不倫慰謝料の消滅時効とは|民法改正による変更点

  • 最終更新日: 2023.05.19

浮気や不倫(不貞行為)に関しての慰謝料請求には「時効」があります。この記事では配偶者に過去の不倫が発覚した際、時間が経っていても慰謝料請求は可能なのか、何年経ったら時効を迎えるのかについて細かく整理していきます。慰謝料請求に関して不安を抱いている方は、是非ご参考ください。

不貞行為の慰謝料請求には時効がある

配偶者が不倫をしている、不貞行為を行っているとわかったら慰謝料請求を検討される方も多いでしょう。しかし、慰謝料の請求には時効があることを覚えておく必要があります。民法で不法行為に関する損害賠償請求権に関しては、時効が下記のように定められています。

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

時効パターン①不倫の事実と浮気相手を知った日から3年が経過している

不貞行為で時効を迎えるパターンの一つ目は「不貞行為とその相手を知ってから3年」です。不貞の事実と浮気相手を把握してから3年が経過すると浮気相手に対する慰謝料請求はできません。しかし、配偶者に対して不貞行為の慰謝料を請求する場合は、婚姻関係が続いている限り時効が消滅することはなく、離婚が成立した後6ヵ月が経過しないと時効が訪れません。(第159条)

(夫婦間の権利の時効の完成猶予)
第百五十九条 夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

したがって不倫をした事実と浮気相手を知ってから3年以上経過していた場合、浮気相手に対して慰謝料請求をすることはできませんが、配偶者に対しては請求することが可能です。しかし、時間が経つほど不貞行為の証拠を確保することは難しくなると考えられるため、不倫が発覚したら可能な限り早く行動することが大切です。

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時効パターン②20年以上前の不倫

不貞行為で時効を迎えるパターンの二つ目は「20年以上前の不倫」です。上記の3年と違い、不倫の事実や浮気相手を知らなくても時効は進みます。したがって不倫をしてから20年が経過している場合は慰謝料の請求ができません

2020年4月1日の民法改正による変更点

2020年4月1日の民法改正で20年の部分に変更点があり、改正前は20年の「除斥期間(じょせききかん)」、改正後は20年の「時効」となりました。除斥期間と時効で何が違うのか簡単に説明すると、除斥期間では20年経つと問答無用で権利が消滅しますが、時効では訴訟提起などを行えば時効を中断させることができます。民法改正によって、慰謝料請求できる範囲が広がったと言えます。

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民法(債権関係)の改正に関する説明資料(PDF)|法務省

離婚自体に対する慰謝料の時効は3年

不貞行為が原因で離婚する場合「不貞行為に対する慰謝料」と「離婚したこと自体に対する慰謝料」を請求できます。不貞行為に対する慰謝料の時効は上述のとおりですが、離婚したことに対する慰謝料の時効は「離婚した日から3年」と起算されます。したがって不貞行為が理由で離婚した場合、3年以内であれば元配偶者に対して慰謝料を請求することが可能です。

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不倫慰謝料の時効が迫っている場合の対処法

不貞行為を突き止めても、すぐに慰謝料請求を行えない場合には、時効を中断・更新させることが可能です。時効を中断すると3年の節目に関しては期間をリセットさせることができます。では時効の中断はどのように行うのでしょうか。

内容証明郵便を送る

時効が迫っている場合には、慰謝料の請求の意思を示すために「内容証明郵便」を送ることで時効を6カ月延長させることができます

電話や普通郵便で意思を示すこともできますが、確かな受取の証拠にはなりにくいため、郵便局が受領まで証明を行ってくれる内容証明郵便を使って送ることが一般的です。なお、裁判外における時効の中断が利用できるのは1度だけです。何度も送り、何度も更新できるわけではないので慎重に行う必要があります。

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訴訟提起を行う

確実に時効を中断させるには、訴訟が有効な手段です。訴訟を提起すると時効はリセットされ、判決の確定後に時効は3年ではなく10年になります。社会情勢などの事情により裁判中の期間が延びていても、その間に時効を迎えてしまうことはありません。

なお、訴訟の場合は相手方の特定が不確かであっても公示送達※と呼ばれる方法があります。内容証明郵便を送って住所が変わっていて不着の場合でも訴訟提起は可能です。

※公示送達とは
一般的には訴状は相手方の住所に送付されますが、住所が特定できないようなケースでは裁判所の前の掲示板等に訴状などを掲示し、相手に届いたとみなす方法です。これにより,送達したことになるのです(民事訴訟法110条)。

債務承認

債務承認とは、慰謝料を相手に認めさせる意味です。債務がある、支払うべき慰謝料があると相手が認めた時を時効の起算日とできます。また、債務承認したことを必ず書面化しておきましょう。自白だけではその後支払いを求めてもシラを切る可能性も十分にあります。

しかし、債務承認を強く相手に求める行為は脅迫行為と捉えられ、別のトラブルになる可能性もあるので注意が必要です。この他に財産を差し押さえる方法なども考えられますが、その前に不貞行為による慰謝料の支払いの同意が必要になり、公正証書化に至っている必要があります。

不倫の時効が近い場合は弁護士への依頼を検討

不倫かも、と思っていても不貞行為の事実まで掴めていない場合や、つらい事実を前にして落ち込んでしまう方は多いでしょう。しかし、配偶者の不貞行為には法律相談を行うことで毅然として対処できます。では、法律相談を行うことでどのようなメリットがあるでしょうか。

弁護士が迅速に対応してくれる

不貞行為を知った日から3年が迫っており、対処を急ぐ必要がある場合にはまずは弁護士に相談をしましょう。弁護士は相手方の特定を行い、内容証明郵便の送付や相手方との交渉を開始できます。全て弁護士が代理人として行うため、ご自身が矢面に出て対処をする必要がなくなるのです。

交渉、訴訟提起も任せられる

相手方が不貞行為に関する慰謝料を支払う意志を示す場合、交渉をまとめ慰謝料の回収までも弁護士が行っています。また、相手方が慰謝料を拒否する場合や居所が分からない場合には、訴訟を提起し時効を中断させることが可能です。

もちろん、このようなケースでも弁護士が手続きの一切を行っています。訴訟に必要な証拠に関するアドバイスもでき、離婚をする場合は離婚手続きの代理人としても対応できるので、弁護士にサポートを依頼すると大きな安心感を得られるでしょう。

まとめ

この記事では不倫や浮気に関しての慰謝料請求を行う際に、知っておくべき時効に関して解説しました。不貞行為があった、と知った時はどんな方でも気が滅入ってしまうものです。また、怒りを相手にぶつけたくもなります。

しかし、そんな時こそ慰謝料請求や訴訟に関しての専門家である弁護士に、一度法律相談を依頼してください。弁護士は得るべき利益のために丁寧に法的なアドバイスをしています。不倫や浮気から立ち直るためにも、是非お気軽にご相談ください。

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