接見と面会の違いは?接見禁止も解説

接見と面会の違いは? 接見禁止も解説

突然の逮捕によって身体を拘束された方やそのご家族は、経験したことのない状況に直面し、不安と混乱を抱えていることでしょう。
逮捕直後の72時間は、弁護士以外の人との面会が原則として認められていません。
弁護士による接見は、早期釈放不起訴獲得など、今後の展開を左右する重要な要素のひとつです。
刑事事件は、事件発覚から逮捕、勾留、起訴など、スピーディーに進みます。
この記事では、接見の基本的知識と早い段階で弁護士に依頼する重要性について解説します。
ぜひ参考にしてください。

接見とは?|接見交通権の基本知識

接見とは、逮捕・勾留中の被疑者や被告人と面会し、書類や物の授受を行うことです。
被疑者・被告人と会うことを【接見】と言いますが、実務では、接見交通権の保障された弁護士による接見を【接見】と、家族や友人など一般の方による接見を【面会】として説明されることが多いです。
弁護士による接見は、憲法第34条および刑事訴訟法第39条に基づき、被疑者や被告人に保障された弁護人依頼権を具体的に実現するための、重要な権利(接見交通権)です。
身柄拘束中の被疑者や被告人は、外界と遮断された状態にあり、朝から晩まで取り調べが続くこともあります。
精神的・身体的な苦痛から、虚偽の自白をする可能性も否定できません。
接見交通権は、これらのリスクを解消するためにあります。

【刑事訴訟法第39条】
第三十九条 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあっては、第三十一条第二項の許可があった後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。

弁護士の接見の4つの特徴

弁護士の接見には、次の4つの特徴があります。

  1. 立会人なし
  2. 日時・回数無制限
  3. 逮捕直後から可能
  4. 接見禁止中も可能

以下、詳しく解説します。

立会人なし

弁護士は、捜査員や刑務官などの立会人なく、接見ができます(秘密交通権)。
被疑者や被告人は、事件について、誰にも聞かれることなく弁護士に相談が可能です。

日時・回数無制限

原則として24時間365日接見が可能です。
留置所(警察署の留置施設)の場合は、原則として24時間365日接見が可能です。
例えば、夕方以降に逮捕された場合でも、弁護士であればその日のうちに接見を行える場合があります。
ただし、拘置所の場合は、基本的に面会時間(概ね8:30~12:00、13:00~17:00)が定められており、その時間内に調整せざるを得ないケースが多いです。
弁護士は、必要に応じて何度でも面会できます。
1回あたりの時間制限もありません。

逮捕直後から可能

弁護士は、逮捕直後から接見が可能です。
弁護士以外は逮捕から72時間は面会ができません。
弁護士であれば、逮捕直後から、取り調べの対応や今後の見通しについての説明を行えます。

接見禁止中も可能

接見禁止決定が出されると、家族も基本的には面会ができません。
しかし、弁護士は、接見が可能です。

面会とは|接見との違い

面会とは、被疑者や被告人の家族や友人など、弁護士以外の一般人が会う機会です。
面会は、接見と異なり、一定の制限が設けられています。
接見と面会の主な違いを、以下の表にまとめました。

項目 弁護士による接見 家族・友人による面会
会える相手 弁護士(弁護人および弁護人になろうとする者) 弁護士以外の一般人(家族、友人など)
会えるタイミング 逮捕直後から可能 勾留決定後(最速逮捕から72時間後)から可能
会える日時 原則24時間365日(制限なし) 平日の指定された時間帯
1日の回数 制限なし 原則1日1回
1回の時間 制限なし 15〜20分程度
1回の接見で面会できる人数 制限なし 通常3人まで
立会人の有無 立会人なし(秘密交通権) 立会人あり(会話内容の記録)
接見禁止の影響 接見禁止が付されても可能 接見禁止が付されると不可

この比較表から明らかなように、弁護士による接見は、被疑者や被告人の権利を最大限に保障する仕組みになっています。### 立会人必須
警察官などの立会人が必ず同席し、会話内容が記録されます。

日時・時間制限

通常、平日の指定された時間(概ね午前9時~午後5時)に限定され、面会時間も1回15分から20分程度と制限されます。
警察署により異なるため、面会する場合は事前に確認することをおすすめします。

逮捕直後は不可

逮捕直後の72時間は、原則として面会ができません。

接見禁止中は不可

接見禁止決定が出されると、原則として面会ができません。

弁護士に接見を依頼すべき5つの理由

弁護士に接見を依頼すべき理由は、次の5つです

  1. 今後の見通しや取り調べに対するアドバイスをもらえる
  2. 早期釈放を目指せる
  3. 逮捕・勾留中の不安を解消してくれる
  4. 家族との唯一の窓口となる
  5. 接見禁止中でも被疑者本人に会える

以下、詳しく解説します。

今後の見通しや取り調べに対するアドバイスをもらえる

今後の見通しや取り調べに対するアドバイスをもらえます。
逮捕後は、通常、警察官による取り調べが行われます。
刑事事件は、一刻一刻と状況が変化するため、自分が置かれている状況がわからないままでいると、知らないうちに不利益を被る可能性が高いです。
弁護士は、被疑者が置かれている状況や今後の手続きの流れを説明し、取り調べに対するアドバイスをします。
例えば、捜査機関による誘導的な質問に対してどのように対応すべきか、具体的な例を挙げて説明します。
取調べ終了後に作成される供述調書については、内容を必ず確認し、署名押印する前に誤りや不正確な点がないか確認するよう指導します。
場合によっては、黙秘権の行使について検討し、アドバイスすることもあります。
弁護士に依頼することで、不利益な供述を回避できます。

早期釈放を目指せる

早期釈放を目指せます。
逮捕後72時間は弁護士しか接見ができません。
しかし、刑事事件では、逮捕後72時間が今後を左右します。

逮捕後の流れ

逮捕された場合には、72時間の身柄拘束を受けます(48時間は警察による拘束・24時間は検察による拘束)。その後、検察官は、勾留請求するかどうかを検討します。
つまり、逮捕後の72時間の間に釈放を目指す必要があります。
勾留されると、身柄拘束期間は更に10日間増え、延長されれば最大で20日間にも及びます。
弁護士は、逮捕後すぐに被疑者と接見するだけでなく、検察官や裁判官に対し、意見書などを提出し、早期釈放を目指します。
逮捕後の迅速な対応が、今後の結果を左右するでしょう。

逮捕・勾留中の不安を解消してくれる

逮捕・勾留中の不安を解消してくれます。
逮捕・勾留は、被疑者の精神状態を追い詰める可能性もあるでしょう。
弁護士は、接見を通じて被疑者の不安を和らげ、精神的な支えとなります。
具体的には、事件の全体像を把握し、今後の刑事処分の見通しを伝えることで、被疑者に心の準備を促します。
弁護士に依頼することで、被疑者や被告人の精神的負担を軽減できます。

家族との唯一の窓口となる

家族との唯一の窓口となります。
逮捕直後の72時間や、後述する接見禁止が付された場合、被疑者は家族と直接連絡を取る手段を失います。
この状況下では、弁護士が被疑者と家族をつなぐ唯一の架け橋となります。
弁護士は、家族からのメッセージを被疑者に伝えたり、被疑者の状況や意向を家族に伝えたりする役割を担います。
弁護士に依頼することで、家族が直接会えなくても、弁護士を通じて精神的なサポートができるでしょう。

接見禁止中でも被疑者本人に会える

接見禁止中でも被疑者本人に会えます。
裁判所から接見禁止決定が出された場合は、ご家族やご友人は面会ができません。
この決定は、被疑者や家族にさらなる精神的な負担を及ぼすだけでなく、被疑者が外部と完全に孤立することにもなります。
しかし、弁護士による接見は法的に保障されているため、弁護士は被疑者と自由に接見し、法的助言や精神的なサポートができます。
さらに、弁護士は単に接見できるだけでなく、接見禁止を解除するための活動を積極的に行えます。
具体的には、裁判官に対し、接見禁止の必要性がないことを主張し、解除を求める働きかけを行います。
弁護士に依頼することで、接見禁止決定が出た後の対応を任せられるでしょう。

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弁護士に接見を依頼する方法|迅速な対応が鍵

弁護士に接見を依頼する方法は、私選弁護人と当番弁護人で異なります。
それぞれの特徴と依頼方法を解説します。

私選弁護人への依頼方法

私選弁護人とは、被疑者や被告人、その家族が自ら選んで依頼する弁護士です。
弁護士を自由に選べるため、刑事事件に精通した弁護士や、信頼できる弁護士、相性の良い弁護士に依頼できる点がメリットです。
費用は、依頼者が負担します。

  • 被疑者本人が依頼する場合

警察官や検察官、裁判官に対し、「〇〇弁護士事務所の〇〇弁護士を呼んでほしい。」と具体的な弁護士名を伝えます。
被疑者本人はスマホなどの利用ができず、外部と連絡を取れないため、あらかじめ依頼する弁護士を調べる必要があります。

  • 家族が依頼する場合

家族や友人が、直接弁護士事務所に連絡し、接見を依頼します。
インターネットなどで刑事事件に強い弁護士を探し、電話やメールで相談します。

当番弁護士への依頼方法

当番弁護士とは、各地域の弁護士会が無料で派遣する弁護士です。
逮捕直後の被疑者のための制度で、初回の接見は無料で行われます。
費用を気にせず、逮捕直後からすぐに弁護士に接見を依頼できます。
しかし、弁護士を自分で選ぶことはできず、弁護士会が当番制で派遣するため、必ずしも刑事事件に詳しい弁護士が来るとは限りません。

  • 本人が依頼する場合

警察官や検察官、裁判官に対し、「当番弁護士を呼んでほしい。」と伝えます。
本人の申し出により、捜査機関から弁護士会に連絡が行きます。

  • 家族が依頼する場合

都道府県の弁護士会に直接電話をかけ、「当番弁護士を派遣してほしい。」と依頼します。弁護士会に、被疑者の氏名、逮捕されている場所、逮捕日時などの情報を伝えます。
刑事事件の弁護人には、私選弁護人、当番弁護士のほか、国選弁護人もいます。
しかし、国選弁護人は、勾留決定後にしか依頼できません。
したがって、逮捕後早期に接見を依頼するには、私選弁護人または当番弁護士に依頼する必要があります。

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接見に関するよくあるQ&A4選

接見に関して被疑者や被告人、そのご家族が抱きやすい疑問に一問一答形式で回答します。

面会室にスマホやパソコンを持ち込めるのか?

面会室への携帯電話、パソコン、録音機、カメラなどの電子機器の持ち込みは、原則として禁止されています。
タバコやライターなども持ち込みができません。

面会時に差し入れはできますか?

面会時に差し入れができます。
ただし、差し入れできる物品には厳格なルールがあります。

許可されている物品 禁止されている物品
・書籍
・衣類
・メガネ、コンタクト
・歯ブラシ
・本
・写真
・現金
・食べ物
・タオル
・シャンプー、リンス
・お菓子
・タバコ等の嗜好品
・ゲームの娯楽用品

差し入れのルールは施設によって異なる場合があるため、事前に施設に確認しましょう。

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友人が逮捕された場合には家族でなくても面会できる?

友人が逮捕された場合には、家族でなくても面会ができます。
ただし、逮捕直後は面会ができず、勾留後に限定されます。
接見禁止決定が出された場合には、友人の面会はできません。

まとめ

突然の逮捕は、ご本人にとってもご家族にとっても、困難な局面でしょう。
初期段階での適切な対応が、今後を左右することにもなります。
逮捕・勾留は、被疑者の精神的負担は増幅します。
弁護士による早期の接見は、被疑者や被告人、そのご家族の精神的な苦痛を和らげ、法的・精神的な支えを提供します。
ネクスパート法律事務所では、刑事事件に強い弁護士多数在籍しています。
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