選弁護人
選任時期 いつでも 勾留後、(在宅事件の場合)起訴後
選任権者 被疑者、被告人など (被疑者・被告人の請求により)裁判所
選任方法 弁護人選任届に署名・押印 裁判所へ資力申告書を提出
選任条件 なし あり
費用負担 自己負担 原則なし
活動時期 選任後、いつでも 勾留後、(在宅事件の場合)起訴後
解任の自由 自由、いつでも 自由に解任できない

私選弁護人と国選弁護人のメリット、デメリット

以上を前提に、私選弁護人、国選弁護人のメリット、デメリットをご紹介いたまします。

私選弁護人のメリット、デメリット

私選弁護人のメリットは弁護士をいつでも、自由に選任できる点です。

いつでも選任することが可能ですから、逮捕回避に向けて様々な対策を取ることも可能です。

また、仮に逮捕された場合でも、逮捕期間中から活動してくれます。

また、自由に選任できるということは、刑事事件を得意とした弁護士、相性の合う弁護士を選任できる、ということを意味しています。

刑事事件で少しでも有利な結果を得るためには、こうした弁護士を選任することは極めて重要です。

なお、仮に、「この弁護士と合わないな」「満足な結果を得られそうにない」という場合はいつでも解任できる点もメリットです。

他方、私選弁護人のデメリットは弁護士費用が自己負担という点です。

また、その額も安くはありません。

国選弁護人のメリット、デメリット

国選弁護人のメリット

原則として弁護士費用を負担する必要がない点です。

また、例外的に負担することになったとしても、私選弁護人の弁護士費用ほど高額とはならないでしょう。

国選弁護人のデメリット

選任時期が勾留後、あるいは在宅事件の場合は起訴後という点です。

つまり、私選弁護人と比べ国選弁護人の活動時期が遅れるため、その分、対応が早ければ得られたはずの結果を得ることができない、という結果にもなりかねません。

また、弁護士を自由に選べずどんな弁護士が選任されるか分からないという点もデメリットです。

国選弁護人のすべてが刑事事件の知識、経験が豊富な弁護人とは限りません。

また、相性が合うかどうかは国選弁護人が選任された後でなければ分かりません。

だからといって、相性が合わないとの理由で解任することはできません。

まとめ

私選弁護人は弁護士費用を支払える方で、かつ

  • 逮捕前、逮捕期間中からの弁護活動(事件、事件外のあらゆる活動)を望む方
  • 弁護士の経験値、人柄を確認して選任したい方
  • 弁護士に事件、事件以外のことでも気兼ねなく相談したい方

などにとっては向いているといえます。

他方、国選弁護人は、

  • 弁護士費用を支払える金銭的余裕はないが、刑事弁護を望む方
  • 弁護士に拘りがない方
  • 逮捕前、逮捕直後の刑事弁護の必要性を感じていない方

などにとっては向いているといえるでしょう。

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