被害届を取り下げてもらうためにできること

被害届とは、犯罪の被害者が警察に犯罪被害の事実を申告するために提出する書類です。被害届は、刑事手続きのスタート地点です。

この記事では、被害届の取り下げとはどのようなものか、被害届を取り下げてもらうために加害者がとるべき行動などについて解説します。

寺垣弁護士
寺垣弁護士
被害届を取り下げてもらうには、示談で赦しを得るだけでなく、適切な内容の示談書を作成する必要があります。
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被害届の取り下げとは

被害届の取り下げとは、以下をさします。

  • 被害届を提出した被害者本人が被害届を取り下げるための書類を警察署に提出すること
  • 加害者側の弁護士が準備した被害届を取り下げるための書類に署名・捺印すること

 

ここでは、被害届の取り下げの概要について解説します。

 

被害届の取り下げの効果

被害届の取り下げは、被害者の処罰感情が無くなったと評価されるので、加害者は不起訴になりやすくなります。

 

不起訴になれば前科は付きませんが、被害届を取り下げた場合でも、一度立件された以上は前歴としてカウントされます。

 

また、事件の内容によっては、被害届が取り下げられても捜査が継続されるものもあるので、必ずしも不起訴になるわけではありません。

 

被害届を出された事件で逮捕・勾留された場合に、釈放あるいは不起訴になるためには、被害者による被害届の取り下げが重要です。

 

被害届の取り下げは受理されないこともある

被害届を取り下げるには、被害届を取り下げた旨の書面を提出します。

被害者が被害を取り下げる意思表示として刑事処分に大きな影響を与えるため、電話では受理されません

 

また、被害届の取り下げは、被害者本人でなければできません。例えば親族が取り下げようとしても受理されません。

 

被害届の取り下げ期間

被害届は警察への被害の申告なので、被害届の取り下げに期間の制限はありません。もっとも、刑事処分の決定がなされるまでに被害届の取り下げがなされなければ、刑事処分に影響しません。

 

従って、刑事処分の決定がなされる前までが被害届の取り下げの期間です。

 

被害届と告訴の違い

告訴とは、法律で定められた「告訴権者」(告訴が出来る者)が、捜査機関に対し犯罪事実を申告して、犯人の処罰を求めることです(刑事訴訟法第230条乃至第240条)。

 

被害届は、被害を受けた事実を捜査機関に報告するもので、犯人の処罰を求める意思表示までは含まれません。

 

器物損壊や名誉棄損などの「親告罪」については、起訴するための要件として告訴が必要です。

 

被害届を提出しただけでは告訴したことにはなりません。処罰を求めるのであれば、改めて告訴状を提出しましょう。

 

被害届が取り下げられない場合のリスク

被害届は、被害者が警察に捜査を開始して欲しい場合、刑事事件として立件して欲しい場合に提出されます。

 

そのため被害届を取り下げてもらえない場合には、以下のリスクがあります。

 

逮捕される可能性がある

警察は被害届により捜査を開始し、犯人を特定します。警察が、被疑者に犯罪の嫌疑があり、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると考えた場合には逮捕される可能性があります。

 

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前科が付く可能性がある

逮捕・勾留後に起訴され、刑事裁判で有罪判決がくだされると、前科がついてしまいます。

 

被害届が取り下げられたら|その後はどうなる?

被害者に被害届を取り下げてもらえた場合、その後の手続きはどうなるのでしょう。

ここでは、被害届取り下げ後の手続きについて解説します。

 

捜査や刑事手続きの進行が止まる可能性がある

被害者が被害届を取り下げてくれた場合、被害者の処罰感情が無くなったと判断され、警察段階であれば検察官に事件送致(送検)をせずに事件が終了する可能性があります。

 

不起訴処分になる可能性がある

被害届の取り下げが送検後であった場合には、以下に影響を及ぼすため不起訴処分になる可能性があります。

  • 検察官による勾留請求・勾留延長請求の判断
  • 裁判官による勾留・勾留延長の判断
  • 検察官の起訴不起訴の判断

 

釈放される可能性がある

示談をして被害届を取り下げてもらえれば、警察も被疑者を厳しく取り調べる必要がなくなり、警察の捜査が続いていても釈放される可能性があります。

 

被害届を取り下げてもらうためにできること

被害者に被害届を取り下げてもらうことは、その後の手続きに大きな影響を及ぼします。

 

ここでは、被害届を取り下げてもらうためにできることについて解説します。

 

弁護士に示談交渉を依頼する

被害者の連絡先が分かっていない場合は加害者自身で示談交渉はできません。警察や検察などの捜査機関は当然被害者の連絡先を把握していますが、加害者が問い合わせても、個人情報保護の観点から教えてはくれません。

 

弁護士が捜査機関に問い合わせた場合であれば、捜査機関が連絡先などを教えてよいかどうか被害者に確認したうえで、加害者への情報秘匿を条件に回答してもらえることもあります。

 

したがって、被害者の氏名や連絡先が分かっていない場合は、弁護士に示談交渉を依頼するのが有効です

 

また、そもそも加害者との直接の交渉には応じないという被害者もいます。

被害者の氏名や被害者の連絡先が分かっている場合でも、弁護士に示談交渉を依頼した方が無難です。

 

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被害者に直接示談のお願いをする

被害者の氏名や連絡先が分かっている場合は、加害者自身で示談交渉も可能ですが、被害者と揉める可能性がないことが明らかな場合以外は控えた方がいいでしょう。

 

特に揉める事が想定されるのは示談金額です。加害者と被害者の直接交渉だと、加害者は「なるべく少なくしたい」、被害者は「多く請求したい」という心理が働き、揉める可能性が高いです。

 

また、被害届の取り下げの文言を示談書に入れたいけれどもうまく説明ができず、示談金を支払ったけれど被害届を取り下げてもらえない場合もあります。

 

示談を成立させる被害届を取り下げてもらうためには、相応の示談金を支払う必要があります。示談をする中で、示談金の支払いと引き換えに被害届を取り下げる合意をします。

弁護士が作成する示談書には、被害者を許すという「宥恕文言」を記載することにより、被害者の処罰感情が無くなったことを明らかにします。

 

まとめ

被害届を出されたからといって慌てる必要はありません。

被害届を出されても、その後に示談を成立させ、被害届を取り下げてもらいましょう。あなたにとって有利な結果に結びつく可能性が高くなります。

 

示談を成立させ、その結果を刑事処分に反映させるためには、弁護士に示談交渉を依頼することをお勧めします。

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