【性犯罪】弁護士による刑事弁護の内容をご紹介

性犯罪を弁護士に依頼をした場合、どのような弁護活動がされるでしょうか?

性犯罪で逮捕された際、犯罪の事実を認める場合と認めない場合で、弁護活動の内容は異なります。本コラムでは、以下の点を解説します。

  • 性犯罪を認める場合、何を目指してどのような弁護活動を行うのか
  • 性犯罪を認めない場合、何を目指してどのような弁護活動を行うのか

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性犯罪を認める場合の弁護活動の内容

性犯罪を認める場合の弁護活動の方針と内容について説明します。

接見

性犯罪の刑事弁護の依頼を受けた弁護士はまず、被疑者と接見します。被疑者と接見し、被疑者の話を聞いた上で、弁護活動の方針を立てます。

被疑事実を認める場合、以下のことを目指して弁護活動を行います。

  • 早期の釈放
  • 起訴猶予
  • 刑の減軽・執行猶予
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早期釈放のための活動

まずは、早期の釈放を目指します。

性犯罪で警察に逮捕されると、逮捕から48時間以内に身柄が検察官に送られます。検察官は被疑者の身柄拘束を続ける勾留の必要があるかを判断し、勾留する場合には送致から24時間以内に、裁判官から許可を得なければなりません。勾留が認められれば、身柄拘束は原則10日間、最長で20日間続きます。

早期の釈放を実現するためには、勾留されないことが重要です。弁護士は勾留を回避するために、以下の活動を行います。

  • 検察官に勾留の請求をしないよう意見書を提出する
  • 検察官が勾留請求した場合、裁判官に請求を却下するよう意見書を提出する
  • 裁判官が勾留を認めた場合、勾留決定の取り消しを求める準抗告を行う

被疑者を勾留する目的は、被疑者が逃亡したり証拠を隠滅したりすることを防いで、刑事裁判を適正に行うためです。被疑者に逃亡・証拠隠滅のおそれがなければ、被疑者を勾留する必要はありません。

勾留を回避するためには、検察官・裁判官から、被疑者の逃亡・証拠隠滅のおそれが低いと認められることが重要です。弁護士は、釈放後の被疑者の環境を調整するなどして早期釈放の実現を図ります。

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被害者との示談交渉

性犯罪を認める場合の刑事弁護では、被害者との示談交渉も重要です。示談が成立すれば、起訴猶予になる可能性や刑が減軽される可能性が高まります。

性犯罪の示談では、被疑者が被害者の連絡先はおろか名前さえ知らないケースが多いです。そうした場合は通常、弁護士は検察官から被害者の同意を得て連絡先を聞きます。検察官が弁護士以外に被害者の連絡先を教えることはまずありません。また、性犯罪では被害者が被疑者に厳しい処罰感情を抱いているケースが珍しくなく、示談交渉に精通した弁護士が丁寧に被害者と接触するべきでしょう。

示談交渉では、被疑者が被害者に支払う示談金の額や、双方が履行すべき事項を話し合います。加害者サイドからすると、以下の内容の合意を取り付けられるかがポイントになります。

  • 提出された被害届や告訴状を被害者に取り下げてもらえるか
  • 被害者に加害者を許す意思を示してもらえるか

交渉がまとまると、示談書を作成して合意事項を書面にします。

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再犯防止策を講じる

性犯罪では、再犯防止策を講じることも重要です。

性犯罪が性依存症に基づいて実行された場合、性依存症を治さなければ再犯のおそれがあるとみなされかねません。これは被疑者・被告人には不利な事情になります。

性犯罪は再犯率が高いと指摘されることがありますが、実際はどうなのでしょうか。平成27年版犯罪白書は性犯罪を特集し、独自に行った性犯罪者に関する特別調査の結果を紹介しています。ここで、性犯罪の再犯傾向について確認します。

特別調査は性犯罪で懲役刑が確定した1791人を対象とし、裁判の確定から5年以内に再犯に及んだかを調べています。5年経過時点で服役中の者および服役中に死亡した者を除く1526人のうち、311人(20.4%)が何らかの罪を犯し、207人(13.6%)が性犯罪に及んでいました。

また、性犯罪者を類型別でみると、痴漢型の性犯罪再犯率が36.7%と高く、盗撮型も28.6%と高い割合でした。

特別調査は、刑事施設を出所した性犯罪者が更生プログラムを受講していたかどうかにも着目します。プログラム受講者と非受講者では、非受講者の性犯罪再犯率が高いこともわかっています。

性犯罪を認める場合の刑事弁護では、性依存症を治療するために通院するなど、再犯防止策を講じることも重要です。

起訴猶予による不起訴を目指す

性犯罪の被害者と示談したり再犯防止策を講じたりすることで、起訴猶予になる可能性が高まります。

起訴猶予とは、犯罪の嫌疑が認められる場合でも検察官が被疑者の年齢や性格、犯罪の軽重などを考慮し、被疑者を不起訴にすることです。

示談が成立し、被害者が加害者を許す意思を示していれば、被害者の処罰感情は和らいでいると判断できます。

また、再犯防止策を示すことで、検察官が再犯のおそれは小さく更生が期待できると評価する可能性もあります。

こうした情状は被疑者の刑事処分を決める上で有利に働き、起訴猶予が得やすくなります。

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保釈請求

性犯罪で起訴された場合は、弁護士は被告人の保釈を請求します。

保釈とは、保釈保証金を裁判所に納付する代わりに、被告人の身柄拘束を解いてもらう制度です。保釈保証金を納めるのは、被告人が逃亡したり証拠を隠滅したりせず、刑事裁判に期日通りに出席することを約束するためです。

保釈保証金は、被告人が保釈時に示された条件を守り刑事裁判が終了すれば、裁判の結果にかかわらず返還されます。

保釈が認められるためには、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことや、被告人を監督し裁判への出頭を約束する身元保証人を準備していることなどが重要です。

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刑事裁判|罪の軽減を目指す

刑事裁判では、刑の減軽を目指します。

例えば、強制わいせつ罪の法定刑は6月以上10年以下の懲役です。強制わいせつ罪で執行猶予を得るためには、判決で言い渡される懲役が3年以下でなければなりません。3年を超える懲役・禁錮には執行猶予が付かないからです。

性犯罪を認める場合の刑事裁判では、被告人に有利な情状を立証し、刑の減軽を図ります。示談の成立や再犯防止への取り組みは有利な情状となるでしょう。

性犯罪を認めない場合の弁護活動の内容

次に、性犯罪を認めない場合の弁護活動の方針と内容について説明します。

接見

弁護士は被疑者と接見し、被疑者から話を聞いた上で弁護活動の方針を立てる点は同様です。被疑事実を認めない否認事件の弁護では、以下のことを目指します。

  • 早期釈放
  • 嫌疑不十分・嫌疑なしによる不起訴
  • 無罪の獲得

早期釈放のための活動

性犯罪の否認事件でも、弁護士は被疑者の早期釈放に向けて活動します。

一般に、被疑事実を認める自白事件と否認事件では、否認事件の方が釈放されにくいと考えられていますが、性犯罪を否認する場合でも早期に釈放される可能性はあります。

例えば、痴漢事件で逮捕され、検察官が裁判官に勾留を請求した場合に、弁護士は裁判官に勾留請求を却下するよう求めます。被疑者が痴漢行為を否認していても、任意の捜査に応じることを誓約し、身元引受人を立てるなどすれば、勾留されない可能性があります。

嫌疑不十分・嫌疑なしによる不起訴を目指す

弁護士は被疑者の不起訴に向けた活動を行います。否認事件では、起訴猶予処分ではなく、嫌疑不十分または嫌疑なしを理由とする不起訴を目指します。

嫌疑不十分 被疑者が罪を犯した疑いは残るものの、刑事裁判で有罪を立証できるほどの証拠がそろっていないこと
嫌疑なし 被疑事実について被疑者がその行為者でないことが明白、または犯罪の成否を認定すべき証拠がないことが明白であること

例えば、強制性交の疑いで逮捕されたが、被疑者は相手の同意があったと主張していたとします。この場合は、性交に至るまでの状況や2人の関係性、日ごろのメールのやりとりなどから強制性交にあたらないことを訴えていきます。

保釈請求

性犯罪の否認事件で起訴された場合も、保釈を請求します。

犯行を否認しているケースでも、身元引受人を立てて逃亡・証拠隠滅のおそれがないと認められれば、保釈される可能性があります。

刑事裁判|無罪の獲得を目指す

刑事裁判では、無罪の獲得を目指します。

性犯罪には強制性交、強制わいせつ、痴漢、盗撮などと種類があり、個々のケースに応じて適切な弁護を行います。

先に挙げた強制性交の例では、同様のことを刑事裁判でも訴えていくと同時に、被害者の証言に一貫性がない場合などは証言の信用性を争点にします。

まとめ

性犯罪の刑事弁護では、罪を認める場合と認めない場合とで、弁護活動の方針・内容は異なります。いずれの場合でも、早めに弁護士に相談することが重要で、早期の弁護活動の開始が早期の釈放や不起訴などにつながります。性犯罪で刑事弁護が必要な方は、ネクスパート法律事務所にご相談ください。

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