後日逮捕されるケース・されないケース

後日逮捕されるケースとされないケースでは、どのような違いがあるのでしょうか。

本コラムでは、後日逮捕の全体像につきまして、主に以下の点を解説します。

  • 後日逮捕の概要
  • 後日逮捕に関するよくある疑問
  • 後日逮捕の実例
  • 後日逮捕に関して弁護士に相談すべき理由

弁護士佐藤
弁護士佐藤
後日逮捕されるかどうかは誰にもわかりません
逮捕されると最大23日間身柄拘束され、この間厳しい取り調べがなされます。起訴されれば前科がついてしまいます。
逮捕前にできることは、自首や被害者との示談交渉です。ただし、どちらも自力で進めるのは困難です。弁護士であれば自首同行や示談交渉の代理ができますので、後日逮捕が不安な方は一度ご相談ください。
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後日逮捕の概要

 

後日逮捕とは、犯罪行為が終わった後日に捜査機関が被疑者を逮捕することです。

後日逮捕は俗称であり、正式には通常逮捕といいます。

後日逮捕までの流れ

警察が被疑者を後日逮捕する場合、裁判官に逮捕状の発布を請求しなければなりません。警察は逮捕状の発布を請求する際、証拠(防犯カメラ画像・被害者の供述調書)を添付して被疑者(罪を犯したと疑われる者)が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があることを示します。

警察が逮捕状を執行する際は、逮捕状を被疑者に示さなければなりません(刑事訴訟法201条)。ただし、急ぐ必要があるときは、被疑事実の要旨と逮捕状が発布されている旨を告げれば、逮捕状を示さなくても執行できます(緊急逮捕)。その場合、逮捕後できる限り速やかに逮捕状を示す必要があります。

後日逮捕されるケース

逮捕状は、請求されたからといって、必ず発布されるわけではありません。捜査機関が被疑者を後日逮捕するには、以下の条件を満たす必要があります。

罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある

捜査機関は逮捕状を請求する際に、裁判官が相当な理由があると認めるだけの根拠を示す必要があります(刑事訴訟法199条)。

その根拠として逮捕状請求時に裁判官に提出される資料には、以下のようなものがあります。

  • 防犯カメラ画像
  • 被害者の被害届・供述調書
  • 参考人供述調書 など

逃亡・証拠隠滅のおそれがある

警察が被疑者を後日逮捕するには、被疑者に逃亡・証拠隠滅のおそれがあると認められる必要があります。

被疑者が逃亡・証拠隠滅すれば、適正な刑事裁判は行えません。

 

【逃亡するおそれがあると認められやすいケース】

  • 被疑者が単身または無職である
  • 執行猶予期間中である
  • 法定刑が重たい事件

 

【証拠隠滅のおそれがあると認められやすいケース】

  • 被害者や目撃者を脅して口止めする可能性がある
  • 捜査機関が入手していない証拠を捨てる可能性がある

 

後日逮捕されないケース

罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認められる場合でも、逃亡・証拠隠滅のおそれがないと判断されれば、後日逮捕されません。

刑事訴訟法199条2項ただし書には、逮捕の理由がある場合でも、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の発布をしない旨規定し、刑事訴訟規則143条は、逮捕の必要性について以下の点を考慮するとしています。

  • 被疑者の年齢
  • 境遇
  • 犯罪の軽重および態様
  • その他諸般の事情
  • 例えば、被疑者が高齢で重い病気を抱えている場合、逃亡は困難で証拠隠滅のおそれもないと判断される可能性があります。以下の全てに該当する場合も、後日逮捕されません。法定刑が軽微

30万円(刑法・暴力行為等処罰に関する法律・経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金・勾留・科料に当たる罪

  • 定まった住居がある
  • 出頭しないことに正当な理由がある、または、出頭の求めに応じている

 

 

後日逮捕に関してよくある疑問

 

後日逮捕されるのは何日後?

犯行が終わってから何日後に逮捕されるという基準はありません。数日後のケースもあれば、数年後のケースもあります。

殺人罪など一部の犯罪以外には、公訴時効が適用されます。公訴時効とは、犯行が終わってから一定の期間が経過すると、犯人を起訴ないし処罰できなくなることです。

公訴時効が成立する期間は、犯罪によって異なります。

後日逮捕で警察が家や職場に来ることはあるか?

後日逮捕で警察が自宅や職場に来ることはあります。逮捕の際に、自宅や職場を家宅捜索する可能性もあります。

後日逮捕される確率はわかるのか?

後日逮捕される確率はわかりません。

警察庁の犯罪統計書によると、令和2年の刑法犯の検挙人員は18万2582人でした。そのうち、後日逮捕されたのは3万4361人で、現行犯逮捕が2万5803人、緊急逮捕が2938人、身柄を拘束されなかったのは11万9480人でした。

後日逮捕された人員が検挙人員に占める割合は18.8%です。

後日逮捕のきっかけは?

警察は、被害者・目撃者からの通報や被害届の提出などによって事件を認知します。

被害者・目撃者の通報

110番通報で事件を認知することもあれば、警察相談専用電話「#9110」などから事件を認知することもあります。

被害届・告訴状の提出

被害届・告訴状は、いずれも被害者が犯罪被害を申告するものですが、告訴状は加害者に対する処罰を求める意思を示す点で、被害届と異なります。

警察は告訴状を受理した場合、速やかにこれに関する書類および証拠物を検察官に送付しなければならない(刑事訴訟法242条)と定められています。

刑事告発

刑事告発も犯罪被害を申告する点は被害届・告訴状と共通です。被害届・告訴状との違いは、告発は被害者以外の第三者により行われる点です。警察が受理した場合に関連する書類および証拠物を検察官に送付しなければならない点は告訴と同じです。

後日逮捕される兆候はあるか?

後日逮捕される兆候としては、以下のものが考えられます。

任意の取調べ

警察は被疑者を逮捕する前に、任意の取調べに応じるよう要請することがあります。逮捕前に任意の取調べが必ずあるわけではありませんが、任意捜査は兆候の1つです。

家宅捜索

警察は逮捕前に被疑者の自宅などを家宅捜索することがあります。家宅捜索は被疑者が拒否できない強制捜査で、証拠物の押収などを目的に行われます。家宅捜索を受けた場合、逮捕の可能性があると考えてよいでしょう。

 

後日逮捕された事例

実際に後日逮捕された事例を紹介します。

盗撮で後日逮捕された事例

高校教諭のBは、勤務先の高校の女子更衣室に録画状態のスマートフォンを置き、女子生徒が着替える様子を盗撮していました。別の児童ポルノ事件で警察が逮捕した男の顧客としてBが浮上し、警察がBのスマートフォンを押収して調べたところ、盗撮動画が見つかりました。

警察がBを迷惑行為等防止条例違反で逮捕したのは、犯行から2か月後です。

参考:生徒盗撮疑いの高校教諭逮捕 更衣室にスマホか 滋賀|産経新聞

万引きで後日逮捕された事例

30代の夫婦は共謀し、衣類装飾品販売店でトートバッグ1個を万引きしました。妻が店からバッグを盗み、夫が盗んだバッグをその日のうちに店に持ち込んで売りさばいていました。

店側が商品を整理した際にバッグがないことに気付き、警察に通報しました。警察は防犯カメラの記録から夫婦を特定し、犯行から14日後に窃盗の疑いで逮捕しました。

参考:財布盗んだ容疑の夫婦、夫「妻が1人でやった」・妻「2人でやりました」|読売新聞オンライン

後日逮捕に関して弁護士に相談するメリット

罪を犯したときは弁護士に相談しましょう。以下、その理由を説明します。

自首するべきかどうか相談できる

罪を犯した後の対応として、警察に自首することが考えられます。犯人として特定されていない段階であれば自首は成立し、弁護士と自首するべきかどうか相談した方がよいでしょう。

自首すれば、逃亡・証拠隠滅のおそれが低いとみなされ、逮捕されずに済む可能性があります。さらに、刑法42条は罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができると定めており、刑の減軽が期待できます。

逮捕に先んじて被害者と示談交渉できる

被害者が分かっている場合、逮捕前に弁護士に刑事弁護を依頼すれば、逮捕に先んじて被害者と示談交渉できます。逮捕前に示談が成立すれば、次の合意を被害者と結べる可能性があります。

  • 被害者が被害届や告訴状を提出しない
  • 提出した被害届や告訴状を取り下げてもらう

こうした合意事項が履行されれば、逮捕されずに済む可能性が上がります。

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在宅事件扱いを目指せる

自首や逮捕前の示談交渉によって逮捕されずに済めば、事件は在宅事件扱いとなります。

在宅事件とは、警察などが被疑者の身柄を拘束しないまま捜査を進める事件です。捜査に協力するとき以外は通常の生活を送れるなど、身柄を拘束される身柄事件と比べてデメリットが少ない特徴があります。

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取調べへの対応の仕方がわかる

警察官や検察官の取調べにどのように応じるかは重要です。取調べで供述した内容は供述調書にまとめられ、被疑者が調書にサインすると供述調書は刑事裁判で証拠として採用されます。

弁護士は被疑者に対し、取調べにどう臨めばよいか助言できます。

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被害者と示談交渉できる

弁護士は被疑者の逮捕後でも示談交渉が可能です。逮捕後の示談で被害者と和解し、被害者に被疑者を許す意思を示してもらえれば、不起訴になる可能性が上がります。

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不起訴・刑の減軽を期待できる

示談交渉や取調べに関する助言など、弁護士から適切な刑事弁護を受けられれば、不起訴や刑の減軽を期待できます。

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まとめ

犯行から後日逮捕されるまでの期間に決まりはありません。罪を犯した場合は早期に弁護士に相談することが重要で、適切な弁護活動によって後日逮捕されずに済む可能性が上がります。被害者との示談交渉を進めたい方・自首を検討している方は、ネクスパート法律事務所にお問い合わせください。

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