
「配偶者が不倫しているかもしれない」との疑惑を抱いたら、不倫相手に対する慰謝料請求が頭をよぎることもあるでしょう。
しかし、慰謝料が請求できるのは、原則として、民法上の不法行為に該当する行為があった場合です。そのため、不倫相手に慰謝料請求するためには、配偶者との不貞行為を立証する必要があります。
この記事では、不貞行為を立証する方法を詳しく解説します。
不貞行為の定義や立証責任はどちらが負うのかについても解説しますので、ぜひご一読ください。
目次
そもそも不貞行為とは?|立証すべき不貞行為の定義
不貞行為とは、配偶者のある人が、自由な意思に基づいて配偶者以外の人と肉体関係を持つことです。
なお、肉体関係には、挿入行為だけでなく、前戯や口淫などの性交類似行為も含まれます。
そのため、2人が親密な関係にあることを匂わせる以下のような行為があっても、原則として、不貞行為には該当しません。
- 2人きりで食事をする
- キスやハグをする
- 手をつないで歩く
もっとも、その行為の態様が既婚者の交際として明らかに逸脱していて、夫婦の平穏な婚姻生活を脅かす場合には、民法上の不法行為に該当すると判断される可能性があります。
不貞行為に基づく慰謝料を請求するためには、原則として、配偶者と不倫相手が肉体関係を持った事実が必要です。
「【不貞行為とは】判例の定義や具体的な7つの事例を簡単に解説!」では、不倫や浮気との違いや不貞行為に該当する具体的な事例を解説していますので、ぜひご参照ください。
不貞行為の立証責任は誰にある?
不貞行為の立証責任は、不貞行為を理由に慰謝料を請求する側にあります。
民事裁判では、慰謝料を請求された側が不貞行為の事実を認めた場合は、請求する側は不貞行為の事実を証明する必要はありません。しかし、請求された側が不貞行為の事実を認めない場合は、請求する側が不貞行為の事実を証明しなければ、慰謝料請求は認められません。
交渉段階では、不貞行為の事実を証明せずとも、不倫相手が慰謝料の支払いに応じれば支払ってもらえます。しかし、立証できない不貞行為の慰謝料を支払うとは考えにくいため、不貞行為の事実を証明できないと慰謝料の獲得は難しいでしょう。
不貞行為を立証するにはどうすればいい?
不貞行為を立証するには、証拠を掴む必要があります。
配偶者と不倫相手が肉体関係を持ったことが客観的にわかる証拠があれば、不貞行為の事実を証明できます。不倫相手に言い逃れされる事態も防ぎやすくなるでしょう。
不貞行為を立証するために必要な証拠については、次章で詳しく紹介します。
不貞行為を立証するにはどんな証拠が必要?
不貞行為を立証するには、配偶者と不倫相手が肉体関係を持ったことが客観的にわかる証拠が必要です。
不貞行為の証拠として、以下のようなものが挙げられます。
- 肉体関係を持ったことがわかる写真や動画
- 不貞行為を認める書面や録音データ
- ラブホテルへの出入りがわかる写真や動画
- メッセージアプリ(LINE・SNS)やメールのやり取り
- ラブホテルの領収書
- カーナビやドライブレコーダーの記録
以下で、詳しく紹介します。
肉体関係を持ったことがわかる写真や動画
肉体関係を持ったことがわかる写真や動画は、不貞行為の有力な証拠となり得ます。
以下のような写真や動画も、証拠となり得ます。
- 裸や下着姿で同じ部屋にいる
- 2人きりで旅行している
不貞行為を認める書面や録音データ
不貞行為を認める書面や録音データも、不貞行為の有力な証拠となり得ます。
不貞行為を直接認める発言だけでなく、不貞行為をした日時や場所、回数などが具体的にわかると、より証拠能力が高まるでしょう。
自白を証拠にする方法については、「浮気の自白だけで慰謝料請求できる?自白を証拠にする方法を徹底解説」で詳しく解説しています。
ラブホテルへの出入りがわかる写真や動画
ラブホテルへの出入りがわかる写真や動画も、不貞行為の有力な証拠となり得ます。
一般的に、ラブホテルは性行為をするために利用する場所と認識されているため、肉体関係があったことを強く推認できます。
2人で入退室する場面が判別できる、かつ撮影日時が明確に記録されていると、より証拠能力が高まるでしょう。
メッセージアプリ(LINE・SNS)やメールのやり取り
肉体関係を持ったことがわかるメッセージアプリ(LINE・SNS)やメールのやり取りも、不貞行為の証拠となり得ます。
具体的に、以下のようなやり取りが証拠となり得ます。
- この前のラブホテルよかったね
- またエッチしようね
以下のような曖昧な表現のやり取りは、それ単体では証拠としては弱いものの、他の証拠と組み合わせることで不貞行為を立証できる可能性があります。
- 昨日は楽しかったね
- また会いたい
- 愛している
有力な証拠となり得るLINEのやり取りについては、「怪しいLINE発見!不貞行為の証拠として有効なLINEを徹底解説」の記事もご参照ください。
ラブホテルの領収書
ラブホテルの領収書も、不貞行為の有力な証拠となり得ます。
領収書と同日のLINEやSNS、メールのやり取りがあれば、不倫相手とラブホテルを利用したことを証明しやすくなります。
カーナビやドライブレコーダーの記録
カーナビやドライブレコーダーの記録も不貞行為の証拠となり得ます。
カーナビの履歴やドライブレコーダーの記録に、ラブホテルや不倫相手の自宅に行った記録が残っていないか、確認してみると良いでしょう。
不貞行為の証拠については、「浮気の証拠になるもの13選と自力で証拠を集めるポイント・注意点」でも詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
不貞行為を立証するための証拠を集める際にやってはいけないこと
不貞行為を立証するための証拠を集めたくても、以下のような行為はしてはいけません。
- 配偶者のスマホに無断でアプリをインストールする
- 配偶者の持ち物にGPSを仕込む
- 配偶者のID・パスワードを使用して無断でSNSにログインする
以下で、詳しく解説します。
配偶者のスマホに無断でアプリをインストールする
配偶者のスマホに無断でアプリをインストールしてはいけません。
不正指令電磁的記録供用罪(刑法第168条の2)が成立するおそれがあります。
不正指令電磁的記録供用罪が成立すると、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。
配偶者に無断で浮気調査アプリ等をインストールする行為は配偶者のプライバシーを侵害するため、刑事的な責任だけでなく、民事的な責任も追及されるおそれがあります。
配偶者のスマホに無断でアプリをインストールすることはやめましょう。
配偶者の持ち物にGPSを仕込む
配偶者の持ち物にGPSを仕込んではいけません。
プライバシーの侵害にあたるおそれがあります。
GPSを仕込んだことがバレれば、配偶者との信頼関係が損なわれ、夫婦関係が悪化することも考えられます。
不倫調査のためでも、配偶者の持ち物にGPSを仕込むことはやめましょう。
GPSを仕込むことの法的リスクは、「浮気調査でGPSによる位置情報の取得は夫婦間でも法的リスクを伴う!」で詳しく解説しています。
配偶者のID・パスワードを使用して無断でSNSにログインする
配偶者のID・パスワードを使用して無断でSNSにログインしてはいけません。
不正アクセス禁止法に抵触するおそれがあります。
不正アクセス行為をすると、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科されます。
配偶者のID・パスワードを使用して無断でSNSにログインすることはやめましょう。
不貞行為を立証するための証拠集めに限界を感じたら
不貞行為を立証するための証拠集めに限界を感じたら、探偵への調査依頼を検討してみてもいいかもしれません。
探偵に不倫調査を依頼すれば、決定的な不貞行為の証拠を掴める可能性が高まります。
ただし、探偵に調査を依頼した場合にかかる費用相場は数十〜数百万円と高額です。探偵業法に違反する調査方法で調査をする悪質な探偵事務所もありますので、利用を検討する際は料金体系や口コミなどを十分に確認しましょう。
探偵に調査費用の相場については、「探偵の浮気調査の費用相場と安くするための4つのポイントを徹底解説」をご参照ください。
まとめ
不貞行為を立証するには、配偶者と不倫相手が肉体関係を持ったことが客観的にわかる証拠を入手できるかどうかが重要な鍵を握ります。
証拠となり得るものはできるだけ多く集める必要がありますが、行き過ぎた行動をすると、あなたが違法行為の責任を問われかねません。自力での証拠収集に限界を感じたら、探偵への調査依頼を検討しても良いでしょう。
手元にある証拠で不貞行為を立証できるかどうかの判断に迷ったら、弁護士への相談も検討してみてください。
この記事の監修弁護士

はじめまして。ネクスパート法律事務所 東京オフィス弁護士の石田志寿です。
これまで家事事件をはじめ、不倫慰謝料や離婚など男女問題に特化した事件に携わってまいりました。その中でも、夫婦関係や不倫問題のご相談は、法律論だけでなくお気持ちへの配慮が重要となる分野だと強く感じております。
私が大切にしているのは、まずお話を丁寧に伺うことです。ご相談者様が抱えている不安や葛藤を正確に理解したうえで、法的に適切かつ現実的な解決策をご提案いたします。
「相談したら気持ちが落ち着いた」「話しやすかった」といったお声をいただくことも多く、心に寄り添う姿勢と、解決に向けた冷静な判断の両立を常に意識しております。
一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。











