住居侵入罪(建造物侵入罪)逮捕後の流れと傾向・弁護士依頼のメリット

住居侵入罪を犯した場合、今後どうなってしまうのか不安がつきないかと思います。

住居侵入罪は、人の身体に対する直接的な危害を及ぼしていないとはいえ、人の住居の平穏を害するだけでなく、他の犯罪の手段として行われることが多い犯罪です。そのため、統計上、検挙率は約5割・起訴率は、約4割と厳しい対応になっています。

この記事では、以下目次の内容をお伝えします。今後の対応を考える上でのご参考になれれば幸いです。

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住居侵入罪とは

最初に、住居侵入罪とはどのような犯罪なのかご説明します。

  1. 犯罪の成立
  2. 客体
  3. 行為
  4. 刑罰
  5. 時効
  6. 他の犯罪行為をしていた場合

犯罪の成立

住居侵入罪は、正当な理由がないのに人の住居等に侵入することによって成立します(刑法130条前段)。

客体

客体は、人の住居又は人の看守する邸宅・建造物・艦船です。

「住居」とは、日常の生活に使用される場所をいいます。

通常は、起臥寝食のために用いられるものを指しますが、一定時間継続して使用されるのであれば、旅館やホテルの一室、事務所や店舗なども住居といえます。

住居性が肯定される場所であれば、家人等が一時不在中でも、住居性が否定されることはありません。

また、建物の全部でなく、区画された一部分、例えば、マンションの各居室も独立に住居となり得ます。

そして建物に附属する囲繞地も住居に含まれると解されます。

「人」の住居とは、他人の住居をいいます。

他の者と共同生活を営んでいる場合には人の住居ではありませんが、共同生活を解消した場合には人の住居となりますから、家出した息子が強盗の目的で実父宅に侵入した場合は住居侵入罪が成立します(判例)。

「邸宅」とは、一般に、空き家、閉鎖中の別荘など、居住用の建造物で住居以外のものをいいます。

「建造物」とは、住居、邸宅以外の建物、例えば、官公署の庁舎、学校、工場、倉庫、神社等をいいます。

なお、邸宅又は建造物に附属する囲繞地は、それぞれ邸宅又は建造物に含まれると解されます。

「艦船」とは、軍艦及び船舶をいいます。

「人の看守する」とは、他人が事実上管理・支配していることをいいます。

看守の態様としては、監視者を置くとか鍵をかけるなど人的・物的設備を設けるのが普通と考えられます。

行為

行為は、正当な理由がないのに、他人の住居等に侵入することです。

「侵入」とは、住居権者等の意思に反して立ち入ることです。

立ち入るというのは、住居内に入ることだけではありませんから、住居の屋根に上がる行為も侵入に当たります。

また、判例は、建物とその敷地を明確に画し外部からの干渉を排除する作用を果たしている塀も建造物に含まれるとして、その塀の上部に上がった行為も侵入に当たるとしています。

侵入は、正当な理由がなく行われることを要します。

居住者や看守者ら住居権者等の真意に出た承諾がある場合、又は承諾が見込まれる場合は、住居侵入罪を構成しません。

一般に、営業中の飲食店・店舗、ホテルのロビーなど客の来集が予想される場所や、一般公衆に開放されている官公署の庁内・構内等においては、通常予想される目的の立ち入りである限り、居住者等の包括的承諾があると考えられています。

しかし、これらの場所についても、違法な目的で、あるいは社会通念上是認されないような態様で立ち入るときは、住居侵入罪(罪名としては建造物侵入罪)を構成します。

判例では、以下のような行為は建造物侵入罪を構成するとされています。

  1. 店内の客と闘争する目的で、日本刀を携えて勝手口から料理店に立ち入ること、
  2. 正当な用務もないのに、警察官の制止を排して官公署の庁舎内に立ち入ること、
  3. ATM機を利用する客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で、銀行支店出張所に立ち入ること など

刑罰

住居侵入罪は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます。

時効

住居侵入罪の公訴時効は3年です。

住居侵入をしてから3年が経過すると、検察官は事件を起訴できなくなります。

他の犯罪行為をしていた場合

住居侵入は別の犯行とともに行われやすい犯罪です。この場合は、複数の犯罪のうち、重い方の罪に問われます

例えば、わいせつ行為をする目的で人の家に侵入し、逮捕されたとしましょう。

この場合、住居侵入に加えて強制わいせつ罪などに問われることがあります。強制わいせつ罪の罰則は6年以上10年以下です。住居侵入罪の罰則は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金なので、より重い強制わいせつ罪に問われることになります。

住居侵入罪で逮捕される前後の流れ

住居侵入罪で逮捕されるまでの流れ、逮捕された後の流れをそれぞれ見ていきましょう。

住居侵入罪で後日逮捕されるまでの流れ

住居侵入で後日逮捕される流れは例えば次の通りです。

  1. 被害者が犯行に気づく
  2. 被害者が警察に被害届を提出
  3. 警察が目撃者の証言や監視カメラの映像などから犯人を特定
  4. 後日逮捕

後日逮捕されるタイミングについてはケースバイケースで、警察が数日後に逮捕しに来ることもあれば、半年後に来ることもあります。詳しい傾向につきましては『住居侵入罪の処分の傾向』にて後述します。

なお、明らかに犯罪性のある行為をした場合は、警察に逮捕される前に自首や示談交渉をする選択肢もありえます。ただ、この場合警察や被害者に事件が発覚するリスクがあります。事件発覚前に自首や示談交渉を検討している場合は、事前に弁護士に相談するのがお勧めです。

住居侵入罪で逮捕された後の流れ

逮捕後の流れは次の通りです。

  • 警察による取り調べ(48時間以内):被疑者の供述をもとに供述調書が作成される
  • 検察への送致(24時間以内):警察から検察に身柄が引き渡される
  • 勾留(最大20日間):勾留請求が認められると、原則10日間(最大20日間)の身柄拘束がなされる
  • 起訴・不起訴の判断:検察が刑事裁判を提起するべきかどうか判断する
  • 起訴後勾留(原則2ヶ月):原則2ヶ月、以降1ヶ月ごとに更新される身柄拘束のこと
  • 刑事裁判:有罪か無罪か、有罪ならどの程度の刑罰が妥当か判断される

逮捕後の詳細な流れにつきましては、以下記事をご確認ください。

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逮捕された後の大まかな流れはどの事件でも同じです。ただ、検挙や起訴される確率は事件によって異なります。次の項目では、住居侵入罪の処分の傾向を見ていきましょう。

住居侵入罪の処分の傾向

令和2年版犯罪白書を参考に、住居侵入罪の傾向について以下3点を解説します。

  1. 住居侵入罪にあたる行為をすると逮捕されるのか?
  2. 住居侵入罪で起訴される確率は?
  3. 住居侵入罪で不起訴になる理由は?

住居侵入罪にあたる行為をすると逮捕されるのか?

最初に用語の意味をお伝えします。

  • 検挙:検察が被疑者を特定し、捜査をすること
  • 認知件数:警察が認知した犯罪の件数
  • 検挙件数:検挙された犯罪の件数

平たくいうと、検挙率が高い犯罪ほど、警察が事件を認知した場合は逮捕されやすいことになります。

住居侵入罪の検挙率は…

認知件数 検挙件数 検挙人員 検挙率
12853 6332 3456 49.3%

参照:令和2年版 犯罪白書

住居侵入罪の検挙率は49.3%です。刑法犯総数の検挙率は39.3%なので、平均的な刑法犯よりも10%検挙されやすいことになります。

住居侵入罪で起訴される確率は?

起訴総数 不起訴総数 起訴率
2,189 3,277 40%

参照:令和2年版 犯罪白書

検察官が裁判所に訴訟を提起することを起訴といいます。

住居侵入罪の起訴率は40%です。同年の刑法犯の起訴率は38.2%であり、住居侵入罪の方がわずかに起訴率が高くなっています。

起訴率が重要な理由は、起訴されると99.9%有罪になり、前科がついてしまうためです。前科がつくのを避けるためには、できるだけ不起訴の獲得を目指したいところです。

不起訴になる理由には、どのようなものがあるのでしょうか?

また、不起訴を得るためには何をするべきなのでしょうか?

以下でお伝えします。

住居侵入罪で不起訴になる理由は?

不起訴総数 起訴猶予 その他の不起訴
3,277 2,463(75%) 814(25%)

参照:令和2年版 犯罪白書

住居侵入罪の不起訴のうち、75%が起訴猶予です。

起訴猶予とは、起訴すれば有罪になる可能性が高いものの、被疑者の情状や事件の状況を考慮して不起訴にすることです。

起訴猶予を得るには、被害者と示談交渉をする必要があります。謝罪と示談金の支払いをし、被害者のゆるしを得ることは、被疑者にとって有利な情状になります。

被害者と示談交渉をする際は、弁護士に依頼するのが一般的です。次の項目では、住居侵入罪で弁護士に相談するメリットを見ていきましょう。

住居侵入罪で弁護士に相談するメリット

弁護士に相談・依頼するメリットは、主に次の4点です。

  • 自首同行を依頼できる
  • 身柄拘束が長期化しにくい
  • 被害者と示談交渉をし、不起訴を目指せる
  • 住居侵入に加えて別の犯罪をしていた場合も適切に対応できる

自首同行を依頼できる

後日逮捕されるかどうかはケースバイケースなので、「警察が来るんじゃないか」と不安に感じている場合は自首を検討することになります。

自首をすると罪が軽減されることがあるものの、警察に事件が発覚する点はリスクです。弁護士に連絡をすれば、自首をするべきかどうかを相談できます。

自首をする場合は弁護士が自首に同行します。事前に警察への受け答え方を相談できる他、身柄拘束の必要性がない旨を弁護士から警察に伝えます。

一方、自首をしない場合は、例えば被害者と示談交渉をするような選択肢があり得ます。ご依頼をいただければ、刑事事件化に先んじて和解を目指して示談交渉をいたします。示談書に警察に被害届を提出しない旨の条項を入れることで、今後の刑事事件化を防げます。

身柄拘束が長期化しにくい

刑事事件では、被疑者に逃亡や証拠隠滅の恐れがあると判断されるような場合に身柄拘束がなされます。弁護士は、被疑者の早期釈放を得るための活動をします。

例えば…

  • 警察官に逮捕の必要性がない旨を主張
  • 検察官に勾留請求をしないように要請
  • 裁判官に勾留請求を容認しないように要請

上記に加えて被害者との示談交渉を進めます。示談が成立することで、起訴・不起訴の判断に先んじて釈放を得られることがあります。

不起訴・罪の軽減を目指せる

弁護士であれば、被害者感情に配慮しながら示談交渉をすすめられます。

住居侵入罪の不起訴理由のうち、75%が起訴猶予です。起訴猶予を得るには示談の成立が重要です。逮捕から起訴までは最大で23日しかないので、できるだけ早めにご相談ください。

また、犯行の悪質性が高い場合は、示談をしても起訴されることもありえます。この場合でも、示談の成立が被告人にとって有利な情状になることに変わりはありません。罪の軽減や執行猶予など、有利な結果を得られる見込みが高くなります。

住居侵入に加えて別の犯罪を行っていた場合も適切に対応できる

住居侵入に加えて別の犯罪を行っていた場合、より重い方の罪に問われます。

弁護士であれば、このような場合でもご依頼者様にとっていい結果が得られるように対応できます。

例えば、窃盗目的で住居侵入をした疑いで捜査をされていたとします。仮に窃盗はしていなかったとしましょう。この場合は、住居侵入は認めるものの、窃盗目的ではなかったことを主張する選択肢がありえます。

主張を裏付ける合理的な証拠があれば、窃盗ではなく罪の軽い住居侵入への切り替えがされることもあります。

ネクスパート法律事務所の住居侵入事件の解決事例

住居侵入に関する当事務所の解決事例を一部ご紹介いたします。

建造物侵入窃盗事件|不起訴

都内大学に通う大学生が、窃盗目的で学校に忍び込んだ疑いで逮捕された事例です。勾留がなされたものの弁護士が準抗告を申し立て、これが認容されました。

被害者は5人いたものの、全員に示談交渉に応じてもらえたことで、不起訴を得られました。

詳細:勾留決定後に準抗告が認容されて不起訴になった建造物侵入窃盗事件の事例

建造物等侵入・恐喝被疑事件|執行猶予

被害者との金銭の支払いを約束させるために、共犯者とともに被害者の自宅に侵入し、6万円を恐喝した事例。検察官に被害者の連絡先の開示を拒否されたものの、調査をして被害者の連絡先を入手し、無事示談に応じてもらえました。

起訴はされてしまったものの、公判期日に示談書・反省文・身元引受書を提出し、母親を情状証人にしました。

これまでの非行歴を咎められたものの、示談成立が重視され、懲役2年、執行猶予4年の判決になりました。

詳細:勾留決定後に準抗告が認容された建造物等侵入・恐喝被疑事件の事例

まとめ

この記事では、住居侵入罪の全体像や、逮捕後の流れ・傾向などをお伝えしてきました。

住居侵入事件の75%は起訴猶予になっており、示談の重要性が伺えます。

住居侵入事件を起こしてしまった場合は一度ご相談ください。

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