横領事件で示談を成立させるには?示談金・示談書を弁護士が解説

横領事件では、被害者や会社と示談が成立しているかどうかで、処罰は大きく変わります。

早急に示談が成立することで、被害届の取り下げ、逮捕の回避、不起訴処分で事件が終了する可能性があります。

特に、業務上横領の場合、いつ何時会社に横領の事実が発覚するかわかりません。横領を知る従業員の報告や税務署の調査で発覚するおそれがあります。

この記事では、横領や業務上横領について以下の点を解説します。

  • 横領・業務上横領における示談のメリット
  • 横領の示談金の相場
  • 横領で示談する場合の流れや示談書の具体例
  • 横領の示談を弁護士なしで行うリスク

横領の発覚が不安な人や、今後の対応について相談したい人は、一人で抱えずに当事務所にご相談ください。今後の見通しや今すべきことについてサポート致します。

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横領罪・業務上横領罪における示談とは

横領・業務上横領の示談とは、被害者への謝罪の後、横領したお金を返済するなどの約束をし、会社と和解することです。

示談は、民事事件の不法行為が生じた際に、当事者間のトラブルの解決として行われることはよく知られています。

しかし、示談の成立は刑事事件にも、大きなメリットがあります。

  • 被害者から許しを得て、被害届や刑事告訴を提出しないことや、取り下げることを示談内容として合意すれば、捜査が行われないことがある
  • 成立することで、警察が事件解決と判断して逮捕しないことがある
  • 刑事事件化した後でも、被害者の許しを得たとして不起訴処分になる可能性がある

示談の成否はその後の刑事手続きまで大きく影響します。被害者としても刑事告訴よりも、被害金を回収したいと希望するケースもあるため、早急に謝罪をして示談を申し入れた方がよいでしょう。

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横領の示談金

横領の示談金の相場

示談金は当事者間の交渉で自由に決めることになりますが、横領の示談金の相場としては、被害額に加えて迷惑料として10~20万円程度をプラスした金額となるケースが多いです。

少なくとも最低限の被害額は支払いが必要です。

さらに、業務上横領の場合は、社内調査などが必要となり、金銭的な損失が発生することがあり、それが上乗せされることがあります。

一定期間が経過している場合は、損害額に対して年3~5%の遅延損害金が加算される可能性もあります。

横領の示談金額の決め方

横領の示談金の相場は、あくまでも目安です。横領の示談金額は、被害金額だけではなく、事件内容や横領の金額、事件当時の状況など複数の状況を考慮して、話し合いによって決めるためです。

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横領の示談金を払えない場合はどうする?

示談金の支払いは、一括払いが基本ですが、高額な場合はすぐに用意するのが難しい場合があります。その際は、分割払いの交渉や連帯保証人を立てる方法もあります。

分割払いを交渉する

横領の示談金を払えない場合は、分割払いを交渉する方法があります。示談金の分割払いを認めてもらうには、支払い見込みを示すことが重要です。

例えば、分割回数を少なくする、最初に支払う金額を大きい金額にするなどが考えられます。こうした工夫をすることで、刑事処分における示談の評価も高まります。

刑事処分においても、支払い見込みのない分割払いは、被害者の被害回復が十分になされず、刑事処分後に支払わないおそれもあるとして、示談の効果が弱まります。

示談を適切に評価されるためにも、確実な支払い見込みを示すことが大切です。

連帯保証人を立てる

同様に、示談金を一括で払えない場合は、連帯保証人を立てる、あるいは担保を提供するのも一つの選択肢です。

連帯保証人や担保によって支払い見込みが十分だと判断されれば、分割払いを認めてもらえる可能性があります。

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横領で示談交渉をする流れ

横領で示談交渉をする流れは以下のとおりです。

  1. 被害者に謝罪を行い弁済の意思を示す
  2. 合意内容に基づいて合意書を作成
  3. 示談金の支払いなど合意書の内容を履行
  4. 刑事事件になっている場合は、示談の内容を検事または裁判所に提出

どのような横領罪でも上記の流れで示談交渉を進めます。以下では、業務上横領で会社と示談交渉をする場合を想定して流れを解説します。

被害者に謝罪を行い弁済の意思を示す

まずは、被害者に謝罪を行い、弁済の意思を示します。そのうえで、示談のための条件や金額等を交渉します。

示談交渉では、示談金、支払方法、支払期限、その他の約束についてなど話し合いを行います。

なお、加害者が逮捕されている場合、加害者が直接示談することはできません。その場合、弁護士を通じて被害者と接触して示談を申し入れます。

逮捕され事件化されている場合は、以下のような流れで連絡を取ります。

  • 加害者の代理人弁護士が警察や検察、裁判所に、示談交渉のために被害者の連絡先を開示して欲しいと申し入れる。
  • 警察や検察、裁判所が、被害者に、加害者の代理人弁護士に連絡先を開示しても良いかを確認する。
  • 被害者から開示の承諾を得られたら、警察や検察、裁判所から加害者の代理人弁護士に連絡先を開示する。
  • 加害者の代理人弁護士が被害者に連絡する。

被害者が弁護士との連絡を承諾しない場合は、残念ながら示談交渉を行えません。その場合は、謝罪文などを警察や検察、裁判所に提出し、反省の意思を表しましょう。

合意内容に基づいて合意書を作成

交渉で示談の条件や金額等について合意が成立したら、示談書を作成します。のちのトラブルを防ぐために、合意した内容について詳細に記載し、当事者間が署名捺印します。

示談書に盛り込むべき内容については、後述します。

示談金の支払いなど合意書の内容を履行

示談の内容に示談金の支払いがある場合は、指定された期日までに、支払わなければなりません。

さらに、示談の中に支払い以外の約束事がある場合は、その内容を履行する必要があります。

示談書の内容を履行しなければ、合意が解除されたり、事件化した際に検察が示談成立と認めなかったりする可能性があります。示談内容の履行がされて初めて示談成立となります。

刑事事件になっている場合は、示談の内容を検事または裁判所に提出

刑事事件になっていて、弁護士が示談交渉を行った場合は、警察や検察、裁判所に示談書を提出します。

示談の成立を証するために、示談金がある場合は支払証明書の原本なども提出します。担当者はこれを確認することで、処分の決定をします。

示談書は示談成立の証拠となるため、刑事事件に発展していない場合でも保管しておいてください。

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横領の示談書

以下では、横領の示談書で盛り込む内容や示談書の例を紹介します。ただし、内容は、当事者の示談次第となるため、必ずしもこの形にする必要はありません。

あくまでも参考程度に留め、より柔軟な内容での示談や、法的効力の強い示談書を作成したいのであれば弁護士に依頼するのが望ましいです。

横領の示談書に盛り込む内容

横領における示談は、被害者に対する謝罪と示談金の支払が主な内容です。

示談書に記載する一般的な内容は、以下のような項目がありますが、どの項目を記載するかは事件の内容等によって決定します。

  1. 前文
  2. 謝罪文
  3. 示談金の額・支払方法・支払期限
  4. 清算条項
  5. 宥恕(ゆうじょ)条項
  6. 守秘義務条項
  7. 日付と甲、乙の署名捺印

慣れない言葉も多いため、いくつか解説します。清算条項は、横領の示談金以外に、双方に支払いがないことを確認する条項です。

宥恕条項は、加害者が被害者を許す明確な意思表示を行う条項で、この条項が記載されている示談書が取り交わされれば、起訴されている場合などに、不起訴処分になる可能性が高まります。

刑事事件において、非常に重要な内容です。

守秘義務条項は、示談が成立しても、当事者から事件についての情報が広まると、お互いに不利益が生じるおそれがあるため、守秘義務があることを記載します。

横領の示談書の例

以下は、横領の示談で、分割払いで合意した場合の例です。

示談書

 

被害者(以下「甲」という。)と加害者(以下「乙」という。)は、令和〇年〇月〇日から〇年〇月〇日までの間、約〇回にわたり、〇〇万円を横領した件(以下「本件事件」という。)について、下記のとおり示談をした。

 

第1条(謝罪)
乙は、本件について、甲に真摯に謝意を示し、二度と同じ過ちを犯さないことを固く誓う。

 

第2条(債務弁済の承認)
乙は、甲に対し、本件事件に対する損害金として、金〇〇万円の支払い義務を了承し、以下の条項に従い弁済することを約し、甲はこれを承諾した。

 

第3条(債務の弁済)
1 乙は、甲に対して、本事件の被害弁償として、金〇〇万円の支払い義務を負う
2 乙は、前項記載の金〇〇万円を、甲の指定する口座に振り込む方法により支払う
3 振込期限は、令和〇〇年〇月〇日とする

 

第4条(期限の利益喪失条項)
乙が支払期日までに前条の分割金を1回でも怠ったときは、当然に期限の利益を失い、乙は甲に対し、第2条記載の金額から既払分を控除した金額、及び、これに対する期限の利益を喪失した日の翌日から支払済みまで年〇パーセントの割合による遅延損害金を支払う。

 

第5条(清算条項)
本件に関して、甲と乙の間で、本示談書に定める他、何らの債権債務がないことを相互に確認する。

 

第6条(宥恕条項)
甲は、本件について乙の犯行を宥恕し、乙に関する被害届を速やかに取下げる。

 

第7条(守秘義務条項)
甲および乙は、捜査機関に開示するなど合理的な理由がある場合を除き、本件及び示談書の存在及び内容を第三者に開示しない。

 

本示談を証するため、本書を2通作成し、各自1通を保有する。

 

令和◯年◯月◯日

甲 住所

署名(記名)     押印

 

乙 住所

署名(記名)     押印

被害届が提出されていない場合は、支払いを怠らない限り被害届を提出しないとした内容を盛り込むことがあります。

さらに、被害者側が公正証書を希望する場合は、執行文付きの公正証書として強制執行可能な内容とすることもあります。

個々の示談内容を盛り込んだ示談書を作成したい場合は、弁護士に相談した方が確実です。

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横領の示談を弁護士なしで行うリスク

前述のとおり、横領の示談は自分と被害者で行うことも可能です。ただし、以下のようなリスクがあるため、弁護士に依頼することが望ましいです。

被害者に示談交渉を拒否される

横領の示談を加害者から申し入れても、被害者から示談交渉を拒否されることがあります。

被害者としては、被害弁済を受けたいと考えつつも、加害者を信用できないと思うことが少なくありません。

そのため、弁護士を通じて示談を申し入れた方が、スムーズな示談交渉が期待できます。さらに、加害者がすでに逮捕されている場合は、直接示談交渉ができないため、弁護士に依頼するのが一般的です。

被害額の認識に相違があり示談金が高額になる

横領事件で弁護士が対応する際は、横領の被害額を洗い出し、被害金額をはっきりさせた上で示談交渉を行います。

しかし、当事者同士の交渉となると、双方で被害額の認識に相違が生じ、高額な示談金を請求されるケースがあります。

さらに、示談金の相場がわからないことや、刑事処分のリスクがある加害者が弱い立場に置かれることも少なくありません。

弁護士を通じて示談を行うことで、双方の認識をすり合わせ、事案に応じた適切な金額で示談できる可能性が高まります

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横領の示談不成立で逮捕や処分を受ける

加害者が直接被害者と示談交渉をしても、合意に至らず示談が不成立となることがあります。この場合、示談不成立として、逮捕や刑事処分を受けることも考えられます。

特に、示談金が一括払いできず、分割払いの支払い見込みがないケースでは、示談交渉が決裂することもあります。

一方で、弁護士に依頼することで、示談に努めた経緯を検察に報告することが可能です。

他にも、示談不成立を踏まえて、供託や贖罪寄付など、刑事処分を軽くするためのサポートを行ってもらえます。

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横領の示談後に告訴される

加害者と被害者で示談が成立した場合でも、検察の判断によっては横領で起訴されることがあります。

被害者のいる犯罪では、示談の効果は大きいですが、減軽を約束するものではありません。

初犯であっても、被害額が高額な場合や、余罪が多数あり常習性が疑われる場合は、起訴されることもあります。

さらに、示談書に宥恕条項や刑事告訴をしない旨を盛り込まないことで、刑事告訴されるリスクが残ります。

示談書には、必要な文言を適切に盛り込まなければ、合意内容通りの効力が得られないことがあるため、示談書作成には注意が必要です。

起訴や刑事告訴を回避するためにも、刑事事件の法的知識や経験が豊富な弁護士のサポートを受けることが重要です。

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実際に、業務上横領で会社が被害届を提出する前に、会社に事情を説明し、被害金額を洗い出すなどして、示談を成立させた事案など、豊富な解決実績があります。

その事案では、示談成立により事件化せずに解決できました。依頼者はもちろん、会社側にとっても双方の不利益を抑えた最良の提案を行います。

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横領発覚前から弁護士への無料相談が可能

横領、とりわけ業務上横領はいつ何時、被害が発覚するかわかりません。横領を知る従業員からの通報や、税務署の調査によって発覚することもあります。

当事務所は、横領の被害が発覚する前からの無料相談に対応しています。

今の状況や逮捕の可能性、刑事処分の見通し、これらを踏まえて今すべき対応など具体的なアドバイスが可能です。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。

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早期示談成立で逮捕回避が期待できる

横領が発覚した場合に、被害者が警察に相談して、逮捕されることもあります。

しかし、発覚前に弁護士を通じて示談を成立させることで、被害者や会社が被害届や刑事告訴状を届け出ず、事件化前の解決が期待できます。

横領で逮捕されると、10~20日間の勾留や前科などにより、再就職や今後の人生にも影響するリスクがあります。

こうしたリスクを最小限に抑えるためにも、まず相談して今後の方針を決めることが重要です。

まとめ

横領事件では、示談が成立することで逮捕や起訴を回避できる可能性が高まります。しかし、示談交渉は複雑であり、被害者の意向や示談金額の調整が難しいこともあります。

弁護士を介さずに交渉を行うと、不利な条件で合意してしまったり、示談後に告訴されるリスクもあるため、専門家のサポートが欠かせません。

ネクスパート法律事務所では、示談交渉の経験豊富な弁護士が、早期解決を目指してサポートします。

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