不倫の責任を追求したくても、「大事にしたくない」「身内の恥を晒すようで恥ずかしい」等の思いから、弁護士への相談や、裁判手続きの利用を躊躇することもあるでしょう。
不倫の責任追求は、必ずしも弁護士や裁判所を介さなければできないわけではありません。双方の合意が得られれば示談は成立するため、当事者間で話し合って解決を図るのも方法のひとつです。
この記事では、不倫の示談の進め方や示談金の金額について、詳しく解説します。
示談交渉を有利に進めるためのコツや示談する際の留意点もお伝えしますので、ぜひご一読ください。
目次
不倫の示談の進め方
不倫の示談は、以下の3つのステップを踏んで進めることが一般的です。

STEP1|不倫相手に慰謝料請求の意思を伝える
不倫相手に慰謝料請求の意思を伝えます。
意思表示の方法に決まりはなく、以下のどの方法でもできます。
- 口頭(対面・電話など)で伝える
- LINEやメール等を利用する
- 書面を送付する
口頭による場合は、その場でSTEP2に進むこともあるため、事前に伝えるべき内容を整理することが大切です。
時効が迫っている場合は、配達証明付き内容証明郵便で意思表示をするのが望ましいでしょう。誰が、誰に、どのような内容の文書を送付したのかを記録として残せるため、後の裁判等で、時効の完成を猶予する事由があることを証明しやすくなります。
書面による場合は、作成時に、不倫相手に対する要求や感情等も自分の中で整理できるでしょうから、あなたの主張を冷静かつ的確に不倫相手に伝えやすくなるのもメリットのひとつです。
書面の書き方は「不貞慰謝料の請求書の書き方|記載すべき項目と押さえるべきポイント」で詳しく解説しています。
STEP2|不倫相手と示談内容について話し合う
不倫相手と示談内容について話し合います。
具体的には、以下のようなことについて話し合い、双方の合意を目指します。
- 示談金の金額
- 示談金の支払い方法・支払い期日
- 接触禁止や口外禁止等、示談金以外の誓約事項
話し合いも、対面・電話・LINEやメール・書面等、その方法を問いません。
もっとも、口頭で話し合う場合、意図が正確に理解できず認識にズレが生じたり、記録が残らないため水掛け論が生じたりしやすいです。お互いに感情的になり、言い争いへと発展することも考えられます。
書面でやり取りする等、内容や経過が客観的にわかる方法で話し合いを進めることをお勧めします。
STEP3|合意できたら示談書を作成する
合意に至った場合は、示談書を作成するのが一般的です。
示談書は必ず作成しなければならないわけではなく、口約束だけでも示談は成立します。
しかし、口約束だけだと、後になって「そんな約束はしていない」と言われるかもしれません。示談金の金額や支払い方法等に認識の違いがあれば、合意した内容どおりに支払いを受けられないおそれもあります。
示談書を作成すれば、示談後のトラブルを防ぎやすくなりますし、約束が守られる可能性も高まるため、作成することをお勧めします。
示談書には、以下の事項を記載すると良いでしょう。
- お互いが合意した旨
- 不倫(不貞行為)の事実
- 示談金の金額・支払い方法・支払い期日・振込先口座
- 示談金以外の誓約事項
- 示談内容に違反した場合のペナルティ
- 求償権の放棄
- 口外禁止条項
- 清算条項
- 示談成立日・当事者双方の住所・署名押印
示談書の作成方法について、詳しくは「不倫の示談書の書き方と自分で作成する際の注意点【テンプレート付】」をご参照ください。
不倫相手に請求できる示談金は自由に決められる?
示談金の金額は法律で定められているわけではないため、あなたが自由に決められます。
とはいえ、不倫の示談金には過去の裁判例から導き出された相場があります。相場は50〜300万円程度と幅があり、不倫発覚後の夫婦関係や不倫の期間・回数等の事情が影響します。
相場からかけ離れた高額な示談金を請求すると、「とても支払えない」と交渉のテーブルにすらついてもらえないかもしれません。交渉には応じても、減額を要求されて交渉が難航し、解決までに時間がかかることも考えられます。
示談金の金額は自由に決められますが、相場に基づいた適切な慰謝料を請求することで、不倫問題に早期に終止符を打てる可能性が高まるでしょう。
示談金の相場については「15の判例から見る不倫慰謝料の相場と増額のための3つのポイント」で詳しく解説しています。
不倫の示談交渉を有利に進めるための3つのコツ
不倫の示談交渉を有利に進めたいなら、次の3つの点を心がけましょう。
- 不倫を立証できる証拠を集めておく
- 感情的にならず冷静な対応を心がける
- 対面での交渉が難しい場合は書面でやり取りする
以下で、詳しく解説します。
不倫を立証できる証拠を集める
不倫(不貞行為)を立証できる証拠を集めましょう。
不貞行為の証拠がなくても不倫相手が示談金の支払いに応じれば支払ってもらえますが、証拠もないのに支払いに応じるとは考えにくいです。「確かに交流はあったが肉体関係はなかった」等と言い逃れされたり、配偶者と共謀して証拠を隠滅されたりするおそれもあります。
不貞行為を立証できる証拠があれば、不倫相手は言い逃れするのは難いでしょうから、示談金支払いの合意を得やすくなるでしょう。
以下のようなものは、不貞行為の有力な証拠となり得ます。
- 肉体関係を持ったことがわかるLINEやメッセージのやり取り
- 裸や下着姿で同じ部屋にいることがわかる写真・動画
- ラブホテルに出入りすることがわかる写真・動画・ドライブレコーダーの記録
- ラブホテルの領収書
以下のようなものは不貞行為の証拠としては弱いですが、複数を組み合わせることで不貞行為を立証できる可能性があります。
- 愛情表現を頻繁に交わしていることがわかるLINEやメッセージのやり取り
- 頻繁に連絡を取り合っていることがわかる通話履歴
- 宿泊施設を利用したことがわかるクレジットカードの利用明細
- 不倫相手の自宅に出入りしたと思われるカーナビの履歴
もっとも、不貞行為の証拠を集めるのは簡単ではありません。行き過ぎた行動をするとあなたが責任を問われかねないため、自力で集めるのは難しいと感じたら、探偵への調査依頼も検討してみてもいいかもしれません。
不貞行為の証拠となるものや集める際の注意点は、「浮気の証拠になるもの13選と自力で証拠を集めるポイント・注意点」で詳しく解説しています。
感情的にならず冷静な対応を心がける
感情的にならず冷静な対応を心がけましょう。
不倫相手に怒りや悲しみをぶつけたくなるのも無理もありません。しかし、感情的になって不倫相手に威圧的な態度を取ったり、暴言を吐いたりすると、交渉が難航したり、あなたが不利な立場に立たされりするおそれがあります。
感情的な言動は避け、冷静に対応することが大切です。
不倫相手と話し合う際に避けるべき言動は「不倫・浮気の慰謝料請求でやってはいけない7つのこと」で詳しく解説しています。
対面での交渉が難しい場合は書面でやり取りする
対面での交渉が難しい場合は、書面でやり取りしましょう。
口頭でのやり取りは、書面作成の手間を省けるものの、お互いに感情的になりやすいです。書面でやり取りすれば、不倫相手に送付する前に内容を確認できるため、行き過ぎた言動や感情的な衝突を避けやすくなるでしょう。
感情を制御する自信がない、直接やり取りしたくない等、対面での交渉が難しいと感じたら、書面でやり取りすることをお勧めします。
もっとも、書面でのやり取りは記録として残るため、不倫相手に有利に働く情報を不用意に与えないよう、慎重に内容を検討すべきです。不安がある場合には、弁護士への依頼も積極的に検討してください。
不倫相手と示談する際に留意すべき3つのポイント
不倫相手と示談する際に気をつけるべきことは、以下の3つです。
- 無理に示談を迫らない
- 法的に無効な内容を盛り込まない
- 示談内容を明確に記載した示談書を作成する
以下で、詳しく解説します。
無理に示談を迫らない
無理に示談を迫ってはいけません。
無理に示談を迫ると、後になって示談書の無効や取り消しを主張されるおそれがあります。
例えば、「示談書に署名押印しないと職場に不倫の事実をバラす」等と不倫相手を脅して示談を迫って合意させた場合、脅迫による意思表示の取り消しが認められる可能性が高いです。
示談書の無効や取り消しが認められれば、示談に費やした時間や労力がすべて無駄になります。示談金を支払わせるためには、また一から交渉を進めなければならないため、あなたにさらなる負担がかかります。
示談する際は、お互いの意思確認を十分に行いましょう。
法的に無効な内容を盛り込まない
法的に無効な内容を盛り込まないようにしましょう。
署名押印のある示談書は原則として有効ですが、公序良俗に反する内容や法律の強行規定に反する内容が含まれている場合、その示談書は無効になります。
例えば、再度接触した場合のペナルティとして1,000万円もの高額な違約金を設定した場合、公序良俗に反するとして無効と判断される可能性が高いです。
法的に不備のない示談書の作成を心がけましょう。
示談内容を明確に記載した示談書を作成する
示談内容を明確に記載した示談書を作成しましょう。
示談書の内容は、一つの解釈しかできないように記載する必要があります。
読み手によって解釈が異なるようなあいまいな表現で記載すると、その解釈をめぐって新たなトラブルが生じる可能性があります。示談書が無効になる可能性も否定できません。
示談内容は、明確かつ簡潔に記載するよう心がけましょう。
示談書が無効や取り消しになるケースについては「不倫の示談書が無効になる場合はある?示談書作成の6つの注意点」で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
不倫の示談金を請求するなら弁護士への依頼を勧める理由
不倫の示談金を請求する場合には、次の理由から、弁護士へ依頼することをお勧めします。
- 損害に見合った適切な金額を請求できる
- 不倫相手との直接やり取りを避けられる
- 不倫相手にプレッシャーを与えられる
- 適切な落とし所を判断してもらえる
- 解決後のトラブルを防ぎやすい示談書を作成してもらえる
以下で、詳しく紹介します。
損害に見合った適切な金額を請求できる
損害に見合った適切な金額を請求できます。
示談金は、不倫発覚後の夫婦関係や不倫の期間・回数等の事情によって適切な金額が変動するため、ご自身で適切な金額を算定するのは容易ではありません。
弁護士に依頼すれば、あなたが置かれた状況や過去の裁判例に基づいて、適切な金額を算定してもらえます。
損害に見合った適切な金額を請求できるため、「もっと請求できたのではないか」と後悔する事態を防げるでしょう。
その金額を請求する根拠も提示できるため、不倫相手の納得を得やすく、交渉をスムーズに進めやすくなるでしょう。
不倫相手との直接やり取りを避けられる
不倫相手との直接やり取りを避けられます。
不倫相手と直接やり取りすると、どうしても感情的になりがちです。その場の勢いで脅しともとれる不適切な発言をすれば、被害者であるあなたが不利な立場に立たされかねません。
弁護士に依頼すれば、弁護士が交渉の窓口となるため、不倫相手と直接やり取りをする必要はありません。
不倫相手と交渉するストレスから解放されるため、あなたの精神的・時間的な負担を最小限に抑えて解決を図れるでしょう。
不倫相手にプレッシャーを与えられる
不倫相手にプレッシャーを与えられます。
弁護士に依頼すれば、不倫相手への連絡はすべて弁護士が行います。弁護士の名前で書面を送付すれば、あなたが本気で請求していることが伝わるでしょうから、不倫相手に事態を深刻に受け止めてもらいやすくなります。
「無視すれば裁判になるかもしれない」とのプレッシャーも与えられるため、誠実に対応してもらえる可能性が高まるでしょう。
適切な落とし所を判断してもらえる
適切な落とし所を判断してもらえます。
「不倫という許されざる過ちを犯したのだから、提示金額を支払ってもらわないと気が済まない」と思う気持ちもわかります。しかし、相場と比して高額な示談金を請求している場合、どれだけ交渉を重ねても折り合いがつかないかもしれません。不倫相手に提示金額を支払うだけの経済力がない場合も、どれだけ粘っても回収するのは難しいでしょう。
弁護士に依頼すれば、不倫相手とやり取りを繰り返して適切な落とし所を判断してもらえるため、最善の解決を図れる可能性が高まります。
無駄に交渉を長引かせずに済むため、早期解決も期待できます。
将来のトラブルの火種を防ぐ示談書を作成してもらえる
将来のトラブルの火種を防ぐ、法的に不備のない示談書を作成してもらえます。
示談書の作成はご自身でもできますが、記載すべき事項が漏れていたり、記載方法があいまいだったりすると、せっかく示談書を交わしても再度紛争が生じるおそれがあります。
弁護士に依頼すれば、法的に不備のない示談書を作成してもらえます。
あなたの状況を考慮して記載すべき事項を盛り込んでもらえるため、解決後のトラブルを未然に防ぎやすいです。後になって示談書の無効や取り消しを主張される不安も少なくなるため、安心して示談できるでしょう。
まとめ
不倫の示談交渉はご自身でもできますが、実際に不倫相手とやり取りするとなると、つい感情的になって不適切な発言をしてしまいがちです。
「不倫相手に示談金を請求したいけど冷静に対応する自信がない」「不倫相手と直接やり取りしたくない」等の思いを抱えているなら、弁護士への依頼を積極的に検討してみてください。
不倫の示談交渉を弁護士に任せたいなら、ぜひネクスパート法律事務所にご相談ください。
ネクスパート法律事務所には、不倫問題に関する豊富な知識と解決ノウハウを有する弁護士が多数在籍しています。あなたが納得のいく形で配偶者の不倫にけじめをつけられるよう、全力でサポートいたします。
初回相談は30分無料です。オンライン法律相談サービスも実施していますので、事務所に足を運ぶのが難しい方もご相談いただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修弁護士

はじめまして。ネクスパート法律事務所 東京オフィス弁護士の石田志寿です。
これまで家事事件をはじめ、不倫慰謝料や離婚など男女問題に特化した事件に携わってまいりました。その中でも、夫婦関係や不倫問題のご相談は、法律論だけでなくお気持ちへの配慮が重要となる分野だと強く感じております。
私が大切にしているのは、まずお話を丁寧に伺うことです。ご相談者様が抱えている不安や葛藤を正確に理解したうえで、法的に適切かつ現実的な解決策をご提案いたします。
「相談したら気持ちが落ち着いた」「話しやすかった」といったお声をいただくことも多く、心に寄り添う姿勢と、解決に向けた冷静な判断の両立を常に意識しております。
一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。












