接見とは何か?|接見を弁護士に依頼すべき理由を解説
- 接見とは?
- 弁護士の接見と一般の面会の違いは?
- 接見を弁護士に依頼するメリットは?
- 接見費用はいくらか?
「接見」について、上記のような疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、接見について解説します。
ご自身やご家族が逮捕された等で、接見が必要な方には特にご参考いただけると幸いです。
目次
接見とは
接見とは、逮捕・勾留中の被疑者・被告人が外部の者と面会することです。一般的には、弁護人あるいは弁護人となろうとする者が、被疑者・被告人と面会することを「接見」と言います。
接見(接見交通権)の概要
接見交通権とは、書類等の授受を含め、外部と連絡をとること全体を指します。
身柄拘束中の被疑者・被告人は外界と遮断された状態にあり、朝から晩まで取り調べが続き、自白を強く求められたりします。そのため、精神的・身体的に疲弊し、無実の人でも虚偽の自白をしてしまうことがあります。
接見交通権は、そのようなリスクを解消するためのものです。家族や知人が面会し精神的に支えたり、弁護士が面会し法律的なアドバイスを行ったりすることを目的としています。
刑事訴訟法第39条第1項で次のように定められています。
刑事訴訟法第39条
身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあっては、第三十一条第二項の許可があった後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
引用元 e-GOV法令検索
ご家族やご友人による一般接見(面会)とは
接見交通権は、ご家族やご友人による一般接見(面会)と、弁護士による接見に分けられます。
ご家族やご友人の面会は、「身柄拘束中の被疑者・被告人と外部の人が面会する」という点では弁護士の接見と共通していますが、様々な点で異なる部分や制限があります。
例えば、被疑者が逮捕された後勾留されるまで(最大72時間)は、通常、面会は認められていません。あくまでもご家族やご友人の面会は、被疑者が勾留されている場合にだけ認められます。
弁護士の接見と一般の面会の違い
同じ接見でも弁護士の接見と一般の面会では以下のように違いがあります。
<弁護士の接見と面会の違い>
弁護士の接見 |
面会 |
|
逮捕期間中(最大72時間) | 可能 | 基本的に不可 |
接見できる日 | いつでも可能 | 平日のみ |
接見できる時間 | いつでも可能 | 概ね9時~12時、13時~17時
(留置施設により異なります) |
1日に接見できる回数 | 制限なし | 1回 |
1回の接見時間 | 制限なし | 15~20分 |
1回の接見で面会できる人数 | (基本的に)制限なし | (通常)3人まで |
警察官の立ち合い | なし | あり。会話内容記録。 |
差し入れ回数 | 制限なし | 1日2回まで |
接見禁止が付いた場合 | 可能 | 不可 |
取り調べ中 | 可能なことが多い | 不可 |
このように弁護士による接見と面会は、接見交通権の保障の程度が大きく異なります。
弁護士は逮捕直後から接見できる
逮捕されて一番心細く不安な時に、基本的にご家族やご友人はご本人と面会できません。逮捕後すぐに弁護士がご本人と接見できれば、取調べの受け方、各種権利の行使の方法、今後の事件の見通しなどについて説明を受けられます。ご本人の状況をご家族に報告もできます。
逮捕後の迅速な接見が、最終的な結果を大きく変えることがあります。
弁護士は1日に何回でも接見できる
ご家族やご友人は、1日に1回しか面会できません。同じ日に他の方が先に面会をしていた場合、後から行った人は面会出来ません。
弁護士であれば、制限なく1日に何回でも接見可能です。
弁護士は時間制限なく接見できる
面会時間は留置施設によって異なりますが、1回15分~20分程度しかありません。話し足りなくなること多いですが、弁護士の接見には時間制限がありません。
そのため、今後の対応等について、じっくり話ができます。
弁護士はいつでも接見できる
面会できる時間は留置施設によって異なりますが、通常平日の朝9時~12時、午後1時~5時となっています。
弁護士は、土日祝日や夕方以降でも接見可能です。
弁護士は警察官の立ち合い無しで接見できる
面会時には、面会室に警察官が立ち合い、会話の内容を記録します。そのため当たり障りのないことしか話せません。
弁護士の接見時には、警察官の立ち合いがありません。事件に関することや家族の状況などを自由に話せます。
弁護士は接見禁止中でも接見できる
共犯者がいる事件や否認事件の場合は、接見禁止処分が付され、家族でも面会できないことがあります。
弁護士の接見交通権は、接見禁止の影響を受けません。接見禁止が付いている場合でも、自由に接見可能です。
接見禁止とは
接見禁止になってしまうと、ご家族は逮捕された方と面会ができません。接見禁止とはどのようなものか、どのようなときに付けられるのか、解除の仕方等を説明します。
接見禁止の概要
逃亡または証拠隠滅の疑いがある場合、裁判所は勾留決定をしたうえで、接見禁止を決定できます。
刑事訴訟法第81条
裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押さえることができる。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押さえることはできない。
引用元 e-GOV法令検索
逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときとは、以下のような事情があるときとされています。
- 定まった住所がない場合
- 組織犯罪の場合
- 共犯者がいる場合
- 容疑を否認している場合 など
定まった住所が無い場合には逃亡のおそれがある、組織犯罪や共犯者がいる場合には口裏合わせなどして証拠隠滅のおそれがあるとされ、接見が禁止される可能性が高くなります。
容疑を否認している場合にも、証拠隠滅のおそれがあるとされ、接見が禁止される可能性が高くなります。
接見禁止の期間については明確な法律の規定がありません。被疑者が起訴されるまで接見禁止が続くこともありますが、起訴前に解除されることもあります。
接見禁止の解除とは
接見禁止になった場合に解除ができるのでしょうか。
接見禁止を解除する方法は以下の3つ考えられます。
- 準抗告、抗告
- 接見禁止処分の一部解除の申立て
- 勾留理由の開示請求
以下、順番に見ていきます。
準抗告、抗告
準抗告と抗告は、いずれも裁判官の接見禁止の決定に対し、異議申し立てを行うことです。
準抗告は第一回の公判前に、抗告は第一回の公判後に行います。
準抗告あるいは抗告が認められると接見禁止が解除され、家族や知人など弁護士以外の人も面会可能になります。
実際には、準抗告や抗告が認められるケースはそれほど多くありません。しかし、否認事件で検察官が半ば嫌がらせのような形で接見禁止処分を求めている事件等では、認められることもあります。
接見禁止処分の一部解除の申し立て
準抗告や抗告は法律に則った方法ですが、一部解除の申し立ては、いわば裁判所へのお願いの形です。家族に限定して一部解除の申し立てをすると比較的認められやすいです。
勾留理由の開示請求
裁判所に対して、勾留が決定された理由を開示するよう請求することです。勾留に納得できない場合にこの方法を利用します。被疑者だけではなく、家族も請求できます。
なお、勾留理由の開示は、公開の法廷でおこわなれます。ご家族やご友人も傍聴人として勾留されている方に会えます。
接見禁止の解除の手続きはいずれも難しいため、弁護士に依頼することをお勧めします。
接見禁止中の差し入れ
接見禁止中の差し入れは、物によって差し入れの可否が異なります。
一般的に接見禁止時でも差し入れできるものは以下のとおりです。
- 現金
- 衣類(ひもなどがついていないもの)
- 市販の書籍
- 食料
一般接見禁止時に差し入れできないものは以下のとおりです。
- 手紙
- 写真
証拠隠滅や自殺につながると判断されるものの差し入れは難しいです。具体的に差し入れ可能かどうかは留置施設によって異なるので、事前に確認をしましょう。
接見を弁護士に依頼すべき理由
上述の通り、弁護士と一般の方とでは接見交通権の保障の程度が異なります。
ここでは、接見を弁護士に依頼すべき理由をお伝えします。
制限を受けることなく接見が可能
弁護士は種々の制限を受けることなく接見が可能です。特に、逮捕後捜査機関から取り調べを受ける3日間は弁護士以外の方の接見が通常できません。
この期間に誰にも会えない場合、過酷な取り調べから早く解放されたいという気持ちから、無実であるにもかかわらず自分がやったと話してしまい、調書をとられてしまうことがあります。
取り調べへの対応を助言してもらえる
逮捕後すぐに弁護士が本人と接見し、取り調べへの対応をアドバイスすることで、捜査機関からの過酷な取り調べを受けても、不利な供述の回避が期待できます。
面会で心の支えになるだけではなく、少しでも早期の釈放を得ることや、前科が付くことの防止も大事です。
被害者がいる犯罪では、接見後、弁護士が迅速に示談交渉することで、早期に身柄解放されたり、不起訴を獲得し前科を回避したりする可能性もあります。
以下の記事にて、接見を弁護士に依頼するメリットについて詳しく解説しておりますので、ぜひご参照ください。
接見を弁護士に依頼する際の費用
弁護士の接見は、以下の3種類があります。
- 当番弁護士による接見<逮捕直後~勾留決定~起訴決定まで>
- 国選弁護人による接見<勾留決定~起訴決定まで:被疑者国選>、<起訴後~判決まで:被告人国選>
- 私選弁護人による接見<逮捕直後~判決まで>
逮捕直後から起訴されるまでは当番弁護士に接見を1回だけ依頼できます。接見の費用は無料です。
勾留決定後からは国選弁護人に接見を依頼できます。国選弁護人は国が選任する弁護人なので、いずれもほとんどのケースで無料になります。何回接見しても無料です。
逮捕直後から判決まで全ての期間を全て網羅して依頼できるのは、私選弁護人だけです。私選弁護人に接見を依頼する場合の費用は事務所によって様々です。一般的に1回につき3~5万円くらいに設定している事務所が多いです。
接見費用をできるだけおさえたい時には、まずは当番弁護士に1回無料で依頼し、その後は私選弁護人に依頼することを検討してみるのもよいでしょう。
当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人の詳細については、以下の記事にて解説しております。
まとめ
逮捕・勾留された本人と接見する方法は、一般の方の面会と弁護士の接見がありますが、なるべく早い時期から弁護士に依頼することでその後の流れが変わることがあります。
留置されている方のため、逮捕後なるべく早く弁護士に依頼して、接見に行ってもらうことをお勧めします。