不同意性交等致傷罪とは|成立要件・逮捕後の流れ・弁護活動を解説

相手が「No」と思えない、「No」と言えない、「No」を貫き通せない状況で性交等を行い、または行おうとした結果、相手に怪我を負わせた場合、不同意性交等致傷罪が成立します。

この記事にたどり着いたあなたが、不同意性交等致傷罪に該当しうるトラブルを抱えているなら、正確な情報を知り、適切な行動を速やかに取ることです。

この記事では、不同意性交等致傷罪の概要や逮捕後の流れ、弁護士による弁護活動のポイントについて解説します。

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不同意性交等致傷罪とは

不同意性交等致傷罪は、不同意性交等罪やその未遂罪に該当する行為に及んだ結果、相手に怪我を負わせた場合に成立する犯罪です。

以下では、不同意性交等致傷罪の概要や成立要件、公訴時効、罰則を解説します。

不同意性交等致傷罪の概要

不同意性交等致傷罪は、刑法177条の不同意性交等罪の加重類型として、刑法188条2項に定められた犯罪です。

2023年7月13日に施行された刑法改正により、従来の強制性交等罪や準強制性交等罪が統合され、新たに不同意性交等罪が新設されました。

この不同意性交等罪は、単に暴行や脅迫を用いた場合だけでなく、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態にある相手と性交等を行うことを広く処罰の対象としています。

不同意性交等致傷罪の成立要件

不同意性交等致傷罪が成立するのは、不同意性交等罪やその未遂罪に該当する行為によって相手に怪我を負わせた場合です。

つまり、相手を以下のいずれかの状態にさせ、あるいは相手のその状態に乗じて性交等を行い、または行おうとした結果、相手に怪我を負わせた場合に成立します。

  • 同意しない意思を形成することが困難な状態=「No」と思えない
  • 同意しない意思を表明することが困難な状態=「No」と言えない
  • 同意しない意思を全うすることが困難な状態=「No」を貫き通せない

刑法は、相手が上記のいずれかの状態にあったかどうかの判断材料として、その原因となり得る行為や事由として、下表の8つの類型を例示しています。

類型 内容
暴行または脅迫 殴る、蹴る、身体を押さえつけるなどの暴行や、「抵抗すると殺す」「裸の写真をばらまく」などの脅迫を用いること、またはそれらを受けたこと。
心身の障害 身体的、知的、精神的、発達上の障害(一時的なものも含む)などを生じさせること、またはそれがあることを利用すること。
アルコールまたは薬物の影響 飲酒や薬物の投与・服薬により正常な判断ができない状態にさせること、またはその状態にあることを利用すること。
睡眠その他の意識不明瞭 寝ているときや、睡眠以外の原因で意識がもうろうとしている状態にさせること、またはその状態にあることを利用すること。
同意しない意思を形成・表明・全うする暇の不存在 いわゆる不意打ちで、性的行為をされると気付いてから、実際にされるまでの間に、意思決定をする時間的余裕がないこと。
予想と異なる事態に直面した恐怖または驚愕 予想外の事態に直面し、極度に不安になったり、強く動揺したりして気が動転した状態(いわゆるフリーズ状態)を利用すること。
虐待に起因する心理的反応 虐待による無気力感や恐怖心を抱いた状態を利用すること。
経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮 金銭や財産関係、家庭・会社・学校などの社会生活における関係で、弱い立場にある人が不利益を受けることをおそれて抵抗できない状態を利用すること(例:親と子、上司と部下、教師と生徒など)。

被害者が16歳未満の場合は、同意の有無を問わず、原則として不同意性交等罪が成立します。ただし、13歳以上16歳未満の者との性交等については、行為者が5歳以上年上である場合に限り、処罰の対象となります。

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不同意性交等致傷罪の公訴時効

不同意性交等致傷罪の公訴時効は、20年です。

公訴時効とは、犯罪行為が終わってから一定期間が経過すると、検察官がその犯罪について起訴できなくなる制度です。

公訴時効の期間は、原則として犯罪行為が終わった時点から計算されます。ただし、被害者が18歳未満の場合は、被害者が18歳に達するまでの期間に相当する期間を加算した期間が、公訴時効期間となります。

不同意性交等致傷罪の罰則

不同意性交等致傷罪が成立する場合、無期または6年以上20年以下の拘禁刑に処せられます。

拘禁刑とは、従来の懲役刑と禁錮刑を一体化した刑罰で、刑法改正により2025年6月1日から導入されました。拘禁刑では、個々の受刑者の特性に応じて、改善更生・再犯防止のために必要な作業を行わせ、または必要な指導を行えるようになりました。

不同意性交等致傷罪で逮捕されたらどうなる?

不同意性交等致傷罪で逮捕された場合の流れは、以下のとおりです。

警察の取り調べ

逮捕されると、警察署内の留置場や法務省所管の留置施設に身柄を留置され、引き続き警察による捜査がおこなわれます。

通常は、留置場から取調室に連れていかれて警察官の取り調べを受けます。

検察官の取り調べ

警察は、逮捕後48時間以内に、事件を検察官に送致(送検)するかどうかを判断します。

事件が送致されると、検察官による取り調べが行われ、24時間以内勾留請求するかどうかの判断がなされます。

勾留

検察官が勾留請求すると、裁判官による勾留質問が行われます。

裁判官が勾留決定を出すと10日間勾留されますが、捜査が完了しない場合はさらに最大10日間勾留が延長されることがあります。

起訴・不起訴処分

検察官が、事件を起訴すべきか不起訴処分とするかを判断します。

刑事裁判

検察官が起訴した場合には、刑事裁判が開かれます。

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不同意性交致傷事件における弁護活動

不同意性交致傷事件における主な弁護活動は、以下のとおりです。

容疑を否認する場合の弁護活動

不同意性交致傷の容疑を否認する場合、弁護活動の目標は嫌疑不十分による不起訴処分または無罪判決の獲得です。

この場合、特に以下の点が重要になります。

黙秘権の行使と取り調べ対応

捜査機関は、被害者の供述に基づいてあなたを追及します。

やっていないことを認めると、不利な供述調書が作成され、起訴される可能性が高まります。

取り調べに際しては、話したくないことは話さず、黙秘権を行使することが基本です。

弁護士は逮捕直後からあなたと接見し、黙秘権の重要性供述調書への署名押印を拒否する権利など、取り調べにどう対応すべきかを具体的にアドバイスします。

弁護士が早期に介入し、被疑者に黙秘権の重要性を理解させることは、不利な供述調書が作成されることを防ぐ上で極めて重要です。一度作成された供述調書は、後から撤回することが困難であり、裁判で有罪の証拠として使われる可能性が高いからです。

証拠の収集

弁護士は、あなたの主張を裏付ける証拠(アリバイ、目撃証言、防犯カメラ映像など)を収集します。

例えば、防犯カメラの映像は一定期間で上書きされるため、時間の経過とともに失われやすいです。目撃者の記憶も曖昧になるため、事件発生からできるだけ早い段階で証言を得るなどの行動を起こすことが肝要です。

あなたがもし容疑を否認する立場であれば、逮捕された瞬間に弁護士に連絡を取り、接見を求めることが優先事項となります。これは、あなた自身の権利を守り、冤罪を避けるための最初にして最も重要なステップです

不起訴処分を目指す弁護活動

不同意性交致傷事件で不起訴処分を目指す場合には、被害者との示談成立を目指すことが重要です。

示談交渉の重要性

容疑を認めている場合、被害者との示談を成立させることが、不起訴処分を獲得するための重要な活動です。

示談交渉では、被害者への謝罪と被害弁償(示談金の支払い)を行います。不同意性交致傷事件の示談金は、100万円から300万円が相場とされています。

弁護士は、被害者の心情に最大限配慮しながら、示談交渉を進めます。

示談は、単なる金銭的補償ではなく、加害者の反省と再犯防止への決意を示す誠意の証として機能します。検察官が、被害者の処罰感情が和らぎ、事件が実質的に解決していると判断すれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。

早期の弁護活動

不起訴処分を獲得するためには、起訴・不起訴の判断がなされるまでの期間(逮捕後最大23日間)に示談を成立させることが重要です。

弁護士は、示談の事実や、被疑者の反省、再犯防止策などを適切に主張し、検察官に働きかけます。

容疑を認めるのであれば、弁護士に依頼して速やかに被害者との示談交渉に着手することが、不起訴処分獲得の鍵となります。

起訴された場合の執行猶予獲得戦略

起訴された場合、弁護活動の目標は執行猶予付き判決の獲得へと移行します。

執行猶予とは、有罪判決は確定するものの、刑の執行が一定期間猶予され、その期間中に問題なく過ごせば刑務所に入らずにすむ制度です。不同意性交等致傷罪は法定刑が重いため、執行猶予の獲得は容易ではありませんが、弁護士の適切な活動によって可能性を高められます。

示談交渉の継続

起訴された後でも、被害者との示談交渉は重要です。示談が成立すれば、裁判官が刑を軽くする(情状酌量)上で有利な事情となり得ます。

情状証拠の収集と主張:

弁護士は、あなたの反省の態度、家族のサポート体制(身柄引受人の確保)、再犯防止のための具体的な取り組み(専門機関でのカウンセリング受講など)、社会貢献活動への参加など、有利な事情(情状証拠)を積極的に収集し、裁判官に主張します。

保釈請求

起訴後も勾留が続く場合、弁護士は保釈請求を行い、一時的に身柄を解放してもらうことを目指します。保釈が認められれば、社会生活を送りながら裁判に臨むことができ、精神的な負担も軽減されます。ただし、不同意性交致傷事件のような重大犯罪では、保釈が認められにくい傾向にあります。

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弁護士選びと費用|後悔しないための選択

刑事事件において弁護士選びは極めて重要であり、後悔しないための慎重な選択が求められます。弁護士費用についても、事前に相場と内訳を理解することで、安心して弁護を依頼できるでしょう。

不同意性交致傷事件に強い弁護士の選び方

不同意性交致傷事件は専門性が高く、弁護士の力量が結果を左右します。

以下のポイントを参考に、あなたに最適な弁護士を選びましょう。

性犯罪の弁護経験と解決実績が豊富か

性犯罪、特に不同意性交等事件の取り扱い経験が豊富で、不起訴や執行猶予といった具体的な解決実績を公開している弁護士事務所を選びましょう。

実績は弁護士の力量を示す重要な指標です。

迅速な対応が可能か

刑事事件は時間との勝負です。

特に逮捕後の初期段階では、弁護士の迅速な対応が不可欠です。

問い合わせを24時間体制で受付ているか、土日祝日の対応が可能かどうかも確認しましょう。弁護士の迅速な対応は、単なるサービス品質ではなく、勾留阻止や不起訴獲得の可能性を左右する生命線となります。

コミュニケーションが取りやすく、説明が分かりやすいか

不安な状況の中で、弁護士との信頼関係は重要です。

説明が分かりやすく、あなたの疑問や不安に寄り添い、質問しやすい弁護士を選びましょう。

可能であれば、対面での相談を通じて、弁護士との相性を確認することをおすすめします。

被害者との示談交渉実績が豊富か

性犯罪では、被害者との示談が結果を左右します。

被害者の心情に配慮しつつ、適切な示談交渉を進められる経験豊富な弁護士を選ぶことが重要です。示談交渉は被害者の感情が強く絡むため、弁護士の交渉スキルや被害者への配慮が、示談成立の成否だけでなく、示談金の額にも影響を及ぼす可能性があります。

弁護士費用が明確か

費用体系が明確で、追加費用が発生する条件なども事前に説明してくれる弁護士を選びましょう。後でトラブルにならないためにも、見積もりをしっかり確認することが大切です。

不同意性交致傷事件の弁護士費用の相場と内訳

不同意性交致傷事件の弁護士費用は、事件の状況(逮捕の有無、否認・自白など)や依頼する弁護士によって異なりますが、相場は80万円から200万円程度です。これに加えて、被害者への示談金が必要となることが一般的です。

主な費用の内訳は以下のとおりです。

費目 相場
法律相談料 30分あたり5,500円程度

※初回無料の事務所もあり

着手金 30~100万円程度
報酬金 30~200万円程度

弁護士費用とは別途、示談金や保釈保証金等の準備が必要になることが一般的です。

さいごに

不同意性交致傷事件では、迅速な対応が求められます。

一人で悩みを抱え込まず、できるだけ早く刑事事件に強い弁護士に相談することが、あなたの未来を守るための最善の選択です。

弁護士は、あなたの権利を守り、最適な解決策を共に探し、今後の人生を再建するための強力な味方となってくれるでしょう。

この困難な状況を乗り越えるために、一歩踏み出す勇気を持つことが大切です。私たちは、あなたの新たな一歩を心から応援します。

ネクスパート法律事務所は、性犯罪事件で不起訴処分を獲得した事例も多く(詳しくは、「解決事例【性犯罪】一覧」をご覧ください。)、ノウハウを豊富に有しております。

解決実績が豊富な弁護士が、穏便かつ迅速な解決を目指して全力でサポートしますので、お困りの場合は、ネクスパート法律事務所にご相談ください。

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